三島くんと篠崎さん

ルーシュ

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そして次の日。 

眠りから覚めた俺は二日酔いの激しい頭痛に苦しみながら、隣りで寝ている女の 
子を起こした。 

起きた女が成美だと知った俺は、一瞬頭痛が吹っ飛んだのを今でも鮮明に覚えている。…………次の瞬間には頭痛は五倍になっていたのは言うまでもないが。 

頭が割れそうな痛みに襲われながらも、俺は状況の把握を急いだ。 

そして、つまり自分が誘った女は成美だったのだ、というそれだけのことを、十分以上かかったってやっと理解した。 

その間に成美はバスルームでシャワーを浴び、俺の目の前で服に――――と言っても昨日の服だが――――着替え、いつでも出られる用意をする。 

男に裸を見られても何も感じないのかと一瞬訝しんだが、昨夜は裸を見る以上のことをしたんだよな、と気付き、俺は頬が赤くなったのを感じた。 

そんな考えを首を軽く振って追い出し、俺も取り敢えずここから出よう、とベッドからおりて―――― 

――――俺は、見た。 

シーツに、赤い染み。 

思わず、成美に目がいく。 

だが彼女は無表情で俺を見ているだけ。 

…………いまや頭痛は十倍になっていた。









その後すぐにホテルから出て、俺達は駅前のモスへ。 

アイスティーを一気に半分ほど飲み、改めて成美を見る。 

彼女は起きてすぐだというのに、オニオンリングを食べていた。

(んん…………) 

胸中で、頭を抱える。 

俺は今まで、三人の女と付き合ってきた。 

その中の一人は、体の関係の後に付き合い始めている。 

ただそれはもともと、どこかヤリ逃げのような後ろめたさがあって付き合い始めただけなので、当然そんな関係は三ヶ月ももたなかった。 

(今回も、同じかもな) 

もし付き合ってみてもすぐに駄目になるかもしれない。 

それに何より、相手はあの不思議少女だ。何がどうなるか、分かったものではない。 

(…………だけどなぁ) 

どうしてか知らないが、その時俺は、このまま何事もなく終わる、という選択肢に迷いがあった。 

理由は無い。なんとなく、だ。 

そして、俺は思い切って、彼女に聞いてみた。 



「俺と付き合ってみる?」 



すると、答えはすぐ返ってきた。 



「ん」 



こうして、ここに一組のカップルが成立したのである。
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