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6章 波乱のヴェルトーガ
139 協力の仕方
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みんなで一緒の部屋で一眠りし、目が覚めてもまだ外は明るい。
さっきまで色々あって、衝撃は大きかったが、肉体的にはさほど無理はしてないからな。
恐らく、そんなに長い時間は寝てないはず。
とりあえず冒険者ギルドで、正式に指名依頼請けるとするかね。
「シン。ハル。今日から2人もこっちの部屋で寝よう。
転移能力者が野放しになってる間は、1人部屋で寝ることは避けた方がいいだろ」
「了解。特にまだ戦えないハルは、相手と直接接触もしているし危険だよね。
1人部屋で寝てたら、異常があっても、朝まで気付けないかもしれないし」
「うん。私は構わないよ。
むしろトーマたちこそ一緒の部屋で大丈夫なの?」
「むむむー。勿論みんなの安全が最優先なのは譲れないとしてー。
ねぇねぇトルネー、何かいい案ないかなー?」
「そうですね……。あ、そうだ。
トーマは朝が早いですし、朝に別室で抱いてもらえばいいんじゃないですか?」
「え、そこまですんの?
普通に事件解決まで控えるで良くない?」
「よくない!」「よくないです!」
なんか俺、早死にする気がしてきたわ。
「モテモテねぇ~。むしろなんでトーマのほうが引き気味なのよ?
普通こういうのって、男の方ががっつくもんじゃない?
リーンもトルネもこんなに若くて可愛いのに。
……ちょっと若すぎる気はするけどさ」
「そうだそうだ!ハルもっと言ってやってー!」
「トーマはもっと私達を貪るように愛してください!」
「単純に体力の問題。2人に不満なんてあるわけないさ。
一般的に、男は加齢によって色々衰えちゃうもんなのよ」
カルネジア家の奴らみたいに、気に入った相手をとっかえひっかえー、な生活は俺には無理。主に体力面が。
宿には、度重なる部屋の利用変更をお詫びしつつ、結局ダブルの部屋も取ることになった。
二人を無制限に相手するってのは、本当に憧れるんだけどなぁ。
なんか良いスキルないかなマジで。
「これで異風の旋律は、正式に指名依頼を受諾したことになるよ。
基本的には行動は自由。情報の提供と、協力要請があった場合に任意の同行協力。
期限は行方不明事件の解決までだね。報酬は未定みたいだけど」
冒険者ギルドに顔を出すと、既に指名依頼が正式に出されていた。
ディオーヌ様直々の指名に、ピリカトさんは始め、めっちゃ驚いてた。
しっかし報酬なぁ。出来ればスキップが欲しい。
ゲートはまだ、さほど必要性を感じないし。
「これから迷宮に行ってもあまり長時間探索出来ないだろうし、今日はもうギルドで訓練に当てようか。
特にハルには魔装術に慣れてもらいたい。
魔力量が成長前だから、使いこなすのは難しいかもしれないけどさ」
「そういえば僕らは、魔装術を覚えるよりも、魔法を覚えるほうが早かったね。
となると、ハルは僕らが魔装術を覚えたときよりも、魔力が少ないのか」
「うん。魔装術の有用性は、嫌ってほど説明されたからね。
戦う技術は追いついてないけど、頑張って練習するわ」
「有用性が高いのもあるんだけどさ。
ハルって叶えた願いが若返りで、チートスキル持ってないだろ?
あまり考えたくはないが、もしハルが攫われた場合、チート持ってないことがバレると、扱いが変わる可能性が高い。
恐らくあっちは、魔装術知らないはずだからな。
魔装術をチートスキルとして説明すれば、多少は誤魔化せると思うんだ」
魔装術は、チートと言うほど非常識ではないけど、装備を強化できる能力で、非常に強力だからな。
転移者が見たら、チートと判断するには充分なスキルだと思う。
「……うん。私も攫われたくはないけど、あっちは転移能力持ちだもんね。
誘拐を完全に防ぐのは確かに難しそう、ね……。
うん。転移者の発想なら、魔装術はカモフラージュにぴったりだと、私も思う」
「魔力切れも、1回経験させとかないとねー!」
リーンセンパイ容赦ねぇ……、けど。合理的でもある。
自分で使用限界を把握しておかないと、いざって場面でやらかすかもしれないもんな。
「明日以降は、基本的にいつも通り過ごそう。
日没まで迷宮探索、帰ってきたら訓練して就寝の流れだな」
「ハルが狙われてるのに探索を続けるのは、危険なんじゃないですか?
それと、捜査協力はしなくていいんでしょうか」
捜査協力ねぇ。
別にしたくないとまでは言わないけど、多分あまり力になれないと思うんだよな。
「どっちも発想が逆なんだよね。
魔物と戦ったことなんてない俺たち余所者が、いきなり迷宮に入る度胸なんて、まずないよ。
しかも入り口には、常に警備兵が常駐してるわけだし。
迷宮に入ってるほうがむしろ安全だと思うんだ、俺は」
それに、これが完全に俺の希望的観測でしかないけれど、あいつの転移能力にも絶対に制限はあるはずだ。
あれほどの強力な能力が野放しで付与されるほど、この世界を創ったヤツは親切じゃない。
例えば屋外でしか使えないとか、消費魔力がでかいとか、使用回数に制限がかかってるとか。
「捜査協力に関しても、俺が奴等と同郷なだけで、捜査に関して俺たちは完全に素人だからな。
ヴェルトーガに来て数日しか経ってないから、まだ道も把握してないだろ?
捜査に関しては、ここでずっと治安維持に従事してきた警備兵や、タイデリアの私兵の人たちに任せるべきだと思うんだよね。
素人が下手に動くと、彼らの足を引っ張ることになると思う。
捜査はプロに任せて、俺たちは餌として相手を誘き出すように動いた方が、捜査のためになるかなってな」
俺たちが犯人に接触されるのが先か、捜査が進むのが先かは読めないが、俺たちが先に接触したならプロに助けを求めればいいし、捜査のほうが早かった場合は、恐らく俺たちに同行が求められるはずだ。
どっちにしても結果は同じであるなら、素人考えで余計な事はしないに限る。
さっきまで色々あって、衝撃は大きかったが、肉体的にはさほど無理はしてないからな。
恐らく、そんなに長い時間は寝てないはず。
とりあえず冒険者ギルドで、正式に指名依頼請けるとするかね。
「シン。ハル。今日から2人もこっちの部屋で寝よう。
転移能力者が野放しになってる間は、1人部屋で寝ることは避けた方がいいだろ」
「了解。特にまだ戦えないハルは、相手と直接接触もしているし危険だよね。
1人部屋で寝てたら、異常があっても、朝まで気付けないかもしれないし」
「うん。私は構わないよ。
むしろトーマたちこそ一緒の部屋で大丈夫なの?」
「むむむー。勿論みんなの安全が最優先なのは譲れないとしてー。
ねぇねぇトルネー、何かいい案ないかなー?」
「そうですね……。あ、そうだ。
トーマは朝が早いですし、朝に別室で抱いてもらえばいいんじゃないですか?」
「え、そこまですんの?
普通に事件解決まで控えるで良くない?」
「よくない!」「よくないです!」
なんか俺、早死にする気がしてきたわ。
「モテモテねぇ~。むしろなんでトーマのほうが引き気味なのよ?
普通こういうのって、男の方ががっつくもんじゃない?
リーンもトルネもこんなに若くて可愛いのに。
……ちょっと若すぎる気はするけどさ」
「そうだそうだ!ハルもっと言ってやってー!」
「トーマはもっと私達を貪るように愛してください!」
「単純に体力の問題。2人に不満なんてあるわけないさ。
一般的に、男は加齢によって色々衰えちゃうもんなのよ」
カルネジア家の奴らみたいに、気に入った相手をとっかえひっかえー、な生活は俺には無理。主に体力面が。
宿には、度重なる部屋の利用変更をお詫びしつつ、結局ダブルの部屋も取ることになった。
二人を無制限に相手するってのは、本当に憧れるんだけどなぁ。
なんか良いスキルないかなマジで。
「これで異風の旋律は、正式に指名依頼を受諾したことになるよ。
基本的には行動は自由。情報の提供と、協力要請があった場合に任意の同行協力。
期限は行方不明事件の解決までだね。報酬は未定みたいだけど」
冒険者ギルドに顔を出すと、既に指名依頼が正式に出されていた。
ディオーヌ様直々の指名に、ピリカトさんは始め、めっちゃ驚いてた。
しっかし報酬なぁ。出来ればスキップが欲しい。
ゲートはまだ、さほど必要性を感じないし。
「これから迷宮に行ってもあまり長時間探索出来ないだろうし、今日はもうギルドで訓練に当てようか。
特にハルには魔装術に慣れてもらいたい。
魔力量が成長前だから、使いこなすのは難しいかもしれないけどさ」
「そういえば僕らは、魔装術を覚えるよりも、魔法を覚えるほうが早かったね。
となると、ハルは僕らが魔装術を覚えたときよりも、魔力が少ないのか」
「うん。魔装術の有用性は、嫌ってほど説明されたからね。
戦う技術は追いついてないけど、頑張って練習するわ」
「有用性が高いのもあるんだけどさ。
ハルって叶えた願いが若返りで、チートスキル持ってないだろ?
あまり考えたくはないが、もしハルが攫われた場合、チート持ってないことがバレると、扱いが変わる可能性が高い。
恐らくあっちは、魔装術知らないはずだからな。
魔装術をチートスキルとして説明すれば、多少は誤魔化せると思うんだ」
魔装術は、チートと言うほど非常識ではないけど、装備を強化できる能力で、非常に強力だからな。
転移者が見たら、チートと判断するには充分なスキルだと思う。
「……うん。私も攫われたくはないけど、あっちは転移能力持ちだもんね。
誘拐を完全に防ぐのは確かに難しそう、ね……。
うん。転移者の発想なら、魔装術はカモフラージュにぴったりだと、私も思う」
「魔力切れも、1回経験させとかないとねー!」
リーンセンパイ容赦ねぇ……、けど。合理的でもある。
自分で使用限界を把握しておかないと、いざって場面でやらかすかもしれないもんな。
「明日以降は、基本的にいつも通り過ごそう。
日没まで迷宮探索、帰ってきたら訓練して就寝の流れだな」
「ハルが狙われてるのに探索を続けるのは、危険なんじゃないですか?
それと、捜査協力はしなくていいんでしょうか」
捜査協力ねぇ。
別にしたくないとまでは言わないけど、多分あまり力になれないと思うんだよな。
「どっちも発想が逆なんだよね。
魔物と戦ったことなんてない俺たち余所者が、いきなり迷宮に入る度胸なんて、まずないよ。
しかも入り口には、常に警備兵が常駐してるわけだし。
迷宮に入ってるほうがむしろ安全だと思うんだ、俺は」
それに、これが完全に俺の希望的観測でしかないけれど、あいつの転移能力にも絶対に制限はあるはずだ。
あれほどの強力な能力が野放しで付与されるほど、この世界を創ったヤツは親切じゃない。
例えば屋外でしか使えないとか、消費魔力がでかいとか、使用回数に制限がかかってるとか。
「捜査協力に関しても、俺が奴等と同郷なだけで、捜査に関して俺たちは完全に素人だからな。
ヴェルトーガに来て数日しか経ってないから、まだ道も把握してないだろ?
捜査に関しては、ここでずっと治安維持に従事してきた警備兵や、タイデリアの私兵の人たちに任せるべきだと思うんだよね。
素人が下手に動くと、彼らの足を引っ張ることになると思う。
捜査はプロに任せて、俺たちは餌として相手を誘き出すように動いた方が、捜査のためになるかなってな」
俺たちが犯人に接触されるのが先か、捜査が進むのが先かは読めないが、俺たちが先に接触したならプロに助けを求めればいいし、捜査のほうが早かった場合は、恐らく俺たちに同行が求められるはずだ。
どっちにしても結果は同じであるなら、素人考えで余計な事はしないに限る。
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