異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

105 告白

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「それでは当代様にご報告しなければならないので、私はこれにて失礼させて頂きます。
 奴隷解放の手続きについては、これから間違いなく進めておきますので、遠からず、ご両親も帰ってこられるかと思います。
 進展が御座いましたら、また私がお伺いさせて頂きます」


 そう言ってカルマさんは、ハロイツァを抱えて去っていった。
 最後まで複合センサーに何の反応もなかったよ。多分隠密系のスキルかな。
 足音はおろか呼吸音すら拾えないのは、技術でどうにかなるものとはとても思えない。

 ……仮に、スキルじゃなかった場合の方が怖すぎる。


「ふーわわー。つーららー。出ておいでー」


 とりあえず、いぬねこコンビを回収せねば。


「そんでどうするか。このまま11階層潜るって感じじゃないよなぁ。
 全員ボロボロだし、1回戻って休もうか?」

「そうだね。流石に休みたいよ。
 トーマこそ結構やられてたけど、大きい怪我は無いの?」

「なんとか大丈夫そうだが……、せっかくだからみんなでまた魔法治療院行くか?
 そんで一休みしたら、改めて11階層チャレンジ!って流れでどう?」

「みんなが動けそうならそれで行こー!
 私は怪我してないから、治療は必要ないよー」

「私も骨まではイってないかと思いますが……。
 初の階層に挑むのですから、万全を期したいですね」


 戻ってきた2匹が顔を舐めて労ってくれる。
 あー!なんとか生き残れたー!




「3名とも、死に至るような怪我ではありませんが、打撲としてはかなり酷い傷ですね」


 ということで、魔法治療院では金貨8枚も取られた。
 ちなみに内訳は、シンが1枚、トルネが1枚、俺が6枚。

 本当に装備に救われたっぽい。


 治療を終えたら家で軽く食事をして、みんなで固まってお昼寝する。
 なんとなくみんな、離れたくなかったみたいだ。

 ふわわとつららも段々大きくなってきたなー。なでなで。




 ……。

 …………ん?

 ふわふわもふもふに誘われて、いつの間にか眠ってしまったのか。
 どのくらい寝たのか分からないけれど、少なくとも日は落ちてないな。

 床で元気に2匹が遊んでいるところを見ると、そこまで時間経ってないのかな?


「んん……トーマぁ?」


 俺が起きた気配を感じたのか、リーンが目を擦っている。
 この調子なら、間もなく全員起きそうだな。


「眠いならもうちょい寝てて良いぞ。起こしてやるから」

「ううん。もう眠くないよ。
 ……えへへ」


 リーンははにかんだように笑って。俺に抱き付いてきた。


「私ね、トーマが大好きだよ。
 トーマは私の命も、体も、心も、未来も、家族も、全部ぜーんぶ、助けてくれた。
 だから私はトーマに助けてもらった全部を、トーマにあげたいの。
 だからトーマ。私をトーマのものにしてください」


 リーンは一層強く抱きついて、俺の胸に顔を埋めた。


 ……はぁ、おっさんになると、若者の強い想いを受け止めるのにも、いちいち覚悟が要るよなぁ。

 リーンを軽く抱きしめ返して、頭を撫でてやる。


「リーンも悪い男に引っかかっちまったもんだなぁ。
 とりあえず、戻ってくるご両親にちゃんと話してからにしような」

「……ぶーぶー。いますぐ押し倒してくれても良いのにー」

「はは、これでも苦労したんだよ。もう少しの間はこのまま抱きしめさせてくれ」

「ふふ、私のほうが先輩だから、今は我慢してあげるね……」


 はぁ~。お巡りさん俺です。
 女の子はすげぇなぁ。おっさんは一生勝てそうにないわ。


「ああああーーー!!
 リーン!なに抜け駆けしてるんですかーーー!」


 トルネがなんか叫んでる。煩いのでシンも目を覚ましたようだな。


「ふっふーん。暢気に寝てるトルネが悪いんだよーだっ」

「トーマもトーマですよ!なにリーンを抱きしめてるんですか!貴方そんな人じゃないでしょ!」

「どんなツッコミだよ。
 リーンが可愛いから抱きしめてただけだよ。体の調子は良いのか?」

「僕としてはようやくって感じだけどね。うん、体調に問題は無さそうだ」

「私だって可愛いでしょ!ほら!ほら!抱きしめてくださいよ!
 調子は万全ですよ!もー!もー!」

「ったくわかったよ。ほれ、トルネもおいで。抱きしめてやるからさ」

「………………………………へ?」


 トルネはフリーズしながらも、ブリキの玩具みたいに、ギギギっと鈍い動きで寄って来たので抱きしめてやる。


「まぁ今日は自分でも、ちょっと落ち着いてないと思うよ。
 シンもリーンもトルネも、ふわわもつららも、そして俺自身も。誰1人欠けずに切り抜けられた。
 それが嬉しくてつい、可愛い可愛い俺の奴隷を抱きしめてしまっただけだ。
 シンもお望みなら応えるけど?」

「いや結構。
 ……死んでやるつもりも、負けてやるつもりもなかったけれど、今更になって実感するね。
 僕たち、良く生き延びられたものだよ……」

「うん。トーマも兄さんもトルネも、本当にありがとう。
 みんなのおかげで、私はアイツの慰み者にならずに済みました」

「私こそ、アイツから解放してくれて、みんなには感謝しかありません。
 ……アイツの事は嫌いですけど、アイツのおかげでトーマに抱きしめてもらえたと思うと……、複雑ですね」

「……トルネって自分で言うだけあって、結構良い体してるのな」

「なんで今そういう事言うんですか!台無しですよ!だ、い、な、しーーっ!
 っていうかわざとですよね!特に理由もなく私で遊ぶの、やめてもらえますかっ!?」


 ウソは言ってないけどな。
 せっかくの機会なので、心置きなく堪能しておこう。

 密着しているおかげで、音魔法なんて使うまでもなく、2人の鼓動が伝わってくる。

 2人にも、俺の鼓動が伝わっているのだろうか。


 あー!
 生きてるって、素晴らしいなぁーっ!
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