異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

087 治療魔法

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「それでは患者をそこに寝かせて。患部を露出させてもらえますか」


 トルネを診療台というか、ベッドのような場所に寝かせ、腹を出してズボンを脱がせる。
 下半身が下着だけになったが、エロいよりもグロいほうが勝るな。
 まぁ刺したの俺なんだけど。

 ちなみにこの世界にゴム素材は無いが、男性用も女性用もパンツ的な下着は普通に流通している。
 高価な商品だと肌に吸い付くような一体感とか言われていたが、一般的に着用されているのは、サイドが紐状になっていて、締め付けを自分で調整出来るタイプ、所謂紐パンである。

 紐パンが一般的なのは女性だけでなく、男性もだと追記しておく。


「止血させたのは良い判断でしたね。この怪我では長く持たなかったでしょう。
 それでは早速魔法を施させて頂きましょう」


 おっさんはトルネの腹の傷の上に、軽く手を添えた。


「『回復ヒール』」


 やはり治療魔法も、魔法名を発声する必要がありそうだな。

 ヒールの魔法効果なのか、トルネの体全体が淡く光っているように見える。


 ってうえええ!?
 手が添えられている腹の傷は見えないけど、太股の傷が、見る間に塞がっていってるじゃありませんか!

 なんか怪我の治りを倍速で見せられてる感じ。
 見る人によっては感動しそうだけど、俺にはグロさしか感じられないな。
 ごめんトルネ。怪我させた本人がグロいとか言っちゃって。


 その後、体感で10分くらいかけて、トルネの怪我は塞がった。 
 やっぱり治療魔法は欲しいなぁ。白金貨級の取引になるのは当たり前だと感じるわ。


「ふぅ、なんとか治療しきれてほっとしました。
 私の魔力では治療しきれないかも、と少々不安なくらいの深手でしたから」


 このおっさん有能かよ。こりゃあ高くても利用する価値は充分だわ。


「ありがとうございました。ご無理をさせてしまったようで済みません」

「いえいえ大丈夫ですよ。
 ただこの方の傷は、魔物につけられた傷ではありませんよね?」


 おお、このおっさんマジで有能っぽいな。
 あ、トルネさん。もうズボン穿いていいっすよ。


「ええ、迷宮内で冒険者に。なんとか助けられて良かったです」


 何一つ嘘はついてませんが?


「なるほど。彼女も良い人に購入されたようですね。
 奴隷のために魔法治療院を利用する人なんて、とても珍しいですよ」


 奴隷印も消してあるし、奴隷と発言した覚えも無い。
 それでも奴隷とそれ以外の人を見分けることは、やっぱ可能なんだな。
 じゃなければ、奴隷印消すサービスなんて出来んか。

 怪我は完治したけど、数日は無理させないようにと忠告を受けて、魔法治療院を後にした。
 怪我が治ったので、トルネは自分の足で歩かせる。


「トルネ、お前宿かどっかに荷物ある?」

「いえ、私の荷物は他に何もありません。お気遣い感謝致します」


 じゃあ後は適当に食材買って、家で食うか。
 市場に寄って適当に物色、帰宅する。


 今日は家で自炊する。みんなで食事を用意したのだが、意外なことにトルネは料理が出来ないとの事。
 冷遇されてたなら何でもやらされてたのかと思ったけれど、流石に貴族家だけあって、特定の者以外が厨房に入るのは硬く禁じられていたそうだ。毒殺対策的な?
 まぁ少しずつ覚えてもらえば良い。

 夕食を食べながら、気になっていたことを修正させる。


「トルネ。俺達に敬語はなし。これからは普通に喋るように。
 様も要らない。俺達3人の事は呼び捨てにすること。これは命令な」


 強制力は持たせないけども。


「は!?ちょっと待ってください!私は貴方の奴隷です!
 奴隷には奴隷に相応しい立ち振る舞いというものが御座います。
 どうかご容赦頂きたく!」

「だめ。なんで俺のほうが奴隷の都合に合わせる必要があるんだよ。
 俺らに害意さえ抱かなきゃ、他はテキトーで良いよ。
 様付けされんのも丁寧に喋られるのも、俺が嫌だからやめろ。だから命令っつったんだ」

「くっ……。分かりました。努力します、いえ努力するわ」

「宜しい」


 ふわわは意外と野菜系が好きらしい。つららはやっぱり肉一直線って感じだな。
 でも2匹とも好き嫌いなく何でも食べる。いい子だねー。


「そういやトルネは照明を使ってたな。他に覚えてる魔法はあるのか?」

「いえ、照明だけで、照明だけよ。他のスクロールは何度か見たことがあるけど、使わせてもらえなかったわ」

「じゃあお前も音魔法も覚えてもらうか。スクロールは取ってあるし」


 音魔法先生は常に大活躍してくれるからな。


「そういやトルネって何歳?」

「はい。私は16歳です。トーマさ、トーマは35歳、シンは14歳、リーンは11歳で合ってますよね?」

「なかなか言葉が抜けないようだが、合ってるぞ。ふわわとつららは最近生まれたばかりな」


 冷遇されてたって事は丁寧語がデフォなのかもな。
 でも今まで丁寧語で喋ってきた人って、ぶっちゃけ魔法治療院のおっさんくらいじゃない?
 この世界は身分次第ではあるんだろうけど、普通は敬語なんて使ってる人は居ない。


 そして、後は寝るだけになったわけだが。


「私はトーマの奴隷ですから、一緒のベッドで構いません」

「私のほうが先にトーマの奴隷になったんだから、私が一緒に寝ますー。
 そうすればベッド足りるんだから、トルネはそっち使えばいいでしょー」


 あーモテ期到来かぁ、いいっすねぇ~。
 なんか待ち望んでたことだった気もするんだけどなー。

 実際に目の当たりにすると、めんどくせぇ感が半端ない。


「……もういっそ、シンも一緒に寝るか?」

「やめておきます。僕は静かに寝たい。
 あ、ふわわとつららは僕と寝ようね」


 シンが真顔で返事してきやがった。本気で嫌がってやがる。
 まぁ実際こういう場面に出くわした時、男サイドってなんつうかこう、冷めるよな。


「わかったわかった。めんどくせぇから2人とも一緒に寝てやるよ。
 ベッド狭くなるのは諦めろよ」


 風魔法で2人の体臭をカット。熱魔法で2人との接触面の体温を調節し、意識しないように調整。音魔法で2人の吐息をカットする。
 これが安眠のための、生活魔法三段活用!

 魔力切れになったらそれこそ寝れるから、死角は無い。


 さて、寝る前にステータスチェックを。

 あれ?所持SPが200くらい増えてる。なぜだ?


 …………リンカーズでは、人を殺しても経験値が貰える?いや違う。
 人を殺すと、相手が持っていた経験値を奪える。多分こっちが正しい。


 ……まずいなこれは。
 リンカーズの人はSP取得を確認できないから、もしかしたら気付かれてないかも知れないけど。


 ステータス確認が出来る転移者、転生者が現れた場合、大量殺人するやつが出てもおかしくないんじゃないか……?
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