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30 次こそは

　何故、ついてこなかったのか。
気になって考えてはいるのですが、納得の答えは見つからない。
明らかにこちらに情報が多くあることは分かっているのでしょうに。
（……、ただ、一番腑に落ちないのは、）
　その事を私自身が，予想していたということですかね。
正直な話、断られても「ああやっぱり」としか思えませんでした。
それどころか、心のどこかで、ほっとした自分もいました。
　ようは、私自身、あの子を拒絶していたということですか。
（特に問題はないと思うのですが）
　改めて考えても、優良物件ではある。
思慮深く、下手に感情で動かなさそうな分、説得もしやすい。
ああいう人間はおそらく，納得さえすれば事を順調に運んでいくタイプでしょう。
　考えうる最適な回答が、同族嫌悪。
ただ、もしそれが正解だとすると、私は感情で決断したということになりますね。
目的を達成することができたかもしれないピースを、みすみす逃してしまうとは。
　やはり，私もまだ理性的に動けていないということですか。
　排除したい気持ちも確かにありましたが，次のアテもありませんし。
私が得た攻略法と、あの状況下では、アレが最適だったとは分かるのですが。
（とはいえ…、相手が断ったもの事実ですし）
　お互い，何かしら近づきたくないものがあったのでしょう。
案外，アレも同族嫌悪か何かを感じていたのかもしれませんし。
（まったく、つくづく嫌になりますね）
　人の気持ちというのは、どうも合理的でなく面倒。
とはいえ、その面倒な事が今回のキーになるのですから，良い機会かもしれません。
（案外、今回のペアのようなセッティングを行えば……）
　一か八かの誘いをしなくても済む。
少し”説得”に時間はかかるかもしれませんが、より確実ではあります。
独りが無理でも、二人ならば、というのは時々聞きますし。
　次こそは、
　今渡こそは、
（全ては、正しいカタチにするために）
　それが全て。
アテはないですが、希望はあります。
次こそは、上手く行くでしょう。
今渡こそは、成功させてみます。
　ええ、待っていてください。
　あなた方を、解き放つときを。