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田中神代

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34 役目

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「その事は、この2人の過去について知れば、分かると」
 分かりやすく、動揺する少年。
少し力を抜けば良いのに、緊張しすぎるから,そんな事を口にする。
(ただ……、本心ではあるみたいだけど)
 少しずつ自分の中で折り合いをつけていくのが、目に見えて分かる。
感情や考えが全て表情や仕草に出ている辺りが,子供らしさというところか。
 あの小僧、アンダスにはなかった、純粋さ,率直さ。
(……それにしても、何を考えているのやら)
 目の前で友人を殺された、らしい。
その殺した相手を、あの人誑しと同列に言うのか。
一体、何を考え、何を根拠に、目の前の現実への感情を曲げられるのか。
そもそもキッカケに、そこまで思い込む理由を作っているのか。
(知りたい……、知りたい)
 おっと、いけません。
目の前の少年が、純粋に考えを口にしているというのに。
こちらが衝動に身を任せては、年長者としての示しがつきません。
 このまっすぐな瞳に、応えるのが、私たちの役目。
「…サディシャについてはともかく、サラァテュについて知りたいなら、少し昔話を
しないといけないな」
 望むの所,と言わんばかりに頷く。
(なるほど、…あの小僧が送ってくるだけはあるな)
 少なくとも、怖気づいて逃げることはしない。
他人にリベンジをさせる逃げ癖は納得できないが、この際良しとしよう。
 無駄だろうが、意味もないだろうけど、面白そうだ。
 私の理解の糧にも、確かになりえる。
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