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庭師見習いは見た!トラブルメーカーがやって来た!
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秋も深まってきたある日、ネルソン子爵家からドルトレッド伯爵家に打診があった。
【こちらでは手に負えないので、メイドを1人送ります】
「え?それだけですか?」
伯爵から伝えられた情報を聞いたメイベルは確かめた。
その場に集められていたメイ、サラ、マリ、フィル、マイクも首を傾げた。
「ジャクリーンからはこれだけだが、ノーマンからの補足はある。どうやら“適齢期の子息が3人いる子爵家”が目当てで来たらしい。今は粛清後で混乱期だからそれを利用したようだ。紹介状無しの飛び込みなんだと。しかし目当ての3人が3人とも王都住まいで屋敷にはいないから、それならってことでノーマンを狙い出したんだそうだ」
「そのメイドはいくつなんですか?」
呆れた顔のメイが聞いた。
「20歳だそうだ。履歴書が正しければな。ノーマンは40前半だから…まあ、無くは無いかな」
「は?それって旦那様もイコールですよね」
低い声でメイベルが唸った。
「そうなってもノーマンよりは対処できるさ。とりあえず“表”としての初仕事ってことだろう。メイは文通相手にそのメイドの人格を確認してくれ」
「了解です」
「一番の問題は、そのメイドが全く何も知らない玉の輿狙いなのか、何らかの伝手でこちらの内情を知っているのか、だな。ネルソン家はフェイクで最初からこっち狙いで、フィルとマイクの素性を知っているという可能性はゼロじゃない」
「まずは俺ですね。どんなオーラなのか、見てみます」
フィル親方が表情を引き締めて言った。
~~~~~~~~
「はじめまして、ミリーと申します。よろしくお願い致します」
明るめのブラウンの髪をポニーテールにした小柄で華奢で可愛いミリーは、目を伏せてお辞儀をしたが、顔を上げた瞬間、伯爵に目線を当てた。
小振りだけどぷっくりとした唇に笑窪、長い睫毛に大きな瞳、寄せて上げている程良い大きさの胸、腰に結ぶリボンの位置まで計算され尽くした“女”。
それがミリーだった。
仕事はそつなく熟し、愛想も良い。
フィルの見立てでも無難なピンク系のオーラだった。
流石にネルソン子爵家を罷免されたからおとなしくしているのかと思った矢先、ミリーは動き出した。
「旦那様、今日はマリさんがお休みなので私がお茶をお持ちしました」
「ああ、ありがとう。もうここには慣れたかい?」
「はい。みなさん、良くしてくださって…でも、私少しトロくて…不快な思いをさせているのかもぉ…」
「ん?誰が不快な思いをしてるって?」
「いえ、そう言われたんじゃないんです。でも…私を見る目が怖くて…」
「可哀想に。そんな目で見てくるメイドは誰だい?」
「…メイベルさんですぅ…」
「そうか。今度注意しておくよ」
「はい!あの、ありがとう…ございます」
瞳をうるうるさせたミリーは両手を胸の前でギュッと握りしめてお辞儀をし、ゆっくりと顔を上げると伯爵を熱く見つめた。
(なるほど、これか。ノーマンでは太刀打ち出来なかっただろうな)
「もう行きなさい。美味しいお茶をありがとう、ミリー」
「はい!失礼致します!」
ミリーが出ていった後で、続き部屋の扉が開いてメイベルが出てきた。
「どう思う?メイベル」
「あざといの一言に尽きます。で?私に注意なさるんですか?旦那様」
「私に注意された腹いせ、という体でミリーを虐めてみるか?」
「気が進まないけど…やってみるわ」
~~~~~~~~
「うわあ!スッゴくお花のこと詳しいんですねぇ!流石親方です!玄関用のお花、頂いていきますね。それでぇ、あの…一輪だけ、何か私にくださいませんか?押し花にして大事にしたいんです。親方に…フィルさんに選んでほしいですぅ」
「ああ、いいよ。栞?ポストカード?」
「え~、どっちがいいかなぁ」
(花はどうでもよさそうだな。ま、これでいいか)
「押すんならあんまりゴツくない方がいいだろう。ネリネでいいか?」
「わあ!可愛い。スッゴく綺麗なピンクですね!私のためにありがとうございますぅ」
「いえいえ、どういたしまして」
(圧がすごいな。旦那様へのアプローチが今一つだったのか?)
~~~~~~~~
「キャッ!ごめんなさ~い。マイクさん、ありがとうございますぅ。あれ?ちょっといいですかぁ?」
廊下の角でミリーとぶつかりそうになったマイクは、思わずミリーの肩を抱きとめた。
マイクを真下から見上げる形になったミリーは、モサモサ頭のイメージしかなかったマイクの顔が結構整っていることに気付いた。
ミリーは、下から手を伸ばしてマイクの前髪を軽く掻き上げた。
「やっぱり!マイクさん、スッゴくカッコいいですよぉ!隠してるなんてもったいないですぅ!あ、でも私だけの秘密にしちゃおっかなぁ、ふふ」
「いや!それは困るから、あの、えっと…」
「どうして困るんですかぁ?もしかして…彼女さんがいたりしますぅ?」
「うん、いる」
「あらら、そうだったんですか。内緒?誰かしら?」
「みんな知ってる。サラだよ」
「まあ!サラさん。なんだか意外かも」
「ん?どういう意味?」
「ん~、どっちかっていうと凛々しいというか、逆にサラさんの方が守ってくれそうっていうか」
「……サラはかわいいよ」
「あ、ごめんなさ~い。そんな意味じゃなかったのぉ。ごめんなさいね」
マイクが不機嫌になると、ミリーはそそくさと離れていった。
(そんな意味ってどんな意味だよ!勝手に触りやがって。もしこんなところ見られたら……あ)
「サラ。いつからいたの?」
柱の陰に立ち尽くしているサラがいた。
「…『ちょっといいですかぁ?』から」
「ほとんど始めからか!見てた?勝手に触らせてごめん。急にあんなことすると思わなかったから」
「うん……」
「どうした?サラ。…怒ってる?」
「ううん…」
「サラ?言って」
「………かわいくないよなあ、って。…私」
「サラはかわいいよ!」
「華奢じゃないどころかむしろゴツいし、顔も骨張っててキツいし、かわいいことも言えないし!」
「僕はそんなサラが好きなんだよ!ちょっとこっち来て!」
泣きそうなのを我慢しているサラを抱き抱えると、マイクは物置へと入り、鍵を掛けた。
サラを抱きしめたまましばらく動かないでいたマイクは、サラが泣き始めたのに気付いて、サラの髪と背中を撫でた。
「サラ。ホントに好き。かわいいと思ってる。手首が綺麗だって言ったでしょ?サラの骨張ってるとこが好きなんだよ。高い鼻も固そうな額もちょっとだけ張ってるえらも尖ってるあごも好き。くっきり出てる鎖骨も好きだし、しっかりした広い肩も好き。出っ張ってる関節も好きだし、大きな肩甲骨も好き」
「も、もういい、マイク」
サラは鼻をすすりながらマイクを止めた。
「ん?まだまだあるよ。好きなところ」
「もう…分かったから。ふふ、でも全然褒められてる気がしない」
サラは涙を拭きながら笑っていた。
「ええ?最大限に褒めてるんだけど。僕って大柄でしょ?もしサラが小さくて華奢だったら思い切り抱きしめられない。サラ。抱きしめてもいい?」
「え?もう抱きしめてるよ?」
「そうじゃなくて…」
マイクは腕を、サラの肩と腰に深く回すと力を込めた。
「マ!マイ…ク。ん…」
仰け反りそうになったサラは、マイクの背に腕を回して抱き返した。
マイクはサラの首元に顔を埋めて、耳朶に唇を当てて囁いた。
「サラ。好き。全部好き」
「マ……もう…こんなの誰に習ったの?」
「サティ。恥ずかしいとか言わなくても分かってくれるとか思っていたらダメだよって。言っても言っても分かってくれないのが女の子なんだよ、好きな女の子が出来たら頑張りなさいよ、って」
「……サティさんに感謝かも…」
「サラ」
「ん?……あ」
マイクは肩に回していた手をサラの後頭部に添え直すと、サラに口付けた。
~~~~~~~~
「ちょっと、ミリー!全然綺麗になってないわよ。やり直して!」
「はい…」
「何?不満なの?」
メイベルは何か言いたそうなミリーを促した。
「あの、ここってほとんど誰も通らないし、適度で良くないですかぁ?って、ダメですかね?」
「は…?」
「旦那様に言ってみましょうか?何だか無意味なことをしている気がするんですぅ、って」
「あなた…どういうつもりなの」
「え?働くのはしょうがないけど、無駄なことは出来るだけしたくないなあ、というつもりです」
「旦那様のこと、狙っているの?」
「渋いしカッコいいですけどぉ、脈無しですからねぇ。あの年までお1人だなんて、決めた方がいるか理想が高いかのどっちかですよねぇ。私はリタイアです」
「あなたって…思っていた感じと違うわね。玉の輿狙いじゃないの?」
「狙えるなら狙いますけどぉ、無理はしません。私って男好きだと思われがちですけど、自分に正直なだけですぅ。女だったらイイ男がいたらとりあえずアプローチしたくなるものでしょ?」
「いや、私、男嫌いだから」
「そうなんですか?もったいないですねぇ、美人なのに。競争率低くなって助かりますけど」
「あなた……いえ、何でもないわ。そうね。こんなところの掃除はもういいわ」
「やったぁ!メイベルさん、分かってるぅ!」
「…………」
掃除道具を片付けに行くミリーを見送っていると、柱の陰からメイがひょこんと出てきた。
「どうなの?あれ。メイ、文通相手から返事は来た?」
「はい。トラブルは起こすけど、関係性を壊した、ってことはなかったみたいですね。打算的で軽い嫌みぐらいは言うけど、陰で悪口を言うことはなかったそうです」
「なるほどね。だから逆に“手に負えない”なのね。そういうことか」
「何か分かったんですか?」
「ザ・女、ってことでしょ。本能的に動くのよ。ストライクゾーンの男がいたらとにかく粉掛けちゃうんでしょうね。それを悪い事とも思っていないし、遠慮なんてする気も無い。生まれる種族を間違えたわね」
「じゃあ、このまま…?」
「そうね。あのメンタルじゃ虐めも効かないし、私だってもう嫌だわ。効果も無いのにこんな嫌なことやってらんないわ。いいんじゃない?このままで。仕事はそこそこ出来るし、旦那様のことは諦めてるみたいだし」
「旦那様?狙ってたんですか?」
「そうみたいね」
メイベルは肩をすくめて余裕を見せたが、内心は荒れていた。
(旦那様はまだクラリス様のことを…?それとも……そもそも私は女として見てもらえているのかしら?
…私、男なんて嫌いなはずなのにどうしてこんなことを考えてしまうの?ミリーの本能に当てられたのかしら?)
~~~~~~~~
「では、悪意も狙いも無い、という見解か?」
「はい」
メイベルからの報告を聞いた伯爵は、ふっ、と笑った。
「ジャクリーンの見解と一致したな」
「え?」
「刺激になるんじゃないかと思ったらしい。いつまでも前を向こうとしない娘の」
「そ…れは…」
「メイベル。メイベルの…私を見る目に期待してしまう私は自信過剰だろうか?」
メイベルはパッと俯いて、伯爵から目を逸らした。
机を回り込んでメイベルの前に立った伯爵はメイベルの手を取り、屈んで下からメイベルの顔を覗いた。
「メイベル、私が怖いなら、嫌なら、いくらでも待つ。でも、そうでないなら、私と共に生きてくれないか?」
「私、私…旦那様のこと…が…好きです」
「メイベル…!ありがとう」
「旦那様…」
「イグナスと呼んでくれ。メイベルはもともとマイラー前子爵と居た頃はお嬢様だっただろう?これからは私の奥様だ。イグナスと…呼んでもらえるだろうか?」
「……イグナス様」
「うん、うん。嬉しいものだな」
イグナスはメイベルのブルネットの髪をクシャクシャと鷲掴んで、おでこと鼻先を擦り合わせた。
~~~~~~~~
「ふうん…そうか。メイベルと旦那様が、か。なんとなくそんな気はしてたけどね…」
「フィルさんはメイベルさんが好きだったの?」
夕食の後、寒くなる前に散歩しましょうとミリーに誘われたフィルは、2人で温室脇の通路を歩いていた。
「まあね」
「あんまりショックじゃない感じ。相手が旦那様だからぁ?」
「そうかもな。ミリーの方こそ旦那様を狙ってたんじゃないのか?」
「いつの話してるのぉ?脈無し路線からは撤退有るのみよ。今はねぇ…ふふ、分かってるでしょ?どう?私」
「ん~」
「え?まさか脈があるの?」
「ふっ。誘っといて何言ってんだよ。俺、別に嫌いじゃないよ、ミリーのこと。実は表裏無いしな。それに…可愛い」
「え?え?え?」
「ビックリし過ぎ。俺も我ながらビックリだけど。でもメイベルのことがあんまりショックじゃなかったのはミリーがいたからだと思う。ミリーの正直なところとか、ポジティブなところとか…なんか…救われた。おまけに可愛いし」
「また言った!」
「大事なことだから」
「ホントに?あのね、私ね、付き合ってもすぐにさよならされちゃうの。ホントにホントに私が好き?」
「そいつらはミリーの顔とか華奢で儚げ風なところしか見てなかったんだろ。中身は“女の子”っていうより“女!”だもんな。圧倒されて逃げてったんだろ」
「フィルさんは逃げない?」
「分かってるから」
「ふふ。ふふ。嬉しい!」
フィルはまだ、フィルの本心からミリーを愛している、とは言えないが、本能的にミリーを必要としていることは感じていた。
傷を舐め合うのとは違う、どうしても惹かれてしまう心に、フィルは従った。
~~~~~~~~
また季節は巡り、春が訪れた。
今日はドルトレッド伯爵家で結婚式。
結構いい年まで独身を通してしまった伯爵と、派手なことが苦手なメイベルの意向で、東屋のある広い庭での身近な人たちだけのガーデンパーティー。
使用人のみんなにも参列して欲しかった伯爵とメイベルは、オーガストに相談して結婚式のスタッフを外注した。
元庭師親方のアンドレとして、パートナーに扮したサティを伴って参列したオーガストは、
「この外注システムは使えるかもな。事業として立ち上げてみるか」
と呟いた。
「こんな時まで仕事のこと考えないの!私ちょっとマイクのところ行ってくるわね」
「あんまり揶揄うなよ」
「分かってるって!」
オーガストは遠くにいるマイクとサラを見た。
こんなおめでたい席でモサモサ頭はダメだろうと散髪したマイクは美青年になっていた。
自分の後頭部の結び髪を撫でて、切ろうかな、とオーガストは思った。
「こんにちは。あなたとても素敵ね。隣いいかしら?」
サラと隣り合って座るマイクの隣の空席にブロンドの髪を高く結い上げた、泣きぼくろが色っぽい20代半ばぐらいに見える美女がスッと座った。
サラは目を見開いて固まったが、チラッとその人を見たマイクはギョッとした。
「は?…ああっ?!サティ?!何してんの?!」
「あらやだ。なんで分かるの、マイク。私、今回は相当化けたんだけど」
「僕はどんな姿をしていてもサティとオーガストは分かるの!波動っていうのかな、心臓の鼓動とか脈拍とかそういうレベルで僕の中に染み込んでるんだから」
「へえ、マイクは耳が良いものね。そういう人もう1人いるんじゃないの?紹介しなさいよ、マイク」
「え?あ、うん。サラも…分かる。えっとね、サラ。この人がサティ。で、この人がサラだよ、サティ」
サティは、こめかみで結んだ黒髪をフワフワと顔回りに纏った、キリッとした眼差しの美しい娘を見て、目を細めた。
「はじめまして、サラ。マイクをよろしくね」
「はい。はじめまして、サティさん。マイクのこと、助けてくださってありがとうございました」
「うん、うん、いい子だねえ。サティお母さんは一安心だよ」
その時、空席に座るはずだったフレッドが到着した。
「あの、すみません。そこは僕の…」
(私、サティだよ~)
「ええっ?!うわ、うわ…」
(ふふ、50には見えないでしょう?)
「あ、いや、あ~…ごめんなさい、あの時は。うわあ…ホントにスゴいですね、サティさん」
「一人芝居してるみたいだぞ、フレッド」
「マイク!教えてよ、サティさんだって。相変わらずマイクとサラはラブラブだな」
「「読まないでよ!/読むなよ!」」
「読まないよ。胸焼けするから。メイとマリも元気そうだね。マリの送ってくれた煎じ薬スゴく評判いいよ。いつもありがとう」
「良かった。また送るわね」
「ねえねえ、聞いたわよ、フレッド。クラスの裏ボスなんですって?心の中読み過ぎて墓穴掘らないでよ?」
「メイ?!なんで?!」
「私の文通相手の弟、フレッドと同じクラスの生徒の従者なのよ」
「世間は狭いってやつか…」
「それとね、もう一つビッグニュース!まだ内緒だけど夏頃もう1回結婚式あるからね!」
「メイ、内緒になってないよ」
「マリも知ってるの?」
「というか、知らないのフレッドだけかな?」
「はあ?何?え?サティさんも知ってるの?」
「私は大概のことは知ってる。でもまさかのカップリングだったわねえ」
「誰と誰ぇ?!!」
その時、騒いでいるのを注意しようとフィル親方がみんなのいるテーブルにやって来た。
「うるさいぞ、フレッド!もうすぐ結婚式が始まるぞ。サティさんも戻ってください」
「あ、フィル親方。親方は知ってます?夏頃に結婚しそうなカップル」
「!……俺だ」
「えっ!誰とですか?」
「マイクに聞け!」
そう言うと、フィルは逃げていった。
でも逃げた先に座っていたのはミリーで、その肩を抱きながら隣に座るフィルを見て、フレッドは聞くまでも無く分かったが、理解が追いつかなかった。
「ええっ?!親方と……ミリー…?って、あのミリーだよね。うわあ!何がどうしてそうなったの?!」
目をパシパシさせて驚くフレッドを見てみんなが笑い、旦那様とメイベルの結婚式は始まった。
麗らかな春の日差しの中で、真っ白なドレスとタキシードの新郎新婦は輝いていた。
【こちらでは手に負えないので、メイドを1人送ります】
「え?それだけですか?」
伯爵から伝えられた情報を聞いたメイベルは確かめた。
その場に集められていたメイ、サラ、マリ、フィル、マイクも首を傾げた。
「ジャクリーンからはこれだけだが、ノーマンからの補足はある。どうやら“適齢期の子息が3人いる子爵家”が目当てで来たらしい。今は粛清後で混乱期だからそれを利用したようだ。紹介状無しの飛び込みなんだと。しかし目当ての3人が3人とも王都住まいで屋敷にはいないから、それならってことでノーマンを狙い出したんだそうだ」
「そのメイドはいくつなんですか?」
呆れた顔のメイが聞いた。
「20歳だそうだ。履歴書が正しければな。ノーマンは40前半だから…まあ、無くは無いかな」
「は?それって旦那様もイコールですよね」
低い声でメイベルが唸った。
「そうなってもノーマンよりは対処できるさ。とりあえず“表”としての初仕事ってことだろう。メイは文通相手にそのメイドの人格を確認してくれ」
「了解です」
「一番の問題は、そのメイドが全く何も知らない玉の輿狙いなのか、何らかの伝手でこちらの内情を知っているのか、だな。ネルソン家はフェイクで最初からこっち狙いで、フィルとマイクの素性を知っているという可能性はゼロじゃない」
「まずは俺ですね。どんなオーラなのか、見てみます」
フィル親方が表情を引き締めて言った。
~~~~~~~~
「はじめまして、ミリーと申します。よろしくお願い致します」
明るめのブラウンの髪をポニーテールにした小柄で華奢で可愛いミリーは、目を伏せてお辞儀をしたが、顔を上げた瞬間、伯爵に目線を当てた。
小振りだけどぷっくりとした唇に笑窪、長い睫毛に大きな瞳、寄せて上げている程良い大きさの胸、腰に結ぶリボンの位置まで計算され尽くした“女”。
それがミリーだった。
仕事はそつなく熟し、愛想も良い。
フィルの見立てでも無難なピンク系のオーラだった。
流石にネルソン子爵家を罷免されたからおとなしくしているのかと思った矢先、ミリーは動き出した。
「旦那様、今日はマリさんがお休みなので私がお茶をお持ちしました」
「ああ、ありがとう。もうここには慣れたかい?」
「はい。みなさん、良くしてくださって…でも、私少しトロくて…不快な思いをさせているのかもぉ…」
「ん?誰が不快な思いをしてるって?」
「いえ、そう言われたんじゃないんです。でも…私を見る目が怖くて…」
「可哀想に。そんな目で見てくるメイドは誰だい?」
「…メイベルさんですぅ…」
「そうか。今度注意しておくよ」
「はい!あの、ありがとう…ございます」
瞳をうるうるさせたミリーは両手を胸の前でギュッと握りしめてお辞儀をし、ゆっくりと顔を上げると伯爵を熱く見つめた。
(なるほど、これか。ノーマンでは太刀打ち出来なかっただろうな)
「もう行きなさい。美味しいお茶をありがとう、ミリー」
「はい!失礼致します!」
ミリーが出ていった後で、続き部屋の扉が開いてメイベルが出てきた。
「どう思う?メイベル」
「あざといの一言に尽きます。で?私に注意なさるんですか?旦那様」
「私に注意された腹いせ、という体でミリーを虐めてみるか?」
「気が進まないけど…やってみるわ」
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「うわあ!スッゴくお花のこと詳しいんですねぇ!流石親方です!玄関用のお花、頂いていきますね。それでぇ、あの…一輪だけ、何か私にくださいませんか?押し花にして大事にしたいんです。親方に…フィルさんに選んでほしいですぅ」
「ああ、いいよ。栞?ポストカード?」
「え~、どっちがいいかなぁ」
(花はどうでもよさそうだな。ま、これでいいか)
「押すんならあんまりゴツくない方がいいだろう。ネリネでいいか?」
「わあ!可愛い。スッゴく綺麗なピンクですね!私のためにありがとうございますぅ」
「いえいえ、どういたしまして」
(圧がすごいな。旦那様へのアプローチが今一つだったのか?)
~~~~~~~~
「キャッ!ごめんなさ~い。マイクさん、ありがとうございますぅ。あれ?ちょっといいですかぁ?」
廊下の角でミリーとぶつかりそうになったマイクは、思わずミリーの肩を抱きとめた。
マイクを真下から見上げる形になったミリーは、モサモサ頭のイメージしかなかったマイクの顔が結構整っていることに気付いた。
ミリーは、下から手を伸ばしてマイクの前髪を軽く掻き上げた。
「やっぱり!マイクさん、スッゴくカッコいいですよぉ!隠してるなんてもったいないですぅ!あ、でも私だけの秘密にしちゃおっかなぁ、ふふ」
「いや!それは困るから、あの、えっと…」
「どうして困るんですかぁ?もしかして…彼女さんがいたりしますぅ?」
「うん、いる」
「あらら、そうだったんですか。内緒?誰かしら?」
「みんな知ってる。サラだよ」
「まあ!サラさん。なんだか意外かも」
「ん?どういう意味?」
「ん~、どっちかっていうと凛々しいというか、逆にサラさんの方が守ってくれそうっていうか」
「……サラはかわいいよ」
「あ、ごめんなさ~い。そんな意味じゃなかったのぉ。ごめんなさいね」
マイクが不機嫌になると、ミリーはそそくさと離れていった。
(そんな意味ってどんな意味だよ!勝手に触りやがって。もしこんなところ見られたら……あ)
「サラ。いつからいたの?」
柱の陰に立ち尽くしているサラがいた。
「…『ちょっといいですかぁ?』から」
「ほとんど始めからか!見てた?勝手に触らせてごめん。急にあんなことすると思わなかったから」
「うん……」
「どうした?サラ。…怒ってる?」
「ううん…」
「サラ?言って」
「………かわいくないよなあ、って。…私」
「サラはかわいいよ!」
「華奢じゃないどころかむしろゴツいし、顔も骨張っててキツいし、かわいいことも言えないし!」
「僕はそんなサラが好きなんだよ!ちょっとこっち来て!」
泣きそうなのを我慢しているサラを抱き抱えると、マイクは物置へと入り、鍵を掛けた。
サラを抱きしめたまましばらく動かないでいたマイクは、サラが泣き始めたのに気付いて、サラの髪と背中を撫でた。
「サラ。ホントに好き。かわいいと思ってる。手首が綺麗だって言ったでしょ?サラの骨張ってるとこが好きなんだよ。高い鼻も固そうな額もちょっとだけ張ってるえらも尖ってるあごも好き。くっきり出てる鎖骨も好きだし、しっかりした広い肩も好き。出っ張ってる関節も好きだし、大きな肩甲骨も好き」
「も、もういい、マイク」
サラは鼻をすすりながらマイクを止めた。
「ん?まだまだあるよ。好きなところ」
「もう…分かったから。ふふ、でも全然褒められてる気がしない」
サラは涙を拭きながら笑っていた。
「ええ?最大限に褒めてるんだけど。僕って大柄でしょ?もしサラが小さくて華奢だったら思い切り抱きしめられない。サラ。抱きしめてもいい?」
「え?もう抱きしめてるよ?」
「そうじゃなくて…」
マイクは腕を、サラの肩と腰に深く回すと力を込めた。
「マ!マイ…ク。ん…」
仰け反りそうになったサラは、マイクの背に腕を回して抱き返した。
マイクはサラの首元に顔を埋めて、耳朶に唇を当てて囁いた。
「サラ。好き。全部好き」
「マ……もう…こんなの誰に習ったの?」
「サティ。恥ずかしいとか言わなくても分かってくれるとか思っていたらダメだよって。言っても言っても分かってくれないのが女の子なんだよ、好きな女の子が出来たら頑張りなさいよ、って」
「……サティさんに感謝かも…」
「サラ」
「ん?……あ」
マイクは肩に回していた手をサラの後頭部に添え直すと、サラに口付けた。
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「ちょっと、ミリー!全然綺麗になってないわよ。やり直して!」
「はい…」
「何?不満なの?」
メイベルは何か言いたそうなミリーを促した。
「あの、ここってほとんど誰も通らないし、適度で良くないですかぁ?って、ダメですかね?」
「は…?」
「旦那様に言ってみましょうか?何だか無意味なことをしている気がするんですぅ、って」
「あなた…どういうつもりなの」
「え?働くのはしょうがないけど、無駄なことは出来るだけしたくないなあ、というつもりです」
「旦那様のこと、狙っているの?」
「渋いしカッコいいですけどぉ、脈無しですからねぇ。あの年までお1人だなんて、決めた方がいるか理想が高いかのどっちかですよねぇ。私はリタイアです」
「あなたって…思っていた感じと違うわね。玉の輿狙いじゃないの?」
「狙えるなら狙いますけどぉ、無理はしません。私って男好きだと思われがちですけど、自分に正直なだけですぅ。女だったらイイ男がいたらとりあえずアプローチしたくなるものでしょ?」
「いや、私、男嫌いだから」
「そうなんですか?もったいないですねぇ、美人なのに。競争率低くなって助かりますけど」
「あなた……いえ、何でもないわ。そうね。こんなところの掃除はもういいわ」
「やったぁ!メイベルさん、分かってるぅ!」
「…………」
掃除道具を片付けに行くミリーを見送っていると、柱の陰からメイがひょこんと出てきた。
「どうなの?あれ。メイ、文通相手から返事は来た?」
「はい。トラブルは起こすけど、関係性を壊した、ってことはなかったみたいですね。打算的で軽い嫌みぐらいは言うけど、陰で悪口を言うことはなかったそうです」
「なるほどね。だから逆に“手に負えない”なのね。そういうことか」
「何か分かったんですか?」
「ザ・女、ってことでしょ。本能的に動くのよ。ストライクゾーンの男がいたらとにかく粉掛けちゃうんでしょうね。それを悪い事とも思っていないし、遠慮なんてする気も無い。生まれる種族を間違えたわね」
「じゃあ、このまま…?」
「そうね。あのメンタルじゃ虐めも効かないし、私だってもう嫌だわ。効果も無いのにこんな嫌なことやってらんないわ。いいんじゃない?このままで。仕事はそこそこ出来るし、旦那様のことは諦めてるみたいだし」
「旦那様?狙ってたんですか?」
「そうみたいね」
メイベルは肩をすくめて余裕を見せたが、内心は荒れていた。
(旦那様はまだクラリス様のことを…?それとも……そもそも私は女として見てもらえているのかしら?
…私、男なんて嫌いなはずなのにどうしてこんなことを考えてしまうの?ミリーの本能に当てられたのかしら?)
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「では、悪意も狙いも無い、という見解か?」
「はい」
メイベルからの報告を聞いた伯爵は、ふっ、と笑った。
「ジャクリーンの見解と一致したな」
「え?」
「刺激になるんじゃないかと思ったらしい。いつまでも前を向こうとしない娘の」
「そ…れは…」
「メイベル。メイベルの…私を見る目に期待してしまう私は自信過剰だろうか?」
メイベルはパッと俯いて、伯爵から目を逸らした。
机を回り込んでメイベルの前に立った伯爵はメイベルの手を取り、屈んで下からメイベルの顔を覗いた。
「メイベル、私が怖いなら、嫌なら、いくらでも待つ。でも、そうでないなら、私と共に生きてくれないか?」
「私、私…旦那様のこと…が…好きです」
「メイベル…!ありがとう」
「旦那様…」
「イグナスと呼んでくれ。メイベルはもともとマイラー前子爵と居た頃はお嬢様だっただろう?これからは私の奥様だ。イグナスと…呼んでもらえるだろうか?」
「……イグナス様」
「うん、うん。嬉しいものだな」
イグナスはメイベルのブルネットの髪をクシャクシャと鷲掴んで、おでこと鼻先を擦り合わせた。
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「ふうん…そうか。メイベルと旦那様が、か。なんとなくそんな気はしてたけどね…」
「フィルさんはメイベルさんが好きだったの?」
夕食の後、寒くなる前に散歩しましょうとミリーに誘われたフィルは、2人で温室脇の通路を歩いていた。
「まあね」
「あんまりショックじゃない感じ。相手が旦那様だからぁ?」
「そうかもな。ミリーの方こそ旦那様を狙ってたんじゃないのか?」
「いつの話してるのぉ?脈無し路線からは撤退有るのみよ。今はねぇ…ふふ、分かってるでしょ?どう?私」
「ん~」
「え?まさか脈があるの?」
「ふっ。誘っといて何言ってんだよ。俺、別に嫌いじゃないよ、ミリーのこと。実は表裏無いしな。それに…可愛い」
「え?え?え?」
「ビックリし過ぎ。俺も我ながらビックリだけど。でもメイベルのことがあんまりショックじゃなかったのはミリーがいたからだと思う。ミリーの正直なところとか、ポジティブなところとか…なんか…救われた。おまけに可愛いし」
「また言った!」
「大事なことだから」
「ホントに?あのね、私ね、付き合ってもすぐにさよならされちゃうの。ホントにホントに私が好き?」
「そいつらはミリーの顔とか華奢で儚げ風なところしか見てなかったんだろ。中身は“女の子”っていうより“女!”だもんな。圧倒されて逃げてったんだろ」
「フィルさんは逃げない?」
「分かってるから」
「ふふ。ふふ。嬉しい!」
フィルはまだ、フィルの本心からミリーを愛している、とは言えないが、本能的にミリーを必要としていることは感じていた。
傷を舐め合うのとは違う、どうしても惹かれてしまう心に、フィルは従った。
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また季節は巡り、春が訪れた。
今日はドルトレッド伯爵家で結婚式。
結構いい年まで独身を通してしまった伯爵と、派手なことが苦手なメイベルの意向で、東屋のある広い庭での身近な人たちだけのガーデンパーティー。
使用人のみんなにも参列して欲しかった伯爵とメイベルは、オーガストに相談して結婚式のスタッフを外注した。
元庭師親方のアンドレとして、パートナーに扮したサティを伴って参列したオーガストは、
「この外注システムは使えるかもな。事業として立ち上げてみるか」
と呟いた。
「こんな時まで仕事のこと考えないの!私ちょっとマイクのところ行ってくるわね」
「あんまり揶揄うなよ」
「分かってるって!」
オーガストは遠くにいるマイクとサラを見た。
こんなおめでたい席でモサモサ頭はダメだろうと散髪したマイクは美青年になっていた。
自分の後頭部の結び髪を撫でて、切ろうかな、とオーガストは思った。
「こんにちは。あなたとても素敵ね。隣いいかしら?」
サラと隣り合って座るマイクの隣の空席にブロンドの髪を高く結い上げた、泣きぼくろが色っぽい20代半ばぐらいに見える美女がスッと座った。
サラは目を見開いて固まったが、チラッとその人を見たマイクはギョッとした。
「は?…ああっ?!サティ?!何してんの?!」
「あらやだ。なんで分かるの、マイク。私、今回は相当化けたんだけど」
「僕はどんな姿をしていてもサティとオーガストは分かるの!波動っていうのかな、心臓の鼓動とか脈拍とかそういうレベルで僕の中に染み込んでるんだから」
「へえ、マイクは耳が良いものね。そういう人もう1人いるんじゃないの?紹介しなさいよ、マイク」
「え?あ、うん。サラも…分かる。えっとね、サラ。この人がサティ。で、この人がサラだよ、サティ」
サティは、こめかみで結んだ黒髪をフワフワと顔回りに纏った、キリッとした眼差しの美しい娘を見て、目を細めた。
「はじめまして、サラ。マイクをよろしくね」
「はい。はじめまして、サティさん。マイクのこと、助けてくださってありがとうございました」
「うん、うん、いい子だねえ。サティお母さんは一安心だよ」
その時、空席に座るはずだったフレッドが到着した。
「あの、すみません。そこは僕の…」
(私、サティだよ~)
「ええっ?!うわ、うわ…」
(ふふ、50には見えないでしょう?)
「あ、いや、あ~…ごめんなさい、あの時は。うわあ…ホントにスゴいですね、サティさん」
「一人芝居してるみたいだぞ、フレッド」
「マイク!教えてよ、サティさんだって。相変わらずマイクとサラはラブラブだな」
「「読まないでよ!/読むなよ!」」
「読まないよ。胸焼けするから。メイとマリも元気そうだね。マリの送ってくれた煎じ薬スゴく評判いいよ。いつもありがとう」
「良かった。また送るわね」
「ねえねえ、聞いたわよ、フレッド。クラスの裏ボスなんですって?心の中読み過ぎて墓穴掘らないでよ?」
「メイ?!なんで?!」
「私の文通相手の弟、フレッドと同じクラスの生徒の従者なのよ」
「世間は狭いってやつか…」
「それとね、もう一つビッグニュース!まだ内緒だけど夏頃もう1回結婚式あるからね!」
「メイ、内緒になってないよ」
「マリも知ってるの?」
「というか、知らないのフレッドだけかな?」
「はあ?何?え?サティさんも知ってるの?」
「私は大概のことは知ってる。でもまさかのカップリングだったわねえ」
「誰と誰ぇ?!!」
その時、騒いでいるのを注意しようとフィル親方がみんなのいるテーブルにやって来た。
「うるさいぞ、フレッド!もうすぐ結婚式が始まるぞ。サティさんも戻ってください」
「あ、フィル親方。親方は知ってます?夏頃に結婚しそうなカップル」
「!……俺だ」
「えっ!誰とですか?」
「マイクに聞け!」
そう言うと、フィルは逃げていった。
でも逃げた先に座っていたのはミリーで、その肩を抱きながら隣に座るフィルを見て、フレッドは聞くまでも無く分かったが、理解が追いつかなかった。
「ええっ?!親方と……ミリー…?って、あのミリーだよね。うわあ!何がどうしてそうなったの?!」
目をパシパシさせて驚くフレッドを見てみんなが笑い、旦那様とメイベルの結婚式は始まった。
麗らかな春の日差しの中で、真っ白なドレスとタキシードの新郎新婦は輝いていた。
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