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田中神代

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13 クァイリの考察

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 ざぁ、と風の音が聞こえる。
そこまで強い風でもないのに、非常に大きく聞こえる。
見渡すかぎりの草がざわめけば、とても大きな音になる。
本で読んで何となく分かってたけど、いざ感じると感慨深いものがある。
(疲れた…)
 いや、そう思わないための現実逃避だって。
体力がないのは自覚しているから、目を背けているのに。
 気持ちで何とかなる,とは誰が言ったのか。  
 何とかならないじゃないか、と思いつつも、何とかしようとする。
背中のリュックの重さよりも、今後の研究予定について。
痛く重たい足のことよりも、先ほどのディエントさんとの会話のことを。
 気を紛らわして,騙し騙し。

 ──理由
 
 ふと、そんな言葉が脳裏によぎる。
(何のだ…?)
 時々、ふと単語だけが思い浮かぶことがある。
それについて深く考え他方が良いのかどうかは、正直分からない。
 暇な時に考える。
(ーーー、ああ、テイムを失った理由)
 ディエントさんに嘘をついたから。
それで気になって、少し残っていたんだろう。
(……ま、あながち嘘でもないのですけど)
 分からない,という結論。
ただ、まったく見当もつかない,という訳でもなく。

(ーーー例えば,契り)
 生まれてすぐの人とテイムが結ぶ、契り。
人の赤ん坊の血を数滴混ぜた薬水を、テイムの赤ん坊に飲ませる。
数日間の衰弱の後、テイムと人は切れることのない強い絆で結ばれる。
(なぜ、衰弱するのかは不明  そして薬水)
 特殊な薬草を煎じることで作られる薬。
テイムが生きていくのに、必要不可欠な成分を含む。
与えないと苦しみ凶暴化し、死に至る。
多く与えると衰弱していき、死に至る。
(ただ、何の成分が必要なのかは不明  薬水の成分も不明  そして
薬水を得ることのない野性のテイムというのも、確かに存在する)
 保健所に引き取られ、処分されるか,更生するか。
(私には不自然にしか思えない)
 わざと、触れられていないような。
なぜ,自分のテイムは死んでしまったのか、知りたくて調べたときに感じた気持ちの悪さ。
その気持ちの悪さを取り除きたくて、研究をしている。
(……セレンスに言わせれば、単なる自己満足か自己弁護なんだろうけど)
 容赦のない妹の顔が思い浮かぶ。
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