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カンフレーが待っているもの
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<ご隠居>は屋敷の敷地の裏山に建つ小屋に住んでいた。
小屋は、土の壁、草を積んだ屋根と、ステレの山小屋を彷彿とさせるこじんまりとしたもので、ステレは焼け落ちた屋敷より、魔の森の山小屋を懐かしく思う自分に少し驚いてみたりもした。
戸を開けると、小屋の中には煙の匂いが染み付いていた。鼠避けや乾燥のために、所かまわずぶら下がった根菜やら何やらを避けて小屋に入ると、<御隠居>は一つしか無い椅子をステレに奨め、土間の隅から錫のカップを持ってきて卓に並べた。自分はどっかと寝台に腰掛けると、ステレを連れて小屋に戻る際にドルトンから押し付けられた陶器の瓶の栓を抜いた。小屋の中にワインの香りが広がる。
「気の回る男だな」
そう言うと、ステレと自分のカップにワインを注いだ。
「ドルトンのおかげで今まで生きていられました」
思わぬ言葉に、<御隠居>は片眉を僅かにあげてステレを見た。
それは、自慢の友人を家族に紹介する、そんな口調に<御隠居>には思えたのだ。獣人の商人を信頼しているだけでなく、ある種の敬意を持って接している。そんなふうに。
只人至上の王都の毒に染まらずに済んだなら良いことだ…と思える。
「俺の話の前に、まず今まで何があったか話してみろ」
「……はい」
ステレは、自分が騎士を目指していたこと、グリフの誘いを受けて生きる道を見つけたこと、郷が襲撃を受けて逃げ出し、付いてきた家臣を全て失い、自身も致命傷を負って鬼人になったこと。山へ引き篭もったが、夢で両親の死を認めカンフレーに来る決意をするまでを話した。
かなり大雑把な内容だったが、それでも長い長い話になった。既に日は暮れ、小屋の中には獣脂の燃える匂いが漂っている。
「そうか……辛い目に遭ったな……」
<御隠居>は、そう一言だけ言うと、そのまましばらく黙り込んで、何事かを考えていた。
「…内戦が終わったあと、なんですぐ帰って来なかったんだ?」
「怖かったんだと思います」
逃げたクヴァルシルでカーラが処刑されたと聞いた時、ステレの心はその現実を拒否してしまった。記憶を押し込め、石棺に封じ込めてしまう悲しい自己防衛。そして抑制された感情。目の前で家臣が死んでも、すぐに遠い昔の物語のように心の奥底に押し込めてしまう。いくら悲しくとも、決して涙が流れることは無かった。ただただ傍観者のような視点で、ステレは自分自身が絶望して行くのを見ていた。そうしなければ、アルカレルの屋敷で暴れたように、ステレの心は張り裂けてしまっていただろう。だかろこそ、否応なくその事実を突きつけられる故郷には帰れない。
だが同時に、それを無かったことにはできなかった。
それだけはできない。家臣が死んで行くごとに、ステレの心には石棺が積み上がっていく。それを捨ててしまったら、ステレは鬼人ではなく本当の鬼になってしまう。その重石こそが、ステレに僅かに人の心を残していたのだが、今ではその重石がステレを苦しめている。関わった者全てに死を振りまく鬼人。自分をそう思ったとき、愛する人々の側には居られない。
「それで、どうしてくる気になったんだ?」
「夢で母様にボコボコに殴られて、皆の死を認めるのが怖くて、無理矢理忘れていたことに気づきました。親しい人が死ぬのが怖くて、私自身が人を避けていたことにも気づきました。そう気づかせてくれた人とと共にあるためには、現実を認めなければと思ったのです。………でもダメでした。やっぱり怖くて怖くて一歩も進めませんでした」
消え入りそうな声でそう言った。
「むぅ…」
<御隠居>は唸る。
重症だと言わざるを得ない。
本来ならば傷を癒すはずの郷の生き残りが、ステレには重荷になってしまっている。だからステレは誰にも会わずに済む山の中に逃げ込んだのだ。そこでそのまま生を終えるつもりだったに違いない。
ステレの話した物語で、ステレがそう思い込んでいる理由は予想が着いたが、こればかりはステレが納得しない限りはどうしようも無いのだ。
(馬鹿な子だ…)
そう思いながらも、<御隠居>は孫娘の心を少しでも軽くしてやりたいと願っていた。
ステレを見ていると、馬鹿な孫は、馬鹿な娘の100倍(カーラ比)かわいいものだと思える。
「まず、俺から見たらどうしょうも無い娘だが、それでもカーラの言い分が正しい」
「え?」
「アイツらは好き放題、やりたいことやって死んだんだよ。これは本当だ。クリークスはカーラのためなら平気で命を捨てるし、カーラはクリークスが死んだらもうこの世に生きてる甲斐なんぞ無いってくらい惚れこんでた。だからって、子供放っといて死ぬとか無いがな。何考えてやがるんだ、あのバカは。……まぁとにかくそういう訳だから、お前が気に病む必要はねぇよ」
「そ、それでも、私が王家の不興を買ったからこそ、郷が襲撃を受け…」
「さぁ、そこだ」
<御隠居>がステレの言葉を遮る。
言いかけたステレが口をつぐむと、<御隠居>はそのまま続ける。
「そもそも、カンフレー家が王家の不興を買った理由は、カーラの結婚が原因でな。もっと正確に言えば、王都にゃ王に助言をする円卓って連中が居るんだが、そこの意向を無視して、王に許可貰ってクリークスと結婚したんだよ。だからカンフレーを排除したかったのは王家じゃなくて恥をかかされた円卓だな。前の王は円卓の頭と懇意でな、円卓が王にウチを潰す命令を出させたんだろ」
「…ですが、使者は私がグリフ殿下に忠誠を捧げたのが、討伐の原因だと言っていました」
「それが、カンフレー家が鬼の子孫だって出自に係ることでな。円卓の爺ィ共は、当時の貴族の不審死は全部鬼の仕業だと思ってたらしいんだな。実際は偶然なんだが。馬鹿だねぇ~」
<御隠居>やれやれといった顔で、杯をあおると、手酌でワインを継ぎ足してた。
「円卓としちゃ、円卓を信用しないキブト王が決定的な力を持ち、自分達がないがしろにされることは何としても避けたかった。そんなときにウチはカーラに代替わりしたんで、女当主が一人ってのは連中からすりゃの千載一遇のチャンスに見えた。カンフレーの当主になりゃ、鬼人を思うままに動かせると思ってやがったんだよ。『只人の婿』の言うことなんぞを鬼人が聞く訳ねぇのによ。とにかく、円卓は手下を『カンフレー男爵』として送り込もうとした。ところがカーラは円卓の押し付けようとした婿を蹴っちまった。鼻で笑いながらな。その後、生まれた子は…」
そこまで言うと、杯を持ったまま人差し指でステレを指さした。
「また一人娘だけだったから、今度こそと思った。今度の王は円卓と良好な関係だから、王に忠誠を誓うようなら問題はない。そしたら今度は王弟に付いちまったんで焦ったんだろ。で、思い通りにできないなら、いっそ王弟ごと潰してしまえと」
ステレは、初めて聞く話をポカーンとした表情で聞いている。
「鬼人を思うままにって…そんなことができると思われていたのですか?」
「うん、ここからはその話、俺が伝えたかった本題だ」
「は、はい」
「元々カンフレーは、200年近く前の再統一戦争の終わりにな、建国王を気に入ったウチの先祖が鬼人を引き連れて合力してやったってのが付き合いの発端でな、そん時に、ここの土地をくれてやるには、貴族にならなきゃダメだからってんで、形だけ家臣になったんだよ。好きに生きていいって約束でな。それがなんだか、いつの間にかに王国に忠誠を捧げなきゃダメって、他の貴族と一緒にされてまってな。約束事は魔銀板にでも刻んで残しておかねぇとダメだな。とにかく、お前は思うままに生きて、何も恥じるこたぁねぇんだよ」
ステレは必死に思考を動かし、情報を整理しようとするが、どうしても追いつかない。
「……本当に鬼の子孫なのですか?」
「あぁ、本来はカーラがお前に伝えなきゃならないことだ。な、自由で良いんだよ。忠誠なんぞ、進んで狗になりたい奴らにやらせりゃいいのさ」
「で、でも、お爺様も母様も王家に忠誠を誓ってらしたのでは?」
「俺か?、面倒くさかっただけだよ」
「面倒くさい?」
「価値観が違うやつを説得するのは、すげぇ面倒くさいのよ」
<御隠居>は『うーん』と、言葉を選ぶためなのか、暫く思案していた。
「例えばそうだな…お前は、女だてらに剣を振り回して身を立てようとしてたそうだけど、それを非難されたとき、その相手が納得するように説得しようと思うか?」
「思いません…というか、無理だと判っていますので」
「そういうことよ。貴族ってのは、土地の所有を保証してもらう代わりに忠誠を捧げるってもんだが、俺達はそんなもん保証されなくても、好きに生きて行けるのさ。だが、いくら『王国の守護など要らない』そう言ったって、貴族の恩恵が当たり前と思ってる連中には理解できないのさ。なにかしら思惑があると深読みして来るに決まってる。だから俺は『ハイハイ忠誠忠誠』って言ってた。それで丸く収まるなら面倒が無いからな」
そう言われて、ようやくステレにも理解することができた。
結局の所、ステレもグリフが居なければ、面従腹背で生きるしか無かったのかもしれないのだ。
「カーラは俺とは違うな。アレは心底忠誠を誓っていた。うちの初代と同じく、王家じゃなくて王にな。確かにあの王様はまぁ、なかなかの傑物だったからな」
夜会で相対したキブト王の姿が蘇る。王はステレの無礼を許し、カンフレーの無礼を許し、カーラは満足げに礼を尽くしていた。王は、カンフレーと王家の関係を承知していたのだろう。
「ま、カンフレー当主のやるこった。好きにすりゃいいのさ」
「……では…どうして、母様の結婚に反対されたのです?」
そう問われると、<御隠居>は、一転して酷く気まずい表情になった。
ほんの僅か、言うべきか迷っていたようだった。
「そりゃあ………いつかあぁなるって判っていたからだよ……」
ステレははっと息を飲む。
権力の頂点に立つ者は、権力に反する者を許さない。そうでなければ権力たり得ないのだから。キブト王は例外中の例外なのだ。グリフの元に行きたいと願った時、カーラは王家に忠誠を尽くすようステレに忠告した。<御隠居>と同様に、あの時カーラには結末が既に見えていたのだろうか…。
「言っておくが、カーラは屁とも思って無かったからな?。郷が襲撃されるのも、住民家臣が死ぬのも、自分が死ぬのも、全部覚悟の上だ。あれは骨の髄までカンフレーだったからな。親の言う事なんぞ聞かないと判っていたさ。それでもな、親としちゃ娘に危ない橋は渡って欲しくなかった……後はまぁ、クリークスの嫁にするのが気に入らなかったってのもあるが」
「親として…」
「まぁ何にしろ、ここの領民も家臣もカンフレーだ。気に入らねぇ奴相手なら、相手が10万だろうが100万だろうが関係ねぇ。一直線にブン殴りに突っ込む連中だよ、お前が考えてるほどヤワじゃねぇ」
言いながら、<御隠居>には、ステレに自分の言葉が半ばしか届いていないことに気づいていた。ステレは半分しか重荷を下ろせていない。残り半分は放浪していた3年の間に背負ったものだ。旅を共にしていなかった自分には手が出せない領域だ。
「なぁ、ステレ、お前は生き残ったことを後ろめたく思ってるのかも知れんが、俺は嬉しくて嬉しくて仕方ないんだぜ。俺はこんなだから、もう順番通りに死ぬなんてのは諦めてたさ。それでもな……それでも、子供に早く先立たれるほど辛い事はねぇよ。孫のお前が生きて顔見せに来てくれただけでも嬉しいんだよ。だから、生き残ったことを恥と思うようなことはやめてくれ」
「それは……はい…大丈夫です…」
ドルトンとオーウェンと、それに多くの人に支えられたことを自覚した今、ただ死を待つだけの生では無くなった。それだけは自信を持って言える。<御隠居>も、それを感じ取ったらしく、頷くとかまどの火を熾し始めた。
「飯食って寝よう、続きは明日だ」
<御隠居>は、鍋から大麦の粥を椀に取ると、ステレに渡した。焼いて削いだ山鳥らしい肉をその上に乗せ、二人で、黙って粥を口に運ぶ。
「どうだ、ステレ。ここに戻って住むつもりは無いか?」
匙を持つ手を止め、暫く考えていたステレは、首を横に振った。
「なんでだ?」
おそらく、そう答えるだろうと予想がついていたのだろう。<御隠居>は、落胆する様子も見せず、問うた。
「私は…やはり、この郷に不幸をもたらしたと思われているかと…」
「まぁだそんなこと考えてるのか?大丈夫だって言ってるだろ」
「だけど、家の墓に私の名はありませんでした」
「あぁ、あれか。そりゃ、お前が生きてるって判ってたからな」
「え?」
「鬼人はもうだいぶ人数減ってな。もうだいたい誰がどこで何してるか消息が判るんだよ。お前が死んだって噂の後に、王弟に新たに鬼人が加わったって噂が流れた。調べたが、それらしい鬼人は見つからねぇ。あぁ、ステレが薬を使って鬼人になったんだって、すぐ判ったよ」
「で、でも」
「俺はこうして生きてるのに、墓にはちゃんと名前があるが、そっちの方がおかしいと思わんか?」
<ご隠居>はケラケラと笑った。
「疑うなら、明日俺と来い。顔見せて『鬼になったお嬢だ、俺の孫だ』って紹介してやるよ。間違いなく皆泣いて喜ぶよ」
陽気に請け負う<御隠居>だが、ステレはうなずくことができなかった。
一つしか無い寝台を押し付け合い、結局ステレが寝台を使うことになった。<御隠居>は、何かの毛皮らしい物を何枚か引っ張り出すと体に巻き付けて壁を背に座り込んだ。
「一つだけ……聞かせてください。屋敷が襲撃されたとき、助けていただく事はできなかったのでしょうか」
「今はこうして近くに住んでるが、あの頃は山二つ向こうに住んでた。気が付いて駆け付けた時は全て終わった後だったよ。それに、カーラは俺に知らせも送らなかった。………たかが結婚相手で喧嘩して俺を勘当したのはな……カーラも、いつかあぁなるかもしれないって判ってたんだよ。だから俺を家から追い出したんだ、鬼を巻き込まないようにな」
暗闇の小屋の中に、静かな声が響く。声は平板で、どんな思いが込められているのか判らない。
だが、<御隠居>は、自分を頼って欲しかったに違いない。ステレにはそう思える。
ステレは、誰にも会わずカンフレー領を去ることにした。
<御隠居>にも何も言わず、明け方前にそっと小屋を抜け出した。
(我儘ですみません。私には領主なんて無理だし、皆を背負うのは無理だと判っています)
声に出さず、戸口に向かって頭を下げると、白み始めた空の明かりを頼りに山道を下って行く。
屋敷の跡に戻ると、まるでステレがこうするであろうと予測していたかのように、ドルトンはすっかり準備を整えて待っていた。
「よろしいので?」
「まだ私には正面から受け止める力が無かったわ」
言いながら御者台に座る。
ドルトンは余計な事は一切聞かない。
「承知しました」
ドルトンはゆっくりと馬車を出した。
馬車は下り坂の方が注意しなければならない。馬を抑え、車輪に制動をかけながら、ゆるゆると坂を下って行く。
集落を出る頃にはすっかり朝日が昇っていた。
何事かの気配を感じ、視線を動かしたステレははっとした。谷の向かい側で、郷の皆が手を振っていた。
怖くて、正面から顔を見ることができなかった。視線を合わせることさえできなかった。そんな皆が、揃って手を振ってくれている。
ステレは呆然と見開いていた目を閉じ、くしゃくしゃになった顔で俯いた。
ステレは、死を目の当たりにしても泣けなくなっていたた。今も、感情がすんでの所で抑えつけられている。もはや感情で涙を流すことはできないのかもしれない。だが、ステレはそれで良いと思っている。冥府の領民と、家臣と、戦友と会うまでは、泣くことはできない。
「よろしゅうございましたな。……落ち着いたらまた参りましょう」
手綱を取るドルトンが、つとめて明るい声で言った。
ステレは、無言のままただ頷くことしかできなかった。
ステレ達の乗った馬車が見えなくなると、郷の者たちはみな家に戻って行った。<御隠居>とダナンだけが、もう姿の見えなくなった山道を見ている。
「なんで?って顔してたな。バレバレだったって気づけよ……」
そう悪態を付く<御隠居>の声は、情けないほどに歪んでいる。
「泣く程別れるのが嫌なら、なんで引き止めなかったんです?」
隣でボロボロと涙を流す<御隠居>に、ダナンが呆れたように言った。
「<ご隠居>らしくもない。力づくでも引き止めるんだと思ってましたよ」
「仕方ねぇだろよ。ジジイはどうしたって孫には甘くなっちまうんだよ」
手巾が見つからず、<御隠居>は袖口で涙と鼻水を拭う。
「夕んべ、ステレがどんだけ悲しい思いをしたか聞いたよ。だけどな、ステレは最後までとうとう泣かなかったんだよ。ありゃ、死者と死者の親族に義理立てして泣けなくなってるんだ。馬鹿な子だよ。カンフレーだけじゃない、周りの死を全部背負いこんでしまったんだ。それで生きた人間は背負えなくなっちまったんだから馬鹿すぎる」
それは、ダナンにとっては予想外とは言えないものだった。ステレは真っ正直すぎる娘だった。女である以前に、もう少し腹芸の一つも覚えなければ、貴族としてやって行けないだろうと、心配になるほどだった・
「カーラも馬鹿だった。カーラは王に義理立てして、王都まで出向いて死んじまったよ。カーラに似ちまったのかね。俺の孫だってのに、義理堅すぎるな」
ダナンは苦笑しながら首を振る。
只人でなくなり、家から追い出されたのに、里のまとめ役としてこの地に残っている<御隠居>も、人の事は言えないくらい義理堅い男だろうに。
「お嬢は…いや、ステレ様は戻って来てくれますかね?」
「背負ってるものを全部、どうにかできたら帰って来るだろう。が、これは、本人じゃなきゃどうにもならん。自分で降ろすか、支えきれるくらい強くなるか、後は誰かが共に支えてやるか」
「だったらカンフレーの民は待ちますよ、いつまでだって」
ダナンは目を細めて、もう何も見えなくなった山道を見た。
「ここはステレ様の地なんですから」
小屋は、土の壁、草を積んだ屋根と、ステレの山小屋を彷彿とさせるこじんまりとしたもので、ステレは焼け落ちた屋敷より、魔の森の山小屋を懐かしく思う自分に少し驚いてみたりもした。
戸を開けると、小屋の中には煙の匂いが染み付いていた。鼠避けや乾燥のために、所かまわずぶら下がった根菜やら何やらを避けて小屋に入ると、<御隠居>は一つしか無い椅子をステレに奨め、土間の隅から錫のカップを持ってきて卓に並べた。自分はどっかと寝台に腰掛けると、ステレを連れて小屋に戻る際にドルトンから押し付けられた陶器の瓶の栓を抜いた。小屋の中にワインの香りが広がる。
「気の回る男だな」
そう言うと、ステレと自分のカップにワインを注いだ。
「ドルトンのおかげで今まで生きていられました」
思わぬ言葉に、<御隠居>は片眉を僅かにあげてステレを見た。
それは、自慢の友人を家族に紹介する、そんな口調に<御隠居>には思えたのだ。獣人の商人を信頼しているだけでなく、ある種の敬意を持って接している。そんなふうに。
只人至上の王都の毒に染まらずに済んだなら良いことだ…と思える。
「俺の話の前に、まず今まで何があったか話してみろ」
「……はい」
ステレは、自分が騎士を目指していたこと、グリフの誘いを受けて生きる道を見つけたこと、郷が襲撃を受けて逃げ出し、付いてきた家臣を全て失い、自身も致命傷を負って鬼人になったこと。山へ引き篭もったが、夢で両親の死を認めカンフレーに来る決意をするまでを話した。
かなり大雑把な内容だったが、それでも長い長い話になった。既に日は暮れ、小屋の中には獣脂の燃える匂いが漂っている。
「そうか……辛い目に遭ったな……」
<御隠居>は、そう一言だけ言うと、そのまましばらく黙り込んで、何事かを考えていた。
「…内戦が終わったあと、なんですぐ帰って来なかったんだ?」
「怖かったんだと思います」
逃げたクヴァルシルでカーラが処刑されたと聞いた時、ステレの心はその現実を拒否してしまった。記憶を押し込め、石棺に封じ込めてしまう悲しい自己防衛。そして抑制された感情。目の前で家臣が死んでも、すぐに遠い昔の物語のように心の奥底に押し込めてしまう。いくら悲しくとも、決して涙が流れることは無かった。ただただ傍観者のような視点で、ステレは自分自身が絶望して行くのを見ていた。そうしなければ、アルカレルの屋敷で暴れたように、ステレの心は張り裂けてしまっていただろう。だかろこそ、否応なくその事実を突きつけられる故郷には帰れない。
だが同時に、それを無かったことにはできなかった。
それだけはできない。家臣が死んで行くごとに、ステレの心には石棺が積み上がっていく。それを捨ててしまったら、ステレは鬼人ではなく本当の鬼になってしまう。その重石こそが、ステレに僅かに人の心を残していたのだが、今ではその重石がステレを苦しめている。関わった者全てに死を振りまく鬼人。自分をそう思ったとき、愛する人々の側には居られない。
「それで、どうしてくる気になったんだ?」
「夢で母様にボコボコに殴られて、皆の死を認めるのが怖くて、無理矢理忘れていたことに気づきました。親しい人が死ぬのが怖くて、私自身が人を避けていたことにも気づきました。そう気づかせてくれた人とと共にあるためには、現実を認めなければと思ったのです。………でもダメでした。やっぱり怖くて怖くて一歩も進めませんでした」
消え入りそうな声でそう言った。
「むぅ…」
<御隠居>は唸る。
重症だと言わざるを得ない。
本来ならば傷を癒すはずの郷の生き残りが、ステレには重荷になってしまっている。だからステレは誰にも会わずに済む山の中に逃げ込んだのだ。そこでそのまま生を終えるつもりだったに違いない。
ステレの話した物語で、ステレがそう思い込んでいる理由は予想が着いたが、こればかりはステレが納得しない限りはどうしようも無いのだ。
(馬鹿な子だ…)
そう思いながらも、<御隠居>は孫娘の心を少しでも軽くしてやりたいと願っていた。
ステレを見ていると、馬鹿な孫は、馬鹿な娘の100倍(カーラ比)かわいいものだと思える。
「まず、俺から見たらどうしょうも無い娘だが、それでもカーラの言い分が正しい」
「え?」
「アイツらは好き放題、やりたいことやって死んだんだよ。これは本当だ。クリークスはカーラのためなら平気で命を捨てるし、カーラはクリークスが死んだらもうこの世に生きてる甲斐なんぞ無いってくらい惚れこんでた。だからって、子供放っといて死ぬとか無いがな。何考えてやがるんだ、あのバカは。……まぁとにかくそういう訳だから、お前が気に病む必要はねぇよ」
「そ、それでも、私が王家の不興を買ったからこそ、郷が襲撃を受け…」
「さぁ、そこだ」
<御隠居>がステレの言葉を遮る。
言いかけたステレが口をつぐむと、<御隠居>はそのまま続ける。
「そもそも、カンフレー家が王家の不興を買った理由は、カーラの結婚が原因でな。もっと正確に言えば、王都にゃ王に助言をする円卓って連中が居るんだが、そこの意向を無視して、王に許可貰ってクリークスと結婚したんだよ。だからカンフレーを排除したかったのは王家じゃなくて恥をかかされた円卓だな。前の王は円卓の頭と懇意でな、円卓が王にウチを潰す命令を出させたんだろ」
「…ですが、使者は私がグリフ殿下に忠誠を捧げたのが、討伐の原因だと言っていました」
「それが、カンフレー家が鬼の子孫だって出自に係ることでな。円卓の爺ィ共は、当時の貴族の不審死は全部鬼の仕業だと思ってたらしいんだな。実際は偶然なんだが。馬鹿だねぇ~」
<御隠居>やれやれといった顔で、杯をあおると、手酌でワインを継ぎ足してた。
「円卓としちゃ、円卓を信用しないキブト王が決定的な力を持ち、自分達がないがしろにされることは何としても避けたかった。そんなときにウチはカーラに代替わりしたんで、女当主が一人ってのは連中からすりゃの千載一遇のチャンスに見えた。カンフレーの当主になりゃ、鬼人を思うままに動かせると思ってやがったんだよ。『只人の婿』の言うことなんぞを鬼人が聞く訳ねぇのによ。とにかく、円卓は手下を『カンフレー男爵』として送り込もうとした。ところがカーラは円卓の押し付けようとした婿を蹴っちまった。鼻で笑いながらな。その後、生まれた子は…」
そこまで言うと、杯を持ったまま人差し指でステレを指さした。
「また一人娘だけだったから、今度こそと思った。今度の王は円卓と良好な関係だから、王に忠誠を誓うようなら問題はない。そしたら今度は王弟に付いちまったんで焦ったんだろ。で、思い通りにできないなら、いっそ王弟ごと潰してしまえと」
ステレは、初めて聞く話をポカーンとした表情で聞いている。
「鬼人を思うままにって…そんなことができると思われていたのですか?」
「うん、ここからはその話、俺が伝えたかった本題だ」
「は、はい」
「元々カンフレーは、200年近く前の再統一戦争の終わりにな、建国王を気に入ったウチの先祖が鬼人を引き連れて合力してやったってのが付き合いの発端でな、そん時に、ここの土地をくれてやるには、貴族にならなきゃダメだからってんで、形だけ家臣になったんだよ。好きに生きていいって約束でな。それがなんだか、いつの間にかに王国に忠誠を捧げなきゃダメって、他の貴族と一緒にされてまってな。約束事は魔銀板にでも刻んで残しておかねぇとダメだな。とにかく、お前は思うままに生きて、何も恥じるこたぁねぇんだよ」
ステレは必死に思考を動かし、情報を整理しようとするが、どうしても追いつかない。
「……本当に鬼の子孫なのですか?」
「あぁ、本来はカーラがお前に伝えなきゃならないことだ。な、自由で良いんだよ。忠誠なんぞ、進んで狗になりたい奴らにやらせりゃいいのさ」
「で、でも、お爺様も母様も王家に忠誠を誓ってらしたのでは?」
「俺か?、面倒くさかっただけだよ」
「面倒くさい?」
「価値観が違うやつを説得するのは、すげぇ面倒くさいのよ」
<御隠居>は『うーん』と、言葉を選ぶためなのか、暫く思案していた。
「例えばそうだな…お前は、女だてらに剣を振り回して身を立てようとしてたそうだけど、それを非難されたとき、その相手が納得するように説得しようと思うか?」
「思いません…というか、無理だと判っていますので」
「そういうことよ。貴族ってのは、土地の所有を保証してもらう代わりに忠誠を捧げるってもんだが、俺達はそんなもん保証されなくても、好きに生きて行けるのさ。だが、いくら『王国の守護など要らない』そう言ったって、貴族の恩恵が当たり前と思ってる連中には理解できないのさ。なにかしら思惑があると深読みして来るに決まってる。だから俺は『ハイハイ忠誠忠誠』って言ってた。それで丸く収まるなら面倒が無いからな」
そう言われて、ようやくステレにも理解することができた。
結局の所、ステレもグリフが居なければ、面従腹背で生きるしか無かったのかもしれないのだ。
「カーラは俺とは違うな。アレは心底忠誠を誓っていた。うちの初代と同じく、王家じゃなくて王にな。確かにあの王様はまぁ、なかなかの傑物だったからな」
夜会で相対したキブト王の姿が蘇る。王はステレの無礼を許し、カンフレーの無礼を許し、カーラは満足げに礼を尽くしていた。王は、カンフレーと王家の関係を承知していたのだろう。
「ま、カンフレー当主のやるこった。好きにすりゃいいのさ」
「……では…どうして、母様の結婚に反対されたのです?」
そう問われると、<御隠居>は、一転して酷く気まずい表情になった。
ほんの僅か、言うべきか迷っていたようだった。
「そりゃあ………いつかあぁなるって判っていたからだよ……」
ステレははっと息を飲む。
権力の頂点に立つ者は、権力に反する者を許さない。そうでなければ権力たり得ないのだから。キブト王は例外中の例外なのだ。グリフの元に行きたいと願った時、カーラは王家に忠誠を尽くすようステレに忠告した。<御隠居>と同様に、あの時カーラには結末が既に見えていたのだろうか…。
「言っておくが、カーラは屁とも思って無かったからな?。郷が襲撃されるのも、住民家臣が死ぬのも、自分が死ぬのも、全部覚悟の上だ。あれは骨の髄までカンフレーだったからな。親の言う事なんぞ聞かないと判っていたさ。それでもな、親としちゃ娘に危ない橋は渡って欲しくなかった……後はまぁ、クリークスの嫁にするのが気に入らなかったってのもあるが」
「親として…」
「まぁ何にしろ、ここの領民も家臣もカンフレーだ。気に入らねぇ奴相手なら、相手が10万だろうが100万だろうが関係ねぇ。一直線にブン殴りに突っ込む連中だよ、お前が考えてるほどヤワじゃねぇ」
言いながら、<御隠居>には、ステレに自分の言葉が半ばしか届いていないことに気づいていた。ステレは半分しか重荷を下ろせていない。残り半分は放浪していた3年の間に背負ったものだ。旅を共にしていなかった自分には手が出せない領域だ。
「なぁ、ステレ、お前は生き残ったことを後ろめたく思ってるのかも知れんが、俺は嬉しくて嬉しくて仕方ないんだぜ。俺はこんなだから、もう順番通りに死ぬなんてのは諦めてたさ。それでもな……それでも、子供に早く先立たれるほど辛い事はねぇよ。孫のお前が生きて顔見せに来てくれただけでも嬉しいんだよ。だから、生き残ったことを恥と思うようなことはやめてくれ」
「それは……はい…大丈夫です…」
ドルトンとオーウェンと、それに多くの人に支えられたことを自覚した今、ただ死を待つだけの生では無くなった。それだけは自信を持って言える。<御隠居>も、それを感じ取ったらしく、頷くとかまどの火を熾し始めた。
「飯食って寝よう、続きは明日だ」
<御隠居>は、鍋から大麦の粥を椀に取ると、ステレに渡した。焼いて削いだ山鳥らしい肉をその上に乗せ、二人で、黙って粥を口に運ぶ。
「どうだ、ステレ。ここに戻って住むつもりは無いか?」
匙を持つ手を止め、暫く考えていたステレは、首を横に振った。
「なんでだ?」
おそらく、そう答えるだろうと予想がついていたのだろう。<御隠居>は、落胆する様子も見せず、問うた。
「私は…やはり、この郷に不幸をもたらしたと思われているかと…」
「まぁだそんなこと考えてるのか?大丈夫だって言ってるだろ」
「だけど、家の墓に私の名はありませんでした」
「あぁ、あれか。そりゃ、お前が生きてるって判ってたからな」
「え?」
「鬼人はもうだいぶ人数減ってな。もうだいたい誰がどこで何してるか消息が判るんだよ。お前が死んだって噂の後に、王弟に新たに鬼人が加わったって噂が流れた。調べたが、それらしい鬼人は見つからねぇ。あぁ、ステレが薬を使って鬼人になったんだって、すぐ判ったよ」
「で、でも」
「俺はこうして生きてるのに、墓にはちゃんと名前があるが、そっちの方がおかしいと思わんか?」
<ご隠居>はケラケラと笑った。
「疑うなら、明日俺と来い。顔見せて『鬼になったお嬢だ、俺の孫だ』って紹介してやるよ。間違いなく皆泣いて喜ぶよ」
陽気に請け負う<御隠居>だが、ステレはうなずくことができなかった。
一つしか無い寝台を押し付け合い、結局ステレが寝台を使うことになった。<御隠居>は、何かの毛皮らしい物を何枚か引っ張り出すと体に巻き付けて壁を背に座り込んだ。
「一つだけ……聞かせてください。屋敷が襲撃されたとき、助けていただく事はできなかったのでしょうか」
「今はこうして近くに住んでるが、あの頃は山二つ向こうに住んでた。気が付いて駆け付けた時は全て終わった後だったよ。それに、カーラは俺に知らせも送らなかった。………たかが結婚相手で喧嘩して俺を勘当したのはな……カーラも、いつかあぁなるかもしれないって判ってたんだよ。だから俺を家から追い出したんだ、鬼を巻き込まないようにな」
暗闇の小屋の中に、静かな声が響く。声は平板で、どんな思いが込められているのか判らない。
だが、<御隠居>は、自分を頼って欲しかったに違いない。ステレにはそう思える。
ステレは、誰にも会わずカンフレー領を去ることにした。
<御隠居>にも何も言わず、明け方前にそっと小屋を抜け出した。
(我儘ですみません。私には領主なんて無理だし、皆を背負うのは無理だと判っています)
声に出さず、戸口に向かって頭を下げると、白み始めた空の明かりを頼りに山道を下って行く。
屋敷の跡に戻ると、まるでステレがこうするであろうと予測していたかのように、ドルトンはすっかり準備を整えて待っていた。
「よろしいので?」
「まだ私には正面から受け止める力が無かったわ」
言いながら御者台に座る。
ドルトンは余計な事は一切聞かない。
「承知しました」
ドルトンはゆっくりと馬車を出した。
馬車は下り坂の方が注意しなければならない。馬を抑え、車輪に制動をかけながら、ゆるゆると坂を下って行く。
集落を出る頃にはすっかり朝日が昇っていた。
何事かの気配を感じ、視線を動かしたステレははっとした。谷の向かい側で、郷の皆が手を振っていた。
怖くて、正面から顔を見ることができなかった。視線を合わせることさえできなかった。そんな皆が、揃って手を振ってくれている。
ステレは呆然と見開いていた目を閉じ、くしゃくしゃになった顔で俯いた。
ステレは、死を目の当たりにしても泣けなくなっていたた。今も、感情がすんでの所で抑えつけられている。もはや感情で涙を流すことはできないのかもしれない。だが、ステレはそれで良いと思っている。冥府の領民と、家臣と、戦友と会うまでは、泣くことはできない。
「よろしゅうございましたな。……落ち着いたらまた参りましょう」
手綱を取るドルトンが、つとめて明るい声で言った。
ステレは、無言のままただ頷くことしかできなかった。
ステレ達の乗った馬車が見えなくなると、郷の者たちはみな家に戻って行った。<御隠居>とダナンだけが、もう姿の見えなくなった山道を見ている。
「なんで?って顔してたな。バレバレだったって気づけよ……」
そう悪態を付く<御隠居>の声は、情けないほどに歪んでいる。
「泣く程別れるのが嫌なら、なんで引き止めなかったんです?」
隣でボロボロと涙を流す<御隠居>に、ダナンが呆れたように言った。
「<ご隠居>らしくもない。力づくでも引き止めるんだと思ってましたよ」
「仕方ねぇだろよ。ジジイはどうしたって孫には甘くなっちまうんだよ」
手巾が見つからず、<御隠居>は袖口で涙と鼻水を拭う。
「夕んべ、ステレがどんだけ悲しい思いをしたか聞いたよ。だけどな、ステレは最後までとうとう泣かなかったんだよ。ありゃ、死者と死者の親族に義理立てして泣けなくなってるんだ。馬鹿な子だよ。カンフレーだけじゃない、周りの死を全部背負いこんでしまったんだ。それで生きた人間は背負えなくなっちまったんだから馬鹿すぎる」
それは、ダナンにとっては予想外とは言えないものだった。ステレは真っ正直すぎる娘だった。女である以前に、もう少し腹芸の一つも覚えなければ、貴族としてやって行けないだろうと、心配になるほどだった・
「カーラも馬鹿だった。カーラは王に義理立てして、王都まで出向いて死んじまったよ。カーラに似ちまったのかね。俺の孫だってのに、義理堅すぎるな」
ダナンは苦笑しながら首を振る。
只人でなくなり、家から追い出されたのに、里のまとめ役としてこの地に残っている<御隠居>も、人の事は言えないくらい義理堅い男だろうに。
「お嬢は…いや、ステレ様は戻って来てくれますかね?」
「背負ってるものを全部、どうにかできたら帰って来るだろう。が、これは、本人じゃなきゃどうにもならん。自分で降ろすか、支えきれるくらい強くなるか、後は誰かが共に支えてやるか」
「だったらカンフレーの民は待ちますよ、いつまでだって」
ダナンは目を細めて、もう何も見えなくなった山道を見た。
「ここはステレ様の地なんですから」
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追記:2025/09/20
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もし気になる方は、
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