異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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5章 カルネジア・ハロイツァ

113 両親との再会

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 陽天の報せを指定されたので、1回19階層の探索を行っておく。

 もはや往復の移動だけで、探索と同じくらいの時間がかかる。
 20階層にも到達してないのにこれでは、30階層付近からは泊り込みも視野に入れないと駄目そうだなぁ。

 ショートカット欲しい。切実に欲しい。


 19階層の探索を終え、冒険者ギルドで換金タイム中にステータスチェック。
 滑り込みでSPが506になってる。これで、俺だけ何も取得できない事態は避けられる。ちょっと安心。
 
 今回は1つしかスキルを取得できないので、身体能力強化:中を取得したいと思う。
 身体能力の重要性は、ハロイツァのせいで骨身に染みたからなぁ……。


 冒険者ギルドをあとにして、スレイの奴隷商館に向かう。時間的にまだ少し早いが、遅れるよりは良いだろう。
 商館に着くと、やはり相手方はまだ姿を見せていないとのことで、応接スペースで待たせてもらうことになった。


 ふわわをなででごろごろ言わせたり、つららを裏返しにしてお腹をこちょこちょしたりしながら待つ。
 
 正直、この世界に奴隷制度があると知ったときは、エロ方面で妄想が膨らんだものだが、実際に奴隷を購入した今になって思うと、奴隷を持つことの大変さばかりが思い出される。

 リンカーズの奴隷システムはかなり厳重なようで、奴隷だからといって酷い扱いを受けているわけでもないので、こんな素晴らしいご主人様に買ってもらって幸せです!みたいな展開は期待できない。


 勿論、性的な目的で売買される奴隷も普通に存在しているのだが、基本的に奴隷の管理は全てリヴァーブ王国が行っているため、奴隷を壊すという事は、国の財産を壊すということに繋がる。
 それにリンカーズでは、わりと子作り盛んだからね。奴隷を買ってまで、と考える顧客は本来少ないらしい。

 ハロイツァの場合は、事前に奴隷本人に『購入後に死ぬ結果になっても文句は言わない』的な誓約書を書かせていたらしいけれど、いくら奴隷本人の許可があっても、好きなだけ壊されては、奴隷システムの管理の大元である国に注目されないということはない。
 国の管理システムのせいで奴隷は逃亡も出来ない代わりに、最低限の待遇と命を保障してもらっているわけだ。


 俺の場合、扱いが特殊な犯罪奴隷を購入してしまったことで、奴隷制度のメリットよりもデメリットの方ばかりを感じる結果になってしまい、ある種奴隷に抱いていた幻想を砕かれてしまったんだよねぇ。

 奴隷を守るのは別に構わないんだけど、ちょっとした用事やお使いを頼むことすら出来ず、常に全員で固まって行動しなきゃならないのは、はっきり言ってストレスだった。
 まるで俺のほうが奴隷みたいな気分になるわ。なんのための奴隷だってね。


 奴隷制度によって自分が被った負担について思いを馳せていると、俺たちの居る応接スペースのドアが、コンコンとノックされた。


「スレイだ。カルネジア家の皆様を案内してきた。入るぞ」


 先頭はスレイ、後ろに2人の親父さん、お袋さんと続いて、最後にカルマさんも入ってきた。
 カルマさん、完全にこの件での対応窓口になってるな。


「父さん!母さん!」「シン!」「リーン!」


 親子はお互いに駆け寄ると、4人で抱き合って泣いた。
 きっと、二度と生きて会えるとは思っていなかったのだろう。

 2人の両親はベイクを立つ時に見た記憶よりも、かなりやつれているように見える。
 あの日から50~60日くらい?しか経ってない筈だが、犯罪奴隷に科せられる労役の厳しさを窺わせる。

 5年後に迎え入れる、なんて考えは甘かったかもしれないな。
 生きて再会することができて、本当に良かった。


「話は聞いたよ。父さんが不甲斐ないばかりに、2人には苦労をかけてしまった。
 それなのにお前達のおかげで、私達はこうして再会することが出来たんだってな。
 不甲斐ない父親で本当にすまない……。
 助けてくれて、本当にありがとう」

「ううん、父さん。僕たちは悪くない。悪くないんだって言ってもらえたんだ。
 父さんも母さんも、僕だってリーンだって、なんにも悪いことなんかしてないよ」

「うん。兄さんの言うとおり、私達は何も悪い事はしてないよ。
 だから私はただ、こうして父さんと母さんにまた会えて、凄く嬉しい……!」

「母さんも嬉しいわ……。
 またこうして、貴方達を抱きしめることが出来るなんて……」


 トルネがちょっと居心地悪そうにしてる。反省しやがれ。
 ま、トルネはトルネで逃げられなかったんだけどさ。

 4人が落ち着くのを待って、改めて話をする。


「トーマさん。今回の件も、そしてそれ以前からも、2人を助けてくれて、本当にありがとう。
 父として、一家の長として、心より感謝します」

「いえいえ、2人にはこちらの方が助けてもらってるよ。
 ご両親を助けられたのも成り行きだしね」


 ちなみに猫獣人の親父さんは『ジーン』さん、犬の亜人のお袋さんは『リンシア』さんだ。


「それではまずは簡単に流れを説明しておこう。
 この後ジーンさん一家とトルネさんの、奴隷契約の解消手続きを行わせて頂く。
 犯罪奴隷印は消すことが出来ないので、カルネジア家から賠償金として、1人当たり500万リーフ、白金貨5枚ずつが支払われる。
 これは賠償金として国から指定された金額なので、受け取って欲しい」

「加えて、トーマ様とトルネ様にも、カルネジア家から慰謝料として、それぞれに白金貨5枚が支払われます。
 こちらも今回の件の正式な賠償の1つで御座いますので、何卒受け取って頂きますようお願い申し上げます」


 スレイの説明に補足するように、カルマさんが口を挟む。
 ふむ、断る方がめんどくさそうかな?
 
 まぁお金はあって困ることもなし、普通に受け取るべきか。


「奴隷契約の解消が済んだら、押収されていた身分証を返却して終了となる。
 身分証は返却されるが、各種ギルドの登録情報等は抹消済みなので、身分証を利用する際には気をつけて欲しい。
 登録料等の諸々の費用は、白金貨5枚の中に含めて欲しい。
 なにか聞きたいことはあるか?なければ契約解消に移らせてもらうが」


 登録証は返却されるけど、データは抹消済みか。
 まぁ商工ギルドにしろ冒険者ギルドにしろ、登録しなおせるだけでもマシだと思おう。


「私達は特に無い」

「俺も特にないな。みんなは?」


 周りを見渡すが、みんな首を振っている。特に聞きたい事は無さそうだ。


「ふむ、特に無さそうだな。
 のちほど疑問に思ったことがあれば、いつでも聞いてくれて良い。
 それでは、奴隷契約の解消に移らせてもらおう」


 ふぅ、これでようやく解放になるわけか。
 まったく、奴隷なんて持つもんじゃないな。
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