204 / 580
7章 更なる強さを求めて
180 賃金
しおりを挟む
救貧院を出て自宅に戻る。
子供達全員に洗浄をかけて、身内みんなで2階へ移動。
ジーンさんとリンシアさんに余っている生活魔法のスクロールを手渡し、厨房とトイレの増設の許可を取る。そして受け入れ人数が50人を超えたことを報告し、食事の量などを確認する。
「そういえば2人の事はうちで雇ってる扱いになるんだけど、この世界の賃金の払い方ってどうなってるんだ?」
「そうだな……。日雇いならば仕事が終った後にその場で、期間が決まっている仕事も、仕事が完了した時点での支払いが基本だね。
長期雇用の場合は、5日間か10日間ごとに賃金が払われる場合が多いかな?」
「なるほどね。それじゃ2人は明日今までの分として金貨3枚ずつ、カンパニー用口座から引き出して賃金として受け取ってね。今後は10日ごと、下一桁が0の日付になる度に、金貨3枚ずつ賃金として引き落としてね。
これは今後、迷宮に入らないカンパニー参加者への賃金として採用するから、間違いなく受け取るようにして欲しい」
「……はぁ。有無を言わせてくれないみたいだね。その金額は、一般的な年収の5倍以上の賃金だよ?それを私と妻の2人分なんて払い過ぎだと思うけどね」
「さっきも言ったけど、受け入れ人数が一気に増えるから2人も大変になると思う。むしろ正当な報酬だと思ってるよ。
それと、間違いなく1人は迷宮に入れないから、ジーンさんとリンシアさんの補助をしてもらおうと思ってるんだ。そいつは今のところ何も出来ることがないみたいだから、2人の手伝いをさせながら、とりあえず料理と読み書き、計算を教えて欲しい。
なにも出来ない間は見習い扱いで10日で銀貨3枚。さっき言ったうちの1つでも出来るようになったら銀板3枚。今の2人と同じ程度に働けるようになったら金貨3枚払ってやってね。カンパニー参加費は賃金に応じて冒険者と同じく、1日銅板1枚からスタートで」
「あら、私達にも補助人員が回してもらえるのはありがたいわ。その人にも生活魔法は覚えさせてもらえるの?」
「うん。迷宮に入らないからスキルは覚えられなかったとしても、魔法はスクロールさえあれば覚えれるわけだからね。スクロールはこっちで用意するから、改めて買ったりする必要はないからね。
補助予定のその人は、この家に住んでもらったほうが都合がいいかな?」
「そうねぇ。部屋も余ってるし、朝晩の調理補助をお願いしたいし、住み込みのほうが便利ではあるわね」
「じゃあ住み込みの方向でいこう。カンパニー参加費の支払いがあるから、初めの銀貨3枚は初日に払ってあげてね、……って今回は俺から渡しておくか。
着替えとか生活雑貨は賃金の中から融通してもらうように。備品だったり必要経費だと思うものにはカンパニー資金から捻出していいから。わざわざ俺に許可を取る必要もないからね」
今はまだしも、何かある度に確認なんかされたらめんどくさくってたまらない。それに元商人の2人なら、数字にはかなり強いはずだ。
「……トーマさんは、私達がカンパニーの資金を着服するとか考えないのかい?」
「ん~、そこはまぁ、年下だけどお義父さんお義母さんなわけだし、信用してるってのもあるよ。
ただ本音を言えば、どうでもいいんだよね。今俺たちって50階層に到達してるんだけどさ、5人で分けても、1日の稼ぎは白金貨を超えて来るんだよ。普通5人で潜るような場所じゃないんだろうね。
将来的にはカンパニー用口座の方が預金額上回るのかもしれないけど、俺の個人資産以下のカンパニー口座なんてさほど興味もないよ。なくなっても別に俺は困らないからね。他の参加者は困るだろうけど」
「なるほど……。カンパニー用の口座に何かあったら、他の参加者の怒りを買うのは結局私達になるわけね。信用してるっていうのも嘘ではないんでしょうけれど、なかなか抜け目ないわね、トーマさんは」
「めんどくさいから気兼ねなく丸投げしてるだけだよ。
それと、カンパニー参加者から集めたお金の半額は、給料日と同じ日に救貧院に振り込んで欲しい。俺たちと救貧院は協力関係を築いていかないといけないからね。とりあえずは手っ取り早く、資金援助って形の協力からしていこう。
あ、このことは他の参加者には言わなくていいからね。めんどくさいことになりそうだから」
「ねぇねぇトーマ。トーマが一番めんどくさい性格だと私は思うんだー」
「うっさい。おっさんてのはめんどくさい生き物なんだよ」
めんどくさく生きてこそおっさんだ。だからと言って必要以上に何かを背負うつもりもない。あくまで出来る範囲で。あくまで自立支援の範囲内で、だ。
ジーンさん、リンシアさんの2人に生活魔法を覚えてもらってこの日は就寝。
「うん。明日から新しい同居人が増えるのよね。それで、もしシンが嫌じゃなかったらなんだけど……」
この機会にハルはシンの部屋に引っ越すことになった。
2人がどんなお付き合いをしているのかは知らないけど、ふわわとつららを連れて行っているあたり、まだ健全なお付き合いをしているんだろうな。ハルが使ってたベッドも一緒に引っ越したわけだし。
「さてトーマ。2人しかいないうちにいっぱい相手してもらうからねっ」
「2人しかいないうちってなんだよ。これ以上増やす気なんてねーから」
「やっぱり分かっていませんね。トーマにその気がなくても、もう無理だと思いますよ」
「なんでだよ。なんでそこで俺の意思が無視されんだっての。ま、2人の相手をするのは大歓迎だけどね」
まったく、こんな可愛い奥さんが2人もいるのに、何の不満があるんだって話だよ。
ハーレムには憧れるけど、普通に俺の手には余るだろう。
2人相手でも大変なくらいだし。
子供達全員に洗浄をかけて、身内みんなで2階へ移動。
ジーンさんとリンシアさんに余っている生活魔法のスクロールを手渡し、厨房とトイレの増設の許可を取る。そして受け入れ人数が50人を超えたことを報告し、食事の量などを確認する。
「そういえば2人の事はうちで雇ってる扱いになるんだけど、この世界の賃金の払い方ってどうなってるんだ?」
「そうだな……。日雇いならば仕事が終った後にその場で、期間が決まっている仕事も、仕事が完了した時点での支払いが基本だね。
長期雇用の場合は、5日間か10日間ごとに賃金が払われる場合が多いかな?」
「なるほどね。それじゃ2人は明日今までの分として金貨3枚ずつ、カンパニー用口座から引き出して賃金として受け取ってね。今後は10日ごと、下一桁が0の日付になる度に、金貨3枚ずつ賃金として引き落としてね。
これは今後、迷宮に入らないカンパニー参加者への賃金として採用するから、間違いなく受け取るようにして欲しい」
「……はぁ。有無を言わせてくれないみたいだね。その金額は、一般的な年収の5倍以上の賃金だよ?それを私と妻の2人分なんて払い過ぎだと思うけどね」
「さっきも言ったけど、受け入れ人数が一気に増えるから2人も大変になると思う。むしろ正当な報酬だと思ってるよ。
それと、間違いなく1人は迷宮に入れないから、ジーンさんとリンシアさんの補助をしてもらおうと思ってるんだ。そいつは今のところ何も出来ることがないみたいだから、2人の手伝いをさせながら、とりあえず料理と読み書き、計算を教えて欲しい。
なにも出来ない間は見習い扱いで10日で銀貨3枚。さっき言ったうちの1つでも出来るようになったら銀板3枚。今の2人と同じ程度に働けるようになったら金貨3枚払ってやってね。カンパニー参加費は賃金に応じて冒険者と同じく、1日銅板1枚からスタートで」
「あら、私達にも補助人員が回してもらえるのはありがたいわ。その人にも生活魔法は覚えさせてもらえるの?」
「うん。迷宮に入らないからスキルは覚えられなかったとしても、魔法はスクロールさえあれば覚えれるわけだからね。スクロールはこっちで用意するから、改めて買ったりする必要はないからね。
補助予定のその人は、この家に住んでもらったほうが都合がいいかな?」
「そうねぇ。部屋も余ってるし、朝晩の調理補助をお願いしたいし、住み込みのほうが便利ではあるわね」
「じゃあ住み込みの方向でいこう。カンパニー参加費の支払いがあるから、初めの銀貨3枚は初日に払ってあげてね、……って今回は俺から渡しておくか。
着替えとか生活雑貨は賃金の中から融通してもらうように。備品だったり必要経費だと思うものにはカンパニー資金から捻出していいから。わざわざ俺に許可を取る必要もないからね」
今はまだしも、何かある度に確認なんかされたらめんどくさくってたまらない。それに元商人の2人なら、数字にはかなり強いはずだ。
「……トーマさんは、私達がカンパニーの資金を着服するとか考えないのかい?」
「ん~、そこはまぁ、年下だけどお義父さんお義母さんなわけだし、信用してるってのもあるよ。
ただ本音を言えば、どうでもいいんだよね。今俺たちって50階層に到達してるんだけどさ、5人で分けても、1日の稼ぎは白金貨を超えて来るんだよ。普通5人で潜るような場所じゃないんだろうね。
将来的にはカンパニー用口座の方が預金額上回るのかもしれないけど、俺の個人資産以下のカンパニー口座なんてさほど興味もないよ。なくなっても別に俺は困らないからね。他の参加者は困るだろうけど」
「なるほど……。カンパニー用の口座に何かあったら、他の参加者の怒りを買うのは結局私達になるわけね。信用してるっていうのも嘘ではないんでしょうけれど、なかなか抜け目ないわね、トーマさんは」
「めんどくさいから気兼ねなく丸投げしてるだけだよ。
それと、カンパニー参加者から集めたお金の半額は、給料日と同じ日に救貧院に振り込んで欲しい。俺たちと救貧院は協力関係を築いていかないといけないからね。とりあえずは手っ取り早く、資金援助って形の協力からしていこう。
あ、このことは他の参加者には言わなくていいからね。めんどくさいことになりそうだから」
「ねぇねぇトーマ。トーマが一番めんどくさい性格だと私は思うんだー」
「うっさい。おっさんてのはめんどくさい生き物なんだよ」
めんどくさく生きてこそおっさんだ。だからと言って必要以上に何かを背負うつもりもない。あくまで出来る範囲で。あくまで自立支援の範囲内で、だ。
ジーンさん、リンシアさんの2人に生活魔法を覚えてもらってこの日は就寝。
「うん。明日から新しい同居人が増えるのよね。それで、もしシンが嫌じゃなかったらなんだけど……」
この機会にハルはシンの部屋に引っ越すことになった。
2人がどんなお付き合いをしているのかは知らないけど、ふわわとつららを連れて行っているあたり、まだ健全なお付き合いをしているんだろうな。ハルが使ってたベッドも一緒に引っ越したわけだし。
「さてトーマ。2人しかいないうちにいっぱい相手してもらうからねっ」
「2人しかいないうちってなんだよ。これ以上増やす気なんてねーから」
「やっぱり分かっていませんね。トーマにその気がなくても、もう無理だと思いますよ」
「なんでだよ。なんでそこで俺の意思が無視されんだっての。ま、2人の相手をするのは大歓迎だけどね」
まったく、こんな可愛い奥さんが2人もいるのに、何の不満があるんだって話だよ。
ハーレムには憧れるけど、普通に俺の手には余るだろう。
2人相手でも大変なくらいだし。
1
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる