1 / 2
第0話
しおりを挟む
その日、世界は一変した。
私はいつものように、なんの変哲もない空を見上げながら歩いていた。もう12月だから外は寒く、口から息を出すとドラゴンが火を噴くように、白い息が出る。
そんな時、ポケットの中に入っている携帯の着信音が流れた。今思えばコレが私の本当の人生の始まりの着信音だったのかもしれない。
『プルプループルプル』
天菜は、制服の右ポケットに入っていたスマホを取り出して、通話ボタンを押す。
「天菜!!今すぐ家に戻って!!!!!」
電話はお母さんからだった。
お母さんの今にも張り切れそうな声がスマホのスピーカーから聞こえる。
そんなに焦ってどうしたんだろうか?
「お母さん…どうしたの?落ち着いて?」
「天菜!落ち着く暇なんてないの!!今すぐ家に戻りなさい!事情は後から話すから!」
そこで、プツリと電話は切れた。
意味が分からない。けれど、これだけは理解した。ただ事では済まない事が起きたんだなと。
急いで、歩いていた道を引き返し家に走って戻る、今からなら帰るのに10分も掛からないはずだ。
走りながら街一帯を見渡すと、同じように息を切らしながら走っている人達が大勢いる。家の近くで火事でも起きたのかな?とその時は思った。
家に着くと、お母さんが目の色を変えて私の元に駆け寄ってきた。
「どうしたの?お母さん?」
「それより、天菜、体に異常はない?!」
何かを恐れているように、私の両腕をしっかりと掴み聞いてくる
「えっと…特にないかな?それで、どうしたの?」
「とにかく、テレビを見て!!」
私達は急いで、玄関からテレビのあるリビングへと移動し、テレビをみた。
『こちら!秋葉原前!!!ビルの前には沢山の人達が何か叫んでいます!!!聞き込みをしてしましょう!
「こちら、生中継でお送りしている〇〇テレビのものです!インタビューよろしいでしょうか?」「ああ!もちろんだ!最高な気分だぁ!これから俺達の新世界が始まるんだからなあ!!あはははは!!」』
テレビでは、お馴染みの女のキャスターが現地に行き、まるで子供のようにはしゃぎながら、中継をしている。二十代ぐらいの大人達が叫び、何かを唱えては手から火を出したり水を出したり、普通ではあり得ない。まさに、魔法と呼ばれるものを使っていた。
『緊急速報が入りました!!!渋谷の108の店内に大量のゴブリンと思われるモンスターが発生したという情報が入りました!!渋谷にいる増田アナに繋ぎます!』
映像が変わり、男のアナウンサーといつもの明るい雰囲気とは違い物々しい雰囲気をか持ち出す渋谷の光景が、テレビに映る。
『こちら、増田です。渋谷108の前でお送りしています。現在ゴブリンと思われるモンスターは108の店内に出現しており、店の中にいたスタッフや一般市民の方を避難させたようです。現在警察が扉に鍵を掛けパトカーで建物全体を囲んで警戒している所です。動きがありましたら、また中継します』
これは現実なのだろうか。
もしかしたら、凄くリアリティな夢の中なのかもしれない…と天菜は思ったが、自分の頬を思いっ切り叩いてみたら、やっぱり痛みを感じた。
「ねぇ…これから、どうなるの?」
ボソリと呟く。
「お母さんにも、分からないわ。とにかく、今は生きましょう」
お母さんの声は震えながらも何か意思のある力強い声だった。
そう、これは現実なのだ。
今まで、ファンタジーの世界の話だと思っていた魔法やモンスターの存在が現実に現れた。いつ何処に、得体の知れないモンスターが現れるのか、分からない状態なのだ。家を出たところで街にモンスターが出現しないという確信はない。今はただ情報を集め、ただただ待つしかないのだ。
私はいつものように、なんの変哲もない空を見上げながら歩いていた。もう12月だから外は寒く、口から息を出すとドラゴンが火を噴くように、白い息が出る。
そんな時、ポケットの中に入っている携帯の着信音が流れた。今思えばコレが私の本当の人生の始まりの着信音だったのかもしれない。
『プルプループルプル』
天菜は、制服の右ポケットに入っていたスマホを取り出して、通話ボタンを押す。
「天菜!!今すぐ家に戻って!!!!!」
電話はお母さんからだった。
お母さんの今にも張り切れそうな声がスマホのスピーカーから聞こえる。
そんなに焦ってどうしたんだろうか?
「お母さん…どうしたの?落ち着いて?」
「天菜!落ち着く暇なんてないの!!今すぐ家に戻りなさい!事情は後から話すから!」
そこで、プツリと電話は切れた。
意味が分からない。けれど、これだけは理解した。ただ事では済まない事が起きたんだなと。
急いで、歩いていた道を引き返し家に走って戻る、今からなら帰るのに10分も掛からないはずだ。
走りながら街一帯を見渡すと、同じように息を切らしながら走っている人達が大勢いる。家の近くで火事でも起きたのかな?とその時は思った。
家に着くと、お母さんが目の色を変えて私の元に駆け寄ってきた。
「どうしたの?お母さん?」
「それより、天菜、体に異常はない?!」
何かを恐れているように、私の両腕をしっかりと掴み聞いてくる
「えっと…特にないかな?それで、どうしたの?」
「とにかく、テレビを見て!!」
私達は急いで、玄関からテレビのあるリビングへと移動し、テレビをみた。
『こちら!秋葉原前!!!ビルの前には沢山の人達が何か叫んでいます!!!聞き込みをしてしましょう!
「こちら、生中継でお送りしている〇〇テレビのものです!インタビューよろしいでしょうか?」「ああ!もちろんだ!最高な気分だぁ!これから俺達の新世界が始まるんだからなあ!!あはははは!!」』
テレビでは、お馴染みの女のキャスターが現地に行き、まるで子供のようにはしゃぎながら、中継をしている。二十代ぐらいの大人達が叫び、何かを唱えては手から火を出したり水を出したり、普通ではあり得ない。まさに、魔法と呼ばれるものを使っていた。
『緊急速報が入りました!!!渋谷の108の店内に大量のゴブリンと思われるモンスターが発生したという情報が入りました!!渋谷にいる増田アナに繋ぎます!』
映像が変わり、男のアナウンサーといつもの明るい雰囲気とは違い物々しい雰囲気をか持ち出す渋谷の光景が、テレビに映る。
『こちら、増田です。渋谷108の前でお送りしています。現在ゴブリンと思われるモンスターは108の店内に出現しており、店の中にいたスタッフや一般市民の方を避難させたようです。現在警察が扉に鍵を掛けパトカーで建物全体を囲んで警戒している所です。動きがありましたら、また中継します』
これは現実なのだろうか。
もしかしたら、凄くリアリティな夢の中なのかもしれない…と天菜は思ったが、自分の頬を思いっ切り叩いてみたら、やっぱり痛みを感じた。
「ねぇ…これから、どうなるの?」
ボソリと呟く。
「お母さんにも、分からないわ。とにかく、今は生きましょう」
お母さんの声は震えながらも何か意思のある力強い声だった。
そう、これは現実なのだ。
今まで、ファンタジーの世界の話だと思っていた魔法やモンスターの存在が現実に現れた。いつ何処に、得体の知れないモンスターが現れるのか、分からない状態なのだ。家を出たところで街にモンスターが出現しないという確信はない。今はただ情報を集め、ただただ待つしかないのだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
『ゴミ溜め場の聖女』と蔑まれた浄化師の私、一族に使い潰されかけたので前世の知識で独立します
☆ほしい
ファンタジー
呪いを浄化する『浄化師』の一族に生まれたセレン。
しかし、微弱な魔力しか持たない彼女は『ゴミ溜め場の聖女』と蔑まれ、命を削る危険な呪具の浄化ばかりを押し付けられる日々を送っていた。
ある日、一族の次期当主である兄に、身代わりとして死の呪いがかかった遺物の浄化を強要される。
死を覚悟した瞬間、セレンは前世の記憶を思い出す。――自分が、歴史的な遺物を修復する『文化財修復師』だったことを。
「これは、呪いじゃない。……経年劣化による、素材の悲鳴だ」
化学知識と修復技術。前世のスキルを応用し、奇跡的に生還したセレンは、搾取されるだけの人生に別れを告げる。
これは、ガラクタ同然の呪具に秘められた真の価値を見出す少女が、自らの工房を立ち上げ、やがて国中の誰もが無視できない存在へと成り上がっていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる