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第十二章
330.しらを切る和葉
しおりを挟む「私達、親友じゃなかったの……?」
祐宇は突然感情を爆発させると、手で顔を覆って悲鳴混じりの声で涙を流し始めた。
先ほどまで黙って様子を見ていたが、曖昧な返事を続ける和葉を見ているうちに感情が抑えきれなくなった。
和葉と凛は二人同時に祐宇へ目線を向ける。
「ゆ……う……?」
和葉は目を丸くしたまま呟いた。
すると、祐宇は街灯の光で涙を反射させながら目線を合わせる。
「親友だと思っていたのは私達だけ? 友達というのは、お互い支え合いながら楽しい事や辛い事を共感するものじゃないの? 私達って、そんなに価値のない友情ごっこを続けてきたの?」
「えっ……、ちょっと待って。それって、どう言う意味?」
「本当にわからないの? 私には安っぽい友達ごっこなんてもうたくさん。私達は和葉が大好きだし、体調を崩していた時や落ち込んでた時は凛と二人で心配してたのに……。和葉は私達を一体どんな目で見てきたのよ」
親友……。
友情ごっこ。
いま黒髪の話題が上がっているのはわかっているけど、話の終着地がわからない。
「拓真と本気で恋愛をしてたのに、誰にも相談せずに辛い日々を送ってたんじゃないの? 私達は毎日一緒にいたのにどうして相談しなかったの? 時間ならたっぷりあったでしょ……」
祐宇の口から拓真の名が浮上すると、和葉は二人の考えが自分と同じところにある事を知った。
しかし、心の中を見透かされていても口を割るつもりはない。
「えっ、恋の相談とか……何の話かな」
和葉は誤魔化そうとしてるが、話は徐々に確信へ。
しかし、どんなに話をはぐらかし続けても、二人の話は煙のように消えていかない。
「実は私達、あんたの気持ちを知ってるんだ。拓真や藤田さんの事。それに、あんたの恋心まで……。この話は、最近拓真と別れたばかりの藤田さんの口から直接聞いたから間違いないと思ってる」
「えっ、栞ちゃんから? しかも、拓真達が別れた事まで。どうして……」
「どうしてだと思う?」
凛は一皮剥いてもらう為に再び詰め寄った。
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