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4章 2人のために出来ること
069 動物天国
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「あらトーマさん、思ったより早く来たのねぇ」
オーサン宅に到着。クリリクさんが出迎えてくれた。
「なんか思ったより寝れなかったんだよ。お邪魔していい?
みんなはどうしてるかな」
「ふふふ、静かに入ってきてねぇ」
ふむ?とりあえず促されるままに中に入った。
お、おお、おおおおおおおおお…………!
家の中にはこの世のものとは思えないほど尊い光景が広がっていた。
ソファに並んで座ったまま眠るケモミミ少年少女。そして寄り添うように眠る子犬2匹と子猫1匹。
は?なにこれ?ここって天国なんですか?俺ってもしかして死んだの?もう視界内が可愛いで100%飽和状態なんですけど?
これは死ぬ。これは人が殺せますわ。尊い。尊すぎる。これが音に聞く尊死というやつですか?
理解した。これは完全に理解したわー。
アンタなんちゅうもん見せてくれたんや……。
ここはこの世の楽園。まさに動物天国、もふもふの宝石箱や!
「はいはいトーマさん、お茶が入ったからこっちおいでぇ」
は!俺は今一体何を!?
クリリクさんに声をかけられて正気に戻る。
くっ、この空間は危険だ!このまま見ていたらトキメキすぎて血管ぶち破りそうだ!
口惜しい!まっこと口惜しいが、この空間に耐えるのは俺はまだ未熟なようだ!
くそっ!まだまだ俺は鍛え足りないのかっ……!
「おうトーマ。もう動いて大丈夫なのか?」
オーサンが奥から出てきた。
オーサンの顔を見たおかげで、天元突破していた俺の感情は急速に凪いでいった。
「さて今回はおつかれさんだったな。まずはこれを渡しておくぞ」
スクロールの束を渡される。おお、結構出たんだなぁ。
鑑定は既に済ませてあって、各スクロールに紐で木版が括り付けられている。
えとえと、音魔法が7つ、洗浄が2つ、照明が2つ、熱が3つ、風が2つ、ここまでが生活魔法。
そんで攻撃魔法の『火矢』『風斬』『石弾』が1つずつか。攻撃魔法は大当たりらしい。
「預かってくれて助かったよ。確かに受け取った」
スクロールを背嚢に仕舞う。
生活魔法は覚えられるものを全部覚えて売却だな。2人が必要かどうかは2人の意思に任せよう。
攻撃魔法はどうするかな。1つずつ分けても良いんだけど、2人が3つとも使っちゃった方が戦力バランス的には良い気がする。
俺はスリングショットもあるし、今のところ攻撃魔法を覚える必要性を感じていない。
「お前がまだ10階層までしか潜ったことがないってのが信じられないぜ全くよぉ」
俺の攻略ペースに口出してくるお前だけは信じないと駄目だろうが!
……って、ん?
オーサンにツッコミを入れるべく口を開きかけたのだが、なんだが足元がくすぐったい。
視線を落すと、俺の足にほっぺをすりすりしているふわわの姿が目に入った。
光を超えるスピードで抱き上げてなでなでの刑に処す。かわいいほんとかわいい。
「あら、ふわわちゃん起きたのねぇ。ならみんなそろそろ起きてくるかしらぁ」
クリリクさんが言った通り、ほどなくつららとオードルもやってきたので、3匹とも膝の上に乗せて人目も憚らずにイチャイチャする。かわいい。
「ふわわとつららは分かるんだが、なんでオードルまでトーマのほうに行くんだよ……」
オーサンがなんか嘆いているが知らん。俺は今周囲に目を向ける余裕などないのだ。
全身全霊、骨の髄から魂の芯まで全力を注いで3匹を愛でているのだ。あーかわいい。
「あ……」
続いてシンとリーンも目が覚めたらしい。
「お、2人とも目が覚めたか。とりあえず2人ともこっち来て座ってくれ」
気まずそうな2人をまずは席に着かせる。
「まずは紹介しよう。もう聞いてるとは思うけど一応な。
こっちの子猫がふわわで、白い子犬がつらら、2人の後輩だから仲良くしてくれよ?
こっちのオードルはうちの子じゃないけど、つつらのお兄ちゃんだから実質うちの子みたいなもんだ。よろしくしてやってくれ」
「オードルはお前んちの子じゃねぇよ!なんだよ実質って!オードルは絶対渡さねぇからな!」
オーサンがなんか言ってるけど気にしない。おっさんのジェラシーに構う価値などない。
「多分まだ言いたいことがまとまってないだろうから、俺から質問させて貰うぞ。
俺としては2人とまた一緒に迷宮に潜りたいと思ってるけど、2人はどうしたいのか聞かせて欲しい。
他にやりたいことや、なりたいものがあれば、可能な範囲で応援するつもりだ。
例えば商人になりたいとかな。希望があるなら口にして欲しい」
なるべく穏やかな口調になるよう気をつける。
2人の頭と心はまだまだ落ち着いてないだろうし。
3匹といちゃつきながら返答を待つ。
オーサンもクリリクさんも黙って待ってくれている。
「僕は……」
やがてシンから口を開いた。
「トーマが今回なにをしてくれたのか聞いたよ。
トーマが僕たちにしてくれたことに報いるには、一体なにをすれば良いのか想像もできないけど……。
僕はもっと強くなる。誰の助けも必要ないくらい、誰かの助けになれるくらいに強くなってみせる。
トーマが困っているときに助けになれるくらい強くなって見せるから、どうかトーマの傍に居させてほしい!」
お、おう。思ったよりシンの決意が重くてちょっとビビる。
ま、まぁ要約すれば、今まで通り一緒に冒険者やってくれるってことでいいのかな、うん。
「私も……、私もトーマの傍に居たい!
トーマにならなにをされたって良いから、私をトーマの傍に居させて……、私をトーマのものにしてください!」
うん、リーンの決意はシンよりも重くて悲壮感しか感じねぇわ。
……あー、異世界ケモミミ奴隷美少女に、なにしても良いって言われるシチュエーションは悪くないとは思うよ?
でもなー、リーンとは奴隷以前に友人であり仲間なんだよねぇ……。
エロいシチュエーションだけど、それが好意的に思ってた相手から言われると、興奮するより罪悪感とか嫌悪感の方が強いなぁ。
こういうシチュが好きな人は居るだろうけどね。奴隷落ち。でも俺の癖ではないようだ。
「はいはいちょっと待って。2人とも重く考えすぎ。
俺は前みたく3人で一緒に冒険者やっていければいいなぁ、くらいにしか思ってないってば」
「トーマ、逆だ逆。2人が重く考えすぎてるんじゃねぇ、お前が軽く考えすぎなんだよ。
俺からしても、2人の気持ちは良くわかる。むしろトーマのほうが意味わかんねぇくらいだ」
えええ……。
俺別に2人と主従関係になりたいわけじゃないんですけど?
他に方法がなかったから奴隷購入って手段を取っただけで、2人とは仲良く付き合っていければ充分なんだけどな。
まったく世の中ってのはままならないもんだね。
オーサン宅に到着。クリリクさんが出迎えてくれた。
「なんか思ったより寝れなかったんだよ。お邪魔していい?
みんなはどうしてるかな」
「ふふふ、静かに入ってきてねぇ」
ふむ?とりあえず促されるままに中に入った。
お、おお、おおおおおおおおお…………!
家の中にはこの世のものとは思えないほど尊い光景が広がっていた。
ソファに並んで座ったまま眠るケモミミ少年少女。そして寄り添うように眠る子犬2匹と子猫1匹。
は?なにこれ?ここって天国なんですか?俺ってもしかして死んだの?もう視界内が可愛いで100%飽和状態なんですけど?
これは死ぬ。これは人が殺せますわ。尊い。尊すぎる。これが音に聞く尊死というやつですか?
理解した。これは完全に理解したわー。
アンタなんちゅうもん見せてくれたんや……。
ここはこの世の楽園。まさに動物天国、もふもふの宝石箱や!
「はいはいトーマさん、お茶が入ったからこっちおいでぇ」
は!俺は今一体何を!?
クリリクさんに声をかけられて正気に戻る。
くっ、この空間は危険だ!このまま見ていたらトキメキすぎて血管ぶち破りそうだ!
口惜しい!まっこと口惜しいが、この空間に耐えるのは俺はまだ未熟なようだ!
くそっ!まだまだ俺は鍛え足りないのかっ……!
「おうトーマ。もう動いて大丈夫なのか?」
オーサンが奥から出てきた。
オーサンの顔を見たおかげで、天元突破していた俺の感情は急速に凪いでいった。
「さて今回はおつかれさんだったな。まずはこれを渡しておくぞ」
スクロールの束を渡される。おお、結構出たんだなぁ。
鑑定は既に済ませてあって、各スクロールに紐で木版が括り付けられている。
えとえと、音魔法が7つ、洗浄が2つ、照明が2つ、熱が3つ、風が2つ、ここまでが生活魔法。
そんで攻撃魔法の『火矢』『風斬』『石弾』が1つずつか。攻撃魔法は大当たりらしい。
「預かってくれて助かったよ。確かに受け取った」
スクロールを背嚢に仕舞う。
生活魔法は覚えられるものを全部覚えて売却だな。2人が必要かどうかは2人の意思に任せよう。
攻撃魔法はどうするかな。1つずつ分けても良いんだけど、2人が3つとも使っちゃった方が戦力バランス的には良い気がする。
俺はスリングショットもあるし、今のところ攻撃魔法を覚える必要性を感じていない。
「お前がまだ10階層までしか潜ったことがないってのが信じられないぜ全くよぉ」
俺の攻略ペースに口出してくるお前だけは信じないと駄目だろうが!
……って、ん?
オーサンにツッコミを入れるべく口を開きかけたのだが、なんだが足元がくすぐったい。
視線を落すと、俺の足にほっぺをすりすりしているふわわの姿が目に入った。
光を超えるスピードで抱き上げてなでなでの刑に処す。かわいいほんとかわいい。
「あら、ふわわちゃん起きたのねぇ。ならみんなそろそろ起きてくるかしらぁ」
クリリクさんが言った通り、ほどなくつららとオードルもやってきたので、3匹とも膝の上に乗せて人目も憚らずにイチャイチャする。かわいい。
「ふわわとつららは分かるんだが、なんでオードルまでトーマのほうに行くんだよ……」
オーサンがなんか嘆いているが知らん。俺は今周囲に目を向ける余裕などないのだ。
全身全霊、骨の髄から魂の芯まで全力を注いで3匹を愛でているのだ。あーかわいい。
「あ……」
続いてシンとリーンも目が覚めたらしい。
「お、2人とも目が覚めたか。とりあえず2人ともこっち来て座ってくれ」
気まずそうな2人をまずは席に着かせる。
「まずは紹介しよう。もう聞いてるとは思うけど一応な。
こっちの子猫がふわわで、白い子犬がつらら、2人の後輩だから仲良くしてくれよ?
こっちのオードルはうちの子じゃないけど、つつらのお兄ちゃんだから実質うちの子みたいなもんだ。よろしくしてやってくれ」
「オードルはお前んちの子じゃねぇよ!なんだよ実質って!オードルは絶対渡さねぇからな!」
オーサンがなんか言ってるけど気にしない。おっさんのジェラシーに構う価値などない。
「多分まだ言いたいことがまとまってないだろうから、俺から質問させて貰うぞ。
俺としては2人とまた一緒に迷宮に潜りたいと思ってるけど、2人はどうしたいのか聞かせて欲しい。
他にやりたいことや、なりたいものがあれば、可能な範囲で応援するつもりだ。
例えば商人になりたいとかな。希望があるなら口にして欲しい」
なるべく穏やかな口調になるよう気をつける。
2人の頭と心はまだまだ落ち着いてないだろうし。
3匹といちゃつきながら返答を待つ。
オーサンもクリリクさんも黙って待ってくれている。
「僕は……」
やがてシンから口を開いた。
「トーマが今回なにをしてくれたのか聞いたよ。
トーマが僕たちにしてくれたことに報いるには、一体なにをすれば良いのか想像もできないけど……。
僕はもっと強くなる。誰の助けも必要ないくらい、誰かの助けになれるくらいに強くなってみせる。
トーマが困っているときに助けになれるくらい強くなって見せるから、どうかトーマの傍に居させてほしい!」
お、おう。思ったよりシンの決意が重くてちょっとビビる。
ま、まぁ要約すれば、今まで通り一緒に冒険者やってくれるってことでいいのかな、うん。
「私も……、私もトーマの傍に居たい!
トーマにならなにをされたって良いから、私をトーマの傍に居させて……、私をトーマのものにしてください!」
うん、リーンの決意はシンよりも重くて悲壮感しか感じねぇわ。
……あー、異世界ケモミミ奴隷美少女に、なにしても良いって言われるシチュエーションは悪くないとは思うよ?
でもなー、リーンとは奴隷以前に友人であり仲間なんだよねぇ……。
エロいシチュエーションだけど、それが好意的に思ってた相手から言われると、興奮するより罪悪感とか嫌悪感の方が強いなぁ。
こういうシチュが好きな人は居るだろうけどね。奴隷落ち。でも俺の癖ではないようだ。
「はいはいちょっと待って。2人とも重く考えすぎ。
俺は前みたく3人で一緒に冒険者やっていければいいなぁ、くらいにしか思ってないってば」
「トーマ、逆だ逆。2人が重く考えすぎてるんじゃねぇ、お前が軽く考えすぎなんだよ。
俺からしても、2人の気持ちは良くわかる。むしろトーマのほうが意味わかんねぇくらいだ」
えええ……。
俺別に2人と主従関係になりたいわけじゃないんですけど?
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