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第七章
205.長年の想い
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今からちょうど一年前の中3の秋。
拓真のお爺さんが自宅で倒れて病院に搬送された。
お婆さんとご両親はすぐに駆けつけたけど、拓真とは連絡がつかなかったので、母親から幼なじみの私にお爺さんの件を伝えて欲しいとお願いされた。
当時の拓真は、暴走族仲間とつるむ事が多くて自宅に近寄らない人。
だから、心当たりがある場所を幾つか当たった。
数時間後、海辺の空き倉庫で仲間と一緒にいる所を発見したけど、拓真は耳を貸してくれなかった。
その理由は、私が暴走族を辞めるようしつこく説得し続けていたし、両親の話を先に出してしまったから。
拓真は逃げるようにバイクを発車させたから、私は身体を大の字にして『行かないで』と言って道を立ち塞いだ。
ところが、バイクは予想以上にスピードが出ていて、急に目の前に飛び出した私の前でブレーキをかけましたが、避けきれずにそのまま接触。
私は意識を失った後に救急搬送された。
目が覚めた時はベッドの上。
すすり声に気付いて顔を横に向けると、拓真が顔を俯かせながら泣いていた。
『俺が悪かった』と。
事故前までは喧嘩三昧で迷惑行為を繰り返していたのに、あの時は金髪の短い髪をぐしゃぐしゃして泣き崩れていた。
このままじゃ、事故責任に押し潰されてしまうと思ったし、事故のせいで笑顔を失いたくなかったから『私の怪我は気にしないで』と……。
でも、私の父親は気が狂ったように拓真を責めた。
拓真は毎日自宅まで頭を下げに来てくれたのに……。
学校を休んでいた間、拓真が肩を落として帰って行く姿を2階の窓から眺める日々を送っていた。
しかし、もう一方で拓真のお爺さんは看病の甲斐もないまま亡くなった。
お爺さんが亡くなったショックと、私の怪我。
それに加えて、お婆さんまで体調を崩してしまったので、仕事で忙しい拓真の両親に代わりに私がお婆さんの身の回りの世話をしていた。
もちろん、自分の父親には内緒で……。
全治一ヶ月の傷に包帯を巻きながら、お婆さんの看病。
身内でもない私がお婆さんの世話をしていた事がキッカケになったかわからないけど、それから間も無く拓真は更生した。
これ以上、私に迷惑はかけれないと思ったのかもしれない。
亡くなったお爺さん。
そして、畑仕事が難しくなったお婆さん。
手入れが行き届かない畑は荒れ放題に。
代々繋がれていた命の源は、おじいさんの他界と引き換えに途絶えてしまった。
だから、お婆さんと畑を守るのは自分しかいないと思ったのかもしれない。
それから間もなく拓真はお婆さんの家に移り住んだ。
きっと、あの事故が引き金になったのかもしれない。
金髪だった髪を黒髪にして、メガネをかけ始めた。
お爺さんの急逝と私の怪我で精神的なショックを受けてしまったせいか、人が変わったように笑顔を失ってしまって。
その直後、私は父親の転勤で地方へ引っ越した。
恋心を昔の街に残したまま……。
会えない時間に募る想い。
10年以上の長い恋心は簡単に断ち切る事が出来なかった。
そこで私は、父親の猛反対を押し切って拓真と同じ高校に転校する事に決めた。
勿論、拓真の傍にいる為に。
そして、先週ここへ。
正しくは、少し前に新居の下見ついでに拓真の家の前に行った。
でも、いざ会うなると、一年という空白の月日が流れていたせいか、勇気がなくてその日は会えずじまいに。
だから、次に会った時は後悔しないようにと心に決めていた。
長年の想いを伝えようと……。
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