異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

157 来るべき脅威に対して

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「も、もう無理ぃ……」「ちょっと、やすま、せてください……」


 ったく、こんな明るい時間から全力で付き合ってやるわけにはいかないわ。どうせこいつら、夜は夜で相手しないといけないだろうしな。
 今回は自分のことは完全に無視して、2人を喜ばせることだけに集中した。どれくらい集中したかというと、複合センサー全開にして、ありとあらゆる情報を拾いながら色々した。おかげで魔力が結構ごっそり持っていかれてたりする。

 でも自分の手で2人に喜んでもらえてると思うとすっげぇ楽しい。


「ああもう2人ともめっちゃ可愛かったわ。満足したからゆっくり休んでいいよ。俺もどこにもいかないからさ」


 もう3人一緒に寝るほうが自然に感じてくる。2人の寝顔を見ながら、のんびり日が暮れるのを待った。



「トーマ。僕はハルと生きていくことに決めたから。トーマにも譲る気はないからね?」

「おお、俺よりよっぽど思い切りがいいな。シン、ハルのこと守ってやってくれな」


 収まるべきところに収まったって感じか。


「うん。私も守られるだけじゃなくて、これから強くなるから。改めてよろしくね」


 ハルはハルで、この世界で生きていく意志が固まったようで何より。若返った甲斐があったな。


 みんなで夕食を食べて、ふわわつららをうりうりと撫で回しながら、今後のことについて話し合うことにした。


「こっちの人にはピンとこないと思うけどさ。俺達がいたところってめちゃくちゃ人が多いんだよな。
 どれくらいの人数がこっちに送られてくるかも分からないのに、何かある度に俺達が対応してたんじゃ身が持たない。
 ってことで、リヴァーブ王国の冒険者の水準を底上げしたいと思うんだよ。最初さえ乗り越えれば、あとは迷宮で勝手に成長してくれると思うしさ。その最初の部分をなんとかしたい」

「僕たちも苦しい期間が長かったから、そこを何とか出来るならなんとかしてあげたいけど……。なにか具体的な案はあるの?」


 あるんだよなぁ。というかリヴァーブ王国の現状がおかしいんだよ。困窮してるやつは迷宮入らないとかいって子供達普通に困窮してるし。ほぼ無限に取れる迷宮資源、広大な未開拓地があるんだから、もっと人材を鍛えるべきだ。
 遠い未来に人口爆発が起きて、土地が足らなくなったり迷宮資源が足りなくなったりするかもしれないけど、流石にそこまで考慮してられない。俺がゆっくり生きられれば、あとは知らん!

「とりあえず、ベイクでいうなら3階層で戦えるまで鍛えてやりたいんだよなぁ。それ以降は本人のやる気次第でさ。可能であるなら10階層くらいまでいけるようになって欲しいけど、そこまで面倒見るのは負担が大きそうだしな。
 それに俺たちの戦闘力だって疎かには出来ないから、他のヤツを鍛えるのはぶっちゃけ片手間でしかやらないつもり」

「えーと、つまりオーサンの指導みたいなことをトーマも始めるってことー?」

「うん。異世界モノで学校作る作品はわりと多いよね。でも大変じゃない?無力な人に力を持たせると危険なのは、ヴェルトーガで異邦人が証明しちゃってるし」


 日本人がチート持って好き勝手やったのは別の話だと思うんだよな。リンカーズでは魔物っていう暴力の捌け口が既にある。しかも魔物を倒せば金も貰えて強くもなれる。無駄に人と襲うやつはそんなにいないはずだ。
 この世界の治安の良さの根本って、やっぱり魔物が居るからだと思うんだよね。人間同士で争ってる余裕がないというか、争うメリットがないというか。


「学校ってほどしっかりしたものを作るつもりはなけどな。いいとこ養成所ってレベルだろ。
 なぁなぁ、パーティ同士で同盟を組んだり、傘下に入ったりする制度ってある?」

「えっと、パーティ同士で同盟を組む『アライアンス制度』というのはありますよ。これはあくまでお互い対等な立場での協力体制ですね。小規模だったり期間が限定的だったりする場合に使われやすいです。
 もっと大きい規模での協力体制は『カンパニー制度』がありますね。深階層域に大規模で挑む冒険者集団などが利用する場合が多くて、魔法薬師や鍛冶師などとの協力体制を持つ団体もあります」


 なるほど。パーティ同士の協力体制ならアライアンスでも良いんだけど、俺がしたいのはシステム作りだ。カンパニーは恐らく、クランとかチームシステムに近いと想定しておく。ちゃんとした説明も受けておきたい。


「じゃあ俺がしたいのはカンパニーの方だな。一過性の効果じゃなくて、勝手に回るシステムが作りたいわけだから。冒険者ギルドで説明してもらえるのか?」

「冒険者ギルドでいいはずだよー。職人や商人を巻き込む場合には商工ギルドとも関わっていかないとだけどねー」

「ありがとリーン。ちなみにだけど、ジーンさんとリンシアさんってもう次にやること決まってます?もしまだやること決まってなかったら、2人とも俺に雇われてみませんか?」

「いや、まだなにも決めちゃあいないけど……。あまりに突然すぎて、なにがなにやら。なぁ?」

「ええ、トーマさんが冒険者を鍛えたいというのだけは分かりましたけど、いまいち具体的には……。
 それに私たちはもう若くないし、あまり鍛えられないと思うわよ?」

「2人には元商人の経験を生かして、組織の運営を任せたいんだよね。お金の動きとかメンバーの把握とか、そういう方面で。
 流石に希望してない人に迷宮に入れとは言わないよ」

「トーマ。迷宮はどうするの?探索の頻度下げるー?」

「いや下げない。スキップで短縮できる時間を充てたいと思うんだ。探索は日に2回。ただし行き帰りはスキップで短縮。魔力回復させる間に色々街で動きたいんだよね。
 それと迷宮攻略だけど、これからは毎日進めるだけ進んでしまおう。少なくとも50階層到達までは。ハルにはちょっと負担かけることになるけど、今のペースで潜ってたら、騒動に巻き込まれるペースの方が明らかに速いからな。事象復元の効果なしでもチート能力者に勝てるようにしなきゃならない。その為には1日1階層攻略とか遅すぎる」

「……迷宮攻略の安全度が下がりますが、チート能力者を相手取れなければ意味が無い、ということですね」

「異邦人というだけでハルが狙われたりもしたしね。確かにもう安全を優先して足踏みしてるような余裕はない、か……」

「そんでさ。とりあえずカンパニー制度を使って俺はこういうことをやりたいんだよ」


 俺の考えをみんなに説明していく。甘いところがあれば指摘してもらう。

 今まではずっと受身だったような気がする。何かが起こって巻き込まれて。
 でもこれからは、来るべき脅威に備えて、万全の体勢を整えておく。

 なにが起きても、みんなを守りきれるように。
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