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田中神代

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01 序章に代えて

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 太古の昔、緑の奥底に静かな賢者が集まっていた
遥か下に見える、土の上の住人に賢者の一人は興味を持った
緑の奥底の賢者は皆、興味を持った
賢者は、興味を持ったものは、全て理解した
そして緑の奥底の賢者は土の上に立った


しかし土の上の住人は、賢者に剣を向けた
賢者は困り,だが理解したかった
賢者は鎖よりも丈夫な血の繋がりを差し出した

しかし土の上の住人は、賢者の隣に座らなかった
賢者の一人は死に、だが賢者たちは理解したかった
賢者は牙を抜き、爪を折った

しかし土の上の住人は、賢者と暮らさなかった
賢者の一人は去り、それでも理解したかった
賢者は良識を封じ、知恵を捨てた

しかし土の上の住人は、賢者と絆を作らなかった
賢者の一人は哀しみに暮れ、だが尚、理解したかった
賢者は賢者であることを止め、そして土の上の住人に寄り添った


牙を持ち、爪を備えた賢者の子孫は、怯えながら片隅に生きてゆく
良識を使い、知恵を持つ賢者は、未だ緑の奥から住人たちを見ている
哀しみに暮れてしまった賢者は、何もできず土の上でのたうっている

土の上の住人たちは、賢者に渡された薬を以って、賢者だった者へ毒を盛る
賢者だった者は賢者であったことを忘れ、毒に溺れ寄り添って生きていく

いつの日か、住人たちと賢者たちが出会える日を願う
これは太古の昔より、伝えられる伝承
                   ロニクル 著
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