203 / 580
7章 更なる強さを求めて
179 入社説明会?⑤ 常識を変えるために
しおりを挟む
「それじゃ、カンパニーへの参加を希望しない人は退出していいぞ。
栄光の運び手のみんなはちょっと来てくれ」
退出するヤツは誰もいないようでなによりだけど、この人数を一気に増やすのは大変そうだなぁ。宿も足りてないし。
「こいつらは一足先にカンパニーに参加している栄光の運び手のメンバーだ。ここの出身だから知ってる奴も多いだろ?
実際にカンパニーに参加してどんな状況なのか、俺じゃなくてこいつらにも聞いてみてくれ。栄光の運び手の奴等も、変に話を作らなくていいからな。正直に答えてやればいいから」
わー!とか言いながら、栄光の運び手は子供達に囲まれてしまった!栄光の運び手たちは逃げられない!
いや逃げてどうすんだって話だけど。
手が空いたので、部屋の隅に座っているクレーレさんに話しかける。
「クレーレさん済みません。今回こちらが受け入れ可能なのは30~40人ってのはお伝えしたと思います。ここに集まった子供達を一度に全員受け入れるのは難しいんですよ。
受け入れる子と受け入れない子がでちゃうと、不和の原因になりかねないんですよね。どうやって選別すればいいか、何かアイディアはありませんか?」
「ああ、それは考えてあるんですよ。年齢の高い子から受け入れてもらえばいいんです。若い子たちはみんなまだ救貧院に住んでいますから、トーマさんの受け入れ態勢が整うまでは、今まで通り救貧院に寝泊りすれば良いだけですわ」
……そりゃそうか。
救貧院も栄光の運び手がゴソっと抜けたからといってすぐに新しい住人がやってくるわけではないし、更に人数を引き抜かれるのであれば、寝床の数にはかなり余裕がある状態なんだな。
食事は……、ちょっと手間が増えるけど、朝晩で通ってもらうしかないか。そうすれば救貧院に残った幼い子供達への食事量も増えるんだしな。
「なるほどです。それでいけそうですね。こちらで宿が用意でき次第、順次受け入れを進めていきますね。
今回の宿は4軒なので、大人組に1軒、他の子供達で8~10人の3グループを作って貰いたいんですけど、グループ分けはスムーズに行きますか?」
「それは恐らく大丈夫でしょう。子供たちは10人前後のパーティを組んで迷宮に入っていますから。パーティごとに分ければちょうど良いと思います」
パーティごとに分けられるなら問題なさそうか。
それにしても人数が一気に膨れ上がったなぁ。将来的には各パーティで自炊してもらうけど、当分の間は自宅でこの人数分の食事を用意しないとならんのか。流石に厨房を拡張する必要がありそうだ。
……っていうか、うちこそトイレの増設も必要なんじゃないか?なんで今まで気付かなかったんだろ。もしかして栄光の運び手の奴等、うちでトイレ使ってなかったのかもしれないな。
明日にはトイレ2つくらい増やそう。加えて厨房の拡張だな。今回金払い良かったから、たぶん喜んで引き受けてもらえるだろう。
「今回のこと、いえ、栄光の運び手のみんなが受けたポーターの仕事からでしょうか。みんなを助けてくれて、本当に感謝しております。
それに、ここを出た後も苦労している子達まで受け入れてもらえて、本当にありがたいと思っています。
特に『リーネ』……、迷宮に入れないと言った娘のことです。彼女を受け入れてもらえたのは、本当に感謝しております。
彼女は迷宮に入れないだけの、とても心根の優しい子なんです。どんなに疎まれても、それで誰かを恨んだり傷つけたりはしなかったんです。
そんなあの子をどうやって助けてあげればいいのか、私達にはわからなかったんです」
迷宮に入れないだけなのになぁ。別にいくらでも仕事あると思うんだけど。
そういえば日本にいたとき、業務に必要もないのに必ず『要自動車免許』って雇用条件書いてる募集とか結構あったな。要迷宮探索ってか?いや違うか。
「さて、そろそろ話は終ったかな?夜も遅くなってきたしそろそろお開きにしよう。
カンパニー参加希望者は、明日朝食食べた後に冒険者ギルドに集まってくれ。そこでカンパニーの参加手続きするから。
栄光の運び手には新しく参加したメンバーの教育を頼むと思う。前も言ったと思うけど、パーティで3階層で戦えるくらいまで指導したら充分だ。それ以上は本人達のやる気次第だからな」
栄光の運び手のメンバーだって、冒険者として成長していかなきゃいけないからな。新規メンバーの面倒ばかり見させるわけにはいかない。
「おっと、最後にこれだけは守ってもらうぞ。
カンパニーに参加している間は、エロいこと、子供を作る行為は禁止だ。見つけ次第カンパニーから追い出すから忘れんなよ。
子供を作りたいなら、……そうだな。10階層くらいまで到達して、カンパニーの補助がなくても安定して生活できるようになってからにしろ。
せっかくお前らが抜けて余裕が出来た救貧院を、またいっぱいにするような真似すんじゃねぇぞ。
それと11階層からはトラップが出現するようになる。10階層を卒業するときは、一応報告してくれ。まだ先の話だろうけどな」
明日の予定をささっと決めて解散する。帰る前に救貧院のトイレに寄るよう栄光の運び手の子供達には言っておく。
「栄光の運び手のみんなには悪いけど、陽天の報せまでくらいは新規メンバーの戦闘指導をして欲しい。今いるメンバーが3階層にいけるくらいになったら、今度はそいつらが新しい奴を指導していく、そういう流れにしたい。
そんで異風の旋律は、明日っから3回探索に切り替えようか。スキルガンガン覚えちまおう。
俺がゲートを使っても魔力に余裕が出来るようになったら、ミルズレンダに行って装備の更新を考えようぜ。そのためにも金も稼がないといけないし」
「う、受け入れはしたのにほんとに投げっぱなしにするとは思わなかったよ……」
「いやいや、確かに他人のために寝る時間も削って、身を粉にして働ける人ってのもいるんだろうけどさ。俺はそんなの御免だね。助けてやったら返して欲しい。
必要以上に世話焼いてやるのは俺の趣味じゃないね」
ま、今回は世話焼きすぎなのかもしれないけど。
リンカーズの常識を変えるための一手だからな。多少の負担は仕方ない。
今回のことがきっかけで、色々好転してくれるといいんだけどね。
栄光の運び手のみんなはちょっと来てくれ」
退出するヤツは誰もいないようでなによりだけど、この人数を一気に増やすのは大変そうだなぁ。宿も足りてないし。
「こいつらは一足先にカンパニーに参加している栄光の運び手のメンバーだ。ここの出身だから知ってる奴も多いだろ?
実際にカンパニーに参加してどんな状況なのか、俺じゃなくてこいつらにも聞いてみてくれ。栄光の運び手の奴等も、変に話を作らなくていいからな。正直に答えてやればいいから」
わー!とか言いながら、栄光の運び手は子供達に囲まれてしまった!栄光の運び手たちは逃げられない!
いや逃げてどうすんだって話だけど。
手が空いたので、部屋の隅に座っているクレーレさんに話しかける。
「クレーレさん済みません。今回こちらが受け入れ可能なのは30~40人ってのはお伝えしたと思います。ここに集まった子供達を一度に全員受け入れるのは難しいんですよ。
受け入れる子と受け入れない子がでちゃうと、不和の原因になりかねないんですよね。どうやって選別すればいいか、何かアイディアはありませんか?」
「ああ、それは考えてあるんですよ。年齢の高い子から受け入れてもらえばいいんです。若い子たちはみんなまだ救貧院に住んでいますから、トーマさんの受け入れ態勢が整うまでは、今まで通り救貧院に寝泊りすれば良いだけですわ」
……そりゃそうか。
救貧院も栄光の運び手がゴソっと抜けたからといってすぐに新しい住人がやってくるわけではないし、更に人数を引き抜かれるのであれば、寝床の数にはかなり余裕がある状態なんだな。
食事は……、ちょっと手間が増えるけど、朝晩で通ってもらうしかないか。そうすれば救貧院に残った幼い子供達への食事量も増えるんだしな。
「なるほどです。それでいけそうですね。こちらで宿が用意でき次第、順次受け入れを進めていきますね。
今回の宿は4軒なので、大人組に1軒、他の子供達で8~10人の3グループを作って貰いたいんですけど、グループ分けはスムーズに行きますか?」
「それは恐らく大丈夫でしょう。子供たちは10人前後のパーティを組んで迷宮に入っていますから。パーティごとに分ければちょうど良いと思います」
パーティごとに分けられるなら問題なさそうか。
それにしても人数が一気に膨れ上がったなぁ。将来的には各パーティで自炊してもらうけど、当分の間は自宅でこの人数分の食事を用意しないとならんのか。流石に厨房を拡張する必要がありそうだ。
……っていうか、うちこそトイレの増設も必要なんじゃないか?なんで今まで気付かなかったんだろ。もしかして栄光の運び手の奴等、うちでトイレ使ってなかったのかもしれないな。
明日にはトイレ2つくらい増やそう。加えて厨房の拡張だな。今回金払い良かったから、たぶん喜んで引き受けてもらえるだろう。
「今回のこと、いえ、栄光の運び手のみんなが受けたポーターの仕事からでしょうか。みんなを助けてくれて、本当に感謝しております。
それに、ここを出た後も苦労している子達まで受け入れてもらえて、本当にありがたいと思っています。
特に『リーネ』……、迷宮に入れないと言った娘のことです。彼女を受け入れてもらえたのは、本当に感謝しております。
彼女は迷宮に入れないだけの、とても心根の優しい子なんです。どんなに疎まれても、それで誰かを恨んだり傷つけたりはしなかったんです。
そんなあの子をどうやって助けてあげればいいのか、私達にはわからなかったんです」
迷宮に入れないだけなのになぁ。別にいくらでも仕事あると思うんだけど。
そういえば日本にいたとき、業務に必要もないのに必ず『要自動車免許』って雇用条件書いてる募集とか結構あったな。要迷宮探索ってか?いや違うか。
「さて、そろそろ話は終ったかな?夜も遅くなってきたしそろそろお開きにしよう。
カンパニー参加希望者は、明日朝食食べた後に冒険者ギルドに集まってくれ。そこでカンパニーの参加手続きするから。
栄光の運び手には新しく参加したメンバーの教育を頼むと思う。前も言ったと思うけど、パーティで3階層で戦えるくらいまで指導したら充分だ。それ以上は本人達のやる気次第だからな」
栄光の運び手のメンバーだって、冒険者として成長していかなきゃいけないからな。新規メンバーの面倒ばかり見させるわけにはいかない。
「おっと、最後にこれだけは守ってもらうぞ。
カンパニーに参加している間は、エロいこと、子供を作る行為は禁止だ。見つけ次第カンパニーから追い出すから忘れんなよ。
子供を作りたいなら、……そうだな。10階層くらいまで到達して、カンパニーの補助がなくても安定して生活できるようになってからにしろ。
せっかくお前らが抜けて余裕が出来た救貧院を、またいっぱいにするような真似すんじゃねぇぞ。
それと11階層からはトラップが出現するようになる。10階層を卒業するときは、一応報告してくれ。まだ先の話だろうけどな」
明日の予定をささっと決めて解散する。帰る前に救貧院のトイレに寄るよう栄光の運び手の子供達には言っておく。
「栄光の運び手のみんなには悪いけど、陽天の報せまでくらいは新規メンバーの戦闘指導をして欲しい。今いるメンバーが3階層にいけるくらいになったら、今度はそいつらが新しい奴を指導していく、そういう流れにしたい。
そんで異風の旋律は、明日っから3回探索に切り替えようか。スキルガンガン覚えちまおう。
俺がゲートを使っても魔力に余裕が出来るようになったら、ミルズレンダに行って装備の更新を考えようぜ。そのためにも金も稼がないといけないし」
「う、受け入れはしたのにほんとに投げっぱなしにするとは思わなかったよ……」
「いやいや、確かに他人のために寝る時間も削って、身を粉にして働ける人ってのもいるんだろうけどさ。俺はそんなの御免だね。助けてやったら返して欲しい。
必要以上に世話焼いてやるのは俺の趣味じゃないね」
ま、今回は世話焼きすぎなのかもしれないけど。
リンカーズの常識を変えるための一手だからな。多少の負担は仕方ない。
今回のことがきっかけで、色々好転してくれるといいんだけどね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
388
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる