初恋の幼馴染。~幼馴染の親友が俺らカップルを助ける為に奮闘する話~

隣のカキ

文字の大きさ
6 / 11

6 二人のけーちゃん

しおりを挟む
 母に連れられて樹君の家に遊びに来た。表札を見れば渡辺と書いてある。

(やっぱり…私の知ってる樹君だった。なら、恵奈も私の知ってる恵奈だね。)

 私は既にそう確信していた。

「いらっしゃい。」

「今日は慧の事お願いね。」

「良いのよ。私だって樹の事頼んだりしてるんだから。」

 いわゆるママ友なのかもしれない。

「今日は恵奈ちゃんも一緒にお願いしちゃってごめんね。」

「恵奈ちゃんのママは良く知らないけど、悪い人じゃないんでしょ?」

「悪い人だったら頼まないわよ。」

「それもそうか。」

 そう言って母同士笑っている。

 女性同士の会話は長い。私もそうだったから良く知ってる。

(会話の流れ的に、私の母と恵奈の母は友達。樹君の母と恵奈の母は他人って事かな?)

「おはようございます。」

「あ、おはようございます。」

 恵奈母も来たようで挨拶を交わしている。

 手をつないでいる幼い女の子が恵奈なのだろう。

「すみません。急にお願いしちゃって。」

「いえいえ。良いんですよ。樹も恵奈ちゃんと遊びたいって言ってましたし。」

「ありがとうございます。」

 この時既に恵奈は樹君が好きだったようだ。

(恵奈と喧嘩するなってお母さんは言ってたけど、もしかして私と恵奈で樹君の取り合いしてたのかな…。)

 あり得る。


「じゃあね。お母さん行くから、慧ちゃん良い子にしてるんだよ?」

「恵奈もそうよ?」

 それぞれの母から言われた。

「わかった。」
「はーい!」

「渡辺さん。すみませんがお願いします。」
「お願いね?」

「大丈夫。三人で遊ばせとくだけだから手間じゃないよ。任せて下さい。」

 そう言って母ズが解散した。

「きょうはいっくんとらないでね?」

(もう嫉妬してる。なんて可愛いんだろ…。)

「取らない取らない。恵奈ちゃん可愛いね。」

 私は恵奈の頭を撫でた。恵奈はえへへと嬉しそう。


「さあ中に入って。樹が待ってるよ?」

 わーい、とパタパタ走っていく恵奈。

「お邪魔します。」

「あら?慧ちゃん挨拶出来るようになったの?」

(またやってしまった…。ま、いっか。)

「うん。」

「樹にも見習ってもらわなきゃね。」

「そのうち覚えますよ。」

「そうかな?」

「そうですよ。まだ四歳なんだし。」

「……慧ちゃん。なんかあった?」

(私ってこういうところが空気読めてなかったんだろうな…。)

「テレビで見ました。」

「えぇ?テレビ?」

 じーっと私を見ている樹母。

「まいっか。」

 樹母は楽天的だったようだ。

「けーちゃん!はやくおいでよ。」

「え?」

「はやくはやく!」

(あの男の子が樹君か。確かに面影がある……って、今私を“けーちゃん”って呼んだ?)

「けーちゃんあそぼ!」

「今行く。」

(やっぱり“けーちゃん”って呼んでる。)

 “けーちゃん”と呼ばれているのは元々恵奈のはずだ。

「こっちのけーちゃんも待ってるよ!」

(どっちも“けーちゃん”って事?)

「ねえ。恵奈もけーちゃんって呼ばれてるの?」

「なにいってるの?ずーっとまえからけーちゃんだよ?」


 二人とも“けーちゃん”って事で確定。

 これまでの会話で三人の関係性はある程度わかってきた。

 慧と恵奈、どっちも“けーちゃん”で樹君を取り合う三角関係って事だろうね。

 だったら尚更変だ。私が覚えていないのは何らかの原因があったんだと思う。でも大人になった恵奈と樹君は、再び出会うまで私の事を全く知らなかったみたいだ。

(幼い頃に引っ越したから忘れられてるだけ?でも、三人ともが大人になっても覚えていないってあるかな?一人くらいは覚えていてもおかしくないんだけど…。)

 妙に引っかかる。私だけじゃなく、三人で記憶喪失だって言われた方が納得いく。

(もしかして本当に三人とも記憶に欠落がある…?)

 魔法少女が言ってた記憶を取り戻してこいって、三人の記憶の欠落を何とかしろって事なのかもしれない。

(でも…まだ確定したわけじゃないし、仮にそうだとしても私にどうしろってのよ…。)

 現状では考えても仕方がないので、小さいころの樹君と恵奈、私の大好きな二人と遊ぶことにした。

「わたしは、いつきくんのおよめさん。けーちゃんはきんじょのいぬのやく。」

(私は犬かい!?)

「けーちゃんがかわいそうだよ。ふたりともおよめさん。」

(樹君って結構女たらし?)

「ええー??」

 恵奈は不満そうにむくれている。

「じゃあ二人とも可愛いから、私がどっちも貰っちゃおうかな?」

(もしかして、今のうちに二人とも私が貰う約束しちゃえば、最高の未来になるんじゃない?)

「え?えぇ?それっていいの?」

 恵奈は本当に大丈夫なのかと心配している。

「いいんじゃない?」

 そして樹君は女たらし。

「良いと思うよ。私二人とも好きだもの。どっちも貰っちゃう。」

 私は未来を変える。二人とも私のものだ。

「うーん…ふたりがそういうなら…。」

 よし!押し切れた。

「じゃあけーちゃんふたりでいっくんのおよめさん!」

「良し良し!」

「ぼくもそれがいいな。」

(後は、二人に忘れられないようにしないとね。)

 何か良い方法はないものか……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

家から出ない女優の幼馴染を連れ出したら、いつの間にか伝説になっていた件。

Memu(メム)
恋愛
学校に行かない引きこもりの国民的女優――水宮小鞠。 女の子に間違われる地味男子――白雲凪。 俺に与えられた役目はひとつ。 彼女を、学校へ連れて行くこと。 騒動になれば退学。 体育祭までに通わせられなくても退学。 成功率ほぼゼロの無理ゲーだ。 距離は近い。 でも、心は遠い。 甘えてくるくせに、本音は隠す幼馴染。 それでも―― 俺は彼女の手を引く。 退学リミット付き登校ミッションから始まる、 国民的スター幼馴染とのドタバタ青春ラブコメ、ここに開幕。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

俺の可愛い幼馴染

SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。 ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。 連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。 感想もご自由にどうぞ。 ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...