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白い残像
しおりを挟む庭師のノヨルと庭を造る。
石で囲った一角にノヨルからもらった白い岩を砕いた粉を十分混ぜ込み、柔らかくなった土にササラ花の種をまいた。
ササラ花は紫色の花がさく。
ノヨルによれば土によって紫の色が赤っぽい紫から濃色の紫にまで変化していくんだとか。土の配合を微妙に変えていくと花の濃淡の違いが楽しめそうだ。
ノヨルがソナの花の種を持ってきてくれたので、種を蒔く予定のない場所にソナの種をまいた。ソナの花は野性の花なので特段の手入れがなくても育つ。勝手に育った私みたいだ。
反面、小まめな手入れが必要なリリアのような華やかな花は、きれいなドレスを着ていた姉たちを彷彿させた。姉たちも今ではどこかの家に嫁しているんだろう。
そして最後に庭の隅っこにグリンゴ草の苗を植える。涼しげな匂いが漂うグリンゴ草には害虫除けの効果もあった。
「みんなを守ってあげて」私はグリンゴ草にそう声を掛け、根にそっと土を掛けた。
*
今日は珍しい客がきた。ジーナだ。
母が亡くなり母付きの世話係だったジーナはしばらく前に生まれた赤子の世話を担っているらしい。
ジーナはなかなか自分から用件を切り出さない。シーナがお茶を入れてくれた。
ジーナとシーナが同じ場所にいる。
私には不思議な感じがして、なんとなくおかしみを感じる。
「ソナ様……、笑いごとじゃないんです」
そう言ってジーナは話をはじめた。
内容はこうだ。
赤子が生まれ乳母が選定された。
父が指示をしたのはそれまで。
後はジーナが家令をせっついて必要な物品の入手をしていたそうだ。
どうやら父には赤子のことに関心がないらしい。いや、妻の命を奪った者という認識を持っているようなのだ。
どうすればいいのだろうというのがジーナの相談だった。
確かに心配な状況に思えた。
ジーナと赤子に近いうちに会いに行くと約束をしたところ、ジーナはほっとした表情を浮かべた。よほど心配だったのだろう。
「ソナ様がお幸せそうで何よりです。ジーナは安心しました」
帰り際にジーナが残した言葉。
もしかしたら私の嫁ぎ先での暮らしも心配で、今回の訪問はその様子見も兼ねていたのかもしれない。なんとなくそう思った。
*
ジーナの訪問の数日後、父の屋敷に赤子とジーナを訪ねる。
赤子の部屋は母の部屋だった。
部屋は薄暗く暗い。赤子の睡眠を守るため今は採光を絶っているらしい。
赤子はカイルと名づけられていた。
ジーナに乳母を紹介された。
優しそうで柔らかそうな印象を与える人だった。いろいろ話を聞くと、カイルはなかなか寝付いてくれない赤子らしい。いつまでも寝ずに、ぐずぐずと泣き続けているそうだ。
それを聞いて私には、自分が母親の命と引き替えに生まれたことを嘆げき哀しんでいているように思えてしまった。
話をしているそばからカイルが泣き出した。
乳母は「おっぱいの時間ですね」立ち上がってカイルを抱き、片胸をするりとはだける。
白くてはちきれんばかりの胸。
カイルは小さく薄い唇をわななかせ、触れる乳首に吸い付いた。
チュクチュクと音をたて白く豊満な胸に埋もれるカイル。
うっとりとした表情を浮かべて授乳する乳母。そこには見てはいけないような官能の匂いがした。
蕩けそうな乳母のその白く豊かな胸が、私の脳裏に焼きついて離れなかった。
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