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4章 2人のために出来ること
072 話し合い② 今後の方針
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「とりあえず、今後は2人とも常に俺の傍に居るのが一番安全、というよりも俺が傍に居ないと危険なのは理解した」
まぁ2人を助けないわけにもいかなかったが、何の説明も受けずに手を出していい案件ではなかったかも知れない。
まさに後の祭りってヤツだ。
「そんで、犯罪奴隷印ってのはもう消せないって聞いたが、例外はないか?
例えば貴族家に盗みに入った犯人が捕まった場合とか、何か大きな功績を果たしたとかで」
「う~ん、私は聞いたことがないかな……。
兄さんは?」
「僕も聞いたことがないな。
そもそも犯罪奴隷は、あまり長く生きられるものでもないって印象が強いし」
犯罪奴隷印については、現状お手上げか。
「ふむ、さっき犯罪奴隷を所有者が守るとは思われてないって話は聞いたが、法的にはどうなんだ?
お前らを傷つけられた場合、所有者である俺が相手に抗議することは認められているのか?」
「それは……、恐らくだけど可能なはずだよ。
法的には犯罪奴隷も他の奴隷も大きな解釈の違いは無い、はず……。
確証はないけど」
「ただ、法的には変わらなくても、裁く人たちの印象は最悪だと思うかな……。
私だって、犯罪奴隷に肩入れしようとは思わないもの」
なるほど。法に訴えること自体は可能だが、陪審員の印象がマイナスからスタート、みたいなもんかな。
んー、そういえばこれも聞いてくか。
「犯罪奴隷の奴隷印って、罪を償っても消えないんじゃなかったっけ。つうことは5年後に刑を終える2人の両親もやばいんじゃねぇのか?
それとも刑期を終えた犯罪者は、犯罪奴隷ともまた違う扱いなのか?」
「両親の場合で言うなら、奴隷印は消せないけど、奴隷という立場からは解放された状態で釈放されるはず。
ただ、外に出ても良い扱いは期待できないだろうね」
となると、可能ならば両親の保護も必要になってきそうだな。
ってクソ、これじゃオーサンのことをとやかく言える立場じゃなくなっちまうな。
でも俺から見て、この2人も両親も完全に被害者なんだよな。見捨てるのはちょっと胸糞悪い。
ふむ、とりあえず犯罪奴隷に未来は全くないことは、胸焼けするほど理解出来た。
じゃあその状況を踏まえて今後どうしていくべきか、結局はそれに尽きる。
「犯罪奴隷は俺の所有物扱いってことだが、身分証や探索許可証ってどんな扱いになる?」
「身分証は既に没収されてて、僕らが生きている間は国に管理されることになるよ。
身元を照会する場合はこの奴隷印が、身分証の役割りを果たすんだ。
身分証のような使い方は出来ないけど、僕らの情報だけを読み取ることが出来るって感じだね」
「探索許可証はトーマが持ってれば私達も一緒にいけるよ。
逆を言えばトーマが居ないと、私達だけじゃ迷宮に入ることも出来ないの」
「今更離れる気もないし、一緒に入れるなら問題ないさ。
じゃあとりあえず、今のままじゃ犯罪奴隷に未来がないことが分かったところで、今後の方針を考えようぜ」
現状から目を逸らすのは、一番やってはいけないことだからな。
はっきり、未来が無いと言い切るくらいのほうがいい。
「まずは迷宮に入って、単純に戦闘力を上げる。これは大前提だ。
なにか厄介事が起きた時に、それを振り払うには単純に力が必要だからな。
それにお前らの戦闘力が高ければ、お前らにちょっかい出してくる相手に対する抑止にもなる。
つうことでオーサンの訓練日の頻度を増やそう」
「うん、続けて」
「まずは2人とも魔装術を習得することが、1つ目の目標だな。
これが使えるのと使えないのでは、戦闘力に差がありすぎる」
ただ、パワーレベリングしても、技術が伴わないと意味がないんだよな。
スキルだけ獲得出来ればお手軽に最強!ってワケにもいかない。
しかも俺が見れるのは自分のステータスだけで、2人のSPが確認できないのはちょっとめんどくさい。
「明日は挨拶回りと準備に使って、明後日には迷宮に潜り始めたいな。
それと次回からは、ふわわとつららも一緒に迷宮に連れていく」
「えっ!?なんでこの子達まで迷宮に!?」
「単純に今後のためだな。この2匹が戦えるようになるとは思ってないぞ?
ただ単純に不測の事態に備えて、俺達全員がいつでもこの街を離れられるように、常に固まって行動しようってことだ。
迷宮に連れてくのは気が進まないけど、置いていって何か起こっても困る。
預かってくれている家に迷惑もかけられないしな」
「……ベイクを離れちゃうの?」
「最悪の場合はな。俺だってベイクから離れたいわけじゃない。
お前らの知り合いが多くて、犯罪奴隷扱いしてこない人が多いベイクを離れるのは、あまり良くないとは俺も思ってるんだけどな。
でもさ、今回のお前らの話って、誰かに嵌められたらしいじゃないか。最悪の想定だけど、お前らが生きていて困る相手が居ないとも限らない。
そんな事態は起きて欲しくないけど」
「そ、そんなこと本当に有り得るの……?」
ざまぁ系作品とかの悪役は何処までも悪辣だからなぁ。
そしていつだって、現実は想定を超えてくるもんだ。用心しすぎて困るもんでもないだろう。
「心配すんな。結局は今まで通り迷宮に潜って、金を稼いで力をつけるってだけだ。その後のことは力をつけてから考えよう。
2人には5年後に帰ってくる両親を守れるくらいの力をつけて欲しい」
こいつらは俺に手を伸ばすことが出来たけれど、両親にそんな相手がいるかは分からないからな。
なら2人が両親を迎えられるくらい強くなっておくほうが、無難というもんだ。
「じゃあ強くなるための第一歩だ。2人には魔法を覚えてもらうぞ」
そう言ってスクロールの束を取り出した。
まぁ2人を助けないわけにもいかなかったが、何の説明も受けずに手を出していい案件ではなかったかも知れない。
まさに後の祭りってヤツだ。
「そんで、犯罪奴隷印ってのはもう消せないって聞いたが、例外はないか?
例えば貴族家に盗みに入った犯人が捕まった場合とか、何か大きな功績を果たしたとかで」
「う~ん、私は聞いたことがないかな……。
兄さんは?」
「僕も聞いたことがないな。
そもそも犯罪奴隷は、あまり長く生きられるものでもないって印象が強いし」
犯罪奴隷印については、現状お手上げか。
「ふむ、さっき犯罪奴隷を所有者が守るとは思われてないって話は聞いたが、法的にはどうなんだ?
お前らを傷つけられた場合、所有者である俺が相手に抗議することは認められているのか?」
「それは……、恐らくだけど可能なはずだよ。
法的には犯罪奴隷も他の奴隷も大きな解釈の違いは無い、はず……。
確証はないけど」
「ただ、法的には変わらなくても、裁く人たちの印象は最悪だと思うかな……。
私だって、犯罪奴隷に肩入れしようとは思わないもの」
なるほど。法に訴えること自体は可能だが、陪審員の印象がマイナスからスタート、みたいなもんかな。
んー、そういえばこれも聞いてくか。
「犯罪奴隷の奴隷印って、罪を償っても消えないんじゃなかったっけ。つうことは5年後に刑を終える2人の両親もやばいんじゃねぇのか?
それとも刑期を終えた犯罪者は、犯罪奴隷ともまた違う扱いなのか?」
「両親の場合で言うなら、奴隷印は消せないけど、奴隷という立場からは解放された状態で釈放されるはず。
ただ、外に出ても良い扱いは期待できないだろうね」
となると、可能ならば両親の保護も必要になってきそうだな。
ってクソ、これじゃオーサンのことをとやかく言える立場じゃなくなっちまうな。
でも俺から見て、この2人も両親も完全に被害者なんだよな。見捨てるのはちょっと胸糞悪い。
ふむ、とりあえず犯罪奴隷に未来は全くないことは、胸焼けするほど理解出来た。
じゃあその状況を踏まえて今後どうしていくべきか、結局はそれに尽きる。
「犯罪奴隷は俺の所有物扱いってことだが、身分証や探索許可証ってどんな扱いになる?」
「身分証は既に没収されてて、僕らが生きている間は国に管理されることになるよ。
身元を照会する場合はこの奴隷印が、身分証の役割りを果たすんだ。
身分証のような使い方は出来ないけど、僕らの情報だけを読み取ることが出来るって感じだね」
「探索許可証はトーマが持ってれば私達も一緒にいけるよ。
逆を言えばトーマが居ないと、私達だけじゃ迷宮に入ることも出来ないの」
「今更離れる気もないし、一緒に入れるなら問題ないさ。
じゃあとりあえず、今のままじゃ犯罪奴隷に未来がないことが分かったところで、今後の方針を考えようぜ」
現状から目を逸らすのは、一番やってはいけないことだからな。
はっきり、未来が無いと言い切るくらいのほうがいい。
「まずは迷宮に入って、単純に戦闘力を上げる。これは大前提だ。
なにか厄介事が起きた時に、それを振り払うには単純に力が必要だからな。
それにお前らの戦闘力が高ければ、お前らにちょっかい出してくる相手に対する抑止にもなる。
つうことでオーサンの訓練日の頻度を増やそう」
「うん、続けて」
「まずは2人とも魔装術を習得することが、1つ目の目標だな。
これが使えるのと使えないのでは、戦闘力に差がありすぎる」
ただ、パワーレベリングしても、技術が伴わないと意味がないんだよな。
スキルだけ獲得出来ればお手軽に最強!ってワケにもいかない。
しかも俺が見れるのは自分のステータスだけで、2人のSPが確認できないのはちょっとめんどくさい。
「明日は挨拶回りと準備に使って、明後日には迷宮に潜り始めたいな。
それと次回からは、ふわわとつららも一緒に迷宮に連れていく」
「えっ!?なんでこの子達まで迷宮に!?」
「単純に今後のためだな。この2匹が戦えるようになるとは思ってないぞ?
ただ単純に不測の事態に備えて、俺達全員がいつでもこの街を離れられるように、常に固まって行動しようってことだ。
迷宮に連れてくのは気が進まないけど、置いていって何か起こっても困る。
預かってくれている家に迷惑もかけられないしな」
「……ベイクを離れちゃうの?」
「最悪の場合はな。俺だってベイクから離れたいわけじゃない。
お前らの知り合いが多くて、犯罪奴隷扱いしてこない人が多いベイクを離れるのは、あまり良くないとは俺も思ってるんだけどな。
でもさ、今回のお前らの話って、誰かに嵌められたらしいじゃないか。最悪の想定だけど、お前らが生きていて困る相手が居ないとも限らない。
そんな事態は起きて欲しくないけど」
「そ、そんなこと本当に有り得るの……?」
ざまぁ系作品とかの悪役は何処までも悪辣だからなぁ。
そしていつだって、現実は想定を超えてくるもんだ。用心しすぎて困るもんでもないだろう。
「心配すんな。結局は今まで通り迷宮に潜って、金を稼いで力をつけるってだけだ。その後のことは力をつけてから考えよう。
2人には5年後に帰ってくる両親を守れるくらいの力をつけて欲しい」
こいつらは俺に手を伸ばすことが出来たけれど、両親にそんな相手がいるかは分からないからな。
なら2人が両親を迎えられるくらい強くなっておくほうが、無難というもんだ。
「じゃあ強くなるための第一歩だ。2人には魔法を覚えてもらうぞ」
そう言ってスクロールの束を取り出した。
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