普通の女子高生ですが、何か?

らら

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第0話

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その日、世界は一変した。



私はいつものように、なんの変哲もない空を見上げながら歩いていた。もう12月だから外は寒く、口から息を出すとドラゴンが火を噴くように、白い息が出る。
そんな時、ポケットの中に入っている携帯の着信音が流れた。今思えばコレが私の本当の人生の始まりの着信音だったのかもしれない。

『プルプループルプル』
天菜は、制服の右ポケットに入っていたスマホを取り出して、通話ボタンを押す。

天菜そらな!!今すぐ家に戻って!!!!!」

電話はお母さんからだった。
お母さんの今にも張り切れそうな声がスマホのスピーカーから聞こえる。
そんなに焦ってどうしたんだろうか?

「お母さん…どうしたの?落ち着いて?」

「天菜!落ち着く暇なんてないの!!今すぐ家に戻りなさい!事情は後から話すから!」
そこで、プツリと電話は切れた。
意味が分からない。けれど、これだけは理解した。ただ事では済まない事が起きたんだなと。

急いで、歩いていた道を引き返し家に走って戻る、今からなら帰るのに10分も掛からないはずだ。
走りながら街一帯を見渡すと、同じように息を切らしながら走っている人達が大勢いる。家の近くで火事でも起きたのかな?とその時は思った。

家に着くと、お母さんが目の色を変えて私の元に駆け寄ってきた。
「どうしたの?お母さん?」

「それより、天菜、体に異常はない?!」
何かを恐れているように、私の両腕をしっかりと掴み聞いてくる

「えっと…特にないかな?それで、どうしたの?」

「とにかく、テレビを見て!!」

私達は急いで、玄関からテレビのあるリビングへと移動し、テレビをみた。

『こちら!秋葉原前!!!ビルの前には沢山の人達が何か叫んでいます!!!聞き込みをしてしましょう!
「こちら、生中継でお送りしている〇〇テレビのものです!インタビューよろしいでしょうか?」「ああ!もちろんだ!最高な気分だぁ!これから俺達の新世界が始まるんだからなあ!!あはははは!!」』

テレビでは、お馴染みの女のキャスターが現地に行き、まるで子供のようにはしゃぎながら、中継をしている。二十代ぐらいの大人達が叫び、何かを唱えては手から火を出したり水を出したり、普通ではあり得ない。まさに、魔法と呼ばれるものを使っていた。

『緊急速報が入りました!!!渋谷の108の店内に大量のゴブリンと思われるモンスターが発生したという情報が入りました!!渋谷にいる増田アナに繋ぎます!』
映像が変わり、男のアナウンサーといつもの明るい雰囲気とは違い物々しい雰囲気をか持ち出す渋谷の光景が、テレビに映る。
『こちら、増田です。渋谷108の前でお送りしています。現在ゴブリンと思われるモンスターは108の店内に出現しており、店の中にいたスタッフや一般市民の方を避難させたようです。現在警察が扉に鍵を掛けパトカーで建物全体を囲んで警戒している所です。動きがありましたら、また中継します』

これは現実なのだろうか。
もしかしたら、凄くリアリティな夢の中なのかもしれない…と天菜は思ったが、自分の頬を思いっ切り叩いてみたら、やっぱり痛みを感じた。

「ねぇ…これから、どうなるの?」
ボソリと呟く。

「お母さんにも、分からないわ。とにかく、今は生きましょう」
お母さんの声は震えながらも何か意思のある力強い声だった。

そう、これは現実なのだ。
今まで、ファンタジーの世界の話だと思っていた魔法やモンスターの存在が現実に現れた。いつ何処に、得体の知れないモンスターが現れるのか、分からない状態なのだ。家を出たところで街にモンスターが出現しないという確信はない。今はただ情報を集め、ただただ待つしかないのだ。
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