妄想女子はレベル‪✕‬‪✕‬!? ~学校一のイケメンと秘密の同居をすることになりました♡~

伊咲 汐恩

文字の大きさ
1 / 23

1.5度目の告白

しおりを挟む



「5度目の正直っ! 降谷くん、好きですっっ!! 今度こそ私と付き合って下さい!!」
「無理」
「そ、そんなぁ~~っ!! 無理とは言わずに……」
「……」

 チーーーーーン…………。

 ――長い夏休みがあけた始業式の今日。
 場所は私がいま通っている高校の校門の一歩手前の通路。

 下校時刻を狙って意中の彼に5回目の告白をしたが、彼は耳に蓋をしているかのようにスタスタと横を通り抜けていく。
 一方通行な片想いは出口の見えないトンネルそのもの。
 無関心な背中を眺めたままガクッと肩を落とした。

 ああぁぁあ……、またフラれちゃった。
 今日こそ……、今日こそはイケると思っていたのに。

 彼は同級生で高校三年生の降谷涼ふるやりょうくん。
 金髪の前髪で少し隠れている瞳はぱっちり二重で、少しぽってりしたあひる口、白い肌に黄金バランスのパーツの学校一のイケメン。
 校内では言わずとも知れた有名人で、歩くだけで黄色い声のトンネルの花道が出来るほど。

 私は入学前から彼が好き。
 4度の失恋を乗り越えて『今回こそは』と期待を込めて告白したのに、5度目もあっさり玉砕してしまうなんて。

「うっ、うっ、うっ、うっ…………。わかっちゃいるけど、精神的ダメージ半端ない……」

 額を押さえながら校門に向かってふらふら歩いていると、「塚越つかごしみ~つき! 大丈夫かぁ~?」と、聞き覚えのある声が後ろから届き、私の首に腕を絡ませてきた。
 横目を向けると、そこには親友 りんかが。

「り……りんかぁぁあ~~っ!! また降谷くんにフラれちゃったよぉぉ~~」
「だから言ったでしょ。降谷は絶対に無理だって。4回フラれた時点で脈がないことに気づかないと」
「それでも5度目の正直を信じてたの~っ! 告白を断ったあとに『やっぱり塚越さん可愛かったな~』って後悔してたかもしれないと思って」
「……あんたの頭ん中どれだけ妄想を膨らませてたのよ。確かにあんたは華奢だし、ショートボブヘアでまぁるい目をして顔も上の下だと思ってるけど、相手は降谷でしょ。勝ち目がないの」
「ううっ……」
「そもそもあいつは次元が違うのよ。見ていてわかるでしょ、あのモテっぷりが」

 彼女の言う通り、降谷くんは高嶺の花。
 学校のアイドルそのもので、他の男子とは別格だということ。
 モテることを鼻にかけない……というより、女子に無関心なイメージ。
 表情筋を動かしてるところをいままで見たことがない。

「……い~い? 時には諦めも必要なの。あんたにはあんたにピッタリの人が必ずいるはずだから、狭い視野を通り抜けて広い世界を見ていこうよ。これからたくさん色んな男子と出会って、交際に発展して……」
「そんなの無理! 絶対に降谷くんじゃなきゃ嫌! この学校を受験する時に、受験会場で消しゴムを家に忘れたことに気づいて困っていたら、降谷くんが自分の消しゴムをちぎって半分くれた時に運命感じちゃったんだもん!」
「出た出た、そのエピソード。入学直後に降谷に『消しゴムのことを覚えてますか?』って聞いたら、『覚えてない』って言われたやつでしょ?」
「……あのさ。夢、壊さないでよ。あの時は本当に王子様が現れたと思ったんだから」
「現実でしょ。げ・ん・じ・つ! ちょっと優しくされたくらいでコロっと傾かないでよ」
「だってだって~、あの時は本当に嬉しかったんだもん!!」

 彼が歩けば自然と花道ができる。そして、両指を絡ませながらうっとりと彼を眺める女子たち。
 夢のような消しゴムのエピソードはあっても、残念ながら私も彼女たちの一員。



 ……のはずが!!
 それから数時間後、とあることがきっかけでひとつ屋根の下で彼と暮らすことになるなんて……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー

i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆ 最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡ バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。 数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...