上 下
16 / 226
第二章

14.タイムスリップ

しおりを挟む



  ーー今日は土曜日。
  外は晴天。
  気分が晴れない私の心は曇り時々雨。

  朝食をたらふく食べちゃうほど身体は元気なのに、今日は気分がノらない。

  今朝見た夢が少なからず影響している。
  現実と区別がつかなくなるほど夢がリアルで、忘れかかっていた彼との日々を思い出してしまった。


  谷崎くんに会いたい。
  もう一度だけ。
  夢でもいいから……。



  学習机にもたれかかっている愛里紗は、机の引き出しにしまっている宝箱からイルカのストラップを取り出した。



  そうだ、今日は神社に行こう!
  思い出の場所に行けば少し気が晴れるかもしれない。



  愛里紗はストラップをカバンの中に詰め込んで思い出の神社へ向かった。
  家から徒歩5分のところに位置する神社に到着。
  当時を懐かしむかのように境内をゆっくり見回した。
  数年経っても代わり映えしない光景にホッと胸を撫で下ろす。



  ここに来るのは随分久しぶり。
  谷崎くんが引っ越してからも毎日のように通いつめていたけど、最近はめっきり足を運ばなくなった。

  神社に来なくなった理由は、谷崎くんに会えないと痛感したから。



  神社は当時と変わらずキレイに清掃されてる。
  六年生の時は広く感じたけど、背が伸びたせいか今は少し狭く感じる。



  谷崎くんは今も元気に過ごしているのかな……。



  愛里紗は当時を思い描きながら境内の奥へと進み、お別れ時に二人で隠れた本殿の裏に周って建物に腰を下ろした。

  すると、突然……。
  ぐわんとめまいがして不思議な感覚に陥ると、すぅ~っとタイムスリップしてしまったかのように当時の記憶まで遡っていく。

しおりを挟む

処理中です...