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自立を願う
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寮の前まで来ると、鞄を受け取りながらフローレンスは深く頭を下げた。
「レイサス様、送っていただきありがとうございました。」
「・・・レイサスだ。あと、敬語もいらない。」
「・・・・・・。」
「なんだ。」
「ぷっ・・・、ふふっ・・・くふふふっ。」
「何がおかしい。」
「ふふふ、ありがとうレイ。わかったわ、では、私のことはフローレンスと呼んで。ふふっ、堅苦しいのが嫌いなのね。でも、これだけは言わせて。私、こんなんでも、一応、侯爵令嬢なの。なのに、貴族関係にはとても疎くて・・・。失礼を承知で言わせていただくのだけれど、貴方がどちらのご令息なのか正直、存じ上げないの・・・。ごめんなさい。だから、気付かないうちに失礼をしてしまうことがあると思うんだけど―――」
「気にしない。」
「そう・・・、ふふふ、ありがとう。レイは、優しい人だったのね・・・。本当は、どうしたらいいかわからないことが起きてしまって頭がいっぱいだったの・・・。でも、貴方のお陰で気持ちがとっても楽になったの。私、あなたに元気をもらったわ。本当にありがとう。今日、話しかけてもらって嬉しかったわ。また、気が向いたらでいいから・・・。ううん、・・・ふふっ、また、図書室でね。」
「・・・ああ。今日は早く寝た方がいい。あと、ちゃんと食事は摂る様に。」
「うん、ありがとう。」
片手を上げて帰って行くレイサスの後姿を見送りながら、フローレンスは大きな溜息を吐いた。
(つい、彼の優しさに甘えて、またお話ししましょう。なんて言いそうになってしまったわ・・・。こうやってジルにも甘えてしまっていたのね・・・。ジルの気持ちも知らず、あんなに振り回してしまって。これからは、ちゃんと自分の立場を忘れないようにしなくちゃね・・・。そうね、シオンに手紙を書こう・・・。シオンならきっと、はっきり教えてくれる。「姉さんは誰にも好かれたりしないよ。」って。
ふふっ、シオンってば、あんなに可愛い顔してるのに、言葉はまるでナイフのようなんですもの・・・。)
その夜、フローレンスは、シオン宛てに長い手紙を書いた。今日の出来事を詳しく書き終わった後、ベッドに横になって、シオンの返事を想像してみた。
(ええと、まず、誰にも愛されない。あと、嫌われ者、怠け者、他人に騙されるな、ちゃんと勉強しろ、しっかり自立しろ、人を頼るな・・・って、私ってば、どれだけ駄目な人間なのかしら。しかも、弟のシオンにこんな返事を書かせるってこと?・・・やだわね・・・。そんなのあまりに申し訳ないわ。はぁー・・・私って、なんて情けない姉なのかしら。シオンに余計な心配させるような、こんな手紙出せないわね・・・。)
情けない自分に押しつぶされそうになったフローレンスは、小さな声で呟いた。
「シオンに迷惑かけて・・・。ジルに・・・迷惑かけて・・・。今日の、赤い人にも迷惑をかけてしまったのね。」
そしてクッションを抱きかかえたフローレンスは、ベッドの上を転がると大きな溜息を吐いた。それと同時に一日我慢していた涙がぽろぽろと零れてきた。
(ジルの優しい眼差しは、これからは本当に好きな人へ向けられるのね・・・。)
大きな喪失感に苛まれ、フローレンスは声が漏れないように、クッションに顔を埋めて泣いた。
(これからは、誰にも迷惑かけないで生きたい。ちゃんと自立したい。立派な人になりたい。足手まといにならないようにしたい。ジルを解放してあげたい。シオンを解放してあげたい。一人で、誰にも頼らず生きられたら・・・。)
フローレンスは強くなりたいと願いながらも、大好きなジルドナとの別れを思うと、次々と零れる涙を止めることができなかった。
「レイサス様、送っていただきありがとうございました。」
「・・・レイサスだ。あと、敬語もいらない。」
「・・・・・・。」
「なんだ。」
「ぷっ・・・、ふふっ・・・くふふふっ。」
「何がおかしい。」
「ふふふ、ありがとうレイ。わかったわ、では、私のことはフローレンスと呼んで。ふふっ、堅苦しいのが嫌いなのね。でも、これだけは言わせて。私、こんなんでも、一応、侯爵令嬢なの。なのに、貴族関係にはとても疎くて・・・。失礼を承知で言わせていただくのだけれど、貴方がどちらのご令息なのか正直、存じ上げないの・・・。ごめんなさい。だから、気付かないうちに失礼をしてしまうことがあると思うんだけど―――」
「気にしない。」
「そう・・・、ふふふ、ありがとう。レイは、優しい人だったのね・・・。本当は、どうしたらいいかわからないことが起きてしまって頭がいっぱいだったの・・・。でも、貴方のお陰で気持ちがとっても楽になったの。私、あなたに元気をもらったわ。本当にありがとう。今日、話しかけてもらって嬉しかったわ。また、気が向いたらでいいから・・・。ううん、・・・ふふっ、また、図書室でね。」
「・・・ああ。今日は早く寝た方がいい。あと、ちゃんと食事は摂る様に。」
「うん、ありがとう。」
片手を上げて帰って行くレイサスの後姿を見送りながら、フローレンスは大きな溜息を吐いた。
(つい、彼の優しさに甘えて、またお話ししましょう。なんて言いそうになってしまったわ・・・。こうやってジルにも甘えてしまっていたのね・・・。ジルの気持ちも知らず、あんなに振り回してしまって。これからは、ちゃんと自分の立場を忘れないようにしなくちゃね・・・。そうね、シオンに手紙を書こう・・・。シオンならきっと、はっきり教えてくれる。「姉さんは誰にも好かれたりしないよ。」って。
ふふっ、シオンってば、あんなに可愛い顔してるのに、言葉はまるでナイフのようなんですもの・・・。)
その夜、フローレンスは、シオン宛てに長い手紙を書いた。今日の出来事を詳しく書き終わった後、ベッドに横になって、シオンの返事を想像してみた。
(ええと、まず、誰にも愛されない。あと、嫌われ者、怠け者、他人に騙されるな、ちゃんと勉強しろ、しっかり自立しろ、人を頼るな・・・って、私ってば、どれだけ駄目な人間なのかしら。しかも、弟のシオンにこんな返事を書かせるってこと?・・・やだわね・・・。そんなのあまりに申し訳ないわ。はぁー・・・私って、なんて情けない姉なのかしら。シオンに余計な心配させるような、こんな手紙出せないわね・・・。)
情けない自分に押しつぶされそうになったフローレンスは、小さな声で呟いた。
「シオンに迷惑かけて・・・。ジルに・・・迷惑かけて・・・。今日の、赤い人にも迷惑をかけてしまったのね。」
そしてクッションを抱きかかえたフローレンスは、ベッドの上を転がると大きな溜息を吐いた。それと同時に一日我慢していた涙がぽろぽろと零れてきた。
(ジルの優しい眼差しは、これからは本当に好きな人へ向けられるのね・・・。)
大きな喪失感に苛まれ、フローレンスは声が漏れないように、クッションに顔を埋めて泣いた。
(これからは、誰にも迷惑かけないで生きたい。ちゃんと自立したい。立派な人になりたい。足手まといにならないようにしたい。ジルを解放してあげたい。シオンを解放してあげたい。一人で、誰にも頼らず生きられたら・・・。)
フローレンスは強くなりたいと願いながらも、大好きなジルドナとの別れを思うと、次々と零れる涙を止めることができなかった。
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