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第四章
68.衝撃的な再会
しおりを挟むーー場所は若者の街、渋谷。
愛里紗の小学生時代からの友人 ノグは、2日後に始業式を控えた今日、高校の友達と二人で渋谷にショッピングに来ていた。
電車を降りてからセンター街を目指す。
スクランブル交差点に足を踏み入れて、多くの人ごみが駅方面へと押し寄せてくる中、ふと懐かしい顔が視界を捉えた。
すれ違いざまに一際目立つ彼に気付いた瞬間、交差点の中央で足が止まる。
古い記憶が引き出されていくと、目の色を変えて振り返った。
「……谷崎?」
確認の意味も込めて呼んだ。
不意に呼び止められた翔は二、三歩先で足を止めると、ゆっくり振り返る。
「野口……?」
「やっぱり谷崎じゃん! 超久しぶり~!」
二人はおよそ4年半ぶりに再会。
小学校卒業と共に引っ越した後、初めて顔を合わせる事に。
お互い顔を見合わせた瞬間、驚きと懐かしさに包まれていく。
でも……。
本当は出会わない方が良かったのかもしれない。
見て見ぬ振りをするのが正解だったかもしれない。
何故なら、翔の隣には腕を組んでいる女性が。
しかも、その女性は現在同じ高校に通う愛里紗の親友 咲だったから。
「ノグちゃん……」
咲はノグと目が合うと組んでいる腕をパッと離してバツが悪そうに俯く。
動揺した表情は隠せぬまま。
一週間ぶりのデートで浮かれ気分だった自分はもうそこにいない。
ノグにツーショット姿を目撃された瞬間からひた隠しにしていた真実と向き合わなければならなくなった。
一方の翔は、咲の反応でハッと気付く。
「もしかして、二人は知り合い?」
愛里紗に繋がる伝が生まれた瞬間、咲は黙って瞼を伏せる。
ノグは咲の不自然な様子に引っ掛かりを感じていた。
いつしか狂い始めていた運命は、再び糸でくくりつけられていくかのように、自分達の知らないどこかで動き始めていた。
ーー場所は、街の中心部から一本奥の道の角にある、路地裏の雑貨屋に併設されている小さなカフェ。
ハンドメイド風の可愛らしい雑貨が入り口の陳列棚に並んでいて、奥に進むとカフェスペースになっている。
狭い一本道に面していて、小さな店内は多くの客で賑わっていた。
ノグは急遽友人と別れて、数年ぶりに会った翔と咲と三人で話し合う為にカフェに入って二人の向かい側に着席する。
久々に会った翔は背がグンと伸びて大人びていたが、小学生当時の面影は残ったまま。
だから、巨大交差点でもすぐに見つける事が出来た。
翔は懐かしむように遠い目でノグを見つめていて、咲は不都合な展開に見舞われて口を閉じたままテーブルに目線を当てる。
ノグは咲の様子に気を取られながらも、久々の翔を見るなり目頭を熱くさせた。
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