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第二章
38.公認の仲
しおりを挟むーー今朝は布団に潜り込んでいても肌寒く感じてアラームより先に目が覚めた。
窓からはひんやりと冷気が漏れている。
弱々しい光が差し込んでいるカーテンを両手で思いっきり開くと……。
まるで小さくちぎったわたあめのような純白なボタン雪が空からふわりふわりと舞い降りていた。
「うわぁぁ……、雪」
思わずひとり言が溢れてしまうくらい雪化粧は幼心を騒ぎ立てた。
それもそのはず。
去年まで暮らしていた地域では年に数回程度しか雪が降らなかったから。
しかも、銀世界に様変わりするほどの大雪に見舞われたのは何年ぶりだろう。
昨晩のニュースでお天気お姉さんが言ってた。
明け方から雪がチラつくから、通勤通学の足に影響を及ぼすって。
足元が滑りやすいから怪我に注意するようにって。
実は、今日は特別な日。
更に空からは素敵なプレゼント。
最高の一日になる予感がしてならない。
外は身が凍る寒さで眠かったけど、始業式の今日は早く学校に行きたかった。
正月明けの学校は、およそ二週間ぶりに会った友人との会話が途絶えない。
クリスマスプレゼントやお年玉の話など話題が満載だ。
更に降り積もっていく雪にクラスメイトのテンションは上々。
教室内では寒さを一掃するほどの賑わいを見せていた。
「校庭に雪が積もったら何して遊ぶ?」
「雪合戦!」
「私はかまくらを作りたい」
クラスメイトは雪遊びをそれぞれ満喫するつもりでいる。
そんな中、登校したばかりの谷崎くんと目が合うと、テレパシーを送るように目配せをした。
『後で会おうね』
すると、彼は返事をするようにニッコリ微笑む。
それは、私だけに向けられた特別な笑顔。
彼の笑顔一つで私の顔も自然とほころぶ。
幸せ。
勇気を出して告白して良かった。
私達はクリスマスイブに交際を始めたばかりだけど、いつの間にかクラス中に噂が広がっていた。
でも、もう冷やかす人はいない。
カッター事件の際、彼が迅速に対応してくれた事によってみんなの心に深く根付いていた。
いつしか公認の仲になって温かく見守ってもらえるように……。
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