異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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7章 更なる強さを求めて

221 フィールドバトル

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 今回の目的はグリーントーチの討伐。そしてグリーントーチは国境壁の近くに現れる。
 今近付いてきている魔物が何かまだ不明だが、目標の可能性も充分にある。


「ってなわけで降りるよ。魔物を迎え撃つ。ペルは馬車を頼むからね」


 サリサリの指示で全員馬車を降りる。
 銀の乙女たちは馬車を中心に素早く展開。迎撃体勢を整える。
 歴戦を思わせる自然な流れの動きだ。


「そんじゃリーンとトルネは、銀の乙女の皆さんの邪魔をしないよう遊撃。
 シンとハルは2人で固まって動くようにな。相手次第ではハルも近接でいいと思う。5等級になったんだし。
 リーネはまだ戦えないから俺が護衛。弓で援護するよ。リーネは指示なく動かないように」

「あ?依頼主殿、どっから弓出したんだ?さっきまで持ってなかったよね?」


 お、意外とちゃんと見てるな。6等級冒険者のことも油断なく観察していたらしい。


「まぁまぁ。そんなことより間もなくお客さんが来そうだよ。グリーントーチがいたら教えてね」


 複合センサーに沢山の反応が引っかかっている。
 フィールドバトルは初めての経験だが、かなり数が多いっぽいなぁ。

 ギャギャギャァァ!!

 叫び声と共に、2メートルクラスのでかい人型の魔物が大量に現れた。
 全身緑の体毛に覆われており、手の爪が30センチくらいの長さまで伸びている。


「当たりだね!あの毛むくじゃらがグリーントーチだよ!」


 目は真っ赤で口からは鋭い牙が見えている。筋骨粒々で、申し訳程度の猫耳要素を搭載している。
 良かった。全然可愛くない。


「了解。リーンは間違いなく1体は仕留めてくれよ。あとは無理せず邪魔せずだ」


 初の屋外戦の開始だ。

 ギャ!?ギャァッ!?

 なるべく遠目のものから弓矢で仕留めていく。いくら俊敏な動きをするとはいえ、50階層台の魔物に比べれば大した動きではない。レッサーワイバーンのように飛んでる訳でもないしな。

 リーンが確実にグリーントーチを仕留めている。これで一応の目標は達成できた。
 しかしなんだな。グリーントーチがあまりにも亜人っぽくないせいで、本当にこれで条件を達成したのかが自信が持てないわ。

 なんて思っていたら、グリーントーチの後ろから見覚えるのある大蛇が出てきた。何階層で出たんだっけか。4本の触腕を持つ大蛇、ウィップナーガさんだ。もう眉間に矢をおっ立てて死んでるけど。


「へぇ。やるじゃないか依頼主殿。ほんとに6等級?」


 俺の護衛を担当しているサリサリが感心したように確認してくる。


「ちゃんとギルド通して依頼しただろ。等級を偽ったり出来ねぇって」


 話ながらも結構ベイクの迷宮で見たことある魔物も出るな。レインディア、トレント、バジリスク、ヒュージスパイダー。


「ちっ、面倒な奴も付いて来たね。殺すのは簡単だけど、死んでも暴れるし、死体は仲間を呼ぶんだよ奴等は!」


 おお、アーマーセンチピードさんじゃないですか。お久しぶりです。


「ねぇサリサリ。俺前に出ていい?矢の数が足りなくなってきたし、このくらいの魔物だったらベイクの迷宮で戦ったこともあるし。
 リーネは戦えないから護衛してもらいたいんだけど」

「ん……、確かに依頼主殿は思ったより戦えるようだね。
 そうだね、突出しないようにだけ気をつけてくれよ」


 サリサリは少し思案したみたいだが、俺が嘘を言っていないと判断したようだ。

 それじゃ遠慮なく前に出よう。まず優先すべきは、嫌われ者のアーマーセンチピードさんだ。

 熱魔法と風魔法で編み出したドライヤー魔法だけど、ここに更に乾燥を織り交ぜて、風の発生源に火魔法を配置して乾燥効果と熱風の温度を上げてみる。
 風魔法を操作し、熱風がアーマーセンチピードさんを包み込むようにして蒸し焼きにしてみる。

 一瞬暴れそうになったけど、すぐにぶっ倒れてくれた。
 蒸し焼きの匂いで仲間呼ぶかもしれないので、気休め程度に洗浄もかけておく。


「はぁ!?いったいなにをしたんだい!?アーマーセンチピードはそんなに簡単に死ぬ魔物じゃないはずだよ!?」
 

 いやいや、本当は熱湯をかけたいところなんですけどね。流石に水魔法の水量では難しくて。

 しかし結構な魔物を殺しているはずだが、未だに敵が途切れないな。こりゃ確かに迷宮よりも難易度高いわ。
 知っている魔物も知らない魔物もとりあえず首を切っておく。首さえ落としておけば大概死ぬだろ。

 魔物の数こそ減ってはいるが襲撃が途切れないな。
 サリサリは戦力が足りていると判断したらしく、半数のものに魔物を回収させ解体を始めた。
 はぇ~、戦闘中に解体始めてしまうとは。見学したいところだけど、戦闘が終わるまではがまんがまん。


「戦闘中なのに解体進めるんだな。だから人数が多いのか?」


 レインディアの首を落としながらサリサリに声をかけてみた。


「いや、普通はやらないよ。でも依頼主殿たちはかなり戦えるみたいだし、獲物の数もかなり多いしね。
 うちの団員を遊ばせておくよりは、少しでも解体を進めておいたほうが合理的かなと思ったのさ」

「なるほどね。せっかくだからリーネも解体を見学してみたらいい。狩人には必要な技術だからな」

「お!お姉さんは狩人志望かい!いいねいいね、解体くらいいくらでも教えてやるさっ!」


 同業者が増えるっていうのは嬉しいもんなのかねぇ。


「姐さん!大型も来るみたいだ!種類はまだ分からない!」


 おお、言われてみると確かに地面が揺れてるな。戦闘中にこの振動に気付けるのは、やはり経験の差か。


「了解!依頼主殿たちも、ヤバイと思ったら素直に引いてくれよ!」

「はいはーい無理はしないよ」


 と返事をしたところで新手が登場。なんとアサルトドラゴンさんじゃないですか。
 4体ほど出てきたので異風の旋律で1人1体担当する。

 シンがロングソードで一閃。リーンがスネークソードで一刀両断。トルネが槍で首を突き飛ばし、俺もロングソードで首を一薙ぎ。
 アサルトドラゴンさんお疲れーっす。


「……おいおいおい。依頼主殿はなにものなんだい?
 以前見た4等級の冒険者よりも、よっぽど戦えるじゃないか!」

「お褒めに預かり恐縮だね。こいつらも全部解体するのか?」

「ったり前だろ!アサルトドラゴンの素材なんて、捨てていけるわけないじゃないさ!
 スリムク!カイラ!ポースン!周囲警戒を頼むよ!
 あとのみんなは獲物の回収と解体だ!素早く済ませるよ!」


 サリサリが素早く指示を出す。人手が足りなそうなので、俺たちも手伝おう。

 解体の知識も技術も無いので、散らばった魔物の運搬は異風の旋律が担当することにして、銀の乙女には解体を担当してもらうことにした。
 巨大なアサルトドラゴンも、身体能力強化:中まで取得しているうちのメンバーなら、なんとか数人がかりで動かすことが出来た。

 リーネは生活魔法を覚えている上に魔力が有り余ってるので、土魔法を使って、解体後の捨てる部分を埋める穴を作ってもらった。
 土魔法の操作ではあまり早いスピードで成形したり出来ないのだが、リーネは時間をかけても問題ない魔力量の持ち主だからな。

 深さ2メートル、縦横5メートルくらいの穴を開けて、銀の乙女達に感心されていた。


「はっはっは!笑いが止まらないねぇ!ほんとに全部貰っていいのかい!?」

「もちろん。俺たちの目的は達成したわけだからな。追加報酬ってことで遠慮なく持ってってくれ。
 でもこんだけの量を積み込んで、ペルは大丈夫なのか?」


 魔物の数も多かったけど、アサルトドラゴン4体分の素材を積み込んでるから、馬車の中はかなりの重量になっていそうだ。


「当たり前だろっ!ペルは馬車いっぱいの荷物を運んでも息も切らしたことないんだよ!
 それにこの馬車だって特注品だからね。この程度の重量で壊れるほどやわなじゃないさ」


 リーネは土魔法を使って解体して出来た不要な部位を埋めなおし、銀の乙女の団員皆に洗浄をかけて回って大いに喜ばれていた。
 狩人はスクロールがドロップする機会が無いため、生活魔法を覚えている者も多くないらしい。


「よし、それじゃ帰るとしようか。ちょっとだけ狭いのは勘弁しておくれよ?
 ささ、みんな馬車に「姐さん!なにか来るよ!」


 まだ外にいた団員から警告が発せられる。


「ちっ、もう帰るだけだってのに、いったいなんだい!?
 迎撃準備!終わったら帰るよ!」


 素早く団員は馬車を降りて、迎撃しやすいように展開する。

 なんか遠くの方でベキベキっつう、木をなぎ倒してるような音が聞こえるなぁ……。

 地面からもアサルトドラゴン来た時以上の振動が伝わってくるし、嫌な予感しかしない。


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!


 重低音ボイスを響かせながら姿を現したのは、グランドタートルやローズフォートすら凌ぐほどの、巨大な緑色のドラゴンだった。
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