255 / 580
7章 更なる強さを求めて
225 提携の提案
しおりを挟む
「マジかよ……。白金板いっちゃったよ……」
銀の乙女はグリーンドラゴンの素材を全て、狩人ギルドに卸すことにしたようだ。
まぁウチだってマーサが居るからこそ素材が必要なんであって、お抱え鍛冶師なんて普通いないんだからギルドに卸すしかないわな。
素材の売却が終わったサリサリと、リーネを同席させて少し話をすることにした。
他の団員達は高額すぎる報酬が入ったので、食べ物を買い込んで拠点で騒ぎまくるらしい。
面白いことに、彼女達銀の乙女の拠点は、ペルが街に入れないという理由で城壁の外に居を構えている。勿論国境壁の内側だけど。
国境壁の内側に出る程度の魔物であれば、ペルを含めて団員全員が問題なく相手出来るらしいし、女所帯の銀の乙女にとっては、街の中よりも落ち着けるんだそうだ。
「今回は助かったよ。銀の乙女がいなかったら不便なことが多すぎた。俺に対しても見下したり拒否してる感じも受けなかったしな。
引き受けてくれてどうもありがとう」
「よしてくれよ。こっちのほうが貰いすぎさ。まぁ良い依頼主に当たってありがたかったよ。
これで当分はかなり余裕が出来たろうねぇ」
「ふぅん?銀の乙女って結構大きい狩猟団に見えるけど、あんまり余裕無かったりするの?」
「ん?ああいやいや、生活に困るほどってワケじゃないさ。ただうちはペルが居るからね。食費だなんだと結構かかるんだよ。
それに家が街の外にあるからね。仕事を探しにギルドに行くにも毎回通行料を払わなくちゃいけないからさ。
ま、それ以上にペルには助けてもらってるから、感謝こそすれ不満なんてないさ。
ペルがどれほど凄い子だっていうのは、トーマも充分伝わったろ?」
凄さも可愛さも充分伝わってきましたね!
「それに私らは女だけの狩猟団だからね。腕利きになっても、子供を作って辞めちゃう奴も多いのさ。
男と違って、子供が出来たら女なんて働くことも出来なくなっちまうからねぇ」
「まぁねぇ。女性しか入団させないのはやっぱり何か理由があるの?例えば男性に恐怖を覚える団員がいるとか」
「いや?団の伝統だからそうしてるだけだね。でもまぁトーマが言ったような子も居なくはないよ。ほとんどの子は強くなって克服してくれたようだけどね。
トーマのトコの子達は若いのにとんでもなく強かったけど、普通若い子ってのは男女問わず非力なもんだからね。強者の食い物にされたりする事は少なくないさ」
だよなぁ。というか俺自身、一度は奴隷を買うか検討したことあるし。
実際に奴隷を購入したら、あまりにも雁字搦めで懲りたけどな!
「話は変わるけど、例えばペルみたいな……、荷物の運搬が出来る生物を抱えている狩猟団って他にもいるのか?
ペルがあまりにも仕事が出来るから、びっくりしたんだけど?」
「居る所は無くはないよ。ペルみたいなのはウチしかいないけどね。
アサルトドラゴンとかを使役したりしてる狩猟団はいくつかあるね。なんかそういう魔導具があるんだってさ」
ふ~ん……って、あれ?
「そういえばペルって小さい頃拾ったって言ってなかったか?つまりペルって、魔物ではない?魔物って自然発生するから、子供とか出来ないはずだろ?」
「ああ~、その辺どうなんだろうね?考えたこと無かったな。
考えてみたら、魔物だったら私達に懐くワケないのかな?ま、ペルはペルってことで充分さ」
俺もペルが何者であっても可愛いは正義なんだけど、もし魔物じゃなかったとしたら凄くない?
ペルと同じ種族の生物を増やせる可能性があるんだよ?しかもスキルを覚えられる可能性もある……。
流石にこれはまだ黙っておくべきかな。
「ちなみに、俺たちこれから色々な魔物素材が必要になりそうなんだけどさ。銀の乙女に依頼したら受けてくれるかな?」
他の狩猟団と比較したときに、ペルの存在があまりにも大きすぎるし。
「お、ホントか!トーマたちの依頼だったらなるべく受けたいよ!
今回も凄まじい報酬だったし、無茶も言わないもんな!」
「よっしゃ交渉成立だな。こっちとしても助かるよ。
それともう1つ頼みたいんだけど、このリーネに狩人に必要な技術を教えてもらえないかな?
リーネは事情があって迷宮には入れないんだ。狩人としての選択肢を与えてやりたい」
「……えっ!?」
「あー……。まぁそっちのお姉さん、リーネだったか。リーネには今日だけでも相当世話になったしなぁ。
戦えない新人を教育することもあるし、引き受けないこともないねぇ。
ま、炊事洗濯を手伝ってくれるだけでも大助かりだと思うけどさ。報酬を期待しても良かったりするかい?」
「勿論。期間は決めてないし、戦闘技術はこっちでも教えられるから最低限でいい。俺が頼みたいのは狩人としての知識や技術。特に魔物の知識や解体の技術だね。
報酬はそうだな。お金でもいいけど、生活魔法の土水火風の4つに熱と洗浄をつけて、6種類のスクロールを10本ずつでどう?」
狩人にこそ活用しやすいと思うんだよね、生活魔法って。
なのに迷宮に潜らなくなると入手の機会が減ってしまうとか、なかなか意地が悪いシステムだと思う。
「……正直、喉から手が出るほど欲しい報酬だね。でも流石に多すぎだろう?
全部でスクロール60本なんて、正気の沙汰じゃないだろ」
「あー、狩人からみるとスクロールって入手しにくいもんなんだと思うけど、俺たち冒険者からすると、1回の探索で1本以上出るもんだからね。まぁ狙って拾うことは出来ないけど。
今も毎日余ったスクロール売却してるし、あんまり負担じゃないんだよ。
10等級のリーネがいくつも生活魔法覚えてるのも知ってるでしょ?
流石にすぐ用意するってワケにはいかないけど、拾うごとに届けに来てもいいかなってね。素材採取の依頼もしたいし」
「……スクロールってそんなに簡単に出るもんじゃないだろ?トーマって今何階層辺りにいるんだよ?」
「ん?ベイクの迷宮は最下層が89階層で、今俺が探索してるのは53階層かな」
「っざけんな!道理でおかしいと思ったよ!50階層なんて、4等級以上の冒険者並みじゃねぇか!」
へぇ、4等級くらいからは深階層域に潜れるレベルだってことだな。
ハロイツァの3等級が基準になってたけど、やはり4等級あたりからも危なそうだ。
ったく、まだまだ鍛え足りないよなぁ。
銀の乙女はグリーンドラゴンの素材を全て、狩人ギルドに卸すことにしたようだ。
まぁウチだってマーサが居るからこそ素材が必要なんであって、お抱え鍛冶師なんて普通いないんだからギルドに卸すしかないわな。
素材の売却が終わったサリサリと、リーネを同席させて少し話をすることにした。
他の団員達は高額すぎる報酬が入ったので、食べ物を買い込んで拠点で騒ぎまくるらしい。
面白いことに、彼女達銀の乙女の拠点は、ペルが街に入れないという理由で城壁の外に居を構えている。勿論国境壁の内側だけど。
国境壁の内側に出る程度の魔物であれば、ペルを含めて団員全員が問題なく相手出来るらしいし、女所帯の銀の乙女にとっては、街の中よりも落ち着けるんだそうだ。
「今回は助かったよ。銀の乙女がいなかったら不便なことが多すぎた。俺に対しても見下したり拒否してる感じも受けなかったしな。
引き受けてくれてどうもありがとう」
「よしてくれよ。こっちのほうが貰いすぎさ。まぁ良い依頼主に当たってありがたかったよ。
これで当分はかなり余裕が出来たろうねぇ」
「ふぅん?銀の乙女って結構大きい狩猟団に見えるけど、あんまり余裕無かったりするの?」
「ん?ああいやいや、生活に困るほどってワケじゃないさ。ただうちはペルが居るからね。食費だなんだと結構かかるんだよ。
それに家が街の外にあるからね。仕事を探しにギルドに行くにも毎回通行料を払わなくちゃいけないからさ。
ま、それ以上にペルには助けてもらってるから、感謝こそすれ不満なんてないさ。
ペルがどれほど凄い子だっていうのは、トーマも充分伝わったろ?」
凄さも可愛さも充分伝わってきましたね!
「それに私らは女だけの狩猟団だからね。腕利きになっても、子供を作って辞めちゃう奴も多いのさ。
男と違って、子供が出来たら女なんて働くことも出来なくなっちまうからねぇ」
「まぁねぇ。女性しか入団させないのはやっぱり何か理由があるの?例えば男性に恐怖を覚える団員がいるとか」
「いや?団の伝統だからそうしてるだけだね。でもまぁトーマが言ったような子も居なくはないよ。ほとんどの子は強くなって克服してくれたようだけどね。
トーマのトコの子達は若いのにとんでもなく強かったけど、普通若い子ってのは男女問わず非力なもんだからね。強者の食い物にされたりする事は少なくないさ」
だよなぁ。というか俺自身、一度は奴隷を買うか検討したことあるし。
実際に奴隷を購入したら、あまりにも雁字搦めで懲りたけどな!
「話は変わるけど、例えばペルみたいな……、荷物の運搬が出来る生物を抱えている狩猟団って他にもいるのか?
ペルがあまりにも仕事が出来るから、びっくりしたんだけど?」
「居る所は無くはないよ。ペルみたいなのはウチしかいないけどね。
アサルトドラゴンとかを使役したりしてる狩猟団はいくつかあるね。なんかそういう魔導具があるんだってさ」
ふ~ん……って、あれ?
「そういえばペルって小さい頃拾ったって言ってなかったか?つまりペルって、魔物ではない?魔物って自然発生するから、子供とか出来ないはずだろ?」
「ああ~、その辺どうなんだろうね?考えたこと無かったな。
考えてみたら、魔物だったら私達に懐くワケないのかな?ま、ペルはペルってことで充分さ」
俺もペルが何者であっても可愛いは正義なんだけど、もし魔物じゃなかったとしたら凄くない?
ペルと同じ種族の生物を増やせる可能性があるんだよ?しかもスキルを覚えられる可能性もある……。
流石にこれはまだ黙っておくべきかな。
「ちなみに、俺たちこれから色々な魔物素材が必要になりそうなんだけどさ。銀の乙女に依頼したら受けてくれるかな?」
他の狩猟団と比較したときに、ペルの存在があまりにも大きすぎるし。
「お、ホントか!トーマたちの依頼だったらなるべく受けたいよ!
今回も凄まじい報酬だったし、無茶も言わないもんな!」
「よっしゃ交渉成立だな。こっちとしても助かるよ。
それともう1つ頼みたいんだけど、このリーネに狩人に必要な技術を教えてもらえないかな?
リーネは事情があって迷宮には入れないんだ。狩人としての選択肢を与えてやりたい」
「……えっ!?」
「あー……。まぁそっちのお姉さん、リーネだったか。リーネには今日だけでも相当世話になったしなぁ。
戦えない新人を教育することもあるし、引き受けないこともないねぇ。
ま、炊事洗濯を手伝ってくれるだけでも大助かりだと思うけどさ。報酬を期待しても良かったりするかい?」
「勿論。期間は決めてないし、戦闘技術はこっちでも教えられるから最低限でいい。俺が頼みたいのは狩人としての知識や技術。特に魔物の知識や解体の技術だね。
報酬はそうだな。お金でもいいけど、生活魔法の土水火風の4つに熱と洗浄をつけて、6種類のスクロールを10本ずつでどう?」
狩人にこそ活用しやすいと思うんだよね、生活魔法って。
なのに迷宮に潜らなくなると入手の機会が減ってしまうとか、なかなか意地が悪いシステムだと思う。
「……正直、喉から手が出るほど欲しい報酬だね。でも流石に多すぎだろう?
全部でスクロール60本なんて、正気の沙汰じゃないだろ」
「あー、狩人からみるとスクロールって入手しにくいもんなんだと思うけど、俺たち冒険者からすると、1回の探索で1本以上出るもんだからね。まぁ狙って拾うことは出来ないけど。
今も毎日余ったスクロール売却してるし、あんまり負担じゃないんだよ。
10等級のリーネがいくつも生活魔法覚えてるのも知ってるでしょ?
流石にすぐ用意するってワケにはいかないけど、拾うごとに届けに来てもいいかなってね。素材採取の依頼もしたいし」
「……スクロールってそんなに簡単に出るもんじゃないだろ?トーマって今何階層辺りにいるんだよ?」
「ん?ベイクの迷宮は最下層が89階層で、今俺が探索してるのは53階層かな」
「っざけんな!道理でおかしいと思ったよ!50階層なんて、4等級以上の冒険者並みじゃねぇか!」
へぇ、4等級くらいからは深階層域に潜れるレベルだってことだな。
ハロイツァの3等級が基準になってたけど、やはり4等級あたりからも危なそうだ。
ったく、まだまだ鍛え足りないよなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる