湘南ウイルスバスター

れれれにあ

文字の大きさ
5 / 5
1章-ウイルスバスター

1-4

しおりを挟む
※※※※

尾行当日。
ターゲットは9時に秦野駅。
俺と綾乃はひと足早めに秦野駅に行かなくてはならない。
家から駅までは結構距離があるけど、
この辺は田舎だからバスが全然通ってない。
「どうする?綾乃?」
すると綾乃は『バカじゃないの?』というような目でこちらを見つめ、こう言った。
風次ふうじさんに頼むに決まってるでしょ!」
風次さん。大滝風次おおたきふうじさん。綾乃の隣の工務店の主人さんのことだ。
俺も綾乃も小さい頃からお世話になってる、心やさしいおじさんだ。
マスターとは正反対だ...
綾乃は大きく息を吸いこみ、叫んだ。
「ふーうじさーん!」
「はーいよ」
こんな朝早くて、しかも休日なのに風次さんは答えてくれる。
工務店のドアがガラガラっと開き、中から出て来る。
頭に白いタオルを巻いて、『これでしょ?』と、車のキーを指さす。
「さすが風次さん!」
そう言いながら、綾乃は軽トラの荷台に飛び乗った。
俺も追うよう軽トラの荷台に乗り、体制を整えた。
「今日はどこまで?」
風次さんは当たり前のように問いかけてきた。
「今日は、大磯駅まで!」
『よっしゃ』と言いながら思い切りアクセルを踏みこみ、すごいスピードで駅に向かった。

普通なら15分はかかる道のりをわずか5分足らずで来てしまった。
今日は休日と言っても土曜日。この時間は土曜出勤のサラリーマンや部活のある学生なんかで駅はいっぱいだった。
「ありがとう、風次さん」
風次さんは何も言わずただ右手を挙げて帰って行った。
「大磯から秦野に行くとなると、一旦小田原で乗り換えないとだな」
というのも、秦野駅に通っているのは小田急線1本。しかし、大磯からはJR1本しか出ていない為、両方が交わる小田原駅で乗り換えをしないといけない。

2分後、小田原に向かう下り電車が来た。
ぎゅうぎゅう詰めの電車に無理やり体をねじ込み、なんとか乗った。
大磯から小田原までは二宮、国府津、鴨宮、小田原と4駅分。約20分と言ったところだ。

※※※※
約20分後。
『間もなく、小田原、小田原、お出口は右側です。』
小田原到着のアナウンスが入る。
3駅通過したが、人が減るどころかむしろ増えて乗った時よりも圧が大きくなっていた。
プシュー。
ぴこんぴこん。
『小田原ー、小田原ー』
ドアが開いたと同時に人の波に流されるように外に出た。
ホームで電車の中ではぐれた綾乃と無事に合流し、小田急線の改札口へと向かった。
小田急線はJRとは違って、かなり空いていた。
偶然にも向かいたい方の電車が来ていたのでそのまま駆け込んだ。
綾乃も俺も、小さい頃から一緒にいて、お互いが居て当たり前の空気みたいな存在なもんだから、特別なにも話さず電車に揺られていた。

『秦野ー、秦野ー』
なにも話さず電車に乗っていたから、少々眠くなった。
この秦野駅はさっきも言った通り小田急1本。
ターゲットはほぼ確実に小田急の改札を通る。
そこで張ることにしよう。
只今の時刻は8:24。
もうすぐ、ターゲットがやって来る。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

気づいたときには遅かったんだ。

水瀬瑠奈
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

処理中です...