私のアレに値が付いた!?

ネコヅキ

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七十六

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「ん……」

 目を覚まし、生きている事に安堵する。そして、私を見下ろす微笑みに驚いて飛び起きた。そしてまた驚く。不思議な事に身体に受けたダメージは残っていなかったからだ。

「おはよぉカナちゃん。オナカ空いたでしょー? ゴハン持ってきたよぉ」

 あいも変わらずムカつく程に言葉を間延びさせて、マリー先輩がコトリ。とトレーを石畳に置いた。トレーに置かれているのはコッペパンが二個と湯気が立つシチューの様なスープ。

「要らないわ」

 彼女はおはよう。なんて言っていたが、お腹具合からして、そんなに時間は経過していない様に思えた。

「えー。そんな事言わないで食べてよぉ。マリーだけはぁカナちゃんのぉ、み・か・た。だからねぇ。さっきもぉ、マリーが止めなきゃカナちゃん死んでたんだよぉ」

 確かに意識を失う直前でそんなやり取りをしてた。だからといって味方である保証は何処にもない。

「だからぁマリーにだけわぁ、お・し・え・て?」

 ホラね。表面上いくら善人ぶっても、コイツも同類なんだ。

「だから言ったでしょ? 魔物のう――だって。欲しければ森に踏み入って探しなさい」
「チッ」

 私の顔を睨み付け、舌打ちするマリー先輩。と、その背後の物陰からローザ先輩が姿を見せた。

「マリー……アンタ演技が下手ねぇ」
「そんな事はないよぉ、カナちゃんがかたくななだけぇ」

 ローザ先輩とやり取りをしているその隙を突き、マリー先輩を背後から羽交い締めにする。

「な、何するのよぉカナちゃん」
「動かないで! 電撃を使えば、仲間パートナーも巻き添えを食う事になるわ」
「ひっ!」

 このままマリー先輩を人質にして表に出る。人目に付く所に出てしまえば、手出しする事は出来ない。そしてそのまま衛兵詰所に駆け込む。そう思っていた。が――

「あぐぅぅっ!」
「きゃぁぁぁっ!」

 な……躊躇ちゅうちょ無く……

「バカね。そんな使えないコ、パートナーな訳が無いじゃない。私のパートナーは……タッくんだけよっ!」

 強い電撃が浴びせられる。

「うぐぁぁぁっ!」
「ぎゃぁぁぁ……あ……あ……」

 いけないっ、マリー先輩がっ! マリー先輩を前へと押しやると、彼女は膝から崩れ落ちる。そして、私の方を振り向いた。

「え……? 何で……?」

 そう言われても私にも分からない。ただ気付いたらそうしていた。

「う、うああぁぁっ!」

 益々強くなる電流。身体中が悲鳴を上げる。最早立つ事もままならず、石畳の床を転げ回る。辛い、苦しい、早く……早く私を殺して。この苦しみから解放して。その思いだけが頭の中を駆け巡っていた――
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