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一人きりじゃなかった辺境伯
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「お前たちは、この天幕から出ないように。テルザー卿はそちら、小屋の中から出ないようお願いします」
日の落ちた山小屋前の庭で、ドルトンが商会員達に指示を出す。
商会員の天幕は、いつもより端に寄せて組まれていた。その前に背嚢や荷物を積み上げてバリケードにしていた。小屋の前にはテーブルを横倒しにして置いてある。庭の真ん中には、そこそこの広さの空き地が確保された。とは言え、北側には泉、南側は土手で一段下がっているので、さほどの広さはない。その広場の真ん中で、ステレとドルトンは布を巻いた木剣を持って相対した。
「本当にいいの?」
「えぇ、私が申し上げることは、おそらくはこの一戦の後でなければ、ステレ様には届かないかと思いますので」
あの後、ドルトンはステレには何も言わなかった。商人であるドルトンは、同じ言葉を同じ人間にかけても、通じる時と通じない時があることを知っている。だからドルトンは、ステレに立会いを申し入れた。驚き、怪我をさせたくないと渋るステレに、ハンデとしてドルトンの望む条件下でと付け加え、どうにか認めさせたのだ。
今、ステレに話を聞いてもらうために必要なのこと。それは鬼人を、ステレを完全に打ち負かすことだ。
準備ができると、ドルトンは魔法の灯りを消すよう命じた。月明かりも無い闇夜。ステレの瞳孔は丸く開く。鬼人は只人よりも夜目が効く。目が慣れれば、ドルトンがすっと横に動くのが見えた。
(手加減しなきゃ)そういうステレの思いは早々に吹き飛んだ。暗闇にぼんやりと見えてたいたドルトンの姿が不意に消えたのだ。
「え!?」
目を凝らすが、それでも暗がりに僅かの影も見えない。
音と気配を探ろうとして、ステレは愕然とした。何も聞こえない。衣擦れの音も、土を踏む音も聞こえない。気配もだ。天幕の奥で固唾を呑む商会員達も、小屋の中のテルザーもはっきりと感じることができる。しかし、いくら意識を集中しても、ドルトンの気配が無い。
「どこに?」
思わず声に出してしまったステレの頸筋にドルトンの剣が触れる。ぞわりと肌が粟立った。殺気も何もなく、ただひたりと剣先が触れたのだ。真剣だったら何も感じずに死んでいた。慌てて振り向きながら木剣を振るが、手ごたえはおろか気配すら感じない。距離を取らなければ……どちらに?。方向も判らずあとずさりしたステレは、何かに躓いて尻もちをついた。頭にトンと木剣が触れる。なのに、正面には闇があるだけで、何も見えない、何の気配も無い。
(そんな馬鹿なっ!)飛びあがるように立ち上がったステレは、剣を振りながら真正面に飛び込み、荷物の山に頭から突っ込んだ。
「もういいぞ」
ドルトンの指示で魔法の灯りが灯る。
「と、まぁ……条件さえ揃えば、獣人が鬼人をあしらうこともできる訳です」
淡々とドルトンは言う。実際は、相当に集中して気配を消していた。この国に居る獣人の中でも、ステレの目を誤魔化すことはできる獣人はそう多くないだろう。だが、ここは演出の必要な場面だ。
ステレは突っ込んだ荷物の中で、どうにか上半身を起こし呆然とした顔でドルトンを見ている。彼女が全く知らないドルトンの一面を見せられた。そして、彼女の力が。只人を遥かに凌ぐと自負していた力が、全く通用しなかった。
「あなたならブレス王を暗殺できたんじゃないの?」
驚愕が貼り付いたままの表情で言った。それはステレがしようとして出来なかったこと。ステレは称賛の意味を込めて言ったのだが、ドルトンは悲し気に首を振った。
「無理でした。当時、ゴージが常に着いておりましたから。あれは護衛に特化した一種の怪物でした」
鬼人であるステレは、単純な腕力だけなら王国で五指に入る。一二を争うと言ってもいい。
だが、王国最強の剣士かと言えば、まだまだ上がいる。その程度でしかない。そんな王国最強の剣士の一角だったのがブレス王の護衛剣士ゴージだった。
ゴージはブレス王に剣を捧げ、それ以外は全て捨て去った男だった。
彼は、ただ愚直に剣に打ち込むだけの、貧乏貴族の末席の男だった。父親が亡くなり、相続の際に親族から疎まれ家を追い出されそうになったのが、公子時代に法律を学んでいたブレスの目に留まり、弁護の末に法に則った相続を得ることができたのだ。ブレスにとっては、たまたま出くわした事例にすぎず、法を逸脱するような追放を見逃すことはできない。と、ただそれだけだった。
だが、剣以外を知らず、貴族の…親族の悪意により絶望の淵に立たされたゴージにとって、それは自分の地位を、居場所を守ってくれた、そんな奇跡だったのだ。その恩義に報いるため、ゴージは全てを捨てた。
それは、グリフに対するステレの写し鏡でもあった。
自分には剣技以外に捧げるものが無いと知っていたゴージは、限界を超える修練に加え、身体・感覚強化のために、合法、非合法あらゆる魔法薬に手を出し、圧倒的な剣技の冴えの代償として感情が欠落することになった。ただ、ブレスへの絶対的な忠誠は失わなかった。食べて寝る以外は何もせずに、無表情の顔で王に付き従い、許しも無く間合いに入った者は老若男女問答無用で瞬時に斬る。そこには情け容赦も躊躇も無い。暗闇であろうと、四方から同時の襲撃であろうとゴージの間合いを突破できるものはなかった。
ステレは故郷を襲ったブレス王に一矢報いるため、策を用いてかろうじてゴージを斬ったが、剣の勝負では全く歯が立たなかった。ゴージを倒したもののかなりの傷を負わされ、ブレス王に辿り付く前に撤退せざるを得なかったのだ。
「先王の暗殺を試みた一族の手練れが二人斬られています。一人は……私の甥です。血気に逸って先王を暗殺しようとした若い者が斬られ、証拠を残さぬために死体を回収しようとした甥も、間合いに入って斬られました。深手を負いながらもどうにか逃げ切り、そこで死にました」
笑顔を絶やさず、感情を表に表さないドルトンが、この時ばかりは心底沈鬱な表情をしている。甥を亡くしてもうだいぶ経つが、その痛手はまだ癒えていなかった。
「……叔父の私が言うのもなんですが、次代の一族を任せられる男でした。ゴージを斬ったステレ様は、一族の仇を討ってくれた訳です」
「あなた、それで……」
「それだけではありませんので、今まで申し上げませんでした」
ステレは、ドルトンが他種族である自分を家族として扱う理由をようやく知ることができた。
「続きは中でいたしましょう」
テーブルをどかしステレの山小屋に入ると、商会員が魔法の明かりを灯した。獣脂ロウソクより遥かに明るい灯りの下で、ドルトンは持ち込んだ蒸留酒の口を切る。
「これから大変無礼な事を申します。どうか酒の席でのこととご容赦ください」
そう言いながら、三つのカップに強い酒精をなみなみと注いだ。真っ先にくいっと呷る。
ステレとテルザーも盃に口を付けた。
「さて、ステレ様に申し上げたい事は二つあります。一つは、私は今ステレ様を完封して勝ちました。ですが、別に私がステレ様より強いということでは無いということです。我々の強みは闇夜だけです。昼間は只人と大差ありません。私はステレ様に勝ちましたが、只人のゴージには勝てません。そのゴージをステレ様は斬っています。強さなど条件次第でどうなるか判らないのです。ステレ様は自分の力があれば、犠牲を減らすことができたかもしれないと思っておられる。それは鬼人の力を万能と過信しています。逆に言えば、只人を見下していることになります。よくお考えください、ロイツェル候やアルカレル様はステレ様より弱いのでしょうか?」
じっと聞いていたステレは、『只人を見下している』と言われ顔色を変えた。ただ、以前のように何もかも否定する様子は見えない。ドルトンの言った一言をじっと考えているようだった。
自分の言葉がとりあえずは届いていることを確認すると、ドルトンは言葉を続ける。
「二つ目は、戦闘と戦争は全く違うということです。ステレ様の今の強さ、鬼人の力は戦闘の強さです。ですが、戦争に通じるかはまた別の話です。それはゴージも同じです。彼は護衛としては当代最強の剣士でした。ですが、彼一人で戦況をどうこうすることはできません」
「そんなことが?」
思わず声に出してしまった。ゴージはまさに人外の強さの剣士だった。
「何しろ、彼は兵を率いることができません。そしてそれはステレ様も同じです。女であり、鬼人であるから兵を指揮することはありませんでした。ですから、本質をご存知無いかと思います。一人英雄が居れば勝てるほど戦争は甘くありません。戦争は極端な話、味方にどれだけ犠牲を出そうと、目標を達成できたら勝ちなのです。ですから人数を揃え、命の削り合いをします。そんな戦場での生死はほとんど確率のようなものです。それは確かに理不尽でしかりません。ですが戦争はそんな狂気の嵐が吹き荒れる場所なのです」
ステレの脳裏に、グリフを守っての撤退戦が蘇る。あの戦いはグリフとステレを無事に落ち延びさせるための戦いだった。だから我々の勝ちなのだとヤンは言っていた。だがステレはそれを認めることができず、心を閉じてしまった。
「ステレ様、戦争は一人ではできません。皆、精一杯己の責を果たしました。ステレ様もです。侯爵閣下方も、テルザー卿も、皆様のご家来も、我々も皆責を果たし、等しく責を背負っています。ですが、全てを負うようなことはなさいません。敢えて言うなら、全てを背負わねばならないのは…それを許されるのは陛下ただお一人なのです。だから私はステレ様を傲慢と申し上げました」
長い長い間、ステレは無言で居た。
「テルザー卿、あなたも家臣を亡くしたのでしょうか?」
ステレは、ずっと無言のままだったテルザーに問うた。彼は内戦の功で爵位を得た。その代償は何だったのだろうか。
「我々は小勢の土豪の一隊……いえ、ヤクザの一家にすぎませんでした。ツェンダフ公爵の元では主力の支援を命じられただけです。それでも二人死に、五人が手傷を負っています」
それはテルザーにとっても辛い記憶である。皆を五体満足で故郷に返すことができなかった。自分は爵位を貰ったが。その責任は背負って行かねばならない。
「……卿は、私などよりよほど貴族にふさわしい方です」
まっすぐに答えるテルザーの目からその覚悟を読み取ったステレは、そう言ってため息を付いた。
「できるなら、私も卿のように強くありたいと思います」
「もったいない言葉です」
ステレは盃の蒸留酒を一息に飲み干した。
「私は……一人じゃ無かったのね。今までずっと。そして今も………ありがとうドルトン。ありがとうテルザー卿」
ドルトンはほっと息を付き、ステレの盃に酒を注ぐ。テルザーは笑いながら泣いていた。
ドルトンとステレは、二人で盃を重ねる。
テルザーはボロボロと泣きながら酒を呷り、程なく沈没して商会員に運び出された。酒精の強い蒸留酒に慣れていなかったらしい。
「私のこと、陛下はお認めになったの?」
ステレがぽつりと言った。
叙爵を受ける覚悟はあるが、王に非難が集中するようならやはり受ける訳には行かない。
「今の所、政府も王室も、静観しています。ただ、あの芝居が叙爵への下準備として上演されたとしたら、遠からず公表されることになるかと」
「貴族達は?」
「元々王に近い立場の貴族は、顛末をある程度知っています。それ以外の貴族も、あの芝居が実話なら…と態度を軟化させているとか。それに、ステレ様が送った武具も効果があったようです」
「あれが?」
ドルトンに託された武具は、ロイツェル侯爵を通じて王城の紋章官や図書僚を総動員して持ち主探しが行われた。その結果、全て元の所有家が判り内々に返却されていた。
今や、王家でも貴重な武具類であるため、武具は王の上覧を受けている。その際に一部の高官が『このような貴重な武具は王城で接収してはどうか』と言い出して悶着になりかけたが、王は全て元の家に返すように命じている。更に、情報が漏れぬように細心の注意を払うよう命じ、もし、武具の情報が漏れたことで貴族家でトラブルになれば、漏らした者には必ず罰を与えると宣言したのだという。
関係者全員魔法誓約を交わし、直前まで返却する家の当主にすら内密に準備が行われ、全ての武具がほぼ同時のタイミングで返還されるという、一大作戦が行われた。返還先の貴族には元ブレス王の支持派も居たが、王は区別することを許さなかった。秘密裏に事を進めたので、使者が訪れた際には今更粛清されるのかと疑った家もあったという。突然のサプライズプレゼントに、貴族各家は悲喜こもごも。戻ってきた家宝を喜ぶ家もあれば、『既に持つに相応しい武門の者が居ないと』王家へ献上してきた家もあった。200年の間に家勢も随分変わってしまい、今の家格に見合わない魔金属の武具など、災いの元だと感じたのかもしれない。
「いずれも今は入手するのが難しく、一振り所有してるだけで箔が付く逸品でしたから。それを取り戻してくれたのは誰だ?と、一部貴族が随分嗅ぎ回ったようです。亡くした先が魔の森だというのは知れていましたから、そこから鬼人の噂にたどり着いたようです。その矢先に例の芝居の上演が始まり、鬼人への叙爵の噂が流れた始めたことで、ステレ様に恩を返そうと思っている貴族もいるようです」
「そんなつもりで返したんじゃなかったんだけどなぁ」
ステレは「はは」と力なく笑った。
「貴族は下心を見抜くのが得意です。そういうお考えだったからこそ効果があったかと」
そういうドルトンだが、実はステレの情報が意図的にリークされていた事は掴んでいる。一連の流れは計算して行われているのは明らかだ。
「そして、平民からいきなり辺境伯への叙爵という点についてですが、お忘れかもしれませんが、ステレ様は子爵位をお持ちでした」
「…あ、そうだった」
グリフ王の即位後の法改正により、条件付きながら女子への相続、叙爵が認められるようになっていた。その際に、放浪の王を助けた功績により、戦死した(ことになっていた)ステレ・カンフレー男爵家令嬢には、生前に遡って男爵位が送られ(正式なカンフレー男爵である)、死後子爵位が追贈されていたのである。子爵夫人ではなく、れっきとした子爵である。
「子爵が魔の森での功績で伯爵に昇格ですので、おかしくは無いかと」
「辺境伯って、伯爵と名が付くけど、侯爵と同格じゃない。そもそも、実は死んでなかったんだから、私は男爵止まりよね?」
「私に言われても知りませんよ。陛下としては、5人の侯爵閣下と同格にしたかったのだと思いますよ」
「なんで今更…」
「そりゃ、ステレ様にそれだけの『格』が必要になったからです」
「…え?………………あ!。まさか……」
「えぇ、ロイツェル侯とご結婚するための格を着けてくれたものかと…」
ドルトンは『やっと気が付いたんですか』と言わんばかりだ。
オーウェンが地位を捨ててステレと魔の森に引き籠るなら、確かに爵位などは必要ない。だが、ステレはオーウェンに爵位を捨てさせる事は望んでいなかった。ただ、どうやって侯爵と鬼人が結婚するかまでは、深く考えていなかった。正直に言えば「結婚しちまえばどうにかなるだろう」としか考えていなかった。そしてステレが何も考えていないということを、周囲は十分に承知していた。脳筋のステレに代わって周囲が必死に頭をひねった結果が、ステレの辺境伯への陞爵、しかも肩書だけで実際の領地経営はしなくても良い…であった。
自分が望んだ結果なのだから、ステレには拒否しようが無い。
ステレは卓に突っ伏したまま悶絶する。諦めの境地に入りつつあった。
「ねぇ、この芝居を上演させたの、誰だと思う?」
「まぁ…王妃殿下でしょうねぇ……」
ドルトンは当たり前のように言って蒸留酒を舐めた。もちろん、聞くまでもなくステレにも判っている。食料を買い占め、兵も家臣も離反させ、内堀も外堀も埋めてからの城攻めのような用意周到さ。逃げ道は綺麗に塞いであるに違い無い。
「陛下の手紙、儀式は省略するって書いてあるけど……」
「さすがにお礼言上に行かない訳にはいかないでしょうねぇ」
敢えて言わなかった後半はドルトンが継いだ。
ステレは王都に呼びつけられても応じる気は全く無かった。だが、形だけにしろ辺境伯という高位に叙せられて、王への礼を欠く事はステレにはできない。それはグリフ王に恥をかかせることになる。彼女を王都に呼び寄せるには、これ以上ない手法である。
だから、ステレには伝統的な罵りの言葉を吐く事しかできなかった。
「くっ……いっそ殺せ…」
ちなみに、当初劇中の王妃(劇中では婚約者)は、女剣士と王の愛を妨害する(女剣士の悪評を流したのも王妃という設定)バリバリの悪役令嬢だったが、さすがに不敬に過ぎるということで、公演時には王妃となりながらも同じく王を愛する女剣士の身の上を案じる王妃に変更されたそうである。アングラ公演ではこの封印されたはずの初期バージョンが公演され、公式上演を上回る人気だったとかなんとか。
なお、初期バージョンの脚本を書いたのは、王妃自身とのもっぱらの噂である。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(※グラスヘイム王国では女性の地位が低くく、統治権も持たないので、王妃は『陛下』ではなく『殿下』が敬称となっています)
日の落ちた山小屋前の庭で、ドルトンが商会員達に指示を出す。
商会員の天幕は、いつもより端に寄せて組まれていた。その前に背嚢や荷物を積み上げてバリケードにしていた。小屋の前にはテーブルを横倒しにして置いてある。庭の真ん中には、そこそこの広さの空き地が確保された。とは言え、北側には泉、南側は土手で一段下がっているので、さほどの広さはない。その広場の真ん中で、ステレとドルトンは布を巻いた木剣を持って相対した。
「本当にいいの?」
「えぇ、私が申し上げることは、おそらくはこの一戦の後でなければ、ステレ様には届かないかと思いますので」
あの後、ドルトンはステレには何も言わなかった。商人であるドルトンは、同じ言葉を同じ人間にかけても、通じる時と通じない時があることを知っている。だからドルトンは、ステレに立会いを申し入れた。驚き、怪我をさせたくないと渋るステレに、ハンデとしてドルトンの望む条件下でと付け加え、どうにか認めさせたのだ。
今、ステレに話を聞いてもらうために必要なのこと。それは鬼人を、ステレを完全に打ち負かすことだ。
準備ができると、ドルトンは魔法の灯りを消すよう命じた。月明かりも無い闇夜。ステレの瞳孔は丸く開く。鬼人は只人よりも夜目が効く。目が慣れれば、ドルトンがすっと横に動くのが見えた。
(手加減しなきゃ)そういうステレの思いは早々に吹き飛んだ。暗闇にぼんやりと見えてたいたドルトンの姿が不意に消えたのだ。
「え!?」
目を凝らすが、それでも暗がりに僅かの影も見えない。
音と気配を探ろうとして、ステレは愕然とした。何も聞こえない。衣擦れの音も、土を踏む音も聞こえない。気配もだ。天幕の奥で固唾を呑む商会員達も、小屋の中のテルザーもはっきりと感じることができる。しかし、いくら意識を集中しても、ドルトンの気配が無い。
「どこに?」
思わず声に出してしまったステレの頸筋にドルトンの剣が触れる。ぞわりと肌が粟立った。殺気も何もなく、ただひたりと剣先が触れたのだ。真剣だったら何も感じずに死んでいた。慌てて振り向きながら木剣を振るが、手ごたえはおろか気配すら感じない。距離を取らなければ……どちらに?。方向も判らずあとずさりしたステレは、何かに躓いて尻もちをついた。頭にトンと木剣が触れる。なのに、正面には闇があるだけで、何も見えない、何の気配も無い。
(そんな馬鹿なっ!)飛びあがるように立ち上がったステレは、剣を振りながら真正面に飛び込み、荷物の山に頭から突っ込んだ。
「もういいぞ」
ドルトンの指示で魔法の灯りが灯る。
「と、まぁ……条件さえ揃えば、獣人が鬼人をあしらうこともできる訳です」
淡々とドルトンは言う。実際は、相当に集中して気配を消していた。この国に居る獣人の中でも、ステレの目を誤魔化すことはできる獣人はそう多くないだろう。だが、ここは演出の必要な場面だ。
ステレは突っ込んだ荷物の中で、どうにか上半身を起こし呆然とした顔でドルトンを見ている。彼女が全く知らないドルトンの一面を見せられた。そして、彼女の力が。只人を遥かに凌ぐと自負していた力が、全く通用しなかった。
「あなたならブレス王を暗殺できたんじゃないの?」
驚愕が貼り付いたままの表情で言った。それはステレがしようとして出来なかったこと。ステレは称賛の意味を込めて言ったのだが、ドルトンは悲し気に首を振った。
「無理でした。当時、ゴージが常に着いておりましたから。あれは護衛に特化した一種の怪物でした」
鬼人であるステレは、単純な腕力だけなら王国で五指に入る。一二を争うと言ってもいい。
だが、王国最強の剣士かと言えば、まだまだ上がいる。その程度でしかない。そんな王国最強の剣士の一角だったのがブレス王の護衛剣士ゴージだった。
ゴージはブレス王に剣を捧げ、それ以外は全て捨て去った男だった。
彼は、ただ愚直に剣に打ち込むだけの、貧乏貴族の末席の男だった。父親が亡くなり、相続の際に親族から疎まれ家を追い出されそうになったのが、公子時代に法律を学んでいたブレスの目に留まり、弁護の末に法に則った相続を得ることができたのだ。ブレスにとっては、たまたま出くわした事例にすぎず、法を逸脱するような追放を見逃すことはできない。と、ただそれだけだった。
だが、剣以外を知らず、貴族の…親族の悪意により絶望の淵に立たされたゴージにとって、それは自分の地位を、居場所を守ってくれた、そんな奇跡だったのだ。その恩義に報いるため、ゴージは全てを捨てた。
それは、グリフに対するステレの写し鏡でもあった。
自分には剣技以外に捧げるものが無いと知っていたゴージは、限界を超える修練に加え、身体・感覚強化のために、合法、非合法あらゆる魔法薬に手を出し、圧倒的な剣技の冴えの代償として感情が欠落することになった。ただ、ブレスへの絶対的な忠誠は失わなかった。食べて寝る以外は何もせずに、無表情の顔で王に付き従い、許しも無く間合いに入った者は老若男女問答無用で瞬時に斬る。そこには情け容赦も躊躇も無い。暗闇であろうと、四方から同時の襲撃であろうとゴージの間合いを突破できるものはなかった。
ステレは故郷を襲ったブレス王に一矢報いるため、策を用いてかろうじてゴージを斬ったが、剣の勝負では全く歯が立たなかった。ゴージを倒したもののかなりの傷を負わされ、ブレス王に辿り付く前に撤退せざるを得なかったのだ。
「先王の暗殺を試みた一族の手練れが二人斬られています。一人は……私の甥です。血気に逸って先王を暗殺しようとした若い者が斬られ、証拠を残さぬために死体を回収しようとした甥も、間合いに入って斬られました。深手を負いながらもどうにか逃げ切り、そこで死にました」
笑顔を絶やさず、感情を表に表さないドルトンが、この時ばかりは心底沈鬱な表情をしている。甥を亡くしてもうだいぶ経つが、その痛手はまだ癒えていなかった。
「……叔父の私が言うのもなんですが、次代の一族を任せられる男でした。ゴージを斬ったステレ様は、一族の仇を討ってくれた訳です」
「あなた、それで……」
「それだけではありませんので、今まで申し上げませんでした」
ステレは、ドルトンが他種族である自分を家族として扱う理由をようやく知ることができた。
「続きは中でいたしましょう」
テーブルをどかしステレの山小屋に入ると、商会員が魔法の明かりを灯した。獣脂ロウソクより遥かに明るい灯りの下で、ドルトンは持ち込んだ蒸留酒の口を切る。
「これから大変無礼な事を申します。どうか酒の席でのこととご容赦ください」
そう言いながら、三つのカップに強い酒精をなみなみと注いだ。真っ先にくいっと呷る。
ステレとテルザーも盃に口を付けた。
「さて、ステレ様に申し上げたい事は二つあります。一つは、私は今ステレ様を完封して勝ちました。ですが、別に私がステレ様より強いということでは無いということです。我々の強みは闇夜だけです。昼間は只人と大差ありません。私はステレ様に勝ちましたが、只人のゴージには勝てません。そのゴージをステレ様は斬っています。強さなど条件次第でどうなるか判らないのです。ステレ様は自分の力があれば、犠牲を減らすことができたかもしれないと思っておられる。それは鬼人の力を万能と過信しています。逆に言えば、只人を見下していることになります。よくお考えください、ロイツェル候やアルカレル様はステレ様より弱いのでしょうか?」
じっと聞いていたステレは、『只人を見下している』と言われ顔色を変えた。ただ、以前のように何もかも否定する様子は見えない。ドルトンの言った一言をじっと考えているようだった。
自分の言葉がとりあえずは届いていることを確認すると、ドルトンは言葉を続ける。
「二つ目は、戦闘と戦争は全く違うということです。ステレ様の今の強さ、鬼人の力は戦闘の強さです。ですが、戦争に通じるかはまた別の話です。それはゴージも同じです。彼は護衛としては当代最強の剣士でした。ですが、彼一人で戦況をどうこうすることはできません」
「そんなことが?」
思わず声に出してしまった。ゴージはまさに人外の強さの剣士だった。
「何しろ、彼は兵を率いることができません。そしてそれはステレ様も同じです。女であり、鬼人であるから兵を指揮することはありませんでした。ですから、本質をご存知無いかと思います。一人英雄が居れば勝てるほど戦争は甘くありません。戦争は極端な話、味方にどれだけ犠牲を出そうと、目標を達成できたら勝ちなのです。ですから人数を揃え、命の削り合いをします。そんな戦場での生死はほとんど確率のようなものです。それは確かに理不尽でしかりません。ですが戦争はそんな狂気の嵐が吹き荒れる場所なのです」
ステレの脳裏に、グリフを守っての撤退戦が蘇る。あの戦いはグリフとステレを無事に落ち延びさせるための戦いだった。だから我々の勝ちなのだとヤンは言っていた。だがステレはそれを認めることができず、心を閉じてしまった。
「ステレ様、戦争は一人ではできません。皆、精一杯己の責を果たしました。ステレ様もです。侯爵閣下方も、テルザー卿も、皆様のご家来も、我々も皆責を果たし、等しく責を背負っています。ですが、全てを負うようなことはなさいません。敢えて言うなら、全てを背負わねばならないのは…それを許されるのは陛下ただお一人なのです。だから私はステレ様を傲慢と申し上げました」
長い長い間、ステレは無言で居た。
「テルザー卿、あなたも家臣を亡くしたのでしょうか?」
ステレは、ずっと無言のままだったテルザーに問うた。彼は内戦の功で爵位を得た。その代償は何だったのだろうか。
「我々は小勢の土豪の一隊……いえ、ヤクザの一家にすぎませんでした。ツェンダフ公爵の元では主力の支援を命じられただけです。それでも二人死に、五人が手傷を負っています」
それはテルザーにとっても辛い記憶である。皆を五体満足で故郷に返すことができなかった。自分は爵位を貰ったが。その責任は背負って行かねばならない。
「……卿は、私などよりよほど貴族にふさわしい方です」
まっすぐに答えるテルザーの目からその覚悟を読み取ったステレは、そう言ってため息を付いた。
「できるなら、私も卿のように強くありたいと思います」
「もったいない言葉です」
ステレは盃の蒸留酒を一息に飲み干した。
「私は……一人じゃ無かったのね。今までずっと。そして今も………ありがとうドルトン。ありがとうテルザー卿」
ドルトンはほっと息を付き、ステレの盃に酒を注ぐ。テルザーは笑いながら泣いていた。
ドルトンとステレは、二人で盃を重ねる。
テルザーはボロボロと泣きながら酒を呷り、程なく沈没して商会員に運び出された。酒精の強い蒸留酒に慣れていなかったらしい。
「私のこと、陛下はお認めになったの?」
ステレがぽつりと言った。
叙爵を受ける覚悟はあるが、王に非難が集中するようならやはり受ける訳には行かない。
「今の所、政府も王室も、静観しています。ただ、あの芝居が叙爵への下準備として上演されたとしたら、遠からず公表されることになるかと」
「貴族達は?」
「元々王に近い立場の貴族は、顛末をある程度知っています。それ以外の貴族も、あの芝居が実話なら…と態度を軟化させているとか。それに、ステレ様が送った武具も効果があったようです」
「あれが?」
ドルトンに託された武具は、ロイツェル侯爵を通じて王城の紋章官や図書僚を総動員して持ち主探しが行われた。その結果、全て元の所有家が判り内々に返却されていた。
今や、王家でも貴重な武具類であるため、武具は王の上覧を受けている。その際に一部の高官が『このような貴重な武具は王城で接収してはどうか』と言い出して悶着になりかけたが、王は全て元の家に返すように命じている。更に、情報が漏れぬように細心の注意を払うよう命じ、もし、武具の情報が漏れたことで貴族家でトラブルになれば、漏らした者には必ず罰を与えると宣言したのだという。
関係者全員魔法誓約を交わし、直前まで返却する家の当主にすら内密に準備が行われ、全ての武具がほぼ同時のタイミングで返還されるという、一大作戦が行われた。返還先の貴族には元ブレス王の支持派も居たが、王は区別することを許さなかった。秘密裏に事を進めたので、使者が訪れた際には今更粛清されるのかと疑った家もあったという。突然のサプライズプレゼントに、貴族各家は悲喜こもごも。戻ってきた家宝を喜ぶ家もあれば、『既に持つに相応しい武門の者が居ないと』王家へ献上してきた家もあった。200年の間に家勢も随分変わってしまい、今の家格に見合わない魔金属の武具など、災いの元だと感じたのかもしれない。
「いずれも今は入手するのが難しく、一振り所有してるだけで箔が付く逸品でしたから。それを取り戻してくれたのは誰だ?と、一部貴族が随分嗅ぎ回ったようです。亡くした先が魔の森だというのは知れていましたから、そこから鬼人の噂にたどり着いたようです。その矢先に例の芝居の上演が始まり、鬼人への叙爵の噂が流れた始めたことで、ステレ様に恩を返そうと思っている貴族もいるようです」
「そんなつもりで返したんじゃなかったんだけどなぁ」
ステレは「はは」と力なく笑った。
「貴族は下心を見抜くのが得意です。そういうお考えだったからこそ効果があったかと」
そういうドルトンだが、実はステレの情報が意図的にリークされていた事は掴んでいる。一連の流れは計算して行われているのは明らかだ。
「そして、平民からいきなり辺境伯への叙爵という点についてですが、お忘れかもしれませんが、ステレ様は子爵位をお持ちでした」
「…あ、そうだった」
グリフ王の即位後の法改正により、条件付きながら女子への相続、叙爵が認められるようになっていた。その際に、放浪の王を助けた功績により、戦死した(ことになっていた)ステレ・カンフレー男爵家令嬢には、生前に遡って男爵位が送られ(正式なカンフレー男爵である)、死後子爵位が追贈されていたのである。子爵夫人ではなく、れっきとした子爵である。
「子爵が魔の森での功績で伯爵に昇格ですので、おかしくは無いかと」
「辺境伯って、伯爵と名が付くけど、侯爵と同格じゃない。そもそも、実は死んでなかったんだから、私は男爵止まりよね?」
「私に言われても知りませんよ。陛下としては、5人の侯爵閣下と同格にしたかったのだと思いますよ」
「なんで今更…」
「そりゃ、ステレ様にそれだけの『格』が必要になったからです」
「…え?………………あ!。まさか……」
「えぇ、ロイツェル侯とご結婚するための格を着けてくれたものかと…」
ドルトンは『やっと気が付いたんですか』と言わんばかりだ。
オーウェンが地位を捨ててステレと魔の森に引き籠るなら、確かに爵位などは必要ない。だが、ステレはオーウェンに爵位を捨てさせる事は望んでいなかった。ただ、どうやって侯爵と鬼人が結婚するかまでは、深く考えていなかった。正直に言えば「結婚しちまえばどうにかなるだろう」としか考えていなかった。そしてステレが何も考えていないということを、周囲は十分に承知していた。脳筋のステレに代わって周囲が必死に頭をひねった結果が、ステレの辺境伯への陞爵、しかも肩書だけで実際の領地経営はしなくても良い…であった。
自分が望んだ結果なのだから、ステレには拒否しようが無い。
ステレは卓に突っ伏したまま悶絶する。諦めの境地に入りつつあった。
「ねぇ、この芝居を上演させたの、誰だと思う?」
「まぁ…王妃殿下でしょうねぇ……」
ドルトンは当たり前のように言って蒸留酒を舐めた。もちろん、聞くまでもなくステレにも判っている。食料を買い占め、兵も家臣も離反させ、内堀も外堀も埋めてからの城攻めのような用意周到さ。逃げ道は綺麗に塞いであるに違い無い。
「陛下の手紙、儀式は省略するって書いてあるけど……」
「さすがにお礼言上に行かない訳にはいかないでしょうねぇ」
敢えて言わなかった後半はドルトンが継いだ。
ステレは王都に呼びつけられても応じる気は全く無かった。だが、形だけにしろ辺境伯という高位に叙せられて、王への礼を欠く事はステレにはできない。それはグリフ王に恥をかかせることになる。彼女を王都に呼び寄せるには、これ以上ない手法である。
だから、ステレには伝統的な罵りの言葉を吐く事しかできなかった。
「くっ……いっそ殺せ…」
ちなみに、当初劇中の王妃(劇中では婚約者)は、女剣士と王の愛を妨害する(女剣士の悪評を流したのも王妃という設定)バリバリの悪役令嬢だったが、さすがに不敬に過ぎるということで、公演時には王妃となりながらも同じく王を愛する女剣士の身の上を案じる王妃に変更されたそうである。アングラ公演ではこの封印されたはずの初期バージョンが公演され、公式上演を上回る人気だったとかなんとか。
なお、初期バージョンの脚本を書いたのは、王妃自身とのもっぱらの噂である。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(※グラスヘイム王国では女性の地位が低くく、統治権も持たないので、王妃は『陛下』ではなく『殿下』が敬称となっています)
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