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七十八
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狂気を含んだ濁った目が私を見下ろしていた。妖しく彩られた銀の刃からポタリ、ポタリ。と垂れ落ちる赤い液体は、私のモノなのか床で事切れているマリー先輩のモノなのか最早分からない。
「さあっ、教えて頂戴っ。金鉱の入手先をっ!」
鉱物の正体が私のアレだと知れれば、この苦しみは私が死ぬまでずっと与えられ続ける事だろう。しかし、これを拒否すれば……。どちらにしろ、私の取るべき道は一つしか無かった。
「森の中を探しなさい」
「そう、成る程ね……。アンタもバカね。言えば生きていられたのに…………じゃあっ! 死ねえええっ!」
赤い液体が辺りに飛散した。銀の刃が振り下ろされる度に、私の中に入り込む。何度も何度も何度も何度も……。ソレを行いながら彼女は笑っていた。笑いながら短剣を振り下ろしていた。その顔を紅に染めながら……
死の恐怖はあった。しかしそれは途中で別なモノに置き換わった。この世界に来て一ヶ月と少し。第二の人生も短命だったな。と思いつつ、苦しみから解放される事に私は喜んでいた――
「ん……」
意識が覚醒する。眼前に広がる光景は、真っ白な花が咲き乱れて、ソレが延々と地平線まで続く。側には、花にも負けない真っ白な翼を持つイケメンが、半裸で優しく私を見守ってくれていた。訳ではなく、冷たい石畳が触れた頬から伝わって来ていた。
「あ、あれ……?」
身を起こしてそのままペタン。と座り込む。側には驚いた表情で事切れているマリー先輩が放置されたままで他には誰も居ない。
「死んで……ない?」
腕を持ち上げ両掌を見つめる。穿たれた傷は何処にも無かった。それどころか、幾度となく刺された身体の傷すらも何処にも見当たらなかった。
誰かが回復魔法を掛けた……? いや、あの時確かに私は死んだ。殺された。私を中心に広がる赤いシミ。そして、衣服に付着した夥しいシミがソレを物語っている。
「なん……で?」
こちらの世界に来る時に、あのイケメン天使が何かをしたのだろうか……? と、ふと彼の言葉が思い出された。
「不老……不死!」
死して楽になる事も許されない。というの……? そう思うだけで背筋がゾッとした。と同時に、この能力は他人に知られてはいけない。と、そう思った。
この事がヒトに知られれば、今回の様に薄暗い地下牢に閉じ込められて、私はもう二度と陽の下に出られる事は無くなるだろう。死ぬことも出来ずに辛く苦しい孤独を味わわなくてはならない。永遠に……
「そんなの、いや……」
両膝を抱えて身を固め、湧き上がる残酷な未来に怯えるしかなかった――
「さあっ、教えて頂戴っ。金鉱の入手先をっ!」
鉱物の正体が私のアレだと知れれば、この苦しみは私が死ぬまでずっと与えられ続ける事だろう。しかし、これを拒否すれば……。どちらにしろ、私の取るべき道は一つしか無かった。
「森の中を探しなさい」
「そう、成る程ね……。アンタもバカね。言えば生きていられたのに…………じゃあっ! 死ねえええっ!」
赤い液体が辺りに飛散した。銀の刃が振り下ろされる度に、私の中に入り込む。何度も何度も何度も何度も……。ソレを行いながら彼女は笑っていた。笑いながら短剣を振り下ろしていた。その顔を紅に染めながら……
死の恐怖はあった。しかしそれは途中で別なモノに置き換わった。この世界に来て一ヶ月と少し。第二の人生も短命だったな。と思いつつ、苦しみから解放される事に私は喜んでいた――
「ん……」
意識が覚醒する。眼前に広がる光景は、真っ白な花が咲き乱れて、ソレが延々と地平線まで続く。側には、花にも負けない真っ白な翼を持つイケメンが、半裸で優しく私を見守ってくれていた。訳ではなく、冷たい石畳が触れた頬から伝わって来ていた。
「あ、あれ……?」
身を起こしてそのままペタン。と座り込む。側には驚いた表情で事切れているマリー先輩が放置されたままで他には誰も居ない。
「死んで……ない?」
腕を持ち上げ両掌を見つめる。穿たれた傷は何処にも無かった。それどころか、幾度となく刺された身体の傷すらも何処にも見当たらなかった。
誰かが回復魔法を掛けた……? いや、あの時確かに私は死んだ。殺された。私を中心に広がる赤いシミ。そして、衣服に付着した夥しいシミがソレを物語っている。
「なん……で?」
こちらの世界に来る時に、あのイケメン天使が何かをしたのだろうか……? と、ふと彼の言葉が思い出された。
「不老……不死!」
死して楽になる事も許されない。というの……? そう思うだけで背筋がゾッとした。と同時に、この能力は他人に知られてはいけない。と、そう思った。
この事がヒトに知られれば、今回の様に薄暗い地下牢に閉じ込められて、私はもう二度と陽の下に出られる事は無くなるだろう。死ぬことも出来ずに辛く苦しい孤独を味わわなくてはならない。永遠に……
「そんなの、いや……」
両膝を抱えて身を固め、湧き上がる残酷な未来に怯えるしかなかった――
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