異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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6章 波乱のヴェルトーガ

123 初の遠征

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「おはようございます。お迎えにきました」


 朝食を食べて一息つこうとしたタイミングで、3日前に手紙を持ってきた蛇顔の男が尋ねてきた。

 尋ねてくるタイミング良過ぎない?もしかして朝食終るの待ってたんじゃね?
 とりあえず完全武装して出かける支度を済ませる。


「じゃあジーンさんリンシアさん。留守中は宜しくね。
 どの程度で帰ってくるか読めないから」

「ああ、留守中の心配は要らないよ」

「せっかくなんだから、ゆっくりしてきてもいいからね」


 二人に見送られて家を出る。
 ふわわとつららは最後まで迷ったけど、こいつらも異風の旋律の一員だよなーということで連れて行くことにした。
 安全面で考えると置いて行くべきなんだろうけど、この2匹を守れないような相手だったらそもそも勝ち目が無さそうだしな。


「では早速参りましょうか。長距離移動魔法ゲートを頼む」


 言われた相手は大きく頷いて魔法の準備に入った。

 しっかしフードを被って更に仮面まで着けてるなんて徹底してるな。
 男か女かすら分からない。


「ああ済みません。長距離移動魔法の使い手は少ないので、仕事の際は素性がわからないようにこのような格好をさせております。
 会話も最低限のみしか行いませんので、なにか聞きたいことがあれば私の方にお願いします」


 蛇男に言われて納得する。
 ゲートの有用性を考えれば、誘拐してでも、と思う輩がいてもおかしくない。

 しかし、もう2分くらい待っているが未だゲートは発動しない。長いな。


「ゲートは都市間を一瞬で移動できる素晴らしい魔法ですが、発動には少々時間を要します。
 戦闘中に撤退の目的で使うのは難しいでしょうね」


 あくまで『移動』以外の目的に使わせないってことか。
 結構な魔力だし時間もかかるし、そもそも希少性も高いから、泥棒なんかが悪用するのも難しそうだな。


「っていうか家の前からでも移動できるんだな。
 ターミナル付近にしか出られないっていうから、行きもターミナル付近になると思ってたよ」

「ええ、あくまでターミナル付近にしか出口を設定できないというだけで、ゲートを開くのは屋外であれば何処でも可能なんです。
 一応補足しておきますが、迷宮で使用することはできません」


 迷宮移動には専用の魔法があるんだっけ。跳躍スキップだったか。

 なんて考えていると、仮面の人物の前に、大きな黒い渦のようなものが現れた。

 これがゲートか。

 っていうか魔法名の発声が聞こえなかったな?
 攻撃魔法じゃないから必要がないのか、それとも仮面に何か仕込んであるのか。


「お待たせしました。それでは参りましょう」


 仮面の人物が真っ先にゲートに入る。術者が最後まで残る必要はないのね。
 蛇男が続いて渦に入っていく。

 ……ここで俺たちが続かなかったら、とかちょっと考えてしまうな。


「よし、じゃあ行こうか。異風の旋律、初の遠征だな」


 とりあえず俺が先陣を切って入ってみる。

 普通に渦を通り抜けてしまって、とても大きな、薄い青色の石が置いてある広場のようなところに出る。
 空間酔い的なものを覚悟していたんだけど、渦に触れた感触すらなかった。
 俺たちを飛ばしているんじゃなくて、ゲートで空間同士を繋げているみたいな感じなのかな。
 そしてこの巨大な石がターミナルなんだろうなぁ。


「皆さんお揃いで間違いありませんか?」


 蛇男の言葉に振り向いてみると、みんなも既にゲートを通ってきていた。
 ふわわとつららはフードインしてるので俺と一緒に抜けてきている。


「ああ、全員揃ってる」


 俺が全員の到着を確認するとゲートが消えた。
 発動に時間がかかるから、確認取らずに消しちゃったら大変そうだもんな。


「それでは皆さん。急かすようで申し訳ありませんが、我が主は当主として多忙な身でございます。
 まずは我が主との面会を優先させて頂きます。
 ヴェルトーガを案内できないのは私としても残念ですが、今はご容赦ください。
 こちらに迎えの馬車が用意してあります。どうぞ」


 蛇男についていく。なんかツアーガイドみたいだな。
 ああ、これがただの旅行であればどんなにワクワクしたことか……。


 なんかカバみたいな生物の引く馬車で移動するらしい。

 馬車なんて生まれて初めて乗ったけど、創作でよくある「お尻が痛くなるほど硬い座席」ということはなかった。
 まぁ四大精霊家とやらの馬車だもんな。かなりの高級品なのだろう。

 ちなみに窓もないのでかなり暇だ。
 魔法の練習とふわわとつららの相手をして時間を潰す。

 さほど速度を出していないみたいだけれど、それにしても結構な距離を移動してる気がするなぁ。


「大変お待たせしました。間もなく到着します」


 御者席にいる蛇男から声がかけられる。
 ちょっと罠かもとか疑心暗鬼になりつつあったので助かった。

 2匹をフードにインして、いつでも降りられるようにしておく。


 馬車が止まり「到着しました」とドアが開けられる。1時間は馬車に乗ってた気がする。




「お、おおお……。流石にでかいな」

「これが四大精霊家の屋敷……」

「私もいつかこんなお屋敷に住んでみたいなぁ」

「流石は宗家のお屋敷。私が住んでいた家とは比べ物になりませんね」


 リーンセンパイ勘弁してください。
 そしてトルネは衝撃が少なそうだ。単純に感心してるように見える。流石は元四大精霊家のご令嬢。

 いやいやでっかいよ?
 当時俺が通ってた高校の校舎よりも広そうなお屋敷って何なのよ。



 ああ、急激に帰りたくなってきた。
 穏便な話だといいんだけどなぁ……。
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