私のアレに値が付いた!?

ネコヅキ

文字の大きさ
65 / 235

六十五

しおりを挟む
 相手はかなりの強敵だった。ドアを開けると同時に感じた異様な気配は、むせ返る様な塊を放って私に攻撃を仕掛けて来た。私はその攻撃をかわす事なく敢えて全身で受け止め、水属性の攻撃魔法を幾度となく放ってやっつける事が出来た。窓を大きく開け放って換気をしているものの、室内には僅かにアノ香りが残っている。戦闘が熾烈を極めた証拠だ。



「ハア……。明日からどうしよう……」

 大声を出してしまったが為に、ルレイルさんギルドマスターと衛兵さん達だけに止まらず、先輩方や受付に並んでいる人達にまで聞かれてしまった。

 『逃げ出そうか』とも考えたが、首に下がる魔法の首輪チョーカーがある為に、何処へ隠れても捕まるのは目に見えている。

「借金返済まで一年……か」

 この強制羞恥プレイ。耐えられるのか? 私。

 どうしたものかと考えていると、トントン。とドアを叩く音。それに応えてドアを開けると、ソコにはリリーカさんが立っていた。

「こんにちは、お姉様。お久しゅう……何か臭いませんか……?」

 う……

「ん、んまあちょっと訳アリで……」
「そうなのですか? お姉様、魔法を使わせて貰っても宜しいですか?」
「え……? ええ、良いわよ」

 一体何をするつもりなんだろう……?

「では。木の精霊ドライアース。契約に基づき我の元に来たれ」

 構えた杖の先にポウッと淡い緑色の光が灯る。その光が弾けると、中から小さな女の子が現れた。上半身は裸で脚は木の根の様になっていて、頭には髪の毛の代わりに木の枝が生えて葉が生い茂る。やだ、ちっちゃくて可愛いっ。

「汝が清浄の力以て、不浄なる部屋を浄化せよ」

 ちっちゃな女の子がコクリ。と頷くと、クルクル。と室内を飛び回る。その度に室内に残っていたアノ香りが薄れてゆき、彼女が役目を終えて消える頃には、雄大な自然の中に居る様な錯覚を覚えた。

「終わりましたわ」
「すごーい」

 パチパチ。と手を叩き賞賛する。『そんな事ない』と言って照れた姿がカワイイ。思わず抱き締めたくなる程だ。



「この数日、お姿をお見掛けしませんでしたが、何方かへお出掛けになられていたのですか?」
「ううん。ずっと仕事してたの」
「仕事。ですか?」
「ええ、港の『アルカイック』ってギルドで住み込みで働いているのよ。今日はたまたま部屋の風通しに戻って来たの」
「あ、そうなんですね」

 ホッ。なんとか誤魔化せた。

「リリーカさんはどうだった? 晩餐会」

 豊穣祭開催三日目に催されたと思しき晩餐会。豪華な食事が並び、優雅な音楽と共に参加者が華麗に舞い踊る。そんなイメージを持っていた。

「その事でお姉様にお願いがありますの」

 神様に祈る様な仕草で胸の前で手を合わせ、目を潤ませながら上目遣いで懇願するリリーカさんに、それは反則だよう。と思っていた――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。 逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、 “立て直す”以外の選択肢を持たなかった。 領地経営、改革、そして予想外の縁。 没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。 ※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...