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決戦の日。
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──朝。いつもと何ら変わらない普通の朝だけれど、今日は特別な意味を持つ朝だ。
十五日間続いた豊穣祭最終日であり、リリーカさんの今後の人生を決める大事な日。冠七位質素倹約のユーリウス家と、冠九位豪奢遊蕩のフォワール家との最終決戦の日。
こちらには世界にただ一つの宝石『ブラッディルビー』があるものの、フォワールがどんなお宝を出すか分からないから安心は出来ない。ヤツの目的はリリーカさんよりもその地位。貴族による人民支配などという巫山戯た目論見がある以上、全財力を注ぎ込む様な真似はしないとみている。
「だけど、七位を奪っても残りはどうするんだろう?」
上にはまだ六人もの貴族が居る。しかもトップはこの国の王族だ。例え第三位のタドガーを味方につけても他の貴族の同意が得られる訳がない。……と思う。
「うーん……」
言葉に詰まると同時に、ニュルリと顔を出す存在があった。鼻を擽る独特な香りは普通の証。ホッとする瞬間だ。
「うん。考えても分からないモノは分からない。要はヤツに勝利すれば良いだけよ」
白磁の器から腰を上げ、グイッとパンツを引き上げて気合を入れる。そして、産まれたての我が子を大海へと旅立たせてから支度をし、『にぃ』ちゃんをカゴに入れてオジサマの店へと向かった。
朝日が照らす大通りは人もまばらで、開店準備を進める人達の背中は何処と無く寂しさを感じられた。『準備中』と札が下げられたドアの取っ手を掴んで押し開くと、鍵は掛かってはおらずにスンナリと開いた。ガラランッ。と来客を示す音が鳴り、店内に居た人達が一斉にこちらを向く。
「お早う御座います、お姉様」
「お早う、リリーカさん。オジサマもお早う御座います」
「……ああ」
短い挨拶のオジサマだけれど、カウンターにコトリと置いたコーヒーに優しさを感じる。いただきます。とオジサマにニッコリと微笑んで一口啜る。苦味と酸味が程良く混ざり合い、スッキリとした味わいにホッとする。
「お早うカナちゃん。いよいよね」
「お早う御座いますおばさま。ええ、いよいよです。ところでリリーカさん、例の物は見つかったの?」
例の物といっても物騒な代物じゃない。『ブラッディルビー』を入れておく箱だ。リリーカさんが、決戦の日までにこの素晴らしい宝石に見合う入れ物を探して参りますわっ。と、笑顔で言っていたが、どんな物を見つけてきたのだろう。
「こちらですわ、お姉様」
コトリ。と、カウンターに置いた箱は、匠な意匠が施され、部分的に透かし彫りの様になっていて、中の宝石が光に当たってキラキラと輝いている。なんかすっごい高そうな箱が出てきたっ!
「ち、ちょっと凝り過ぎじゃない?」
「何を仰っているのですかお姉様。お姉様がお持ちになられた宝石は家宝なのですから、これくらいは当然ではありませんか」
そ、そうなの? 私はもっとこう、破られた封跡がある古ぼけた箱を連想してたんだけど。
「ドワーフの一級技巧師にお願いをして、大急ぎで作って貰いましたの」
たった一日でこれだけのモノを!? ドワーフ恐るべし。
「ち、ちなみにお値段は……?」
「二百五十万ですわ」
えっへん。と、踏ん反り返るリリーカさん以外の人が、ブフォッ。と一斉に吹き出した。勿論、私も。
「何をそんなに驚いているのですか? 万が一にでも負けたら後がありませんのよ?」
これ、勝っても後無くない?! にしても、それだけの金額を臆する事もなくポンと払うとは、貴族恐るべし。
「リリー、ちょっといらっしゃぁい」
奥の部屋へと続くドアの前に立ち、手招きするおばさま。顔は笑顔だがその目は笑っていない。
「あ、はい。お母様。ちょっと行って参りますねお姉様」
「あ、うん。あ、リリーカさん」
「はい、何でしょう?」
「うーんとその……頑張って」
「え?」
リリーカさんから目を逸らし、オジサマと向き合って冷めかけのコーヒーを啜る。リリーカさんは可愛く首を傾げて、手招きを繰り返すおばさまと共に隣の部屋に入っていった。
ドアが閉められると同時に、母親という砲台から放たれた怒号弾幕を娘の主張弾が迎撃する。しかしそれもそう長くは保たず、際限なく繰り出される怒号弾幕に、徐々に劣勢に立たされて飲み込まれていった。待っているのはスパンキングタイムだ。
薄壁一枚だからその音が良く聞こえる。ペッチーンッと良い音が聞こえる度にリリーカさんが悲鳴をあげる。
『アンタって子はっ! 無駄遣いしてっ!』
『痛いっ、痛いっ! ソコッ、ソコばっかりダメですぅっ! あふんっ』
金銭感覚の疎いリリーカさんに大きくため息を吐いていると、オジサマが淹れたてのコーヒーをコトリ。と置いた。
「何というか、スマン」
「いえ、これは仕方ないです」
リリーカさんが目覚めてしまわない様に祈りながら、熱々のコーヒーを啜った。母は恐るべし。
青空の下、人通りが増え始めた通りをガタゴトと走る馬車があった。丈夫な木材をふんだんに使い、ドワーフの技巧師によって作られたこの馬車はとても頑丈であり、しかしこの街のどの馬車も、足元にも及ばない乗り心地を実現している。
そんな快適な車内に私だけが座り王族御用達の乗り心地を堪能していた。ちなみにリリーカさんは硬い床に膝立ちになってお尻をさすっていた。座ろうにも痛くて座れないのだそうだ。
「うう、酷いですわお母様は……」
「いや、あれは仕方がないと思うよ」
「お姉様までお母様の味方をするのですか?!」
「そうじゃないけど、リリーカさんはもうちょっとお金の使い方を学んだ方が良いと思う」
いくら宝石を入れる為の箱とはいえ、流石に二百五十万は使い過ぎだ。
「『代々受け継いだ家宝』という設定なんだから、もっと古ぼけた箱で良かったんだよ」
「そうなのですか?」
「そ。後は箱の底に布を敷いて台座の代わりにすれば、らしく見えるでしょ?」
箱から取り出した宝石を膝に置いた折ったハンカチの上に乗せる。モノがハンカチなだけに見劣り感があるが、これがちゃんとした台座なら見栄えも良くなる。
「なるほど、流石はお姉様。勉強になりますわ。……と」
急に立ち上がり、私の隣に腰を下ろすリリーカさん。未だお尻が痛いのだろう。座った際に顔を顰めた。
「急にどうしたの?」
「そろそろ着きますわ、カーン様」
そう聞いて馬車の先に視線を向ける。行く手には下層と同じ様な城壁が聳え立っているが、積み上げている石材の厚みが下層の物よりも明らかに大きくて相当な重量がある事が窺える。
その城壁の下には大きな堀があり、落とされた吊り橋を渡って上層に入る様になっている。恐らく、緊急時には跳ね橋を上げて侵入者を阻むのだろう。
跳ね橋の側では、顔までスッポリと覆われた、白の塗装が成された甲冑を着込んだ衛兵が二名、自身の背丈よりも倍以上の長さがある槍を持っていた。
「凄い城壁だね。使われている石材がぶ厚い」
「建国当時には他国からの侵略もあったそうですから、城を守る為に丈夫に作られたそうですわ」
「そうなんだ。……で、あれが門か」
中層と上層を隔てる門。その先は王族か王族に呼ばれた者のみしか入れない。一般市民にとっては聖域と言っても過言ではない場所だ。
『開門』。白い甲冑を着て赤マントを背負う衛兵の一人が叫ぶ。数多の戦に晒されてきたであろう門が、良い雰囲気を奏でながら開かれてゆく。そして、不味い。と思った。急激に加速する鼓動。表情筋が強張り、汗が流れ落ちて手足が震えだす。そんな私を見るに見かねたのか、リリーカさんの手が添えられた。
「お姉様。勝負の結果がどうであれ、私はお姉様を恨みはしませんわ。ですから、お姉様は堂々としていて下さいまし」
私の緊張を和らげる為であろうその手も言葉も、僅かながらに震えていた。歳上なのに情けない。そう自分をいきり立たせ、リリーカさんの手を握り返して微笑むとリリーカさんもまた微笑んだ。
十五日間続いた豊穣祭最終日であり、リリーカさんの今後の人生を決める大事な日。冠七位質素倹約のユーリウス家と、冠九位豪奢遊蕩のフォワール家との最終決戦の日。
こちらには世界にただ一つの宝石『ブラッディルビー』があるものの、フォワールがどんなお宝を出すか分からないから安心は出来ない。ヤツの目的はリリーカさんよりもその地位。貴族による人民支配などという巫山戯た目論見がある以上、全財力を注ぎ込む様な真似はしないとみている。
「だけど、七位を奪っても残りはどうするんだろう?」
上にはまだ六人もの貴族が居る。しかもトップはこの国の王族だ。例え第三位のタドガーを味方につけても他の貴族の同意が得られる訳がない。……と思う。
「うーん……」
言葉に詰まると同時に、ニュルリと顔を出す存在があった。鼻を擽る独特な香りは普通の証。ホッとする瞬間だ。
「うん。考えても分からないモノは分からない。要はヤツに勝利すれば良いだけよ」
白磁の器から腰を上げ、グイッとパンツを引き上げて気合を入れる。そして、産まれたての我が子を大海へと旅立たせてから支度をし、『にぃ』ちゃんをカゴに入れてオジサマの店へと向かった。
朝日が照らす大通りは人もまばらで、開店準備を進める人達の背中は何処と無く寂しさを感じられた。『準備中』と札が下げられたドアの取っ手を掴んで押し開くと、鍵は掛かってはおらずにスンナリと開いた。ガラランッ。と来客を示す音が鳴り、店内に居た人達が一斉にこちらを向く。
「お早う御座います、お姉様」
「お早う、リリーカさん。オジサマもお早う御座います」
「……ああ」
短い挨拶のオジサマだけれど、カウンターにコトリと置いたコーヒーに優しさを感じる。いただきます。とオジサマにニッコリと微笑んで一口啜る。苦味と酸味が程良く混ざり合い、スッキリとした味わいにホッとする。
「お早うカナちゃん。いよいよね」
「お早う御座いますおばさま。ええ、いよいよです。ところでリリーカさん、例の物は見つかったの?」
例の物といっても物騒な代物じゃない。『ブラッディルビー』を入れておく箱だ。リリーカさんが、決戦の日までにこの素晴らしい宝石に見合う入れ物を探して参りますわっ。と、笑顔で言っていたが、どんな物を見つけてきたのだろう。
「こちらですわ、お姉様」
コトリ。と、カウンターに置いた箱は、匠な意匠が施され、部分的に透かし彫りの様になっていて、中の宝石が光に当たってキラキラと輝いている。なんかすっごい高そうな箱が出てきたっ!
「ち、ちょっと凝り過ぎじゃない?」
「何を仰っているのですかお姉様。お姉様がお持ちになられた宝石は家宝なのですから、これくらいは当然ではありませんか」
そ、そうなの? 私はもっとこう、破られた封跡がある古ぼけた箱を連想してたんだけど。
「ドワーフの一級技巧師にお願いをして、大急ぎで作って貰いましたの」
たった一日でこれだけのモノを!? ドワーフ恐るべし。
「ち、ちなみにお値段は……?」
「二百五十万ですわ」
えっへん。と、踏ん反り返るリリーカさん以外の人が、ブフォッ。と一斉に吹き出した。勿論、私も。
「何をそんなに驚いているのですか? 万が一にでも負けたら後がありませんのよ?」
これ、勝っても後無くない?! にしても、それだけの金額を臆する事もなくポンと払うとは、貴族恐るべし。
「リリー、ちょっといらっしゃぁい」
奥の部屋へと続くドアの前に立ち、手招きするおばさま。顔は笑顔だがその目は笑っていない。
「あ、はい。お母様。ちょっと行って参りますねお姉様」
「あ、うん。あ、リリーカさん」
「はい、何でしょう?」
「うーんとその……頑張って」
「え?」
リリーカさんから目を逸らし、オジサマと向き合って冷めかけのコーヒーを啜る。リリーカさんは可愛く首を傾げて、手招きを繰り返すおばさまと共に隣の部屋に入っていった。
ドアが閉められると同時に、母親という砲台から放たれた怒号弾幕を娘の主張弾が迎撃する。しかしそれもそう長くは保たず、際限なく繰り出される怒号弾幕に、徐々に劣勢に立たされて飲み込まれていった。待っているのはスパンキングタイムだ。
薄壁一枚だからその音が良く聞こえる。ペッチーンッと良い音が聞こえる度にリリーカさんが悲鳴をあげる。
『アンタって子はっ! 無駄遣いしてっ!』
『痛いっ、痛いっ! ソコッ、ソコばっかりダメですぅっ! あふんっ』
金銭感覚の疎いリリーカさんに大きくため息を吐いていると、オジサマが淹れたてのコーヒーをコトリ。と置いた。
「何というか、スマン」
「いえ、これは仕方ないです」
リリーカさんが目覚めてしまわない様に祈りながら、熱々のコーヒーを啜った。母は恐るべし。
青空の下、人通りが増え始めた通りをガタゴトと走る馬車があった。丈夫な木材をふんだんに使い、ドワーフの技巧師によって作られたこの馬車はとても頑丈であり、しかしこの街のどの馬車も、足元にも及ばない乗り心地を実現している。
そんな快適な車内に私だけが座り王族御用達の乗り心地を堪能していた。ちなみにリリーカさんは硬い床に膝立ちになってお尻をさすっていた。座ろうにも痛くて座れないのだそうだ。
「うう、酷いですわお母様は……」
「いや、あれは仕方がないと思うよ」
「お姉様までお母様の味方をするのですか?!」
「そうじゃないけど、リリーカさんはもうちょっとお金の使い方を学んだ方が良いと思う」
いくら宝石を入れる為の箱とはいえ、流石に二百五十万は使い過ぎだ。
「『代々受け継いだ家宝』という設定なんだから、もっと古ぼけた箱で良かったんだよ」
「そうなのですか?」
「そ。後は箱の底に布を敷いて台座の代わりにすれば、らしく見えるでしょ?」
箱から取り出した宝石を膝に置いた折ったハンカチの上に乗せる。モノがハンカチなだけに見劣り感があるが、これがちゃんとした台座なら見栄えも良くなる。
「なるほど、流石はお姉様。勉強になりますわ。……と」
急に立ち上がり、私の隣に腰を下ろすリリーカさん。未だお尻が痛いのだろう。座った際に顔を顰めた。
「急にどうしたの?」
「そろそろ着きますわ、カーン様」
そう聞いて馬車の先に視線を向ける。行く手には下層と同じ様な城壁が聳え立っているが、積み上げている石材の厚みが下層の物よりも明らかに大きくて相当な重量がある事が窺える。
その城壁の下には大きな堀があり、落とされた吊り橋を渡って上層に入る様になっている。恐らく、緊急時には跳ね橋を上げて侵入者を阻むのだろう。
跳ね橋の側では、顔までスッポリと覆われた、白の塗装が成された甲冑を着込んだ衛兵が二名、自身の背丈よりも倍以上の長さがある槍を持っていた。
「凄い城壁だね。使われている石材がぶ厚い」
「建国当時には他国からの侵略もあったそうですから、城を守る為に丈夫に作られたそうですわ」
「そうなんだ。……で、あれが門か」
中層と上層を隔てる門。その先は王族か王族に呼ばれた者のみしか入れない。一般市民にとっては聖域と言っても過言ではない場所だ。
『開門』。白い甲冑を着て赤マントを背負う衛兵の一人が叫ぶ。数多の戦に晒されてきたであろう門が、良い雰囲気を奏でながら開かれてゆく。そして、不味い。と思った。急激に加速する鼓動。表情筋が強張り、汗が流れ落ちて手足が震えだす。そんな私を見るに見かねたのか、リリーカさんの手が添えられた。
「お姉様。勝負の結果がどうであれ、私はお姉様を恨みはしませんわ。ですから、お姉様は堂々としていて下さいまし」
私の緊張を和らげる為であろうその手も言葉も、僅かながらに震えていた。歳上なのに情けない。そう自分をいきり立たせ、リリーカさんの手を握り返して微笑むとリリーカさんもまた微笑んだ。
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