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4章 2人のために出来ること
059 状況確認
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「……まずは事情を聞かせてくれ」
危うく目の前のスレイに詰め寄ってしまうところだった。
深く息を吐いて自分を落ち着かせる。
シンに俺のことを聞いたと言うことは、少なくとも2人のことを助けようと思っている人のはずだ。
じゃなければたかが8等級、シンが情報元だとすれば俺はまだ9等級か?そんな駆け出し冒険者に奴隷購入を勧めてきたりはしないだろう。
「聞いてくれるだけでも有り難いよ。では落ち着いて聞いて欲しい。
あまり楽しい話ではないのは覚悟してくれ」
スレイが語り始める。
要するにどっかの貴族が盗みに入られて、なんか高価なものを盗られた。
そしてその盗品を、2人の両親が騙されて掴まされ、売り払ってしまった。
そして実は盗みに入った相手が、一度2人の両親に売却し、それをまた買い取ったことが判明したと。
両親は騙されていたことが証明されたが、取引を行ってしまったこと自体は間違いがないので、本来死刑であるところを減刑して、5年間の強制労働刑に。
そして犯人が捕まらないので、シンの両親が盗人の代わりに賠償を請求され、その結果財産を全部売却し、更には子供2人を奴隷にしたお金で貴族への賠償金とするという話のようだ。
端的に言えば、シンの家を陥れた犯人と、賠償を命じた貴族は絶対に殺す。
まぁ今そんなことを言っても仕方ないので話を進める。
「私は2人の両親に助けてもらったことがあってね。彼らの子供が犯罪奴隷として売却されるのを、黙って見ているのは忍びないんだ。
国の法律で裁かれた結果に意義を唱えるわけには行かないから、私に出来る範囲で彼らを助けようと動いた結果、アンタに会いに来たんだ」
なるほどね。やっぱり彼は2人の味方のようだ。
でも今重要なのはそこじゃない。
「じゃあ確認させてもらうぞ。
1つ目。確実に2人を一緒に購入出来る期日。
2つ目。2人の購入価格の合計額。
3つ目。期日を過ぎたとして可能な限り引き伸ばすなら何日いけると思う?」
ただでさえ奴隷ってのは安い買い物じゃないんだろうが、今回は賠償に当てられるってことは更に高額の可能性が高い。
そして2人の年齢と容姿なら、高額でも充分売れる可能性が高い。
恐らく金額的にも時間的にも余裕はないだろう。
「まずは1つ目。とりあえずあと3日間は手続きや教育と言って、売りに出さずに確実に匿っておくことは可能だ。
購入金額はシンが180万リーフ、リーンが120万リーフ、2人合わせて白金貨3枚だ。
3つ目。裁判の結果を覆すことは国に逆らうことなので、10日以上匿うことは出来ない。
そして賠償目的なので、2人の年齢と値段は恐らく公示されることだろう。
買い手はすぐに見つかるだろうし、仮に貴族の買い手がついたら、もう覆せないと思ってくれ」
「つまり3日以内に白金貨3枚稼げば良いのか。3日後は何処に金を払いに行けば良いんだ?
スレイはベイクに滞在してるのか?」
「……白銀貨3枚を3日以内だぞ!?そんなこと本当にできr「黙れっ!!!」
お前の常識になんて構ってる暇なんかないんだよ。
「余計なことは一切喋るな時間の無駄だ。俺に聞かれたことだけ簡潔に答えろ」
俺の声に驚き威圧されているスレイにもう一度「答えろ!!」と怒鳴る。
「あ、ああ、す、済まない。
私はベイクに奴隷商館を構えている。2人もそこにいるので、4日目の夜明けまでにお金を用意してくれれば確実に対応できる」
「店の場所は?3日目は深夜でも店は開いているのか?」
店の場所を確認、更に3日目は終日対応してもらうことを確約する。
「ちなみに他の手はないのか?
例えば俺が白金貨3枚を支払えなかったときに、不足分を俺に貸し付けて補うとかは?」
「無理だ。ただでさえ奴隷の売買には膨大な手続きが必要になるんだが、その中でも犯罪奴隷は別格なのだ。
犯罪を犯した者の所在や行方の確認は勿論、奴隷商人の金の流れも厳しく審査される。
奴隷商人が個人的に奴隷を所有することは認められているが、犯罪奴隷を所有するのだけは違法とされている。
犯罪者と奴隷商人が結託した場合、犯罪を犯し放題になってしまうためだ」
なるほどねぇ。
思ったよりもリンカーズでは奴隷の扱いは慎重らしい。
「そして犯罪奴隷は親類縁者に購入権も認められない。購入の代行も認められないのでお金を工面することも出来ない。
……そもそもの話、『犯罪奴隷を救おう』なんて発想がない。そのため犯罪奴隷の奴隷取引はかなり不利なものになっているのだ。
犯罪奴隷を購入する場合は自力で金を集めるしかない」
ちっ、確かに犯罪者を簡単に解放できたら治安に問題が出るし、市民感情も収まらないか。
ぶっちゃけ日本にいたときも、保釈金さえ払えば罪を犯しても外に出てこれるのかよ?とか思ったことあるしな。
マイホーム資金を貯めていたことが幸いしたな。
70万リーフに届かない程度ではあるが、時間制限を考えるとかなりの底上げになる。
つうか8等級から7等級になるための報酬を3日で稼げってのは頭悪い課題だなぁ。
さて、どうしたもんかねぇ。
危うく目の前のスレイに詰め寄ってしまうところだった。
深く息を吐いて自分を落ち着かせる。
シンに俺のことを聞いたと言うことは、少なくとも2人のことを助けようと思っている人のはずだ。
じゃなければたかが8等級、シンが情報元だとすれば俺はまだ9等級か?そんな駆け出し冒険者に奴隷購入を勧めてきたりはしないだろう。
「聞いてくれるだけでも有り難いよ。では落ち着いて聞いて欲しい。
あまり楽しい話ではないのは覚悟してくれ」
スレイが語り始める。
要するにどっかの貴族が盗みに入られて、なんか高価なものを盗られた。
そしてその盗品を、2人の両親が騙されて掴まされ、売り払ってしまった。
そして実は盗みに入った相手が、一度2人の両親に売却し、それをまた買い取ったことが判明したと。
両親は騙されていたことが証明されたが、取引を行ってしまったこと自体は間違いがないので、本来死刑であるところを減刑して、5年間の強制労働刑に。
そして犯人が捕まらないので、シンの両親が盗人の代わりに賠償を請求され、その結果財産を全部売却し、更には子供2人を奴隷にしたお金で貴族への賠償金とするという話のようだ。
端的に言えば、シンの家を陥れた犯人と、賠償を命じた貴族は絶対に殺す。
まぁ今そんなことを言っても仕方ないので話を進める。
「私は2人の両親に助けてもらったことがあってね。彼らの子供が犯罪奴隷として売却されるのを、黙って見ているのは忍びないんだ。
国の法律で裁かれた結果に意義を唱えるわけには行かないから、私に出来る範囲で彼らを助けようと動いた結果、アンタに会いに来たんだ」
なるほどね。やっぱり彼は2人の味方のようだ。
でも今重要なのはそこじゃない。
「じゃあ確認させてもらうぞ。
1つ目。確実に2人を一緒に購入出来る期日。
2つ目。2人の購入価格の合計額。
3つ目。期日を過ぎたとして可能な限り引き伸ばすなら何日いけると思う?」
ただでさえ奴隷ってのは安い買い物じゃないんだろうが、今回は賠償に当てられるってことは更に高額の可能性が高い。
そして2人の年齢と容姿なら、高額でも充分売れる可能性が高い。
恐らく金額的にも時間的にも余裕はないだろう。
「まずは1つ目。とりあえずあと3日間は手続きや教育と言って、売りに出さずに確実に匿っておくことは可能だ。
購入金額はシンが180万リーフ、リーンが120万リーフ、2人合わせて白金貨3枚だ。
3つ目。裁判の結果を覆すことは国に逆らうことなので、10日以上匿うことは出来ない。
そして賠償目的なので、2人の年齢と値段は恐らく公示されることだろう。
買い手はすぐに見つかるだろうし、仮に貴族の買い手がついたら、もう覆せないと思ってくれ」
「つまり3日以内に白金貨3枚稼げば良いのか。3日後は何処に金を払いに行けば良いんだ?
スレイはベイクに滞在してるのか?」
「……白銀貨3枚を3日以内だぞ!?そんなこと本当にできr「黙れっ!!!」
お前の常識になんて構ってる暇なんかないんだよ。
「余計なことは一切喋るな時間の無駄だ。俺に聞かれたことだけ簡潔に答えろ」
俺の声に驚き威圧されているスレイにもう一度「答えろ!!」と怒鳴る。
「あ、ああ、す、済まない。
私はベイクに奴隷商館を構えている。2人もそこにいるので、4日目の夜明けまでにお金を用意してくれれば確実に対応できる」
「店の場所は?3日目は深夜でも店は開いているのか?」
店の場所を確認、更に3日目は終日対応してもらうことを確約する。
「ちなみに他の手はないのか?
例えば俺が白金貨3枚を支払えなかったときに、不足分を俺に貸し付けて補うとかは?」
「無理だ。ただでさえ奴隷の売買には膨大な手続きが必要になるんだが、その中でも犯罪奴隷は別格なのだ。
犯罪を犯した者の所在や行方の確認は勿論、奴隷商人の金の流れも厳しく審査される。
奴隷商人が個人的に奴隷を所有することは認められているが、犯罪奴隷を所有するのだけは違法とされている。
犯罪者と奴隷商人が結託した場合、犯罪を犯し放題になってしまうためだ」
なるほどねぇ。
思ったよりもリンカーズでは奴隷の扱いは慎重らしい。
「そして犯罪奴隷は親類縁者に購入権も認められない。購入の代行も認められないのでお金を工面することも出来ない。
……そもそもの話、『犯罪奴隷を救おう』なんて発想がない。そのため犯罪奴隷の奴隷取引はかなり不利なものになっているのだ。
犯罪奴隷を購入する場合は自力で金を集めるしかない」
ちっ、確かに犯罪者を簡単に解放できたら治安に問題が出るし、市民感情も収まらないか。
ぶっちゃけ日本にいたときも、保釈金さえ払えば罪を犯しても外に出てこれるのかよ?とか思ったことあるしな。
マイホーム資金を貯めていたことが幸いしたな。
70万リーフに届かない程度ではあるが、時間制限を考えるとかなりの底上げになる。
つうか8等級から7等級になるための報酬を3日で稼げってのは頭悪い課題だなぁ。
さて、どうしたもんかねぇ。
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