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2章

第30話 特訓ですよ 2

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あれから、またご飯を食べて、風呂入って、寝て、をした。
そして、また次の日。

「よーしっ!チェリーー!起きろーー!」

「はいっーー!!」

「今日は、なんだか元気だね…」

「そりゃ、無詠唱が少しでもできるようになったんだからな!!」

「そっかー…」

こんな元気なリンセ見た事ない…
なんかあったのかな

「よーしっ!行くぞー!」

「えっ!ちょっと待ってーー!!」

手を握られて、練習場所に移動した
駆け落ちした人みたいなシチュエーションだな…w

来たのはいいけど…
朝から走ったし
「お腹空いたなぁ…」

私は無属性で使える魔法の、アイテムボックスから、こないだ街に行った時に買った食べ物を取り出した。

「んー!美味しいーー!」

「チェリー何食べてるの?僕もお腹すいたぁー」
と背後から顔が密着する程度に接してきた。

「んとね…この間食べたクリーパーだよ」

ん…待てよ。
リンセからお酒の匂いする…

「ねぇ、リンセお酒飲んだでしょ」

「えへへー!昨日ねー!同じくらいの年の男の子にこれ飲めば楽しくなるよーって言われて、渡された飲み物、飲んだんだぁー!」

「未成年だよね。飲んじゃダメだよね…」

「えー?あれお酒だったのぉー?」

魔法でアルコール分解とか出来るかなぁ
試しにイメージしてみる
するとリンセの体が緑色の光に包まれた

「あれ…なんか頭がスッキリした…。チェリー何かした??」

やっぱり、お酒だったんだ。
なんで、リンセにお酒なんて飲ませたんだ…?

「うん。リンセがお酒飲んじゃってアルコール分解したの」

「え?!僕がお酒を…。とりあえず、ありがとう…あとこんなのも貰ったんだけど…」

と、白い錠剤の入った小瓶を出してきた。

なんだろ、これ
鑑定って出来るかな…
『鑑定』と心の中で唱えた。
商品名 婿薬

「媚薬?ってなに…?」

「媚薬っ?!?!そんな物を…飲んでいたら大変になってたな…」
と、少し慌てていた。

媚薬ってなんなんだろう
大変になるって…?
そんな者を一体だれから…

「とにかく、その物もらった人にはもう会っちゃダメだよ?!」

「うん…わかった」
「あとね…僕お腹空いちゃった」

私はアイテムボックスからクレーパーをもう1個出して、リンセに渡した

「ありがとう。てか、チェリーってアイテムボックスまで使えたんだ…凄いなぁー」

「私もこの間使えること初めて知ったんだよー」

アイテムボックスって異世界チートの必需品だしね

リンセがクレーパーを食べ終わると、
自分から無詠唱の練習をし始めた。

その練習を見るのも飽きてきちゃったな…
寝転がって、ゴロゴロするか
練習する所は芝生がワサワサしてたから、そこに寝転がった



「ふぁっ!寝ちゃってた…ごめんね」

すっかり、太陽が西に傾いていた。

「あ。チェリー起きた!」
「それにしても、無詠唱はやっぱり難しいよ…やろう!と思っても1時間に1回出来るか出来ないかだし…」

「そっか…でも!昨日よりは進歩してるじゃん!受験の日までに出来るよーうになるよ!」

そして昨日と同じように…帰った後お風呂入って。朝起きて…ご飯食べて…練習して…を繰り返した。

今日は受験前最後の一日
私はまた、芝生の上に寝転がっていた。

突然、リンセの嬉しそうな声が聞こえた

「チェリー!!!チェリーー!!!みてみてー!百発百中になったぞーー!」

「え?!ほんと?!やったぁー!!」

リンセと思いっきりハイタッチをした

「それにしても、受験一日前で百発百中になるなんて凄いなぁ…」

「何を言っているんですかチェリーさん。あなたは初めての弓で百発百中だったでしょうが」

嬉しそうな笑顔を一瞬にして無くして、真顔になって言った。
あ。そうでした…すみません。
いや、本当にすみません…

「まぁあ、最後の日だしさ…美味しい物食べに行こうよ」

「うん!リンセの奢りでいいかな?」

「もちろん!無詠唱ができるようになったのはチェリーのお陰だしね」

「やったー!」

私達は、街の中でちょっと高そうな所を選んで夕食を取ることにした。
お店は、洋風のレンガ造り。内装は落ち着いた色で統一されている。

「高そうだね…」

「んん…そうだね…」
リンセが顔をちょっと歪める

「私、あんまりお腹すいてないし…安いものでいいからね??」

「ううん。大丈夫!」

ええ…私こんな高そうな店で食べた事ないからめっちゃ緊張して、多分喉に通らないと思うんだけどなぁあ…

タキシードを着た店員さんが、やってくる

「ようこそいらっしゃいました。お二人さんは明日ある試験に受験する方で?」

「そうですよ」
とリンセが答える

「そうでしたか!!なら料金は入りませんので満喫していってくださいな」

え?!嘘でしょ
こんな高いところだよ?
無料な訳ないじゃないか…

「なんで、料金は頂かないんですか??」
と疑問に思ったので彼に聞いてみた。

「あの学校に受験される受験生は別名『勇者』と言われているんですよ。落ちたら奴隷行きだとか、そんな噂も流れてるのでこの街の人々は尊敬してるんですよ」

と眩しいスマイルで、説明してくる。
いやいや、それ、そんな笑顔で言う話の内容じゃないよね…

「そ、そうなんですかー!知りませんでした…あはは…」

というか、リンセ!
私そんな事聞いてないよね…奴隷行きとか嫌だよ?

ジロッとリンセの方を見る…

「チェリーならきっと、合格できると思ってね…?」

「…」
「後で、お話があります」

「はい…」

リンセがしょんぼりした声でいう

今日はいつもと立場が逆ですね
ちょっと、こうゆうMなリンセもいいね!なんて思ったりして…w 

「では、テーブルに案内しますね」
タキシードの彼が、個室に案内してくれた。

「こちらが、メニューです」

メニューを開く

【メニュー】
・フォアグラステーキ   大銅貨8枚
・キャビア寿司              大銅貨8枚
・トリフパスタ              大銅貨8枚
・ぽわの親子丼              銀貨1枚
・魚介類のつけ麺          大銅貨6枚

などなど…

それに、してもキャビア、フォアグラ、トリフって…めっちゃ高いモノ置いてあるな
それに、まるでリンセの為にあるような『ぽわの親子丼』
というか、ぽわの親子丼が1番値段高い…
ぽわって貴重な食べ物なのかな?
よし!私は魚介類のつけ麺食べよう!

「ねぇねぇリンセさん。リンセさんは『ぽわの親子丼』何てどうですかねー?」

ビクッと体を震わせる
そして、ギコギコと首をこっちに向かせてこう言った。
「ぽ…わ…」

目が死んでる…
本当にぽわ駄目なんだな。

「う、嘘だよ?!安心してーー!ね?」

「うん…」

「ぽわの話で一件落着したところで、ごめんね何だけど…ぽわって高いの??」

またビクッと体を震わす

「う、うん…一応ね…。珍しい鳥だからね…それに、うじゃねる虫も栄養価が高くてあんまり生息してないから高くなるんだよ…」

「へー。だから高いのか。リンセは何食べるか決まった??」

「んー。僕は魚介類のつけ麺かな…」

「私もそれにしよーと思ってたよー」

「お!一緒だね!じゃあ頼もうか」

タキシードの人に注文を取ってもらってから、数十分。

目の前に魚介類のつけ麺がやってきた!!!
「「輝いてる…」」
口を合わせて言った。

では、一口…
「んーっ!!美味しい!!何これ?!フカヒレ入ってる??」
これ選んでよかったよーー
美味しいものを食べると生きててよかったーってなる
それに、出汁も魚介類からちゃんと取ってる気がする…日本を思い出す一食だなぁ
あっという間につけ麺を食べ終わってしまった

「食べたねー!お腹ぱんぱん」

「うん。あれは本当に最高の一品だよ」

2人ぶんで、銀貨1枚と大銅貨2枚なら安いのかもしれない…。日本円で12,000円だね。
まぁあ…高いけど…それぐらいの価値はある美味しさだった

「では、明日の試験頑張ってください。受かる事を心から祈願しております」
と最後は働いている全員が口を合わせて応援メッセージをくれた。

「「ありがとうございます!凄く美味しかったです」」

この街の人たちはいい人だったな

明日が本番!頑張ろっ…

帰ってから私達はすぐに寝て、明日に備えた。


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