183 / 235
百八十三
しおりを挟む
にゅるり。と件のアレが顔を出し、オギャアという声の代わりにゴトッ。とした音を立てた。便秘かもと疑っていたが、薬が効いたのか、はたまた気の所為だったのかは分からない。終わってみれば通常通り、白磁の器に銀に輝く我が子が産み落とされていた。
慣れというものは怖いモノで、初めは手袋を嵌めたりして持ち出していたのだが、最近では素手で持ち出している。……女として何か大事なモノを失っている気がするなぁ……
そういえば昔、とある牧場で小さな女の子が一生懸命何かを作っているのを見掛けて尋ねた所、『羊さんから出て来る土でお団子作ってるの』と可愛い笑顔で応えられ、顔を引きつらせながら『お嬢ちゃん、ソレ土じゃないっ』と内心でツッコミを入れていた事があったが、それに比べればまだマシか。
「さて、どうしたものか……」
普段なら持ち出して一応綺麗に洗うのだが、今は個室の外にリリーカさんが居るので持ち出す訳にはいかない。不老不死の能力は打ち明けたが、コッチはまだ話していないのだ。
『あ、あの……お姉様。私も、その……お借りして宜しいですか?』
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
事態は急を要した。盛られた鉱物を拾い上げ、どうしたものかと周囲を見回す。隠せる様な場所は皆無。置物として置いておくのも論外だし、花瓶で通すには苦し過ぎる。掛けてあったタオルに目が止まり、我が子を包み込んでドアを開けた。
ドアの外ではリリーカさんが、軽く握った拳を口に当て、視線を逸らして恥ずかしそうに俯きながらモジモジしていた。その姿に思わず抱き締めたくなった。
「た、タオル汚れてたから変えるね」
クローゼットを開けてアレを包んだタオルを置き、新しいタオルに変える。
「はい。コレ使って」
「あ、有難う御座います……お借りしますね……」
差し出したタオルを受け取り、個室のドアが閉じられると、ドッと疲れが押し寄せた――
リリーカさんが出るのを待つ間、着替えを済ませる為にクローゼットの戸を開ける。着ていたワンピースを脱いでベッドの上に放り投げ、下着姿のままでハンガーに掛かっている服を眺めながら、今日はどれにしようか思案する。この世界では、元の世界でいう所の中世ヨーロッパ風の洋服が主流だが、近年ディアンドルというドイツの民族衣装の様な服も人気が出てきている。素材は綿で、絹素材は高級品なので貴族の人くらいしか着ない。
「今日はこれにしよう」
選んだ服はドイツの民族衣装ディアンドル風の服。シックな物から可愛い物まで多彩なバリエーションがあり、人気急上昇中の服だ。着替えを終えてクルリ。と振り返ると、私を視姦する視線とぶつかった――
慣れというものは怖いモノで、初めは手袋を嵌めたりして持ち出していたのだが、最近では素手で持ち出している。……女として何か大事なモノを失っている気がするなぁ……
そういえば昔、とある牧場で小さな女の子が一生懸命何かを作っているのを見掛けて尋ねた所、『羊さんから出て来る土でお団子作ってるの』と可愛い笑顔で応えられ、顔を引きつらせながら『お嬢ちゃん、ソレ土じゃないっ』と内心でツッコミを入れていた事があったが、それに比べればまだマシか。
「さて、どうしたものか……」
普段なら持ち出して一応綺麗に洗うのだが、今は個室の外にリリーカさんが居るので持ち出す訳にはいかない。不老不死の能力は打ち明けたが、コッチはまだ話していないのだ。
『あ、あの……お姉様。私も、その……お借りして宜しいですか?』
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
事態は急を要した。盛られた鉱物を拾い上げ、どうしたものかと周囲を見回す。隠せる様な場所は皆無。置物として置いておくのも論外だし、花瓶で通すには苦し過ぎる。掛けてあったタオルに目が止まり、我が子を包み込んでドアを開けた。
ドアの外ではリリーカさんが、軽く握った拳を口に当て、視線を逸らして恥ずかしそうに俯きながらモジモジしていた。その姿に思わず抱き締めたくなった。
「た、タオル汚れてたから変えるね」
クローゼットを開けてアレを包んだタオルを置き、新しいタオルに変える。
「はい。コレ使って」
「あ、有難う御座います……お借りしますね……」
差し出したタオルを受け取り、個室のドアが閉じられると、ドッと疲れが押し寄せた――
リリーカさんが出るのを待つ間、着替えを済ませる為にクローゼットの戸を開ける。着ていたワンピースを脱いでベッドの上に放り投げ、下着姿のままでハンガーに掛かっている服を眺めながら、今日はどれにしようか思案する。この世界では、元の世界でいう所の中世ヨーロッパ風の洋服が主流だが、近年ディアンドルというドイツの民族衣装の様な服も人気が出てきている。素材は綿で、絹素材は高級品なので貴族の人くらいしか着ない。
「今日はこれにしよう」
選んだ服はドイツの民族衣装ディアンドル風の服。シックな物から可愛い物まで多彩なバリエーションがあり、人気急上昇中の服だ。着替えを終えてクルリ。と振り返ると、私を視姦する視線とぶつかった――
0
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国の物語 ~聖女追放小説の『嫌われ役王子』に転生してしまった。~
猫野 にくきゅう
ファンタジー
国を追放された聖女が、隣国で幸せになる。
――おそらくは、そんな内容の小説に出てくる
『嫌われ役』の王子に、転生してしまったようだ。
俺と俺の暮らすこの国の未来には、
惨めな破滅が待ち構えているだろう。
これは、そんな運命を変えるために、
足掻き続ける俺たちの物語。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる