僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第5章 僕は求婚されるなんて考えてもいなかった

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僕が日輪の国に戻ってきてから、一ヶ月が経とうとしている。
一時期、屋敷を出入りする人がとても多かったが、最近ではそれも減ってきていた。
それでも、まだ僕は外に出してもらえずこうして一角の部屋で外を眺めているのだ。
レオ、はやく来ないかな。

最近レオは忙しいらしく、僕に会いに来る時間は以前よりもだいぶ遅くなっていた。
時々怪我をしてくることもあるから心配になる。
この前聞いてみたら、「護衛をしてるんだ」とか言っていたけどホントかなぁ。

「ユヅキ! 悪い、遅くなった……」

「レオ! 」

レオがよじ登ってくるお決まりの場所へ、勢いよく振り向いた。
軽々と塀を越え、僕のところへやってくる。

「大丈夫か? ……変なやつに襲われたりしていないだろうな」

「大丈夫だよ」

いちいち抱き寄せて聞いてくるものだから、面白くなってふふふ、と笑った。
レオはとてもボディタッチが多い。
ルークと同等かそれ以上に僕に構ってくれる優しい友人。

「ねぇ、レオ。今日は何をするの」

僕がごろりと寝そべると、レオも一緒になって隣で寝そべった。ふたりで一緒に本を読み、あれこれお互いの意見を伝える。
飽きてきたら、レオが買ってくれた花を生けたり、アッシャー王国の話を聞いたりとゆっくりと過ごした。





あたりはもう暗くなり始め、別れの時間が来たことを知らせた。
じー、じー、と虫の音がなり始める。
じめじめとした空気に、肌からは汗が伝った。

「なぁ、ユヅキ。明日は、俺とデートに行こう」

「……? うん」

デートという言葉を使うなんて、とくすくす笑うと、思いの外真面目な顔をしたレオと目が合った。

「……俺は本気だから」

ぼそりと言い残し、レオは去っていく。
去り際にするりと触れられた頬が熱を帯び、胸の鼓動が大きく鳴り出した。
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