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4章 2人のために出来ること
073 話し合い③ 魔法の習得
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俺が取り出した19本のスクロールを見てシンは固まってしまった。
まぁ3分の1が音魔法なんだけどね。
「現在俺は、音、洗浄、水の3つの生活魔法が使える。
そしてこれらのスクロールの内容は木版に書いてあるとおりだ。
悪いけど、生活魔法は俺が全部優先させてもらうから、そのつもりで。余った分はどちらか、あるいは2人とも覚えてくれ。
攻撃魔法は3つ。これは2人で3つとも使ってくれ。俺には攻撃魔法を優先する必要がまだないからな」
「……っはぁ!?
なんでトーマが生活魔法優先で僕らが攻撃魔法優先なんだよ!?普通逆だろ!?」
「シンストップ。ちょっと落ち着け。ちゃんと考えてのことなんだ」
シンのことだから、犯罪奴隷が魔法を覚えること自体有り得ないのに、俺より優先して、より高価な攻撃魔法を、奴隷の自分が取得させてもらうのが有り得ないとでも思ってるんだろうな。
だんだんシンの思考には慣れてきたなぁ。
こいつはちゃんと論理的に説明すれば納得してくれるはずだ。
「単刀直入に言わせてもらうとするなら、魔装術が使えないお前らの火力不足を、攻撃魔法で補いたいからだ。
現状俺は攻撃力には困ってない、っつうかなんか過剰なくらいらしいからな。
3人全員が最速で強くなるために、まずは2人の火力を補強したい」
「結局僕らが不甲斐ないから……、って、それなら1つはトーマが使っても問題ないじゃないか!」
「問題はないが今すぐ必要でもないからな。
それに攻撃魔法のスクロールは確かに高価だが、俺は白金貨3枚稼いだ経験もある。必要になったら稼げばいいだけだ。
お前らより全然安いし?」
「くっ、それは……」
あまり倫理的な説得には自信がないので、積極的にシンの弱みを突いていく。
ふふふ、俺もワルよのぅ。
「シン、お前もう奴隷とか迷惑とか考えるのやめろ。時間の無駄なだけだ。もう買っちまった以上、俺とお前らは一蓮托生、一心同体だ。
俺とお前ら2人を別個に考えるのは今すぐやめてくれ。俺達は3人単位で物事を考えないといけない、そうじゃないのか?」
「………………」
シンが苦渋に満ちた表情をしている。
ごちゃごちゃ考えすぎなんだよな。ことここに至っては、考えるだけ無駄だ。
「シン、俺は3人一緒に最速で強くなるために、まずはお前らの火力を補うのが手っ取り早いと思って提案している。
攻撃魔法を3つともお前らに使わせるのは、単純にお前ら2人の手札を増やしたいからだ。
犯罪奴隷の扱いが悪いなら、まさか犯罪奴隷に攻撃魔法を覚えさせているとは、誰も思わないだろう?
その思い込みは、俺達にとって切り札になり得ると、俺は思うんだよ」
「…………な、るほど」
「俺がお前らを憐れんで、施しをしてるとでも思ってないだろうな?
俺は自分が生き残るために最大限出来ることをするだけだ。
そしてお前らが俺の所有物であるなら、お前らのことも最大限利用させてもらう。
俺の都合とお前らの都合を切り離して考える意味は、もう無い」
真っ直ぐにシンの目を見て言葉を続ける。
「シン、お前もそろそろ腹くくれ。俺はお前を最大限使い倒すぞ。俺が生き残るためにな。
お前が今考えるべきは、俺達3人が揃って生き残るために必要なこと。それだけだ」
シンの勢いがなくなったところで一気に捲し立てて、煙に巻いておく。
「……ごめんトーマ。僕こそ自分たちが置かれてる立場を、まだ楽観視していたみたいだ。
1つ聞かせて。トーマが生活魔法を優先するのはどうして?」
「単純に自由度が高いからだ。
攻撃性能は低くても運用の仕方に幅がある。これはさっき言ったような切り札の1つになると俺は思ってる。だから生活魔法は可能な限り、全て覚えておきたい。
お前ら2人にまで、生活魔法を駆使して戦え、とは言わないけどな」
俺個人の印象でしかないが、なんとなくリンカーズでは生活魔法が、過小評価されすぎていると感じるんだよな。
音魔法だけでもその有用性は充分すぎるほどなのに、あまりに評価が低い。
生活魔法を駆使出来れば、かなり手札が増やせると思う。
そして、生活魔法の有用性に気付いているのが俺だけとはとても思えない。
絶対に生活魔法の使い方を研究している勢力がいるはずだ。
意図的に生活魔法の価値を下げることで、多くの人間の興味を引かないように、情報操作されてる気がするんだよなぁ。
自分で色々研究しておいて、不測の事態に備えておきたい。
「納得してくれたならさっそく覚えようか。
結構時間かかるから、この量は普通に大変だぞ?」
俺は新たに照明、熱、風の生活魔法を習得。
シンは音、洗浄、熱、風、風斬、石弾を習得。
リーンは音、洗浄、照明、熱、火矢を習得した。
分け方は、逸れた場合に目印になりそうな照明を、リーンが優先。
単純に年齢が上のシンのほうが魔力が多いと思われるので、攻撃魔法を2つ習得。
2人とも斬撃武器を使っているので、打撃系のストーンバレットと、貫通系のフレイムアローを2人で分けたという形だ。
そして2人に音魔法で魔力切れを起こさせてみる。
ふむ、気絶時間は1時間弱くらいかな。
2人が起きたら俺も魔力切れを起こして、本日は就寝。
3人同時に魔力切れを起こさないようにだけは、気をつけないとな。
まぁ3分の1が音魔法なんだけどね。
「現在俺は、音、洗浄、水の3つの生活魔法が使える。
そしてこれらのスクロールの内容は木版に書いてあるとおりだ。
悪いけど、生活魔法は俺が全部優先させてもらうから、そのつもりで。余った分はどちらか、あるいは2人とも覚えてくれ。
攻撃魔法は3つ。これは2人で3つとも使ってくれ。俺には攻撃魔法を優先する必要がまだないからな」
「……っはぁ!?
なんでトーマが生活魔法優先で僕らが攻撃魔法優先なんだよ!?普通逆だろ!?」
「シンストップ。ちょっと落ち着け。ちゃんと考えてのことなんだ」
シンのことだから、犯罪奴隷が魔法を覚えること自体有り得ないのに、俺より優先して、より高価な攻撃魔法を、奴隷の自分が取得させてもらうのが有り得ないとでも思ってるんだろうな。
だんだんシンの思考には慣れてきたなぁ。
こいつはちゃんと論理的に説明すれば納得してくれるはずだ。
「単刀直入に言わせてもらうとするなら、魔装術が使えないお前らの火力不足を、攻撃魔法で補いたいからだ。
現状俺は攻撃力には困ってない、っつうかなんか過剰なくらいらしいからな。
3人全員が最速で強くなるために、まずは2人の火力を補強したい」
「結局僕らが不甲斐ないから……、って、それなら1つはトーマが使っても問題ないじゃないか!」
「問題はないが今すぐ必要でもないからな。
それに攻撃魔法のスクロールは確かに高価だが、俺は白金貨3枚稼いだ経験もある。必要になったら稼げばいいだけだ。
お前らより全然安いし?」
「くっ、それは……」
あまり倫理的な説得には自信がないので、積極的にシンの弱みを突いていく。
ふふふ、俺もワルよのぅ。
「シン、お前もう奴隷とか迷惑とか考えるのやめろ。時間の無駄なだけだ。もう買っちまった以上、俺とお前らは一蓮托生、一心同体だ。
俺とお前ら2人を別個に考えるのは今すぐやめてくれ。俺達は3人単位で物事を考えないといけない、そうじゃないのか?」
「………………」
シンが苦渋に満ちた表情をしている。
ごちゃごちゃ考えすぎなんだよな。ことここに至っては、考えるだけ無駄だ。
「シン、俺は3人一緒に最速で強くなるために、まずはお前らの火力を補うのが手っ取り早いと思って提案している。
攻撃魔法を3つともお前らに使わせるのは、単純にお前ら2人の手札を増やしたいからだ。
犯罪奴隷の扱いが悪いなら、まさか犯罪奴隷に攻撃魔法を覚えさせているとは、誰も思わないだろう?
その思い込みは、俺達にとって切り札になり得ると、俺は思うんだよ」
「…………な、るほど」
「俺がお前らを憐れんで、施しをしてるとでも思ってないだろうな?
俺は自分が生き残るために最大限出来ることをするだけだ。
そしてお前らが俺の所有物であるなら、お前らのことも最大限利用させてもらう。
俺の都合とお前らの都合を切り離して考える意味は、もう無い」
真っ直ぐにシンの目を見て言葉を続ける。
「シン、お前もそろそろ腹くくれ。俺はお前を最大限使い倒すぞ。俺が生き残るためにな。
お前が今考えるべきは、俺達3人が揃って生き残るために必要なこと。それだけだ」
シンの勢いがなくなったところで一気に捲し立てて、煙に巻いておく。
「……ごめんトーマ。僕こそ自分たちが置かれてる立場を、まだ楽観視していたみたいだ。
1つ聞かせて。トーマが生活魔法を優先するのはどうして?」
「単純に自由度が高いからだ。
攻撃性能は低くても運用の仕方に幅がある。これはさっき言ったような切り札の1つになると俺は思ってる。だから生活魔法は可能な限り、全て覚えておきたい。
お前ら2人にまで、生活魔法を駆使して戦え、とは言わないけどな」
俺個人の印象でしかないが、なんとなくリンカーズでは生活魔法が、過小評価されすぎていると感じるんだよな。
音魔法だけでもその有用性は充分すぎるほどなのに、あまりに評価が低い。
生活魔法を駆使出来れば、かなり手札が増やせると思う。
そして、生活魔法の有用性に気付いているのが俺だけとはとても思えない。
絶対に生活魔法の使い方を研究している勢力がいるはずだ。
意図的に生活魔法の価値を下げることで、多くの人間の興味を引かないように、情報操作されてる気がするんだよなぁ。
自分で色々研究しておいて、不測の事態に備えておきたい。
「納得してくれたならさっそく覚えようか。
結構時間かかるから、この量は普通に大変だぞ?」
俺は新たに照明、熱、風の生活魔法を習得。
シンは音、洗浄、熱、風、風斬、石弾を習得。
リーンは音、洗浄、照明、熱、火矢を習得した。
分け方は、逸れた場合に目印になりそうな照明を、リーンが優先。
単純に年齢が上のシンのほうが魔力が多いと思われるので、攻撃魔法を2つ習得。
2人とも斬撃武器を使っているので、打撃系のストーンバレットと、貫通系のフレイムアローを2人で分けたという形だ。
そして2人に音魔法で魔力切れを起こさせてみる。
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