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4章 2人のために出来ること
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「あ、トーマ。もう料理は運んであるから勝手に始めてくれて構わないよ。
3階の手前側の部屋、鍵は開いてるから。
食べ終わったら報告だけしてくれるかい。片付けはこっちでやるからさ」
みんなで迷宮の安らぎ亭に到着すると、既に夕食の準備は済んでいるようだった。
今回は打ち上げなので個室を借りたいと伝えてあったが、ちゃんと用意してもらえたようだ。
今まで1回も行った事のなかった3階に上がり、ユリンさんに言われたとおり、手前の部屋に入る。
どうやら見た感じ、10人くらいの大人数の宿泊を想定した広さの部屋だった。
端に寄せられたベッドの数を数えてみると8つ。8人部屋なのね。
「それじゃ早速夕食にしようか。みんな適当に座って座って。あ、3匹は俺んとこにいらっしゃいませー」
「自然な流れでオードルを連れて行くんじゃねぇ、ってかオードルも行くなよぉ!」
ふはははは!
我等はすでに相思相愛なのだよオーサンくん!
「みんな席についたぁ?それじゃトーマさん始めちゃってぇ」
「へ?
……えーと、2人の無事と再会を祝して、いただきましょう?」
「はっ!締まらねぇけどトーマらしいな。じゃあ頂くとすっか!」
なんかこの宿での食事も久しぶりに感じるなぁ。
左手で膝の上の3匹を構いながら食事を始めた。
「あーうっまいわ。なんかこんなにゆっくり食事すんのがめっちゃ贅沢に感じる。
ほらほらこれもおいしーぞー」
3匹と適度にイチャイチャしながら夕食を楽しむ。
本当にここの食事は最高だ。
「トーマ!トーマ!これも食べて!私が取ってあげるから!」
「あーもうリーンも自分が食えって。せっかく旨いメシ用意して貰ったんだからさ」
リーンは前にも増してこっちに構ってくる。
というか、以前も結構世話焼きだったのが酷くなった感じか?
「あ、そうそうクリリクさん。次の指導日から受ける奴一気に増えるから気をつけてね。
もし家に入れられないならなんか考えるからさ」
「あー主人から聞いたわよぉ。20人くらい増えるんですって?
お料理沢山作らなきゃねぇ。ふふふ」
「ああ、もし人手が必要なら俺が早めに来て手伝うんで、遠慮なく言ってね。
これでもこの宿の料理人に仕込まれてるからさ、手伝いくらいなら出来ると思う」
「トーマお前料理まで習ってんのかよ?
そういやお前、いつの間にか普通に読み書きも出来るようになってるよな?
一体いつ寝てんだよお前さんはよぉ」
リンカーズの人間が腰振ってるときに武器を振ってんだよ、と言うか迷ったけど、流石に下品すぎるなと思って飲み込んでおく。
そういえばもう読み書きの授業は必要ないかな?
リーンもいるし、わからないことはその都度聞けば良いだろうし。
「はは、そういえばあの日も、トーマが料理出来るって聞いて、驚いたっけ……」
「ああ、2人と初めて会った日か?お前ら揃いも揃って人を顔で判断すんじゃねぇっつうの。
俺の中では料理は必要な技術ってことになってんだよ」
シンもようやく笑顔を見せてくれた。
「棍棒と道具袋だけ持って2階層に上がってくるような人が料理できるなんて、普通思わないでしょ」
「何にも出来ないような顔してなんでも出来ちゃうんだもん。トーマはズルいー!」
「実際何も出来なかったんだよ!
流石に最近は、色々出来ることも増えたけどな」
「お前の冒険者登録をして、まだ100日も経ってねぇんじゃねぇのか?
登録したてのトーマは、本当にすぐ死にそうだと思ったんだけどなぁ」
そりゃオーサンの見る目がなかっただけだな!
ちなみにリヴァーブ王国には月と曜日の概念がない。1年っていう概念はあるはず。税金が1年単位で取られるためだ。今が何年なのかも、1年が何日かも知らんけど。
日付を表現する場合は単純に、何日後って言ったり、○○○日みたいな言い方をする。
四季はどうなんだろうな?
別に温度変化を感じたりはしないのだけど、環境適応スキルのせいで、その辺の変化に気付けない可能性はなくもない。
「思えばあの日トーマに会って、ここで誘われたのが僕たちの冒険者生活の本当の始まりだったような気がするよ。
トーマに会う前はリーンと2人で2階層回ってたけど、あまりの稼げなさに先行きが全然見えなくて、毎日が不安でいっぱいだった」
ポーターの子達も同じようなこと言ってたなぁ。
「俺は確かオーサンに1階層回れって言われた気がするんだけど、なんでベイクの冒険者には同じこと言わないんだよ?
結果的に俺は助かったわけだけどさ」
「言わないんじゃねぇ、聞かないんだよ誰もな。
むしろ素直にマッドスライム狩り続けたお前にびっくりしてたわ」
困窮してるわけじゃないから1階層を回るメリットは無いとかいう話だったのに、子供たち普通に困窮してるのに1階層放置されてるのは、本当に意味がわからん。
思い込みってヤツなのかもしれないけれど、もうちょっと何とかできそうな気がするんだけどなぁ。
「あの日が始まりだって言うなら、今日のこの食事からまた再出発すれば良いんだ。
この旨い食事が験担ぎになるなら言うことない」
「うん!これからトーマの奴隷として改めて宜しくねっ」
あ、そっち方面に舵切るの、やめてもらっていっすかね。
3階の手前側の部屋、鍵は開いてるから。
食べ終わったら報告だけしてくれるかい。片付けはこっちでやるからさ」
みんなで迷宮の安らぎ亭に到着すると、既に夕食の準備は済んでいるようだった。
今回は打ち上げなので個室を借りたいと伝えてあったが、ちゃんと用意してもらえたようだ。
今まで1回も行った事のなかった3階に上がり、ユリンさんに言われたとおり、手前の部屋に入る。
どうやら見た感じ、10人くらいの大人数の宿泊を想定した広さの部屋だった。
端に寄せられたベッドの数を数えてみると8つ。8人部屋なのね。
「それじゃ早速夕食にしようか。みんな適当に座って座って。あ、3匹は俺んとこにいらっしゃいませー」
「自然な流れでオードルを連れて行くんじゃねぇ、ってかオードルも行くなよぉ!」
ふはははは!
我等はすでに相思相愛なのだよオーサンくん!
「みんな席についたぁ?それじゃトーマさん始めちゃってぇ」
「へ?
……えーと、2人の無事と再会を祝して、いただきましょう?」
「はっ!締まらねぇけどトーマらしいな。じゃあ頂くとすっか!」
なんかこの宿での食事も久しぶりに感じるなぁ。
左手で膝の上の3匹を構いながら食事を始めた。
「あーうっまいわ。なんかこんなにゆっくり食事すんのがめっちゃ贅沢に感じる。
ほらほらこれもおいしーぞー」
3匹と適度にイチャイチャしながら夕食を楽しむ。
本当にここの食事は最高だ。
「トーマ!トーマ!これも食べて!私が取ってあげるから!」
「あーもうリーンも自分が食えって。せっかく旨いメシ用意して貰ったんだからさ」
リーンは前にも増してこっちに構ってくる。
というか、以前も結構世話焼きだったのが酷くなった感じか?
「あ、そうそうクリリクさん。次の指導日から受ける奴一気に増えるから気をつけてね。
もし家に入れられないならなんか考えるからさ」
「あー主人から聞いたわよぉ。20人くらい増えるんですって?
お料理沢山作らなきゃねぇ。ふふふ」
「ああ、もし人手が必要なら俺が早めに来て手伝うんで、遠慮なく言ってね。
これでもこの宿の料理人に仕込まれてるからさ、手伝いくらいなら出来ると思う」
「トーマお前料理まで習ってんのかよ?
そういやお前、いつの間にか普通に読み書きも出来るようになってるよな?
一体いつ寝てんだよお前さんはよぉ」
リンカーズの人間が腰振ってるときに武器を振ってんだよ、と言うか迷ったけど、流石に下品すぎるなと思って飲み込んでおく。
そういえばもう読み書きの授業は必要ないかな?
リーンもいるし、わからないことはその都度聞けば良いだろうし。
「はは、そういえばあの日も、トーマが料理出来るって聞いて、驚いたっけ……」
「ああ、2人と初めて会った日か?お前ら揃いも揃って人を顔で判断すんじゃねぇっつうの。
俺の中では料理は必要な技術ってことになってんだよ」
シンもようやく笑顔を見せてくれた。
「棍棒と道具袋だけ持って2階層に上がってくるような人が料理できるなんて、普通思わないでしょ」
「何にも出来ないような顔してなんでも出来ちゃうんだもん。トーマはズルいー!」
「実際何も出来なかったんだよ!
流石に最近は、色々出来ることも増えたけどな」
「お前の冒険者登録をして、まだ100日も経ってねぇんじゃねぇのか?
登録したてのトーマは、本当にすぐ死にそうだと思ったんだけどなぁ」
そりゃオーサンの見る目がなかっただけだな!
ちなみにリヴァーブ王国には月と曜日の概念がない。1年っていう概念はあるはず。税金が1年単位で取られるためだ。今が何年なのかも、1年が何日かも知らんけど。
日付を表現する場合は単純に、何日後って言ったり、○○○日みたいな言い方をする。
四季はどうなんだろうな?
別に温度変化を感じたりはしないのだけど、環境適応スキルのせいで、その辺の変化に気付けない可能性はなくもない。
「思えばあの日トーマに会って、ここで誘われたのが僕たちの冒険者生活の本当の始まりだったような気がするよ。
トーマに会う前はリーンと2人で2階層回ってたけど、あまりの稼げなさに先行きが全然見えなくて、毎日が不安でいっぱいだった」
ポーターの子達も同じようなこと言ってたなぁ。
「俺は確かオーサンに1階層回れって言われた気がするんだけど、なんでベイクの冒険者には同じこと言わないんだよ?
結果的に俺は助かったわけだけどさ」
「言わないんじゃねぇ、聞かないんだよ誰もな。
むしろ素直にマッドスライム狩り続けたお前にびっくりしてたわ」
困窮してるわけじゃないから1階層を回るメリットは無いとかいう話だったのに、子供たち普通に困窮してるのに1階層放置されてるのは、本当に意味がわからん。
思い込みってヤツなのかもしれないけれど、もうちょっと何とかできそうな気がするんだけどなぁ。
「あの日が始まりだって言うなら、今日のこの食事からまた再出発すれば良いんだ。
この旨い食事が験担ぎになるなら言うことない」
「うん!これからトーマの奴隷として改めて宜しくねっ」
あ、そっち方面に舵切るの、やめてもらっていっすかね。
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