異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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2章 強さへの道標

028 3階層に挑む準備

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 目覚めると、体中が痛くて重くて熱くてダルかった。
 30過ぎてから、筋肉痛が2日後に来ることも増えていたけれど、昨日の運動量は即日筋肉痛を齎すに、充分な運動量だったらしい。
 ……お。起きたくねぇ~。


 ベッドから放たれる強烈な引力に抗い、なんとか起床する。

 いつも通り仕込みを手伝い、なんとか普段通りの時間に、冒険者ギルドに到着できた。2人の姿はまだない。

 待っている間、筋肉痛のせいか、無駄に首や肩を回したり、体を伸ばしたりしてしまう 残念ながら、筋肉痛と肉体疲労が和らぐような効果は全くなかったが。
 

 その後現れた2人も、やっぱり辛そうだった。2人とも、ケモミミがぺたんと垂れている。可愛いかよ。


「本当なら3階層に挑戦してみたかったけれど、今日の体調で行くのはちょっと危険だよね」

「だなぁ。とりあえず俺は昨日言われたように、装備品を見て回ろうと思う。
 その後はどうする?休んじまうのもアリだと思うけど」

「でもねー。昨日も全然お金稼げなかったし、今日も収入がないのはあんまり良くないかなー?」

「リーンの言うことも一理あるね。1階層回るようになって、かなり安定して稼げているけど、正直僕たちはそれまでの負債が結構大きいからね。別に借金をしているわけじゃないんだけど、余裕はあまりないんだ」

「それを言われると、俺もこれから結構金使うことになるだろうからな。
 なら2人が大丈夫なら、今日も1階層回ろうか。で、いつもより少し早めに切り上げる、って感じでどうかな」

「うんうん。私はそれでいいよー。兄さんは?」

「1階層なら危険は無いと思うし、それで行こうか」


 方針が決まったら、すぐに移動する。


 毎度の如く、武器屋『生死を分けるもの』のホムロにオーサンから言われたことを伝えて、防具を見繕ってもらう。
 そしてこれまたいつも通り、ダーティ素材のアームガードとレッグガードを用意してもらった。

 加えて、サブウェポンとして鉄製の短剣を2本購入し、両足のフトモモの外側に固定する。緊急時にどちらからでも素早く抜けるように、両側に装備することにしたのだ。
 短剣はダーティ素材ではないので、出来れば魔装術を取得するまで、抜くことがないように立ち回りたい。


 シンを見ると、ホムロに相談しつつ、比較的安価な鉄製のショートソードを購入したらしい。余裕無いって言ってたのに、大胆に金使うなぁ。3階層に向けた必要投資と割り切ったのだろうか


 そしてホムロの紹介で、衣料品店でこれまた魔荒布ダーティクロス製の上下を購入。そして今まで洗浄に頼りきりですっかり忘れていた着替えも数点購入。

 そういえばダーティ素材製品に洗浄の魔法をかけても平気なのか、と今更ながら思い当たって、衣料品店の店員さんに聞いたところ、詳しい理屈は分からないけれど、洗浄の魔法は対象の表面に作用しているらしく、ダーティ素材を傷つけてしまう事は無いということだった。

 ユリンさんの洗浄で、いや~んまいっちんぐ!な展開になることはないみたいだ。

 まぁ正直これは、今更の疑問だったよ。今迄だって、装備着たままユリンさんに洗浄かけて貰ってたけど、破損してないからね。


 更に雑貨屋にも立ち寄って、以前は買えなかった革製の背中に背負うタイプの道具袋を購入する。雨にも強く、裂傷に対する耐性が高いことが売りなのだとか。
 これで常に両手を空けて動き回ることが出来る。

 訓練前にがっつり稼いだのに、銀板単位で散在してしまい、残金が危険領域に戻ってしまった。
 残金は350リーフくらい。やはり鉄の短剣2本と革製リュックが、かなり良いお値段だった。


 その後は1階層を4回ほど狩りつくして早めに終了。今日の収入は520リーフ。とりあえず危険域は脱したと思う。

 解散した後、夕食にはまだ早そうだったので、ギルドの訓練場でランニングと素振りを行い、汗を流す。特に短剣の取り出しの確認は念入りに行った。


 就寝前にステータスチェックを行うものの、やはり未だSPの獲得には至っていない。
 3階層で戦えるようになったら、SPも獲得できるようになるのだろうか。

 っていうか初期スキルが遠すぎるわ!これなんてクソゲだよ!



 翌朝起床し、まずは体調を入念にチェックする。万全な状態と言うには疲労が残っているけれども、動きに支障が出るようなダルさは感じない。
 2人も大丈夫そうなら、今日こそ3階層に挑んでみたい。


 いつも通りギルドで2人と合流し、打ち合わせ。


「私も3階層を試してみたいな。体調に不安はないよー」

「僕も大丈夫だ。今日は3階層に行ってみよう」

「了解だ。頼りにしてるぜ2人とも」


 ギルドで3階層の地図を購入。銅板3枚なので、お互い1枚ずつ購入した。

 移動しながら、簡単に立ち回り方も打ち合わせる。
 今までちゃんとした共闘は2階層のネズミ戦くらいで、ちゃんとした連携はほとんどぶっつけ本番だ。

 俺は武器的に2人の近くで立ち回るのは危険なので、敵に突っ込んで注意を引き付ける役が適任だろう。

 シンとリーンは元々一緒に戦っていたし、使用武器を考えても、連携が取りやすいはずだ。


 ということで、俺と2人でそれぞれ半数ずつ受け持ち、先に殲滅した方が残っている方に加勢するという、非常に単純な作戦くらいしか立てられなかった。

 俺らってショートレンジの前衛3人のパーティだからな。戦闘経験の無い素人の俺たちには、ちゃんとした連携を行うのはまだまだ難易度が高すぎる。

 互いの位置に注意し、積極的に声がけを行うようお互い確認する。


 1階層、2階層は最短距離で通過し、ついに3階層に足を踏み入れた。

 
 やはり2階層よりも、更に薄暗くなっている。
 日本に居た時に例えるならば、車のライトを点けるか点けないか迷うくらいの暗さだ。

 照明も暗視もまだ必要ないと思うけど、思わぬところで足を取られたり、細かいものを見落としてしまうかもしれない。

 初めて訪れる階層だ。油断するな。


 足を止めて地図を確認していると、至るところから、甲高いギィギィギャアギャアといった感じの声が聞こえてくる。索敵には苦労しなくて済みそうだな。

 挟み撃ちを受けにくそうな、分岐の少ないルートを選び、進行すること数分。
 とうとう3階層の魔物である、レッサーゴブリンを発見した。

 背丈は人の半分くらいか。リーンと比べても頭1つ小さい。

 歩行は2足でしっかりとした足取りだけど、服なんて着ていなくて、全身毛むくじゃらだ。ゴブリンと言うよりも猿に近い印象を受ける。
 
 全部で7体。
 初遭遇の魔物としてはちょっと不安な数だ。

 俺たちの後ろは分岐路まで距離があって、増援が来る心配は少ないはず。後は覚悟の問題だ。


 黙ったまま2人の顔を見る。2人とも目が合うと、静かに頷いた。
 戦闘準備完了だ。

 ここで俺がヘマをしたら、一緒に居る2人の命の危険に直結する。
 2人を守るために、こいつらを殺すことを躊躇うな。
 優先順位を明確にしろ。


 さぁベイク3階層の壁に挑もう。

 レッサーゴブリンたちよ。
 俺のために死んでくれ。
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