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序章 気が付いたら異世界転移
002 リンカーズはファンタジー情緒溢れる世界だった (改)
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「や、やっと着いた……。日頃の運動不足を今更ながら後悔したわ……」
街道を黙々と歩き続けて、ようやく街まで辿り着いた。
ただ黙々と道なりに歩いて来たってだけなのに、もうクッタクタで足は棒のようだ。
街の入り口で人が並んでるところを見ると、どうやら街に入るための順番待ちをしてるのかな?
ここは行列慣れしてる日本人らしく、大人しく最後尾に並ぼう。
「くっ……。疲れた状態だと並んでるのも地味にキツい……!」
ズキズキと痛む両足が気になって仕方ないので、別の事を考えて気を紛らわせる。
待ってる間にマニュアルを読んでしまいたい気もするんだけど、これってあまり他人の目には触れさせない方が良い気がするんだよなぁ。
最初の手紙も普通に日本語で書かれていたし、マニュアルも日本語で書かれていると思った方が良さそうだ。
もしかしたらこの世界の人たちには読めない手紙かもしれないけど、読めない書類を持って街に入ろうとするとか怪しさ満点だよな。隠し通そう。
思ったよりも列の進みが早かったおかげで、さほど待たされずに自分の番になった。
「って、おおおっ……!?」
今まで気付かなかったけど、門番してる兵士さん、熊みたいな顔してる!
熊のような顔をした男じゃなくて、二本足で立ってて、鎧を着てる熊だ! 可愛いっ!
これってひょっとして獣人って奴かっ!?
ってことは、モフモフに期待できる世界ってことなのかーっ!?
この人は顔が完全に獣よりだけど、尻尾とケモミミの、半獣人みたいな人もいたらいいなぁ!
ヤバイなリンカーズ! 神様に全力で感謝の祈りを捧げたくなってきた!
「ほら、身分証の提示と、通行料の銀貨1枚を支払ってくれ」
熊さんが面倒臭そうに催促してくる。
やばいやばい、ちょっと妄想が暴走してしまった。
っていうか身分証なんて持ってないわ! 神様、用意足りてないよぉ。
「……済みません。身分証なんて持ってないんですけど、それだと街に入れないですか?」
「身分証明が出来ない場合は通行料が銀貨3枚になるが、それでも構わないか?」
通行料3倍だーーーっ!
えぇ、銀貨10枚ってすぐ融けるんじゃあ……?
「了解しました。銀貨3枚ですね」
だけどここでゴネても仕方ない。
野生の熊にだって逆らえないのに、鎧を着て槍を持ってる熊に逆らう愚行は犯せない。素直に払っとこ。
「それで、この街には初めて訪れたんですけど、仕事を探すには何処に行けばいいですかね? あと、個室で泊まれる宿の場所も教えてもらえませんか?」
「『ベイク』に来るのは初めてか。確かに見かけん顔だ」
ポケットをまさぐり、銀貨を3枚を手渡しながら聞いてみる。
手のひらは人に近くてクマっぽくないな。でも手の甲はフッサフサだ。
「個室の宿となると『迷宮の安らぎ亭』あたりが良いだろう。あそこは料理も美味いんだ」
「迷宮の安らぎ亭、ですね」
「街に入ってまっすぐ行くと、右手に3階建ての建物が見える。そこが迷宮の安らぎ亭だ。ベッドの看板が出ているからまず間違うことはない。確か1泊で銀貨3枚ほどだったと記憶している」
うお、またしても銀貨3枚か……! 残金がガリガリ削られていくなぁ。
そしてこの街の名はベイクと言うらしい。覚えとこ。
「仕事のほうは、何か技術を持ってるなら商工ギルドで紹介して貰えるだろう。アテが無いなら冒険者ギルドでも覗いてみるんだな。場所は宿の者にでも聞いてくれ」
「商工ギルド。そして冒険者ギルドですか。なるほど……」
「では通って良いぞ。次の者が待っているから速やかに通行するように」
「あっ、済みません。色々教えて頂いて有難うございましたっ」
熊さんだけが門番ってわけじゃないみたいだけど、熊さんの列が俺のせいで渋滞しているのは明らかだった。
慌てて感謝を伝えて、大人しく街に足を踏み入れた。
「お、おおおおっ……!」
中に入ってみると、正にそこは思い描いていたファンタジー世界そのものだった!
街中を馬車が歩いてるし、武器や鎧をつけた人たちも普通に歩いてる!
さっきの熊兵士さんに限らず、獣顔の人もそれなりに歩いているみたいだなっ。
文明レベルはよく言う『中世ヨーロッパ風』といった所かな?
どちらかと言うと、ファンタジーRPGと言うほうが俺にはイメージしやすいけど。
「とりあえず休みたいな……。日が落ちる前に宿に向かおう」
熊さんに教えて貰ったとおりに、まっすぐ進んで宿を目指す。
迷宮の安らぎ亭だったっけ?
宿の名前から察するに、迷宮が近くにあるってことなんだろうか。
迷宮いいっすねぇ。異世界といえばダンジョンっすよダンジョン!
危険度が高いようならスルーしちゃうかも知れないけども、RPGと共に人生を過ごしてきた俺にとっては、ダンジョンと聞いただけで色々期待してしまうってもんだ。
なんて考えながら歩いていたら、思ったよりあっさりと3階建ての建物を発見。
建物の前にベッドが描かれた看板も立っているし、ここが案内された宿で間違いないだろう。
周りにあまり高い建物が無いから、3階建てって説明が意外と分かりやすかったな。
しかしここで残念なお知らせが1つ。
迷宮の安らぎ亭と思われる看板が表に出てるんだけど、書いてある字が読めない件。
会話は出来るけど、識字のサポートはしてくれないとか、嘘だと言ってよ神様!
読み書き出来ないのは、あらゆる場面で大きなハンデになり得るよなぁ。
ことあるごとにストレスを感じそうだし、諦めて1から勉強するしかないかぁ……。
はぁ~~……。
読み書きから始まる異世界転生とか、マジで勘弁してくれよぉ……。
街道を黙々と歩き続けて、ようやく街まで辿り着いた。
ただ黙々と道なりに歩いて来たってだけなのに、もうクッタクタで足は棒のようだ。
街の入り口で人が並んでるところを見ると、どうやら街に入るための順番待ちをしてるのかな?
ここは行列慣れしてる日本人らしく、大人しく最後尾に並ぼう。
「くっ……。疲れた状態だと並んでるのも地味にキツい……!」
ズキズキと痛む両足が気になって仕方ないので、別の事を考えて気を紛らわせる。
待ってる間にマニュアルを読んでしまいたい気もするんだけど、これってあまり他人の目には触れさせない方が良い気がするんだよなぁ。
最初の手紙も普通に日本語で書かれていたし、マニュアルも日本語で書かれていると思った方が良さそうだ。
もしかしたらこの世界の人たちには読めない手紙かもしれないけど、読めない書類を持って街に入ろうとするとか怪しさ満点だよな。隠し通そう。
思ったよりも列の進みが早かったおかげで、さほど待たされずに自分の番になった。
「って、おおおっ……!?」
今まで気付かなかったけど、門番してる兵士さん、熊みたいな顔してる!
熊のような顔をした男じゃなくて、二本足で立ってて、鎧を着てる熊だ! 可愛いっ!
これってひょっとして獣人って奴かっ!?
ってことは、モフモフに期待できる世界ってことなのかーっ!?
この人は顔が完全に獣よりだけど、尻尾とケモミミの、半獣人みたいな人もいたらいいなぁ!
ヤバイなリンカーズ! 神様に全力で感謝の祈りを捧げたくなってきた!
「ほら、身分証の提示と、通行料の銀貨1枚を支払ってくれ」
熊さんが面倒臭そうに催促してくる。
やばいやばい、ちょっと妄想が暴走してしまった。
っていうか身分証なんて持ってないわ! 神様、用意足りてないよぉ。
「……済みません。身分証なんて持ってないんですけど、それだと街に入れないですか?」
「身分証明が出来ない場合は通行料が銀貨3枚になるが、それでも構わないか?」
通行料3倍だーーーっ!
えぇ、銀貨10枚ってすぐ融けるんじゃあ……?
「了解しました。銀貨3枚ですね」
だけどここでゴネても仕方ない。
野生の熊にだって逆らえないのに、鎧を着て槍を持ってる熊に逆らう愚行は犯せない。素直に払っとこ。
「それで、この街には初めて訪れたんですけど、仕事を探すには何処に行けばいいですかね? あと、個室で泊まれる宿の場所も教えてもらえませんか?」
「『ベイク』に来るのは初めてか。確かに見かけん顔だ」
ポケットをまさぐり、銀貨を3枚を手渡しながら聞いてみる。
手のひらは人に近くてクマっぽくないな。でも手の甲はフッサフサだ。
「個室の宿となると『迷宮の安らぎ亭』あたりが良いだろう。あそこは料理も美味いんだ」
「迷宮の安らぎ亭、ですね」
「街に入ってまっすぐ行くと、右手に3階建ての建物が見える。そこが迷宮の安らぎ亭だ。ベッドの看板が出ているからまず間違うことはない。確か1泊で銀貨3枚ほどだったと記憶している」
うお、またしても銀貨3枚か……! 残金がガリガリ削られていくなぁ。
そしてこの街の名はベイクと言うらしい。覚えとこ。
「仕事のほうは、何か技術を持ってるなら商工ギルドで紹介して貰えるだろう。アテが無いなら冒険者ギルドでも覗いてみるんだな。場所は宿の者にでも聞いてくれ」
「商工ギルド。そして冒険者ギルドですか。なるほど……」
「では通って良いぞ。次の者が待っているから速やかに通行するように」
「あっ、済みません。色々教えて頂いて有難うございましたっ」
熊さんだけが門番ってわけじゃないみたいだけど、熊さんの列が俺のせいで渋滞しているのは明らかだった。
慌てて感謝を伝えて、大人しく街に足を踏み入れた。
「お、おおおおっ……!」
中に入ってみると、正にそこは思い描いていたファンタジー世界そのものだった!
街中を馬車が歩いてるし、武器や鎧をつけた人たちも普通に歩いてる!
さっきの熊兵士さんに限らず、獣顔の人もそれなりに歩いているみたいだなっ。
文明レベルはよく言う『中世ヨーロッパ風』といった所かな?
どちらかと言うと、ファンタジーRPGと言うほうが俺にはイメージしやすいけど。
「とりあえず休みたいな……。日が落ちる前に宿に向かおう」
熊さんに教えて貰ったとおりに、まっすぐ進んで宿を目指す。
迷宮の安らぎ亭だったっけ?
宿の名前から察するに、迷宮が近くにあるってことなんだろうか。
迷宮いいっすねぇ。異世界といえばダンジョンっすよダンジョン!
危険度が高いようならスルーしちゃうかも知れないけども、RPGと共に人生を過ごしてきた俺にとっては、ダンジョンと聞いただけで色々期待してしまうってもんだ。
なんて考えながら歩いていたら、思ったよりあっさりと3階建ての建物を発見。
建物の前にベッドが描かれた看板も立っているし、ここが案内された宿で間違いないだろう。
周りにあまり高い建物が無いから、3階建てって説明が意外と分かりやすかったな。
しかしここで残念なお知らせが1つ。
迷宮の安らぎ亭と思われる看板が表に出てるんだけど、書いてある字が読めない件。
会話は出来るけど、識字のサポートはしてくれないとか、嘘だと言ってよ神様!
読み書き出来ないのは、あらゆる場面で大きなハンデになり得るよなぁ。
ことあるごとにストレスを感じそうだし、諦めて1から勉強するしかないかぁ……。
はぁ~~……。
読み書きから始まる異世界転生とか、マジで勘弁してくれよぉ……。
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