ギフテッド・サークル

HAKOdateあんこ

文字の大きさ
3 / 4

第3話 僕と彼の差

しおりを挟む
柳田は部室に入ると、上植さんの向かいの席に座った。いつもの定位置だ。そして、ドサッとバッグを机の上に置いて、こっちを見た。

「なぁぁ、こまごめぇ、そんな考え込んでどうした?あん?変な奴らにでも付きまとわれたかぁ?」
「うん、よく分かったね。お察しの通り、僕と上植さんがお昼を食堂の外で食べてる時に、視線というか、殺気を感じたんだ。」
「ほぉ、そんで?お前、個聖を使ったのか?」
「そうだよ。」

全く、相変わらず柳田は話の理解が早いな。

「だから柳田も、学内に居るときは、気をつけた方がいい。」
政府の監視官が僕らを疑って、狙ってくるかもしれないからな。

「ふん、俺はお前みたいなチンケじゃねぇよ、舐めんじゃねぇ。俺は、最強だ。」
そうだったな。柳田の個聖は、僕の『空間移動(テレポーション)』や上植さんの『再上映(リバイバル)』と違って戦闘向きだ。

「なぁこまごめぇ、俺と模擬戦闘の訓練しようや。あん?」
唐突になんだよ。あんまり乗る気じゃないんだけどな。まぁでも、今後のこともあるし、少しなら…。

「うん、まぁ、そうしたいなら、するか。」
柳田はそう来ると思ったぜ、という顔で笑った。


その時、ずっとスマホをいじっていた上植さんが、スマホを机の上に静かに置いてこっちを見た。

「ちょっと、柳田くん、駒込くん嫌がってるでしょ!そんな訓練しなくていいよ。駒込くんは十分強いもん!」
彼女は真剣な目で柳田に向かって言った。

「ちっ。まぁ少しだけだぁ、かみうえぇ、こいつも乗る気だし、いいだろうよぉ」

「駒込くん、無理しなくていいからね、、。」
そういって上植さんは、少し心配そうな顔をしていた。

「柳田、少しだけだよ。」
「あぁ、上等だ」


かくして、模擬戦闘訓練をすることになった。模擬訓練を行う場所は、部室の中にある20畳ほどの広々とした空き部屋だ。扉を開けて中に入る。

「じゃあ、始めようかぁ、こまごめぇ」
「うん、そうだね。」

「じゃあ、ふたりとも、準備はいい?」
そう言って、上植さんが声をあげた。
「ルールの確認だけど、相手の致命傷になることは避けること、それと相手が降参と言ったらその場で終了すること!あと、個聖の使用は許可します!」


「了解だぁ!!!」
「うん。」


「それでは、、、訓練開始!」 

二人が訓練開始の祈りを捧げ始める。
『主なるひとつの神よ、我が命に加護を与えられん。』


その瞬間、柳田は上段の回し蹴りを入れた。顔狙いか。それと同時に、僕は『空間移動(テレポーション)』を使って、背後に移り、攻撃は空を蹴った。

「くそぉぉ!こまごめぇ、これならどうだぁ!!!くらいやがれぇ!」
ヒュッという音と共に黒い何かが顔めがけて飛んできた。僕は咄嗟に床に手をつき、受け身の体制をとり、それを避ける。
壁にあたり、ポトッと落下した。よく見ると壁が少し欠けていた。
「危なかった…。」

床に落ちた黒いそれは、柳田が身につけていたカーディガンのボタンだった。

「柳田、個聖を使ったんだね。」
「ちっ、うぜーなぁ、ヒョロヒョロと避けやがって、次は本気で行くぞぉ!!」


「ちょっと、柳田くん!…駒込くんをケガさせたら、私、あなたを許さないから」
上植さんが、僕を心配してくれた。 

「ふっん、わーかってるってぇ!!こんなんじゃ、お前は死なねぇよなぁ!!!」

そういって、柳田は組手の構えをして、右からパンチを繰り出した。


「……っっ!!!!」

何が起きたか分からなかった。


あたり一面、真っ暗になって視界から柳田の姿が消え、僕は意識を失った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

両隣の幼馴染が交代で家に来る

みらいつりびと
恋愛
両親がタイへ行く。 父親が3月上旬に上司から命じられた。4月1日からバンコクで勤務する。 うちの父と母はいわゆるおしどり夫婦というやつで、離れては生きていけない……。 ひとり暮らしの高校2年生森川冬樹の世話をするため、両隣の美しい幼馴染浅香空と天乃灯が1日交代で通ってくる。 冬樹は夢のような春休み期間を過ごし、空と灯は火花を散らす。 幼馴染三角関係ラブストーリー。全47回。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...