湘南ウイルスバスター

れれれにあ

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1章-ウイルスバスター

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俺は綾乃と目を合わせて、うなずきあった。
「それでは、目標人ターゲットの特徴を教えていただけますか?」
ズボンのポケットから手帳とボールペンを取り出し、メモの準備を整えた。
すると、水谷さんは、はがきサイズの紙を取り出した。
「写真です」
情報としては一番良いものだ。ありがたい。
綾乃は、写真を手に取り、目を輝かせながら問いかけた。
「身長は!身長どれくらいですか??」
こいつ...まさか...
「確か前回の健康診断で185cm前後だったと思うわ、この間また伸びたとか言ってたけど」
さらに綾乃はノリノリで質問をした。
「職業は何をしていらっしゃたりするんですか?」
もはや言葉もおかしい。『していらっしゃったりするんですか?』って...
「平塚で都まんじゅうをつくってるわ」
平塚。大磯の隣の街だ。大磯とは違ってショッピングモールも多くてかなり発展してる。
「なるほど。普段お帰りは何時ごろになってますか?」
「いつもは、8時...とかですかね」
「ありがとうございます、では、怪しいなと思われる日とかってありますか?例えば『この日帰り遅くなるから』とか言ってたりしませんか?」
そう聞くと、水谷さんは腕を組み斜め上をあげて記憶をたどった。
あ!思い出した!と言わんばかりの顔をして言った。
「明後日の日曜日なんですけど、いつもは家でダラダラしてるのに珍しく出かけるって言うんですよ!」
「どこへ行くとか言ってました?」
「いえ、それが...ただ秦野に行くとだけ...」
「秦野...ですか...ちなみに免許なんかは持ってますか?」
「主人はめんどくさいと言って取ってないです」
ふむふむ、免許がないとしたら80%秦野駅に現れるな。
「分かりました。ただ単に出かけるだけかもしれないですが、一応明後日、挑戦してみますね」
「あ!水谷さん!時間とかって分かる?」
ナイス綾乃!完全にその事忘れてた!
「時間...9時に駅で待ち合わせするとか言ってたわ」
「おっけ!水谷さん携帯もってる?」
「私、機械音痴なもんで、いつも公衆電話なんですよ」
これは朝早くから張る必要があるな...
厳しいミッションになりそうだ。

一通り情報は聞き、怪しいと思われる日時も聞き出せた。
あとは尾行を成功させれば...か...
しかし、俺は何かに引っかかっていた。
情報も聞いたし、写真もある。もう聴き逃しもないはずなのに...なにかが...。
「步夢!もう遅いし帰りにファミレスでも寄ってこうよ!」
もうそんな時間か。と、時計を見ると既に針は10時を回っていた。
「そうだね」といいながら帰りの支度をしていると、
からんからん。
と、ドアの開く音がした。
こんな時間にお客さん?と、思いきや
「あの~、すみませ~ん。」
この緩い感じの喋り方は、隣のカフェの店員の花村桃佳はなむらももかさんだ。
「どうしました?」
「あの、藤ヶ谷ふじがやさんが...」
藤ヶ谷宗介ふじがやそうすけ。俺らの雇い主マスターだ。
あぁ、またですか。
「いつも、いつもすいません、今行きますね」
俺と綾乃は帰りの支度を済ませ、走ってカフェに向かう。
カフェに入るとど真ん中の席で気持ちよさそうに寝ている雇い主マスターが見えた。
俺はドンドンとわざと足音をたてるように歩いていき、雇い主マスターに声をかけた。
「起きてください、もう閉店時間ですよ!」
割と大きめの声で声をかけたがピクリと反応しない。
すると俺の後ろにいた綾乃が「マスター。」と息を吹きかけるように優しく声をかけると、
「んんんんん!よく寝たぁ!」
嘘でしょ、なんなのこの人の綾乃に対する思い入れは。
「マスター、もう閉店時間ですし、早く出てくださいね、僕達帰りますから」
あれは呆れて適当に注意した。
「もう帰っちゃうの?のんたん、夕飯食べてかない?」
このくそじじぃ!!
「いえ、私はこのあと步夢と食べに行くので、またの機会に!」
と、綾乃が言うと、マスターはこちらを睨みつけながら「遅いからさっさと帰れ」と言った。
全く、マスターもマスターだけど、綾乃も綾乃だな。

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