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第34話 魚と貝、そしてカニ

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 4階層の扉を開けると、そこは浜辺であった。

 本当にこの「戦の間」の構造は疑問だらけだ。地下4階だろ?なぜ海?そしてギラギラの太陽?

 あ~ギラギラと照りつくす太陽。水着の美女でもいれば別なのだが。いるのは魔物ばかり。やだやだ.さて適当に狩りながら、5階層に続く階段を探そう。

 そんな中、何気なく浅瀬に目を向けると、おお!ウニ、ハマグリ、ナマコ、更にモズクまで群生しているのが目にとまった。

 取って帰ろう。すごいな「戦の間」。「戦の間」というより、もう本当に「食糧庫」みたい。肉から貝までそろっている。それに魚もいそうだし。

 この後の階層で、きのこや山菜などの山の幸まで取れたら、本当に「試練の間」いわく「一大食糧庫」だな。

 俺は一人興奮し、ウニやハマグリ、ナマコなどを取りまくった。もう、乱獲状態。ダンジョンじゃなかったら怒られそう。

 そんな感じで一人黙々と、目に留まる範囲の海産物を、アイテムボックスに収納していると、俺の身に何かが迫って来るような気配を感じた。

 「レン様!」

 ルーメイが俺に危険を促す声を発した。

 沖の方から、ものすごい勢いで俺に迫ってくる物体が見えた。どんどんこちらに向かって迫ってくる。

 おいおい、沖合にいるのに見えるって相当デカくないか?

 それも一匹だけではなさそうだ。もう匹で数える大きさでは、なさそうなんだけど。

 そして俺が浜辺で乱獲していた場所に、ものすごい勢いで頭から角の生えた、魚型の魔物達が、俺をめがけて突っ込んできた。

 その魚達は、俺を鋭い角で突き刺そうと、砂浜まで乗り込んできた。

 「うわっ危な!それにでか!」

 攻撃をよけると、魚型の魔物は沖に戻る事も出来なく、浜辺でビチビチと跳ねまわった。

 1匹だけではなく6匹,7匹と浜辺に突っ込んできた。もの凄い迫力!

 Level upしたからこそ何とか避けられるが、「戦の間」に入ってすぐの頃なら、この巨大魚たちの捨て身の攻撃を、避け切れなかっただろう。

 地球でいえば、軽トラが自分に向かって次々と突っ込んで来るような、そんな感じ。

 浜辺には、俺を突き刺すことのできなかった魚型の魔物たちが、ビチビチと跳ねている。

 お前らあほだろ、帰りはどうするんだ?と、他人事ながらビチビチと跳ねている魚型の魔物たちを呆れたように見つめた。

 「レン様、お怪我はないでしょうか!」と、俺の元に全員が集まって来た。

 「大丈夫、大丈夫。魔物との戦いを優先させてもらったおかげで、Level upしたから。何とか避けられたよ。それに俺には衝撃無効化があるから、何とかなったとは思うけどね」

 でもありがとう。心配をしてくれて。皆に「ありがとう。大丈夫だよ」と伝えた。その後、浜辺でビチビチしている、大きな魚型の魔物の正体を確認することにした。

 何となく見覚えがある気もするが...。俺が知っている物は、こんなにデカくないし、角も生えていない...。

 鑑定をかけると。一角アジ、一角真鯛と出た。それぞれ500kgあるようだ。それが5匹ずつ。大量だ!

 こっちの漁は、浜辺で立っているだけでいいんだから...楽なもんだよな。ただ命懸けだけど。

 ほくほく顔で、浜辺の上で飛び跳ねる一角アジと、一角真鯛をアイテムボックスにしまった。

 あービールもいいけど日本酒が恋しいな。そのうち俺の能力で、日本酒が生み出せたら,,,それに醤油も欲しい。

 やばいな。欲しい物ばかりだ。でも都合のいいことに全部液体だし...コツコツとアリスト共和国のために働いていれば、いいことがあるだろう。

 そんなことを思っていると、また俺たちの方に向かって猛然と迫っててくる物体が現れたようだ。

 次から次に忙しい。日光浴など、とても無理だな。

 迫ってくる物体は、真っ赤な胴体に8~10本の足を携え、その足のうちの2本は巨大なはさみとなっている。

 興奮しているのか両足の2本のはさみをガチガチと鳴らしながら、浜辺を横歩きしながら、猛然と俺たちに向かって突っ込んでくる。

 どう見てもカニだ。胴体だけでも高さ4m、幅5m以上ありそうだ。

 真横から浜辺を爆走してくる姿に一瞬怯むも、ウィークウォーターガンと液体操作Level1の合わせ技で、蟹の化け物を打ち抜いた。

 鑑定してみると、魔カニとでた。そのままだ。でも食用で食べれるらしい。甲羅も含めた重さは800kgほどある様で、とてもではないが普通なら運べない代物と、モルスルは呟いた。

 「この甲羅はドワーフ族が喜びますぞ。甲羅の強度は尋常ではありません。武器に防具に使えそうです。普通は戦闘で、もっとぼろぼろになるはずです。でもレン様はウォーターガンの傷跡一箇所だけ。奇麗なものです」

 それなら、ドワーフ族に甲羅をあげよう。でも生臭くないのかな?

 そんなたわいもないことを考えていると、あの機械音が俺の脳内で鳴り響いた。

 おっ、Level が上がったかなと思ったら、何となんと、液体操作のLevel が2になったらしい。やった。初めて上がった。

 上がりづらいなーと思っていた。100回以上は液体操作を使用していたが、やっとこ上がった。

 ただ、より実用性のあるLevel 3に上がるよう頑張ろう。実戦でどんどん使えば、上がる日もそう遠くはないだろう。

 そんな感じで液体操作をどう効率的にあげるかを考えていると、先に偵察に行ったドレンとルーメイが俺を呼びに来た。

 「レン様ここから500mほど離れた場所で、異様な光景を目にしました。その...何と言ったらいいのか分からないのですが、オークやゴブリンそして、 ミノタウロスが一緒になって、浜辺で何かを行っているようです」

 何だ?その異様な光景は?協力プレイ?

 でもミノタウロスって牛の魔物だったはず!ついに来た!牛肉ちゃん!

 何をやっているかは分からないが、行って見るしかない。魔物の協力プレイ!

 レンはついに出会った牛肉目当てに、魔物たちが群れている方向に、ルーメイ達を引き連れ、意気揚々と向かって行った。
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