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悪夢の始まり。
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そこは薄暗い場所だった。人の手で作り出された石壁に、滑らぬ様にと配慮された石畳。所々に灯るランタンから漂う獣油の臭いが鼻をつく。
「ここって……」
その場所には覚えがある。キュアノス北西に建つ灯台の地下に秘密裏に造られた盗賊のアジト。そして、私に与えられた恩恵を再認識した場所。
「誰か、居るの?」
灯りと灯りの隙間の闇で、何かが動いた音が微かに聞こえた。目を細めてその闇を凝視すると、その何かがゆっくりと灯りの下に姿を現す。それはボブヘアでポッチャリ系の女の子。この場所で同僚に殺された女の子だった。
「マリーさん……」
「どうして……どうしてあなたは生きているの?」
血の気を失った様な青白い顔で問い掛けるマリーさん。何ともなかったその口から、赤い滴が滴り落ちて胸の部分では赤い染みが広がっていく。
「私は殺されたっていうのにぃっ!」
ウロの様な黒い目からも血を流してそう叫んだ。
「まっ、待ってマリーさんっ! あなたを殺したローザは捕まえたわ」
「それが?」
「え……?」
「捕まえたから何だっていうの? それで私がありがとうなんて言うと思ったの?」
「そ、それは……」
マリーさんの言葉に口ごもる。
「そもそも、アンタが意地を張らずに全部話せば私は死ぬ事もなかったのよっ!」
赤い液体が滴る手で私の首を掴んだマリーさん。力が徐々に込められていくにつれ、呼吸をする事が困難になってゆく。もし仮に素直に話したとしても、ローザは元々マリーさんを殺すつもりだった。だからこそ魔導拘束具を二つも用意していたのだ。
「それ……は、違……う」
「いいえ、何も違いは無いわ。アンタの所為なのよ……全部、全部っ、全部ぅっ!」
「まり……さ」
目蓋がゆっくりと下がり意識が薄れる。そして、闇の中に沈んだ。
目を開けると窓の向こうに青い空が見えた。見慣れた天井、色々な物を組み合わせて作った小洒落た室内、軋むベッド。そして、お腹の上でスヤスヤと眠るにぃちゃん。……のお尻。布団の上で寝るのは構わないが、尻をコッチに向けないで欲しい。丸見えだし。
お腹の上のにぃちゃんを横にどかして起き上がる。そしてため息を一つ吐いた。事件後すぐに悪夢にうなされるのなら分かる。しかし、半月近くも経ってからあの日の夢を見るとは思わなかった。祭りのドタバタ騒ぎで忘れていただけで、私の心の奥底に引っ掛かっていたのかもしれない。私に出来る事は何だろうと考え、安らかに眠って欲しいと願う事とマリーさんの墓所に花を手向けてやる事くらいしか思いつかなかった。
そしてふと気付いた。あれから一度としてマリーさんのお墓に行ってない事に。ウォルハイマーさんがそれに関して何か言っていた様な気がするが、記憶からはスッポリと抜け落ちていた。
「にぃちゃんの飼い主鑑定が終わったら行ってきますか」
呼んだ? と言わんばかりに『にぃ』と鳴いたにぃちゃんに微笑み、私は日課と言っても過言ではない瞑想個室へと足を運んだ。
どんなに盛大なお祭りも、三日も過ぎれば人の数は相当減る。それはもう、王都であるはずのキュアノスが寂れて見えるくらいに。開催時には、横切るにも一苦労だった朝の通りを鼻歌交じりで歩いていく。営業中と書かれた札が下がるドアを押し開けると、ガラランッと来客を示すベルが鳴った。
「お早う御座いますお姉様」
向日葵の様な満面の笑顔で挨拶をする美少女。その笑顔につられて私の表情筋も笑顔になる。
「おはようリリーカさん。オジサマにおばさま、お早う御座います」
「おはようカナちゃん」
「……ああ」
無愛想だけれど、カウンターに置かれたコーヒーにオジサマの優しさを感じる。
「有難う御座いますオジサマ」
リリーカさんに負けずに満面の笑みでお礼をすると、オジサマは後ろを向いてシンクに置かれた皿を磨き始める。それが照れ隠しである事は明白だ。
「今日は飼い主さんが見つかると良いですわね」
「うんそうだね。でも、ごめんね。忙しいのに付き合わせちゃって」
リリーカさんは冠十二位会議の晩餐会に出席する為だけに学業をお休みしてこの街に戻って来ている。その祭りが終われば当然彼女も元の生活に戻らねばならない。
「平気ですわ。準備はもう済みましたので、あとは出発するだけですから。ただ、問題が無い訳ではありませんの……」
「えっ?! 問題って、まさかまたフォワールが!?」
「ああ、いえ。そうではなくてですね。……その、お姉様と離れ離れになるのが寂しいのですわ」
嬉しい事を言ってくれるのは有り難いが、面と向かって言われるとちょっと照れる。
「ですから、大きめのバッグにお姉様を詰めてお持ち帰りしようとも思ったのですが……」
と、とんでもない事を言いだしたぞこの娘は。わたしゃ愛玩動物かっ!?
「そ、そんな事をしなくてもまたすぐに会えるじゃない?」
「ええ、お母様にもそう言われました」
相談したんか!? ってか、おばさまがオーケー出したら持ち帰るつもりだったな?!
「そうよリリー。カナちゃんと一緒にシュラインへ行くんでしょ? 我慢しておいた方がより楽しめるわよ」
ここへきて知らない単語が出てきたな。
「おばさま、シュラインって何ですか?」
「あら、そういえばカナちゃんは知らなかったわね。シュラインって神聖な場所があって、年の初めにそこで願い事をすると叶うって噂なの」
つまりは初詣って事でいいのかな。
「街の北に山が聳えてるでしょう? その山の頂上に在るのよ」
「……え。あれって結構高い気がしますが……?」
キュアノス北方に聳え立つ山は富士山。とまでは全然いかないものの、それなりに高い。
「はい。キュアノスは勿論の事、隣街のクサントス。山の向こうの街クリュソス。そして東の街エリュトロスまで一望出来ますのよ」
そりゃまあ、あれだけの標高があったら何でも見えるわな……
「そ、そこまで高いと登るのに一苦労しそうですね」
「ええ。確か三時間くらいかかるかしら」
「さっ、三時間?!」
新年早々からなんというヘビーさ。初夢も悪夢一択になりそうな道のりだ。
「でもお姉様。シュラインから眺める初日の出は、とても言葉では言い表せない程に感動しますわよ」
「感動、か……。ま、まあ。その時になったら返事をするから」
ゴメン、未来の私。運命は貴女に委ねるわ。
「それよりも、そろそろ出ないと」
「そうですわね。今日はにぃちゃんにとって嬉しい日になるかもしれませんから」
カゴの中から顔を出し、呼んだ? と言わんばかりに、『にぃ』と鳴くにぃちゃん。
「それじゃ行こうか」
「はい、お姉様」
にぃちゃんが入ったカゴを持ち、お店のドアベルを再び鳴らしてリリーカさんと共に警備隊本部へと向かった。
キュアノスの東部、中層域への門と郊外へと続く下層の門のちょうど中間に位置する場所に警備隊本部は建てられていた。高い塀の内側では、校庭ほどの広さがある広場で衛兵さん達が訓練に明け暮れている。
向かって左側には、街の問題を処理する為の事務棟や衛兵さん達が住まう寮があり、私が取り調べを受けた部屋もそこにある。その建物の入口に、韓流ドラマでよく見かける意匠が凝らされた甲冑を着た男の人。ウォルハイマーさんが私達を迎えてくれていた。
「お早う御座いますリブラ様。そしてアユザワさん」
「お早う御座いますフレッド様。無理なお願いをお聞き入れ下さり、誠に感謝しております」
スカートを指で摘んで持ち上げ、カーテシーを行うリリーカさん。私も彼女に習ってカーテシーを行うも、やり慣れない事からよろめいてしまった。
「そう無理をなさらずともいいですよアユザワさん。いえ、カーン=アシュフォード殿。と言った方が宜しいですかな?」
「あ、やっぱりバレてましたか」
「それはもう。私は一度貴女に会っていますからね」
リリーカさんとのデートで会った時に、あれ? という顔をしていたから、その時にはもうバレていたのだろう。それでも何も言わなかったのは、余計な口を挟むのは失礼だと思っていたのかもしれない。
「それでは、使用していただくお部屋にご案内致します」
「はい、お願いします」
ウォルハイマーさんに導かれ、私は再び建物内に足を踏み入れた。
「ここって……」
その場所には覚えがある。キュアノス北西に建つ灯台の地下に秘密裏に造られた盗賊のアジト。そして、私に与えられた恩恵を再認識した場所。
「誰か、居るの?」
灯りと灯りの隙間の闇で、何かが動いた音が微かに聞こえた。目を細めてその闇を凝視すると、その何かがゆっくりと灯りの下に姿を現す。それはボブヘアでポッチャリ系の女の子。この場所で同僚に殺された女の子だった。
「マリーさん……」
「どうして……どうしてあなたは生きているの?」
血の気を失った様な青白い顔で問い掛けるマリーさん。何ともなかったその口から、赤い滴が滴り落ちて胸の部分では赤い染みが広がっていく。
「私は殺されたっていうのにぃっ!」
ウロの様な黒い目からも血を流してそう叫んだ。
「まっ、待ってマリーさんっ! あなたを殺したローザは捕まえたわ」
「それが?」
「え……?」
「捕まえたから何だっていうの? それで私がありがとうなんて言うと思ったの?」
「そ、それは……」
マリーさんの言葉に口ごもる。
「そもそも、アンタが意地を張らずに全部話せば私は死ぬ事もなかったのよっ!」
赤い液体が滴る手で私の首を掴んだマリーさん。力が徐々に込められていくにつれ、呼吸をする事が困難になってゆく。もし仮に素直に話したとしても、ローザは元々マリーさんを殺すつもりだった。だからこそ魔導拘束具を二つも用意していたのだ。
「それ……は、違……う」
「いいえ、何も違いは無いわ。アンタの所為なのよ……全部、全部っ、全部ぅっ!」
「まり……さ」
目蓋がゆっくりと下がり意識が薄れる。そして、闇の中に沈んだ。
目を開けると窓の向こうに青い空が見えた。見慣れた天井、色々な物を組み合わせて作った小洒落た室内、軋むベッド。そして、お腹の上でスヤスヤと眠るにぃちゃん。……のお尻。布団の上で寝るのは構わないが、尻をコッチに向けないで欲しい。丸見えだし。
お腹の上のにぃちゃんを横にどかして起き上がる。そしてため息を一つ吐いた。事件後すぐに悪夢にうなされるのなら分かる。しかし、半月近くも経ってからあの日の夢を見るとは思わなかった。祭りのドタバタ騒ぎで忘れていただけで、私の心の奥底に引っ掛かっていたのかもしれない。私に出来る事は何だろうと考え、安らかに眠って欲しいと願う事とマリーさんの墓所に花を手向けてやる事くらいしか思いつかなかった。
そしてふと気付いた。あれから一度としてマリーさんのお墓に行ってない事に。ウォルハイマーさんがそれに関して何か言っていた様な気がするが、記憶からはスッポリと抜け落ちていた。
「にぃちゃんの飼い主鑑定が終わったら行ってきますか」
呼んだ? と言わんばかりに『にぃ』と鳴いたにぃちゃんに微笑み、私は日課と言っても過言ではない瞑想個室へと足を運んだ。
どんなに盛大なお祭りも、三日も過ぎれば人の数は相当減る。それはもう、王都であるはずのキュアノスが寂れて見えるくらいに。開催時には、横切るにも一苦労だった朝の通りを鼻歌交じりで歩いていく。営業中と書かれた札が下がるドアを押し開けると、ガラランッと来客を示すベルが鳴った。
「お早う御座いますお姉様」
向日葵の様な満面の笑顔で挨拶をする美少女。その笑顔につられて私の表情筋も笑顔になる。
「おはようリリーカさん。オジサマにおばさま、お早う御座います」
「おはようカナちゃん」
「……ああ」
無愛想だけれど、カウンターに置かれたコーヒーにオジサマの優しさを感じる。
「有難う御座いますオジサマ」
リリーカさんに負けずに満面の笑みでお礼をすると、オジサマは後ろを向いてシンクに置かれた皿を磨き始める。それが照れ隠しである事は明白だ。
「今日は飼い主さんが見つかると良いですわね」
「うんそうだね。でも、ごめんね。忙しいのに付き合わせちゃって」
リリーカさんは冠十二位会議の晩餐会に出席する為だけに学業をお休みしてこの街に戻って来ている。その祭りが終われば当然彼女も元の生活に戻らねばならない。
「平気ですわ。準備はもう済みましたので、あとは出発するだけですから。ただ、問題が無い訳ではありませんの……」
「えっ?! 問題って、まさかまたフォワールが!?」
「ああ、いえ。そうではなくてですね。……その、お姉様と離れ離れになるのが寂しいのですわ」
嬉しい事を言ってくれるのは有り難いが、面と向かって言われるとちょっと照れる。
「ですから、大きめのバッグにお姉様を詰めてお持ち帰りしようとも思ったのですが……」
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相談したんか!? ってか、おばさまがオーケー出したら持ち帰るつもりだったな?!
「そうよリリー。カナちゃんと一緒にシュラインへ行くんでしょ? 我慢しておいた方がより楽しめるわよ」
ここへきて知らない単語が出てきたな。
「おばさま、シュラインって何ですか?」
「あら、そういえばカナちゃんは知らなかったわね。シュラインって神聖な場所があって、年の初めにそこで願い事をすると叶うって噂なの」
つまりは初詣って事でいいのかな。
「街の北に山が聳えてるでしょう? その山の頂上に在るのよ」
「……え。あれって結構高い気がしますが……?」
キュアノス北方に聳え立つ山は富士山。とまでは全然いかないものの、それなりに高い。
「はい。キュアノスは勿論の事、隣街のクサントス。山の向こうの街クリュソス。そして東の街エリュトロスまで一望出来ますのよ」
そりゃまあ、あれだけの標高があったら何でも見えるわな……
「そ、そこまで高いと登るのに一苦労しそうですね」
「ええ。確か三時間くらいかかるかしら」
「さっ、三時間?!」
新年早々からなんというヘビーさ。初夢も悪夢一択になりそうな道のりだ。
「でもお姉様。シュラインから眺める初日の出は、とても言葉では言い表せない程に感動しますわよ」
「感動、か……。ま、まあ。その時になったら返事をするから」
ゴメン、未来の私。運命は貴女に委ねるわ。
「それよりも、そろそろ出ないと」
「そうですわね。今日はにぃちゃんにとって嬉しい日になるかもしれませんから」
カゴの中から顔を出し、呼んだ? と言わんばかりに、『にぃ』と鳴くにぃちゃん。
「それじゃ行こうか」
「はい、お姉様」
にぃちゃんが入ったカゴを持ち、お店のドアベルを再び鳴らしてリリーカさんと共に警備隊本部へと向かった。
キュアノスの東部、中層域への門と郊外へと続く下層の門のちょうど中間に位置する場所に警備隊本部は建てられていた。高い塀の内側では、校庭ほどの広さがある広場で衛兵さん達が訓練に明け暮れている。
向かって左側には、街の問題を処理する為の事務棟や衛兵さん達が住まう寮があり、私が取り調べを受けた部屋もそこにある。その建物の入口に、韓流ドラマでよく見かける意匠が凝らされた甲冑を着た男の人。ウォルハイマーさんが私達を迎えてくれていた。
「お早う御座いますリブラ様。そしてアユザワさん」
「お早う御座いますフレッド様。無理なお願いをお聞き入れ下さり、誠に感謝しております」
スカートを指で摘んで持ち上げ、カーテシーを行うリリーカさん。私も彼女に習ってカーテシーを行うも、やり慣れない事からよろめいてしまった。
「そう無理をなさらずともいいですよアユザワさん。いえ、カーン=アシュフォード殿。と言った方が宜しいですかな?」
「あ、やっぱりバレてましたか」
「それはもう。私は一度貴女に会っていますからね」
リリーカさんとのデートで会った時に、あれ? という顔をしていたから、その時にはもうバレていたのだろう。それでも何も言わなかったのは、余計な口を挟むのは失礼だと思っていたのかもしれない。
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