異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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4章 2人のために出来ること

075 挨拶回り

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「ああ2人とも……。また会えて嬉しいよ」


 カズラさんがシンとリーンをそれぞれ抱きしめている。
 昨日クリリクさんが2人を抱きしめているときは、正直大袈裟だなぁくらいに考えてしまっていたが、この反応が決して過剰ではないことは理解できた。


「カズラさん、また明日から迷宮入りたいから、上級暗視ポーションを毎日2つ頼むよ」

「ふぇふぇふぇ、まったくトーマさんは年寄り使いが荒いねぇ。
 確実に用意しておいてやるから、今後とも稼がせておくれよ?」

「それと、怪我や病気の時に使えるような、治療系の魔法薬ってあるかな?
 種類と値段を知りたいんだけど」


 そうして紹介されたのが、出血時に服用、または患部に直接振り掛ける『止血ポーション』。

 怪我の回復を早めるため、自然治癒力を増進させる『回復力促進ポーション』。

 個別の毒に対応した、各種『解毒ポーション』と、複数の毒に対応した『複合解毒ポーション』。


 カズラの魔法薬屋で用意できるのはこれくらいだということだった。


「腕の良い魔法薬職人なら、急速に怪我を治してしまう『回復ポーション』とか、殆どの毒に使える『万能解毒ポーション』なんかも作れるんだけどねぇ。
 悪いけど私には、そこまでのものは作れないねぇ」

「いや充分だよ。とりあえず止血、回復力促進、複合解毒ポーションを全部上級で、保存処理も施して5本ずつくらい買っておきたいな。急ぎじゃないけど出来れば早く?」

「……アンタねぇ。
 えーっと、上級の止血ポーションが1つ銀板8枚、回復力促進ポーションが1つ銀板5枚と銀貨8枚、複合解毒ポーションが1つ銀板6枚と銀貨5枚するよ?
 その全てに保存をかけると、保存だけでも金板1枚半じゃないか。
 作ったは良いけど払えませんでした、なんてのはごめんだよ?」


 んーと、止血が8000×5で金貨4枚、回復力促進が5800×5で29000、金貨3枚弱か。そして複合解毒が6500×5で32500、金貨3枚ちょっとね。それプラス保存の金貨3枚×15で金板1枚半と。
 合計251500リーフかな?金貨25枚ちょいか。高いけど買える。


「この通り金板も普通に稼げるから、心配しなくていいよ。明日来る時に金板2枚と金貨6枚で支払うから、ちょっとずつでいいから作り始めて欲しい。
 買値には色つけたから、出来れば請け負ってほしいんだけど」


 カズラさんに金板を見せながらお願いする。札束でほっぺた殴るみたいだ。


「は~……。トーマさん、本当に稼いでるんだねぇ。
 請けるのは構わないけど、昨日までみたいに、無茶な納品はしなくて大丈夫なんだろうね?」

「ははは、昨日までは本当におつかれさまでした。
 そうだね、製作日数が分からないからなんとも言えないけど、3日に1つくらいずつならどう?」

「そのくらいの納品なら何の問題もないけど、先払いしてしまうのに、納品し終わるのはかなり先になってしまうんじゃないかい?」

「有事の際の保険扱いだから、今すぐ必要ってワケじゃないから平気だよ。
 50日以内には全部納品して欲しいけど」

「それなら明日支払いが済んだら、正式に請け負うとするよ。
 ふぇふぇふぇ、まさかトーマさんがこんな上客になるとは思わなかったねぇ」


 酷く機嫌の良さそうなカズラさんと別れ、次はホムロのところに向かう。


「ホムロさん。僕たちのために協力してもらったそうで。本当にありがとうございました」

「ありがとうございました!」


 2人に礼を言われたホムロは、ばつが悪そうにそっぽを向いている。


「俺は金を貰って請け負った仕事を全うしただけだ。
 それよりお前らの装備一式を見繕っておいたから、早速着けてみろ」


 やや強引に話題を変えて、装備を勧めてくる。


「2人の装備は分かってたからな。品質は前回使っていたものより上、今トーマが使ってるものには少し劣る、ってぇ所を選んでみた。
 トーマの装備は金貨数枚級だが、お前らに用意したのは金貨1枚弱の範囲って感じか」

「どうせすぐ攻略進むんだから、俺と同等の装備用意してくれても良かったのに」


 装備更新するのって結構めんどくさいんだよな。動きの感触も変わってくるし。


「テメェの装備が過剰なんだって、何度言やぁわかんだよ。
 トーマの装備は中階層級だぞ?今回2人に用意した装備も、腕さえありゃあ20階層まで充分使える性能なんだよ。それにな……」


 ホムロは一度言葉を切って、少し言い難そうな感じで再び口を開いた。


「深階層級に潜ってる冒険者ならともかく、奴隷に自分と同等の品質の装備を用意すると、テメェに良くない風聞が集まる可能性がある。
 当分は2人の装備はお前よりも少し下くらいにしておけ。
 それが不満なら、さっさと攻略を進めるこったな」


 まーた犯罪奴隷に対して、めんどくさい固定観念があるのか。


「なるほど、ホムロにも気を遣ってもらっちゃったみたいで悪いね。
 そういうことならさっさと、深階層だろうが最深部だろうが、到達してみせるよ」

「ク、ククク、ブァッハハハハ!!
 犯罪奴隷のために最深部に行くってか!?
 くくく、そんなこと本当に出来たら、俺も武器屋冥利に尽きるってもんだ!」

「へっへーん。今のうちに好きなだけ笑ってろ。すぐに真顔にしてやんよ」


 やはり迷宮の攻略を進めていけば、あとは勝手に周りの目は変わっていきそうだ。

 色々気になることも気がかりなこともあるけれど、結局は強くなるしかないのだ。
 そろそろオーサンくらいはぶっ飛ばしてやりたいところだな!

 そしてあわよくばオードルをですねふふふ……。
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