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2章 強さへの道標
032 昇級と勉強と
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「ついに!ついにキタアアアアアアアアアアア!」
3階層で探索を始めて今日で3日目。
夕食を終えて日課のステータスチェックをしたら、とうとう所持SPが1になっていることに気付いた。昨日0だったのは確認済みなので、今日獲得したのは間違いない。
つうか1往復につき200体以上、初日は1回、昨日と今日は3往復してきたから、最低でも1400~1500体のレッサーゴブリンを倒してようやくってことになる。
スキルポイントの獲得、渋すぎないっすかねぇ~?3日で1SP獲得できたと考えるならそこまで酷いレートでもないのか……?
あ、戦闘人数で経験値が頭割りになってる可能性もあるのか。むしろ魔物を倒してなんらかの力を得ているなら、同じものを全員で共有、分割していると考える方が自然か。
なんにしても、ちゃんとSPが獲得できることが分かっただけでも気持ち的にめちゃくちゃ前向きになれる。レベリングは好きだったし、経験値が無駄にならないって分かっただけでやる気出るわぁ。
金銭的な意味で、SPがあってもスキルの取得はまだ無理なんだけどなっ!
そして次の日の朝、冒険者ギルドにて。
「トーマ、ギルドへの納品累計額が10000リーフ行ったから9等級に昇級だ。シンとリーンもあと2回ほど行ってくれば昇級基準に達するだろう。
3人一緒に手続きしてやっから、今日の最後に身分証預けていってくれ。明日の朝に返すから」
と、オーサンから昇級を告げられる。
ぶっちゃけ10から9等級に上がっても何が変わるわけではないが、今までの自分の活動が周囲に認められたみたいでスゲー嬉しい。
ここ2日は1日3000リーフ以上稼いでいたからなぁ。仮に3等分で計算されていたとしても、9等級になるには充分な報酬額だったらしい。
ちなみに8等級への昇級条件は累計25万リーフ。一気に跳ね上がった。
今までの累計額がリセットされるわけではないので、実質的には24万リーフと言うことになる。
8等級まで上がった冒険者は、報酬的な意味で祝福の儀を日常的に行えるようになり、戦闘向きのスキルを複数所持しているのが当たり前、と見られるようになる。
そのため9等級と8等級では社会的信用度に大きく差があるって話だ。
翌日受け取った身分証は、外見的には特に変化はなかった。
報酬が安定してきたので、3人で話し合った結果、今後も10日ごとに指導訓練を受け続けることにした。料金は武器のメンテ代の必要ない俺が持つことで合意。
シンは申し訳ないと折半しようとしていたが、俺1人で常に報酬を5割貰っているのだから、報酬面で俺が有利なのは間違いないのだ。人数で料金が変わるわけでもないので、指導料は俺が払うことで納得してもらった。
3階層の探索は非常に安定している。
レッサーゴブリンはとにかく数が多く、遭遇に時間がかからない。荷物がいっぱいになるまでの探索時間は、1人で1階層を回っていたときと比べても、明らかに短いのだ。
今は1日に3往復のペースで探索を行っているが、3往復目を終えた時点でまだ日が落ちていない。
流石に4度目に突入すると、帰りは夜になっているだろうけど。
探索終了時間が早まったので、以前お願いしていた読み書きを教えてもらう話を改めて頼んでみた。詳細を話し合って、時間は探索終了から日没まで、場所はギルドのロビー、報酬は1日銅板2枚でお願いすることが決まった
「あの話本気だったの?」とか「お金なんて受け取れないよ!」とかシンはなかなか納得してくれなかったが、商人を目指して読み書きを習った経験のあるシンは、識字の重要性をよく理解しているのだ。その技術を教わるのだからと、報酬は必ず受け取ることを約束してもらった。
仮に俺の覚えが悪くても、お金さえ払ってれば割り切って教えてくれるだろうしな。
日が落ちたらそのままギルドで解散。すっかり日課となった走り込みと素振りを行う。最近はスリングショットを購入したので、的当ての練習もしている。
ホムロに、俺たち3人とも接近戦しか出来ないから、俺用になにか中・長距離射程の武器ってないかなーと相談。
弓を扱うのはかなりの努力とセンスが要るらしく、集中的に練習できないならオススメできないということで、次善策としてスリングショットを提案される。
この世界にもゴムってあったんだなぁと思ったら、伸縮性のある部分はどっかのワーム系の魔物素材らしい。ワームって聞くと触るのがちょっと嫌になる、とはホムロには言えなかった。
今のところ練習のみで、実戦では試していない。動いている魔物にちゃんと当てられる自信はまだないし、打ち出すための用の石もかなり嵩張るからな。
いつ必要になっても大丈夫なように練習だけは続けておく。
次の日探索を終えて、初めて読み書きの授業を受けた。なんかこの授業に対しては、リーンが妙に張り切っている模様。
「分からないことがあったら私に聞いてね。私のほうが先輩だしー?」
リーンパイセン、ちょいちょい先輩風吹かせてくるのなんなんっすかね?
リンカーズの文字はアルファベットに似てるんだけど、地球上には存在しない文字っぽい気がする。それともどっかの国で使われてるのかなぁ?
数字は10進法で、0も普通に存在している。
文法は日本語とあまり違いはなさそうなのでそこは問題なかったのだが、落とし穴が2つあった。
1つは日本語でいうところの漢字のような、1文字で複数の意味を持つ重字。
もう1つは、その文字自体には意味がなく、文章の見栄えや相手の印象を変えるために用いられる飾字。
神様さぁ、変なところでオリジナリティだすのやめようぜー?実際に転移した人間が苦労するだけなんだからさー!
ちなみにリーンは飾字が個人的に好きらしく、俺が飾字を間違えると俺を叱るでもなく静かに不機嫌になる。多分「こんな素敵な字なのにトーマは理解してない」みたいな怒り方だろうか。
センパイ、普通に口で言ってください。めっちゃ気まずいっスわ。
3階層で探索を始めて今日で3日目。
夕食を終えて日課のステータスチェックをしたら、とうとう所持SPが1になっていることに気付いた。昨日0だったのは確認済みなので、今日獲得したのは間違いない。
つうか1往復につき200体以上、初日は1回、昨日と今日は3往復してきたから、最低でも1400~1500体のレッサーゴブリンを倒してようやくってことになる。
スキルポイントの獲得、渋すぎないっすかねぇ~?3日で1SP獲得できたと考えるならそこまで酷いレートでもないのか……?
あ、戦闘人数で経験値が頭割りになってる可能性もあるのか。むしろ魔物を倒してなんらかの力を得ているなら、同じものを全員で共有、分割していると考える方が自然か。
なんにしても、ちゃんとSPが獲得できることが分かっただけでも気持ち的にめちゃくちゃ前向きになれる。レベリングは好きだったし、経験値が無駄にならないって分かっただけでやる気出るわぁ。
金銭的な意味で、SPがあってもスキルの取得はまだ無理なんだけどなっ!
そして次の日の朝、冒険者ギルドにて。
「トーマ、ギルドへの納品累計額が10000リーフ行ったから9等級に昇級だ。シンとリーンもあと2回ほど行ってくれば昇級基準に達するだろう。
3人一緒に手続きしてやっから、今日の最後に身分証預けていってくれ。明日の朝に返すから」
と、オーサンから昇級を告げられる。
ぶっちゃけ10から9等級に上がっても何が変わるわけではないが、今までの自分の活動が周囲に認められたみたいでスゲー嬉しい。
ここ2日は1日3000リーフ以上稼いでいたからなぁ。仮に3等分で計算されていたとしても、9等級になるには充分な報酬額だったらしい。
ちなみに8等級への昇級条件は累計25万リーフ。一気に跳ね上がった。
今までの累計額がリセットされるわけではないので、実質的には24万リーフと言うことになる。
8等級まで上がった冒険者は、報酬的な意味で祝福の儀を日常的に行えるようになり、戦闘向きのスキルを複数所持しているのが当たり前、と見られるようになる。
そのため9等級と8等級では社会的信用度に大きく差があるって話だ。
翌日受け取った身分証は、外見的には特に変化はなかった。
報酬が安定してきたので、3人で話し合った結果、今後も10日ごとに指導訓練を受け続けることにした。料金は武器のメンテ代の必要ない俺が持つことで合意。
シンは申し訳ないと折半しようとしていたが、俺1人で常に報酬を5割貰っているのだから、報酬面で俺が有利なのは間違いないのだ。人数で料金が変わるわけでもないので、指導料は俺が払うことで納得してもらった。
3階層の探索は非常に安定している。
レッサーゴブリンはとにかく数が多く、遭遇に時間がかからない。荷物がいっぱいになるまでの探索時間は、1人で1階層を回っていたときと比べても、明らかに短いのだ。
今は1日に3往復のペースで探索を行っているが、3往復目を終えた時点でまだ日が落ちていない。
流石に4度目に突入すると、帰りは夜になっているだろうけど。
探索終了時間が早まったので、以前お願いしていた読み書きを教えてもらう話を改めて頼んでみた。詳細を話し合って、時間は探索終了から日没まで、場所はギルドのロビー、報酬は1日銅板2枚でお願いすることが決まった
「あの話本気だったの?」とか「お金なんて受け取れないよ!」とかシンはなかなか納得してくれなかったが、商人を目指して読み書きを習った経験のあるシンは、識字の重要性をよく理解しているのだ。その技術を教わるのだからと、報酬は必ず受け取ることを約束してもらった。
仮に俺の覚えが悪くても、お金さえ払ってれば割り切って教えてくれるだろうしな。
日が落ちたらそのままギルドで解散。すっかり日課となった走り込みと素振りを行う。最近はスリングショットを購入したので、的当ての練習もしている。
ホムロに、俺たち3人とも接近戦しか出来ないから、俺用になにか中・長距離射程の武器ってないかなーと相談。
弓を扱うのはかなりの努力とセンスが要るらしく、集中的に練習できないならオススメできないということで、次善策としてスリングショットを提案される。
この世界にもゴムってあったんだなぁと思ったら、伸縮性のある部分はどっかのワーム系の魔物素材らしい。ワームって聞くと触るのがちょっと嫌になる、とはホムロには言えなかった。
今のところ練習のみで、実戦では試していない。動いている魔物にちゃんと当てられる自信はまだないし、打ち出すための用の石もかなり嵩張るからな。
いつ必要になっても大丈夫なように練習だけは続けておく。
次の日探索を終えて、初めて読み書きの授業を受けた。なんかこの授業に対しては、リーンが妙に張り切っている模様。
「分からないことがあったら私に聞いてね。私のほうが先輩だしー?」
リーンパイセン、ちょいちょい先輩風吹かせてくるのなんなんっすかね?
リンカーズの文字はアルファベットに似てるんだけど、地球上には存在しない文字っぽい気がする。それともどっかの国で使われてるのかなぁ?
数字は10進法で、0も普通に存在している。
文法は日本語とあまり違いはなさそうなのでそこは問題なかったのだが、落とし穴が2つあった。
1つは日本語でいうところの漢字のような、1文字で複数の意味を持つ重字。
もう1つは、その文字自体には意味がなく、文章の見栄えや相手の印象を変えるために用いられる飾字。
神様さぁ、変なところでオリジナリティだすのやめようぜー?実際に転移した人間が苦労するだけなんだからさー!
ちなみにリーンは飾字が個人的に好きらしく、俺が飾字を間違えると俺を叱るでもなく静かに不機嫌になる。多分「こんな素敵な字なのにトーマは理解してない」みたいな怒り方だろうか。
センパイ、普通に口で言ってください。めっちゃ気まずいっスわ。
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