異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
97 / 580
5章 カルネジア・ハロイツァ

085 勧誘

しおりを挟む
「……トーマ、本気なの?たった今僕らを襲ってきた張本人なんだけど?」


 シンの気持ちは分かる。
 今回の襲撃の実行犯だし、ハロイツァの実妹ってのもかなり気になる部分なのだろう。


「はは、シンもちょっと考えてみてくれよ。
 コイツはカルネジア家では冷遇されていて立場も低い。見逃しても殺しても、俺達になんのメリットもないだけじゃなく、カルネジア家すら痛くも痒くもないってくらい影響がないらしい。
 ならいっそのこと、こちら側に引き込んでしまえば、こっちの戦力増強に繋がるし、カルネジア側に情報漏洩という点で、デメリットを与えることが出来る」

「……でもコイツはカルネジアの人間でしょ?裏切ったらどうするの?」

「裏切ったら即殺すよ。どんな理由があろうが知ったこっちゃない。
 でもさぁシン。今まで絶対に逆らわずに好きに扱えた妹が敵に寝返ったら、嫌われ者のハロイツァくんがどんな顔をするか、ちょっと興味ないかい?
 と嫌がらせの意味も勿論あるんだが、ハロイツァは3等級らしいからな。オーサンよりも2つも上だと考えると、俺達3人だけで事を乗り切るのは厳しいと思っての判断でもある」

「私達は、オーサンよりもずっと強い相手を倒さなきゃいけないんだね……」


 リーンの顔が強張っている。
 俺達3人とも、未だにオーサンには遊ばれてる状態だからなぁ。
 それでも撃退できなければ、バッドエンドに直行するだけだ。


「それでシン。個人間での奴隷契約ってのは可能なのかな?」

「ああ、それは可能だよ。コイツが受け入れるならだけど、絶対服従を条件にすることも出来るはずだ。
 スレイさんのところに行けば、お金はかかるだろうけど対応してくれると思う」


 口約束だけよりも、奴隷契約で縛れるならそれに超した事はない。


「ってことだが。俺に絶対服従という条件で奴隷契約するなら、こっち側に来させてやるぞ?
 一応契約期限は、ハロイツァの破滅を見届けるまで。それが済んだら解放してやる」

「えっ?解放……して、くれるの?」

「まぁな。奴隷なんて2人だけでも手一杯だって痛感したからな。
 ハロイツァさえいなくなりゃ、お前も俺達を狙う必要はなくなるんだろ?なら解放しても良いってだけだ」

「ね、狙いません……!絶対、絶対にもう貴方がたを狙ったりしません……!」

「お前も考えてみろよ。このままハロイツァについたままでいるのと、ここで俺たちに付くの、どちらがいいかをな。
 ハロイツァの元に帰れば、今回は許されたとしても、今までの冷遇の日々がこれからも続くだけじゃないのか?
 逆に俺達の側に付いたらどうだ?
 失敗したら死ぬのはどっちでも一緒だろ?でも成功したらハロイツァから解放されるんだぜ?賭けてみる価値は無いか?」

「ハロイツァから……、あの男から、解放……?」


 ハロイツァ君が、嫌われ者の暴君俺様野郎でありがたい限りだ。
 結局本人にどれだけ戦闘力があろうとも、周囲に嫌われていては切り崩されてしまうって話だな。
 俺もみんなに嫌われないように気をつけないとなぁ。


「そうだなぁ。うちに来たら朝は寝過ごしても罰なんかないし、俺達と一緒にまともな食事が腹いっぱい食えるぞ。
 夜だって俺達と一緒に好きなだけ寝れるし、お前だけに寝る時間を削って仕事を押し付けたりはしない。
 仕事が終らなくて寝れない日なんてないし、無理を押し付けておいて罰を与える、無能な上司も居ないぞ?」


 女が段々目を見開いてこちらを見ている。「なんでそれを!?」って感じか?
 まったく、冷遇されてる奴ってのは、異世界でも日本でも扱いは変わらないのかよ。


「勿論治療もしてやるし、新しい装備も用意しよう。それとお前さ、祝福の儀を受けたこと無いよな?
 明らかに6等級冒険者よりも腕が立つのに、魔装術が使えないなんて、カルネジア家、っつうかハロイツァ個人か?どちらにしても、お前に祝福の儀を受けさせてくれなかったんだろうとしか思えない。
 俺に下れば祝福の儀だって、俺の金ですぐに受けさせてやるぞ。
 ハロイツァと本気で敵対する覚悟があるなら、お前も戦力として数えてやるからな」

「うそ、でしょう……?祝福の儀を、私が……」


 むしろ、祝福の儀を受けさせない理由が無い。
 受けさせなかったハロイツァが完全に阿呆なだけだ。

 部下の戦闘力が上がれば、任務の達成率も上がるし、所要時間の短縮にも繋がるのに。
 本当に脳味噌入ってるのか疑わしくなってくるくらいのアホだ。

 リーンのことがなかったとしても、仲良くなれなかっただろうなぁ。


「お前さ、ハロイツァのこと大嫌いだろ?自分を冷遇するハロイツァと、誰も助けてくれないカルネジア家の事を、憎んでるし恨んでるんじゃないか?
 俺達は流石にカルネジア家までは相手にするつもりは無いけど、ハロイツァは俺達に突っ掛かって来るみたいだから、破滅してもらおうと思ってんだよね。
 お前も参加したくないか?
 カルネジア・ハロイツァが見下している人種に敗北して、破滅していく様子をさぁ」


 女の目に光が灯ったように見えた。暗く深い、憎悪の光が。


「まぁね。俺はハロイツァくんとは違って、ちゃんとお前の意思は尊重するし、嘘もつく気はない。
 3等級のハロイツァに比べて、俺達は7等級に上がったばかりの駆け出し、はっきり言って勝算は低い。
 だからお前の意思で選ばせてるんだ。
 なぁ、カルネジア家で過ごしてきたお前こそ、想像しやすいんじゃないのか?
 無様に人種に敗北を喫したハロイツァが、その後どんな扱いを受けるかって事をさぁ」


 ……女が震えている。
 どうやら蓋が開いたようだな。


「……私は、いえ私も!ハロイツァを破滅に追い込みたい!
 私だって、好きでカルネジア家に生まれたわけじゃない!好きで人種に生まれたわけじゃないのに!
 人種だってだけで、なんでこんな扱いされ続けなきゃいけないのよ!
 もう沢山!もう沢山だわ!ハロイツァにもカルネジアにも、恩なんか1つも無い!
 ハロイツァを破滅させられるなら、私はなんだってします!
 お願い!私もハロイツァの破滅を見たい!私の手で破滅させてやりたい!
 私も仲間に入れてください!お願いします!どうか!」



 ん?今なんでもするって……、いやなんでもないです。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...