82 / 580
4章 2人のために出来ること
075 挨拶回り
しおりを挟む
「ああ2人とも……。また会えて嬉しいよ」
カズラさんがシンとリーンをそれぞれ抱きしめている。
昨日クリリクさんが2人を抱きしめているときは、正直大袈裟だなぁくらいに考えてしまっていたが、この反応が決して過剰ではないことは理解できた。
「カズラさん、また明日から迷宮入りたいから、上級暗視ポーションを毎日2つ頼むよ」
「ふぇふぇふぇ、まったくトーマさんは年寄り使いが荒いねぇ。
確実に用意しておいてやるから、今後とも稼がせておくれよ?」
「それと、怪我や病気の時に使えるような、治療系の魔法薬ってあるかな?
種類と値段を知りたいんだけど」
そうして紹介されたのが、出血時に服用、または患部に直接振り掛ける『止血ポーション』。
怪我の回復を早めるため、自然治癒力を増進させる『回復力促進ポーション』。
個別の毒に対応した、各種『解毒ポーション』と、複数の毒に対応した『複合解毒ポーション』。
カズラの魔法薬屋で用意できるのはこれくらいだということだった。
「腕の良い魔法薬職人なら、急速に怪我を治してしまう『回復ポーション』とか、殆どの毒に使える『万能解毒ポーション』なんかも作れるんだけどねぇ。
悪いけど私には、そこまでのものは作れないねぇ」
「いや充分だよ。とりあえず止血、回復力促進、複合解毒ポーションを全部上級で、保存処理も施して5本ずつくらい買っておきたいな。急ぎじゃないけど出来れば早く?」
「……アンタねぇ。
えーっと、上級の止血ポーションが1つ銀板8枚、回復力促進ポーションが1つ銀板5枚と銀貨8枚、複合解毒ポーションが1つ銀板6枚と銀貨5枚するよ?
その全てに保存をかけると、保存だけでも金板1枚半じゃないか。
作ったは良いけど払えませんでした、なんてのはごめんだよ?」
んーと、止血が8000×5で金貨4枚、回復力促進が5800×5で29000、金貨3枚弱か。そして複合解毒が6500×5で32500、金貨3枚ちょっとね。それプラス保存の金貨3枚×15で金板1枚半と。
合計251500リーフかな?金貨25枚ちょいか。高いけど買える。
「この通り金板も普通に稼げるから、心配しなくていいよ。明日来る時に金板2枚と金貨6枚で支払うから、ちょっとずつでいいから作り始めて欲しい。
買値には色つけたから、出来れば請け負ってほしいんだけど」
カズラさんに金板を見せながらお願いする。札束でほっぺた殴るみたいだ。
「は~……。トーマさん、本当に稼いでるんだねぇ。
請けるのは構わないけど、昨日までみたいに、無茶な納品はしなくて大丈夫なんだろうね?」
「ははは、昨日までは本当におつかれさまでした。
そうだね、製作日数が分からないからなんとも言えないけど、3日に1つくらいずつならどう?」
「そのくらいの納品なら何の問題もないけど、先払いしてしまうのに、納品し終わるのはかなり先になってしまうんじゃないかい?」
「有事の際の保険扱いだから、今すぐ必要ってワケじゃないから平気だよ。
50日以内には全部納品して欲しいけど」
「それなら明日支払いが済んだら、正式に請け負うとするよ。
ふぇふぇふぇ、まさかトーマさんがこんな上客になるとは思わなかったねぇ」
酷く機嫌の良さそうなカズラさんと別れ、次はホムロのところに向かう。
「ホムロさん。僕たちのために協力してもらったそうで。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました!」
2人に礼を言われたホムロは、ばつが悪そうにそっぽを向いている。
「俺は金を貰って請け負った仕事を全うしただけだ。
それよりお前らの装備一式を見繕っておいたから、早速着けてみろ」
やや強引に話題を変えて、装備を勧めてくる。
「2人の装備は分かってたからな。品質は前回使っていたものより上、今トーマが使ってるものには少し劣る、ってぇ所を選んでみた。
トーマの装備は金貨数枚級だが、お前らに用意したのは金貨1枚弱の範囲って感じか」
「どうせすぐ攻略進むんだから、俺と同等の装備用意してくれても良かったのに」
装備更新するのって結構めんどくさいんだよな。動きの感触も変わってくるし。
「テメェの装備が過剰なんだって、何度言やぁわかんだよ。
トーマの装備は中階層級だぞ?今回2人に用意した装備も、腕さえありゃあ20階層まで充分使える性能なんだよ。それにな……」
ホムロは一度言葉を切って、少し言い難そうな感じで再び口を開いた。
「深階層級に潜ってる冒険者ならともかく、奴隷に自分と同等の品質の装備を用意すると、テメェに良くない風聞が集まる可能性がある。
当分は2人の装備はお前よりも少し下くらいにしておけ。
それが不満なら、さっさと攻略を進めるこったな」
まーた犯罪奴隷に対して、めんどくさい固定観念があるのか。
「なるほど、ホムロにも気を遣ってもらっちゃったみたいで悪いね。
そういうことならさっさと、深階層だろうが最深部だろうが、到達してみせるよ」
「ク、ククク、ブァッハハハハ!!
犯罪奴隷のために最深部に行くってか!?
くくく、そんなこと本当に出来たら、俺も武器屋冥利に尽きるってもんだ!」
「へっへーん。今のうちに好きなだけ笑ってろ。すぐに真顔にしてやんよ」
やはり迷宮の攻略を進めていけば、あとは勝手に周りの目は変わっていきそうだ。
色々気になることも気がかりなこともあるけれど、結局は強くなるしかないのだ。
そろそろオーサンくらいはぶっ飛ばしてやりたいところだな!
そしてあわよくばオードルをですねふふふ……。
カズラさんがシンとリーンをそれぞれ抱きしめている。
昨日クリリクさんが2人を抱きしめているときは、正直大袈裟だなぁくらいに考えてしまっていたが、この反応が決して過剰ではないことは理解できた。
「カズラさん、また明日から迷宮入りたいから、上級暗視ポーションを毎日2つ頼むよ」
「ふぇふぇふぇ、まったくトーマさんは年寄り使いが荒いねぇ。
確実に用意しておいてやるから、今後とも稼がせておくれよ?」
「それと、怪我や病気の時に使えるような、治療系の魔法薬ってあるかな?
種類と値段を知りたいんだけど」
そうして紹介されたのが、出血時に服用、または患部に直接振り掛ける『止血ポーション』。
怪我の回復を早めるため、自然治癒力を増進させる『回復力促進ポーション』。
個別の毒に対応した、各種『解毒ポーション』と、複数の毒に対応した『複合解毒ポーション』。
カズラの魔法薬屋で用意できるのはこれくらいだということだった。
「腕の良い魔法薬職人なら、急速に怪我を治してしまう『回復ポーション』とか、殆どの毒に使える『万能解毒ポーション』なんかも作れるんだけどねぇ。
悪いけど私には、そこまでのものは作れないねぇ」
「いや充分だよ。とりあえず止血、回復力促進、複合解毒ポーションを全部上級で、保存処理も施して5本ずつくらい買っておきたいな。急ぎじゃないけど出来れば早く?」
「……アンタねぇ。
えーっと、上級の止血ポーションが1つ銀板8枚、回復力促進ポーションが1つ銀板5枚と銀貨8枚、複合解毒ポーションが1つ銀板6枚と銀貨5枚するよ?
その全てに保存をかけると、保存だけでも金板1枚半じゃないか。
作ったは良いけど払えませんでした、なんてのはごめんだよ?」
んーと、止血が8000×5で金貨4枚、回復力促進が5800×5で29000、金貨3枚弱か。そして複合解毒が6500×5で32500、金貨3枚ちょっとね。それプラス保存の金貨3枚×15で金板1枚半と。
合計251500リーフかな?金貨25枚ちょいか。高いけど買える。
「この通り金板も普通に稼げるから、心配しなくていいよ。明日来る時に金板2枚と金貨6枚で支払うから、ちょっとずつでいいから作り始めて欲しい。
買値には色つけたから、出来れば請け負ってほしいんだけど」
カズラさんに金板を見せながらお願いする。札束でほっぺた殴るみたいだ。
「は~……。トーマさん、本当に稼いでるんだねぇ。
請けるのは構わないけど、昨日までみたいに、無茶な納品はしなくて大丈夫なんだろうね?」
「ははは、昨日までは本当におつかれさまでした。
そうだね、製作日数が分からないからなんとも言えないけど、3日に1つくらいずつならどう?」
「そのくらいの納品なら何の問題もないけど、先払いしてしまうのに、納品し終わるのはかなり先になってしまうんじゃないかい?」
「有事の際の保険扱いだから、今すぐ必要ってワケじゃないから平気だよ。
50日以内には全部納品して欲しいけど」
「それなら明日支払いが済んだら、正式に請け負うとするよ。
ふぇふぇふぇ、まさかトーマさんがこんな上客になるとは思わなかったねぇ」
酷く機嫌の良さそうなカズラさんと別れ、次はホムロのところに向かう。
「ホムロさん。僕たちのために協力してもらったそうで。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました!」
2人に礼を言われたホムロは、ばつが悪そうにそっぽを向いている。
「俺は金を貰って請け負った仕事を全うしただけだ。
それよりお前らの装備一式を見繕っておいたから、早速着けてみろ」
やや強引に話題を変えて、装備を勧めてくる。
「2人の装備は分かってたからな。品質は前回使っていたものより上、今トーマが使ってるものには少し劣る、ってぇ所を選んでみた。
トーマの装備は金貨数枚級だが、お前らに用意したのは金貨1枚弱の範囲って感じか」
「どうせすぐ攻略進むんだから、俺と同等の装備用意してくれても良かったのに」
装備更新するのって結構めんどくさいんだよな。動きの感触も変わってくるし。
「テメェの装備が過剰なんだって、何度言やぁわかんだよ。
トーマの装備は中階層級だぞ?今回2人に用意した装備も、腕さえありゃあ20階層まで充分使える性能なんだよ。それにな……」
ホムロは一度言葉を切って、少し言い難そうな感じで再び口を開いた。
「深階層級に潜ってる冒険者ならともかく、奴隷に自分と同等の品質の装備を用意すると、テメェに良くない風聞が集まる可能性がある。
当分は2人の装備はお前よりも少し下くらいにしておけ。
それが不満なら、さっさと攻略を進めるこったな」
まーた犯罪奴隷に対して、めんどくさい固定観念があるのか。
「なるほど、ホムロにも気を遣ってもらっちゃったみたいで悪いね。
そういうことならさっさと、深階層だろうが最深部だろうが、到達してみせるよ」
「ク、ククク、ブァッハハハハ!!
犯罪奴隷のために最深部に行くってか!?
くくく、そんなこと本当に出来たら、俺も武器屋冥利に尽きるってもんだ!」
「へっへーん。今のうちに好きなだけ笑ってろ。すぐに真顔にしてやんよ」
やはり迷宮の攻略を進めていけば、あとは勝手に周りの目は変わっていきそうだ。
色々気になることも気がかりなこともあるけれど、結局は強くなるしかないのだ。
そろそろオーサンくらいはぶっ飛ばしてやりたいところだな!
そしてあわよくばオードルをですねふふふ……。
1
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる